「TWO AGAINST NATURE」 Review

Produced by Donald Fagen and Walter Becker


1978年フェイゲンとベッカーは古巣のニュー・ヨークに帰郷する。そして1979年から2年間、
精力的に前作「Aja」の成功のプレッシャーに喘ぎながらレコーディングを続けた、しかし、
ベッカ−はそれに負けドラッグに依存していたようだが、ハイ・クオリティを達成するため
気力と精神のぎりぎりの所まで追い込まれながら、なんとか研ぎすまされた感性の結晶であ
る「Gaucho」を完成させた。あれから20年、30代前半の時「Hey Nineteen」と歌っていた彼
等は50才である。
ライブを除いたオリジナルアルバムでカウントすると8枚目ですが個人的にはフェイゲンの
ソロの「カマキリアド」がベッカーのプロデュースでギターとベースをほとんどベッカーが
プレーしていてサウンド的には実質の8枚目て感じもしますが。

メディアでも「20年ぶりの新譜」と強調されていますが、93年フェイゲンのカマキリアド
に始まり93年、94年のリユニオン・ツアー、95年ライブCDリリース、96年再びツアー、と91年の
「The New York Rock And Soul Revue」頃より2人共再び現役復帰しているため私にはその
20年の実感はあまり無いですのですが。
誰もこのユニットに新しい音を望にではいないと思いますが「安心して下さい、Steely Dan
のサウンド・アゲインです」
曲のバース、変な小節数、ファンキーなリズム、テンションのぶつかり合いのコーラス、ジャ
ージーなコード、歌詞の理解しにくい比喩にはベッカ−の存在を感じさせます。
プロデューサーはゲイリ−・カッツに変わりフェイゲンとベッカーの2人です。
エンジニアは長年スティーリー・ダンとハイファイを追求しているロジャー・ニコルスです。
それではまだ消化しきれていませんがレビューさせて頂きます。


  1. Gaslighting Abbie

     Ricky Lawsonの力強いハイハットとTom Barneyの重たいベース音とリズムを刻む
     ベッカーのギターで1曲目が始ります。
     心地良いコーラスとブラスの絡みがSteely Danのサウンドです。ブラスアレンジは
     96年のツアーに同行したペットのMichael Leonhartとフェイゲンとベッカーです。
     クラリネット、バスクラリネット、トロンボーン、ティナ−サックスとトランペット
     の構成のブラスセクションは不思議な響きを聴かせ、又サビのメロに絡む(ぶつかる)
     ベースが印象に残ります。Ricky Lawsonのスネアのゴースト・ノートもグルーブを出し
     ています。
     Steely Dan復活に喜びの1曲目です。

  2. What a Shame About Me

     ミデイアム・テンポのこの曲は、フェイゲンのソロの「カマキリアド」に収録され
     ていても違和感の無いサウンドの曲です。と感じてしまうのはベッカーのギターの
     音とこの曲のメロディーです。しかし、サビの展開はスティーリ−・サウンドです。
     時々聴こえるフェイゲンのピアノも良い効果。

  3. Two Against Nature

     少しやれやれの打ち込みのリズムにフェイゲンが歌います。なぜこのテンポなの
     でしょうか?おまけにティンパレスまで入っています。

  4. Janie Runaway

     「カマキリアド」アゲインのでだしですが、サビのメロディーがSteely Danです。
      Chris Potterのアルトのソロがチャ−リ−・パーカーしていて良いです。

  5. Almost Gothic

     イントロのエレピが泣かせます。
     とても綺麗なメロディーを持った完璧なポップス、しかし歌詞はシニカルです。
     「僕はこのところゴスペルな時間の上を歩いている」ん〜解らん。
     こんな仕事がウォルターなのでしょうか?
     96年のライブで来日したペットのMichael Leonhartのソロが曲にはまっています。

  6. Jack of Speed

     96年のツアーではベッカ−がヴォ−カルを取っていたので新譜に収録されている
     ことを知った時メインヴォーカルをベッカ−が取る曲がSteely Danのアルバムに
     収録されることに疑問を持っていたのですがフェイゲンが歌っています。
     ソウルフルでファンキーな曲です。

  7. Cousin Dupree

     心地よいロックン・ロールです、ライブ受けを狙った曲でしょうか、リズムの裏で
     入るフェイゲンのWURLITZERが良いです。
     ゲイリ−・カッツがミキサー室にいたらウォルターのギターのヴォリュ−ムを絞っ
     たかな〜?  「How About Kiss For Your Cousin Dupree!」
     Dr.Jhonにカバーしてもらいたい曲デス?

  8. Negative Girl

     泣きのメロディーが印象的な曲、初登場の大好きな Vinnie Colaiuta(Steely Danの
     曲でのプレーを心待ちしていました)のドラムスとTom BarneyのベースとDean Parks
     とPaul Jackson Jr.のバッキングのギターが良いです。
     丁寧にアレンジされた、聴く度にうならせる曲です。

  9. West of Hollywood

     2人の好きなバップ調のティナーがブローする、サビの「I'm Way Deep」てところが
     かっこいいですが、いかにもクリック音に合わせて叩いています的なドラムスが
     辛いです。長い(ライブじゃないんだから)ティナ−ソロは、このアルバムでほ
     とんどの曲でソロを取っている、Chris Potterです。



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  注:2000年1月30日テレビ番組のために行われたスタジオライブでは、下記の6曲が新譜から選曲されました。

  「Janie Runaway」「Gaslighting Abbie」「Cousin Dupree」「West of Hollywood」「What A Shame About Me」「Jack of Speed」



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