Musicalisches opfer 閲覧室1 閲覧室2
Canon 4 a 2 per Augmentationem contrario Motu


フーガの技法にも見られた拡大・反行カノンです(こちらを参照)。
楽譜には変形された王の主題とカノンの先行声部が示されています。
下の楽譜上段に青い音符で主題の原形を示しました。



上の楽譜下段にある逆さのト音記号は、後続声部の音の高さと
反行形であることを示し、開始位置は※印からになります。
またタイトルper Augmentationemから、後続声部は拡大されます。
これらに従って、以下のようなカノンが出来上がります。



曲はリピート記号が付され、無限カノンとなっています。
上の楽譜に青い音符で示した後続声部は2倍に拡大されており、
後続声部が一巡するまでに先行声部は二巡することになります。

ただし、拡大された後続声部は、後半和声的に
やや難のある箇所があります。下の楽譜最上段の10小節に
青い音符で示した箇所がそうです(9小節から先行声部は二巡目)。
これを解消するため、下の楽譜の上から二段目のように、
先行声部が一巡したところで後続声部を半分で切り上げ、
最初に戻るという解釈も試みられています。


お聞きのBGMは後続声部の後半も続けて演奏しています。

終点の指示はなく、どこで終わらせるかは
演奏者の手に委ねられています。

楽譜にはラテン語で以下のような賛辞が書き添えられています。
Notulis crescentibus crescat Fortuna Regis
(伸びゆく音が如く王の栄えんことを)

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