[見学会・その他 目次]
高天酒造見学会
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我々の素人質問にいやな顔をせず、 熱心に答えてくれた伊藤訓(さとし)杜氏
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長野県岡谷市銀座の高天酒造を見学しました。見学に参加したのは当店・利き酒師長崎美知子の公民館での日本酒講座の参加者数名です。以下にレポーター・長崎拓美が印象を強くもった事柄をまとめてみました。
1.麹はやはり甘かった
造りの説明で杜氏がいきなり、麹室に入れてくれたのには驚いた。麹室の外に
広げてある出来上がっている麹を食べさせてもらったが、やはり麹は甘かった。
2.高温糖化酒母を造っていた
酒母はなんと高温糖化酒母だった。杜氏はこれの方がよいお酒ができる、と
いっていた。乳酸を入れて55度で一日糖化させるそうである。乳酸量は100Lあ
たり700cc入れるそうだ。この量は乳酸添加量としては一般的な数字で、その
後の酸量の基準となる数字だそうだ。このときいれた乳酸はあとあとにまで残
るので、繊細なものを造るときには量を抑えるそうだ。
水は普通は総米量の120%程度だそうだが、高温糖化の場合は160%だそうだ。
麹の量は総米量の30%ということだ。酒母の容量は米の量で全体の10%だそうだ。
高温糖化で造った酒母は10日で使用できるということだ。まだ日が浅いものと
今日半分使ったというものをなめさせてもらったが、日が浅いものは酸っぱか
った。
3.もやしは緑だった
もやし、すなわち麹種菌を見せてもらった。緑色をしていた。玄米に種菌を
繁殖させてあるそうである。「これを何かにいれて叩くんですか?」と聞い
たら「いや、これだ」といってフタにすごく細かい網のついた丸缶を見せら
れた、納得(^^;。もやしには用途に応じて種類があるそうで大吟醸用と吟醸
用がおいてあった。
4.このホースは何?
発酵中のタンクはこの蔵は半透明のビニールでフタをしているのだが、中に
ビニールのところにホースがついているものがある。杜氏に「このホースは
何?」ストレートに聞いてみるとなんとかという香りの成分をもろみに戻し
ているという話だった。
5.搾りまでの日数
普通酒のタイプのものは搾りままでは20日前後だそうだ。純米酒とかの酒は
30日から35日で搾るんだそうな。もろみの温度管理について聞いたら「そこ
に書いてある」と蔵の壁に貼ってあった管理表を指さしてくれた。最初6度で
最高温度は16.6度まで上がり、10度程度まで温度が下がっていた。
6.性質は変遷するんだそうな
杜氏が言うには酵母にしても米にしてもよい性質がどんどん変遷していって
しまって失われてしまうんだそうな、これは初めて聞いた話だ。
この蔵の主力米は白樺錦というやつで長野県で改良した酒造好適米だそうだ
去年行った真澄・富士見蔵の杜氏が以前は使っていたが今は使っていないと
言っていた米だ。ここの杜氏は結構気に入っているらしい、杜氏にそれぞれ
気に入った米、気に入らない米があるようだ。酵母は9号泡なしを主に使い
15号などという聞いたこともないやつも実験的に使っているようだ。
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まず高橋社長に日本酒の概論と 高天酒造の歴史、方針などを 説明してもらう
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麹
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麹室で
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麹室の外で枯らしてある麹 食べてみると栗の様に甘い
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酒母 この酒母はまだ日が浅いもの だったので酸味が強かった
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酒母室では酒母やもやしについて
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発酵中の醪
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もう少しで搾りという醪を 飲ませてくれる
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蔵見学一番の楽しみはやはり試飲
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試験醸造やブレンド前のものなど 6種類を試飲させてくれる
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最後は杜氏、蔵人と一緒に記念撮影
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(98/02/21 高天酒造見学会編 文、写真:Takumi Nagasaki)
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