このようにして人間の心理を語っているときに、量子力学の創
始者であるマックス・プランクを引き合いに出すのは場違いであ
ると思われるだろうが、まず先入見を捨てて聴いていただきたい。
 
  西暦1900年にドイツ人のマックス・プランクは、黒体からの放射、
吸収のスペクトルを研究し、「放射を放出吸収する一次元振動子
のエネルギーは、量子と称する有限個の離散的なエネルギー要
素の整数倍しかとれない」という公式に到達し、これを、

    ε = h・ν

    ここに、 ε:  エネルギー量子の大きさ、(読み方は「イプシ
                        ロン」)
          h:  プランクの定数
          ν:  放射の振動数、(読み方は「ニュウー」)

と表現することに成功した。これが量子論の基礎である。

 これに引き続き、1913年デンマーク人のニールス・ボーアは、
原子のなかの電子の運動に量子論を適用して、いわゆるボーア
の原子模型の理論を発表した。

量 子 力 学 モ デ ル

   さて、問題はここからなのだが、この水素原子にエネルギーを与えると、電子のエネルギー準位はどう変化するか、ということなのだが、答えは次の図のように示される。(横軸は時間の経過を示す)

この図をかいつまんで説明すると、

(1) 水素原子に一定量以上のエネルギーを与えると、電子のエネ
    ルギー準位は徐々に上昇するのではなく、ある時点で、

(2) 突然、不連続的に跳躍して励起状態に上がる。

(3) 励起状態にとどまる時間はごく短く、10−6〜10−10秒程度
    の滞留時間ののち、

(4) また元の基底状態に落ちる。

(5) このときに放出するエネルギー量εは、基底状態の振動数ν
    にプランク定数hを乗じた値である。

  水素の電子は、与えられたエネルギーに比例してエネルギー準位が上昇することはなく、「不連続的に跳躍」する。

 つまり、滑り台を遡るように滑らかにエネルギー量に比例してエネルギー準位が上がるのではなく、エネルギー量が励起状態になるまでじっとこらえ、その後、ポンと飛び上がる。

 また励起状態にとどまる時間は短くて、その後再び「不連続的に飛び降りる」。

 そのとき放出されるエネルギー量は定量である。













  ⇒ 電子が波の性質をもつこと
  ⇒ 神秘体験Aのパターン化
  ⇒ 人間の心の波動現象
  ⇒ オマル・ハイヤームの嘆き

 たとえば、水素原子の場合の模型は、中央に陽子(+電荷)が一個、これを取り巻く軌道上に、電子(−電荷)が一個まわっている状態であると記述した。

  これを図示すると左のようになる。

……ということを意味する。これが量子力学の基本であり、古典力学(ニュートン力学)よりも原子の挙動をよく説明できるので、ここにエネルギー量子(quantum)を単位とする量子力学が成立した。

画題:Christian CHRISTEL "Kimono"
     Galerie Cristel, Limoges 1997

    量子力学と”Kimono”
       この間の関係は?
       
       「抽象的」という
       ただそれだけの類似性。