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II
単一主題によるフーガ、4声部、4/2拍子、35小節


フーガの技法出版譜のContrapunctus3にあたる曲です。
古風な声楽的作品に多く見られる4/2拍子で書かれています。
この拍子は、出版譜において2/2拍子に改められました。
このため、 I III同様に出版譜では小節数が倍増しています。


実際の自筆譜は出版譜と同じく4段(1声部1段)で書かれています。

出版譜と比較すると、旋律の変更点がいくつかありますが、
興味深いのは14小節のバスの旋律変更です。
自筆譜では2拍ずつの異なる旋律だったものが、
出版譜では同じ旋律の繰り返しに変更されているのです。


小節数が倍増しているため、Tの14小節はContrapunctus1の27-28小節に当たります。

また12小節では、バスの旋律がいくつかに区切られ、
オクターブ上下に移されています。このオクターブの移動の意図は
想像に難いのですが、しかしこの移動のおかげで、
バッハがこの旋律にどのようなフレージングを行ったかがわかります。


小節数が倍増しているため、Tの12小節はContrapunctus1の23-24小節に当たります。

曲は35小節(出版譜における69-70小節)で終了しています。
出版譜ではこのあとに2小節追加されています。



なお自筆譜において、この35小節の2拍目まで記譜したところで
段が終わってしまったため、曲を最後まで書ききれず、
やむなく欄外に残りの数拍を記入してあります。
この際バッハは、その残りを「鍵盤用の2段譜」で記入しました。

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