以前の「ひとこと」 : 2023年9月前半
それぞれの日の記事へのリンクです
Sun Mon Tue Wed Thr Fri Sat 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
9月1日(金) メビウスの帯を平らに畳む(その2)、あやとり
月曜日にご紹介した紙の帯を畳む話のつづきとあやとりの話です。
○
先日ご紹介した、紙の帯をメビウスの帯になるように折りたたんで両端を繋いだ時、帯の長さを可能な限り短くしたらどうなるか、という話、
これを折りたたむと、赤-青-赤の三階建ての三角柱のかたちになります。普通に図示するとこんな感じになります。
よくわからないので、向きを変えて緑の側面が向こう側になるようにして、縦方向も拡大して、表面を辿る矢印を半分だけ描き加えてみました。矢印がそれぞれの面の表側なのか裏側なのかがわかるように、徐々に透明度を変えてアニメーションにしてみました。
三階建ての三角柱のビルだと考えて、緑色の側面の向こう側(建物の外側)から矢印が始まって、1階の外側(床下)から右手前の黄色い側面の外側を通って2階(水色の三角形)の上、そこから左上の黄色い側面の内側から3階のピンクの三角形の床下をたどって緑の側面の内側を下ります。これでスタート点の裏側まで来ました。ルートのちょうど半分です。
もうちょっと1枚の絵としてわかりやすくできないかなと思って、側面の黄色と緑の面を湾曲させた図も作ってみました。
三角形の3辺がそれぞれ「1階と2階」「2階と3階」「3階と1階」を繋いでいるのです。
ここまで図を描いてみて、ようやく「まっ平に畳まれた3枚重ねの正三角形のかたちのメビウスの帯」の構造が「なるほどこういうことか」とわかった気がしました。
○
明日のワークショップに向けて、いくつかのあやとりの手順を再確認しています。「7つのダイヤモンド」を4本指の構えから始めたときのアレンジを確かめてみました。
hh230901-1
- 4本指の構え
- 親指・小指を外側に1回転ひねる
- 人差し指の輪を中指に移す
- 中指の2本の輪を人差し指に移す
- ダンスの舞台の終了処理(説明略)
この色のあやとり紐、背景を白に飛ばすと紐の色が明るすぎてよく見えないかなと思ったのですが、ヒストグラム補正で中央値を明るい側に動かして暗い階調を増やしてやると、それなりに見える絵になったかなと思いました。でも紐の色の感じがちょっと不自然ですね。
○
このサイトを開設させてもらっているLCVのネットサービスが11月ころに変わる、という連絡がありました。影響がありそうなのは2つです。1つは1アカウントあたりのサーバのファイル容量がようやく1GBになるということです(要申請)。もう1つはhttps(暗号化)対応されるそうです。サーバのファイル容量、このサイトを開設した当初は1アカウント当たりわずか10MBでした。その後、申請すると有償で最大50MBまで増やせるというサービスが始まり、さらに100MBに増加され、その時代が長く続いていました。今、あやとりの画像を中心に大きな画像は fc2 の blog に記事を書いて、その画像ファイルにこのサイトからリンクするという手法を使っています。fc2のほうは1アカウントあたり10GBまでファイルが置けますが、ここ数年で800MBくらいまで使っています。1GBまで使えるようになったら、少し大きな画像ファイルも基本はこちらのサーバに置くようにしようか、どうしようか考えようと思っています。まだ3か月くらい先ですが。
<おまけのひとこと>
昨日は新橋に出張でした。ここ1年ほどで、同じところに10回以上行っています。新橋はランチ激戦区で至る所で行列しています。それを敬遠して、当初はお昼はコンビニ等で購入して持参していたのですが、美味しいお店を紹介して下さる方がいるので、最近はいつも連れて行ってもらっています。「外れ」と思ったことは一度もないのです。昨日も「お昼に行きましょうか」と行って4人でオフィスから出て、エレベーターの中で何を食べようかという話になったのですが、お店をたくさん知っている彼の最初の質問は「辛いものにしますか辛くないものにしますか」でした。まず最初の分岐がそこか、と感心しました。お一人が「私は辛いものはあんまり…」と言ったので、「じゃ、海鮮丼とかどうですか?」「いいですね」「人気のお店でそれなりに並ぶのですが、回転は速いしこの時間なら13時には戻れるので行ってみましょう」ということになりました。最初の分岐から結論(提案)までの速さに驚きました。
9月2日(土) あやとりワークショップ
ワークショップをさせていただきました。現地やリモートでご参加下さった皆様、ご準備や運営をして下さった皆様、本当にありがとうございました。
○
2023年9月2日(土)、日本数学協会の2023年度年次大会の東京大会という位置づけで、私と堀川由人さんが1時間半ずつのワークショップを担当させていただきました。私のほうは「あやとりであそぼう 〜数学の目で見たあやとり〜」と題して、「構え」「親指・小指の内側の糸を取り合う操作」「指の輪を1回転ひねる操作」の組み合わせだけでどんなことができるのか、を体験していただきました。ワークショップのエッセンスだけ、記録のためにごく簡単にまとめておきます。
最初に30分くらいかけて20世紀のあやとりの研究の歴史や、いろいろなあやとりについて実演なども交えて簡単にご紹介した後、後半1時間は皆さんにあやとりを取っていただく時間にしました。
会場で、240cmの紐を輪にした「結び目のない紐」を販売させていただいたのですが、それとは別に130cmくらいの長さのアクリルの紐を人数分用意しておき、それは皆様にお配りしました。基本的な手順を理解していただくには短い紐のほうが良いですし、5本指の構えから操作していただくような時は240cmあると便利なので、両方を使い分ける、という方針です。
リモートで参加されている方もいらっしゃるということで、最初に皆さんに130cmの紐の両端を結んで輪にするところからやっていただきました(図はクリックで別窓で開きます)。
ご自分で結んで作っていただいた短い紐によるあやとり紐で、まず「3本指の構え」を取っていただきました。どの指で取るかは特に言わずに取っていただいたところ、会場の20名弱の方のうち人差し指で取った方はわずか2名、それ以外の方は中指で取りました。また、1名だけ「左利きです」とおっしゃった方だけが左手から先に取られていましたが、その他の方々は右手が先でした。
大部分のあやとりではどちらが先でも結果を区別することは意味がないです、というお話をしつつ、改訂版「あやとり大全集」(野口とも:主婦の友社、2020)に載っているトリックあやとり「コイン落とし」では右手が先の場合と左手が先の場合では結果が変わります、というのを私が演じて、結果を見ていただきました。
「今日このワークショップ会場では、3本指の構えと言ったら右手が先で、人差し指で取って下さい」とお願いし、「3本指の構え」から小指を外して「4本指の構え」に至る手順をやっていただき、さらに同様に「4本指の構え」から小指を外して順送りの「5本指の構え」を体験していただきました。通常の「ナウルの構え2」のやり方の5本指の構えは今回はご紹介しませんでした。
次に、「親指で小指の手前の糸を取り、小指で親指の向こうの糸を取る」手順を体験していただきました。親指・小指の輪が二重になった後でそれ以外の指の輪を外すと、「3本指の構え」からは親指・小指に輪が巻き付いた「易しいゴム」になること、「4本指の構え」からは「長方形と対角線」になること、「順送りの5本指の構え」からは中心が絡みの「長方形と対角線」になることを体験いただきました。(「ナウルの構え2」の5本指の構えだと、これをやると3本指の構えと同じ結果になって面白くないのです。)
続いて「指の輪を1回転ひねる」やり方をご説明して、これまでの組み合わせでこんなシンプルなあやとりが取れることを体験いただきました(図はクリックで別窓で開きます)。
その後、「親指・小指の内側の糸を取り合う」ときに人差し指の輪を通して取り合う、というのをやってみていただいて、最終的には「焼け焦げた葉のククイ」まで到達することを目指したのですが、ちょっと時間が足りませんでした。
最後にリモートから数学協会会長の上野先生から「(結び目理論的には自明な結び目である)単純な1つの輪以外から取るあやとりはあるのですか?」というご説明をいただき、伝承あやとりでも複数の輪を組み合わせる作品が知られていること、1つの結び目の場合だと三葉結び目のような糸から取り始めるあやとりは少なくとも伝承作品では知られていないように思う、という回答をさせていただいて、現代あやとり作品では複数の輪を使ったものが研究されているということをお話して、その場で色違いで長さが同じ2つの輪による「はしご」を取ってご覧いただいたところ、会場からも歓声が上がってとても嬉しかったです。
人数のわりに会場が狭く、いろいろご覧いただこうと思って用意していった書籍とかあやとりの完成品だとかを展示するスペースが無かったり、リモート参加の方々に、画面や音声がうまくお届けできなかったり、課題や反省点はいろいろありました。でも、特に会場でご参加下さった皆様はそれなりに楽しんでいただけたのではないかと思っています。ありがとうございました。
○
終了後、有志による懇親会も設定して下さって、喜んで参加をさせていただきました。いろいろ興味深いお話が聞けたのですが、「あやとりの手順の記述法というのは確立されているのでしょうか?」というご質問を頂きました。糸に名前を付けて、どの糸をどの指でどう取るか、ということはある程度記述できそうに思えるけれど、図形中央付近にある三角とか四角とかに指を入れてどれかの糸を取る、みたいなものは記述が難しいこと、さらに例えばアフリカのダイナミックなあやとりバトカ渓谷をご覧いただいて、
このあやとりの初期状態から最初の手順で両手の手首に下の図のように紐が絡む状態になりますが、
少なくともこの状態に至るまでに指に糸が掛かることがないことを見ていただいて、「ワークショップでご紹介したような糸の名前の付け方や指で糸を取る動作の記述は、このバトカ渓谷の手順を記述するときには全く役に立たない」ことをお話しました。
ほかにもたくさん、いろいろな面白いお話を聞くことができました。ありがとうございました。
<おまけのひとこと>
9月3日(日)に、9/2(土)と9/3(日)の2日分の更新をしています。ワークショップだったので変則的な更新です。
9月3日(日) トリックあやとり
ワークショップで披露した(そして失敗した)トリックあやとりのご紹介です。
○
ワークショップの冒頭で、いろいろなあやとりについてお話をしたとき、「トリックあやとり」をご覧いただきました。1つは(昨日もご紹介した)「コイン落とし」ですが、もう1つ「指輪抜き」(リング抜き)をやってみました。
上の図の上側のように、あやとりの輪を小さなリングに通して、その両側を左右の手の1本ずつの指に掛けます。そして片方の指に糸を2回引っ掛けて、左右の手を強く引くとリングが外れる、というトリックあやとりです。二人で演じたほうが面白いのですが、一人で演ずる方法で手順をご紹介します。
リング抜き
- あやとりひもにリングを通し、あやとりひもを両小指にかける
- 右親指で右小指向こうの糸を取る
- 左親指で、右親指の糸の下を通って右小指手前の糸を取る
- 右小指で、左親指手前の糸を向こうから下、手前から上へと巻き取り、左親指を外す
- 左親指で、左小指向こうの糸を取る
- 右小指で、左親指手前の糸を向こうから下、手前から上へと巻き取り、左親指を外す
- 右親指を外し、手を左右に引くとリングが外れる
上の画像は、右親指を外す直前の状態です。ちなみになぜ外れるかというと、右親指を外すと下の画像のようになるためです。
紐の色、わかりくい紐を選んでしまいました。ごめんなさい。
ワークショップではご協力いただいた方の両手に糸を掛けて演じたのですが、最後に外すべきリングを私が強く引きすぎて、片方の指から糸が離れてしまったのです。失敗でした。ごめんなさい。
<おまけのひとこと>
この土日は、めずらしくあやとりだけのトピックでした。
9月4日(月) 2本の輪によるあやとり「菊」、他
今日もあやとりの話が中心です。
○
ワークショップで2本の色違いの輪で取ったあやとりが好評だったので、ふと思い付いてやってみた2本のあやとり紐の創作をご紹介します。
ちなみに普通の1本の輪の「菊」はこんな感じでした。
菊 伝承作品としての「菊」は、「蝶」の手順で取ります。最初に「さかずき」から取って、そこから2本指の構え(正確には小指は半回転ひねられた「2本指の構え」)にまで単純なパターンになるのですが、今回の2本の輪の「菊」では、その2本指の構えを交差する2つの輪で近似して、そこから取り始めています。
2色の「菊」の画像をグレースケールにしてみました。
なかなかきれいなのではないかと自己満足しています。
○
ワークショップの参加者の皆様に、ちょっと複雑できれいなあやとり作品もご覧いただこうと思って持って行ったのです。リモート参加の方にもカメラ越しにご覧いただきました。マグネットボードに貼って持って行ったのです。キャリングケースに入れていきました。
そうしたら振動でずれてしまいました。
こちらはもっと偏ってしまいました。
マグネットなのですぐに手直ししましたが、やっぱりピンで留めるほうが安定するかなと思いました。ただ、ピンは位置決めが大変なのです。
○
ワークショップの後の懇親会は私を含めて8名が参加し、和やかな楽しい会でした。雑誌「数学セミナー」の有名なコーナーである「エレガントな解答をもとむ」の常連の方(「エレガントな仲間」と呼ばれるそうです)が何人もいらっしゃいました。そのうちのお一人である渡邊さんが、「放物線、たとえば y=x2 をx軸の上を滑らせずに転がした場合、もともとの放物線の焦点の軌跡はどうなるか?」という問題を紹介してくれました。
帰宅してからノートに式は立ててみたのですが、計算、大変ですね。y=x2/2 のほうが(微分すると dy/dx = x になるので)少し計算が楽かなと思いました。そちらで計算をがんばってみようかなと思いました。(やらない、いや「やれない」かもしれません。)
<おまけのひとこと>
次は「あやとりグループ展」です。今月は私にとっては「あやとり月間」です。
9月5日(火) 立方体の表面を覆う問題(その1)、あやとり
図形の問題(パズル)の話とあやとりの話です。
○
5 × 5 = 25 のサイズの用紙から、中央の 1 × 1 を取り除いた面積24のシートを考えます。
図 1 これを格子線に沿って適当に切り分けて、1辺の長さが2の立方体Dの表面を覆うことを考えます。1辺の長さが2の立方体の1つの面の面積は4です。立方体は6面ありますから表面積は24で、図1のシートで過不足なくぴったり覆うことができるはずです。
図1のシートを24枚の単位正方形にまでばらばらにすれば確実に立方体Dを覆うことができますが、そこまで切り分ける必要はありません。例えば下の図2のように4つに切り分けたとすれば、入れ替えると立方体の展開図のかたちにできますから、
図 2 立方体Dの表面をこんな風に覆うことができます(図3)。これを、「分割数4の解」と呼ぶことにしましょう。
図 3 さてこの問題、分割数はどこまで減らせるでしょうか? 美しい解があります。
(つづく) ○
あやとりです。「はしごの終了処理」、もう少しストックがあるのでご紹介してしまいます。
「はしごの終了処理」に似合いそうな、こんなあやとりを取ってみました。
hh230905-1
- 人差し指の構え
- 小指を外す
- 親指を向こうへ1回転ひねる
- 中指で親指向こうの糸を取る
- 小指で人差し指向こうの糸を取る
- 人差し指・中指を外す
魚の罠とかピグミーのダイヤモンドといった、完成形が似た伝承あやとりがありますが、手首を活用するアフリカらしいダイナミックな手順です。上記の手順はもう少しおとなしい、指を活用する手順にしてみました。
hh230905-2 いかがでしょうか。極めてシンプルですがなかなか美しいと思いました。
○
昨日の「2色の菊」、取り方の手順の記述が1行足りませんでした。手順4.の後に「親指でナバホ取り」が抜けていました。あやとり協会の吉田さんが気付いて教えて下さいました。ありがとうございます。加筆しました。ちゃんと見て下さって、誤りをご指摘いただけてたいへん嬉しいです。
<おまけのひとこと>
昨日の夕方、行きつけの街の本屋さんに本を2冊取り寄せをお願いしました。どちらも6日(水)には届くということで、とても楽しみです。
9月6日(水) 立方体の表面を覆う問題(その2)、あやとり
図形の問題(パズル)の話とあやとりの話です。
○
昨日、以下のような24単位のシートを格子線に沿っていくつかのピースに切り分け、それで1辺の長さが2の立方体の表面を覆うという問題をご紹介しました。
問題のシート たいへんありがたいことに、お二人の方から解を送っていただきました。嬉しいことにそのいずれもが私が用意していた解とは異なっていました。
まず、京都のUさんからは、分割数が3の解を3種類、送っていただきました。分割例ではなく、分割した後で立方体の展開図に再構成した状態の図でご紹介します。
Uさんの解 ここから、問題のシート(中央に穴の空いた 5×5 )を再構成してみてください。面白い解です。特に右端の「大中小の3つのL」の解が気に入りました。
また、Uさんからは7月24日にご紹介した、「正方形と正三角形を重ねた等辺五角形の3頂点を通る円の半径は?」という問題のユークリッド幾何の証明も合わせて送っていただきました。感激です。ありがとうございます。(下に、問題の図だけ再掲しておきます。)
もうお一方、大坂のKさんからは、いつもの通り図を使わずに言葉だけの説明で「分割数2」の美しい解を送っていただきました。
Kさんの解 合同な2つのピースに切り分けられています。このピースをうまいこと再配置すると立方体の展開図になるのです(それも説明されていました)。こんな素敵な解があったのですね。
ちなみに私の用意していた解です。
長谷川解 これは、UさんやKさんの解と違って、再配置してもきれいな立方体の展開図にはなりません。これでどうやったら立方体を過不足なく覆うことができるかわかりますか?
(つづく) ○
あと数日くらい「はしごの終了処理」のご紹介を続けたいと思います。今日は 酋長(毛虫)からです。
hh230906-1 伝承あやとり「四段ばしご」の中央にちょっと装飾が加わったようなかたちです。
二本指の状態からの終了処理として、これまでも「2本指の終了処理」(親指・小指が二重の輪になったところで終える)、「二段ばしごの終了処理」(「はしごの終了処理」とちょっと似ているけれど左右の菱形ができない)などをご紹介してきました。そのバリエーションということになります。
○
今回、大坂のKさんや京都のUさんからメールで解を送っていただいてとても嬉しかったのですが、過去にどんなトピックのときにメールを頂いていたのかなと思ってgoogleで検索してみました。下の画像からgoogleにリンクしています。(検索窓が埋め込まれているわけではなく、単なる画像です。)
こうして改めて検索してリストを見ると、いろいろコメントいただいています。とても励みになります。ありがとうございます。
<おまけのひとこと>
仕事で関係する方で、コロナに感染して発症してしまった方が何人かいらっしゃいます。いずれも直接お会いすることはまず無い方なのですが、仕事に少なからぬ影響は出ます。最近はコロナは話題にならなくなりましたが、でも医療機関は相変わらず大変だというお話を聞きます。油断をしてはいけないと思います。
9月7日(木) 立方体の表面を覆う問題(その3)、あやとり
図形の問題(パズル)の話(解の説明図)とあやとりの話です。
○
一昨日、中央に穴の空いた 5×5 のシートを切り分けて1辺の長さが2の立方体を過不足なく覆ってください、という問題をご紹介して、昨日は送っていただいたこの問題の解をご紹介しました。送っていただいたのはいずれも立方体の展開図をきれいに構成できる解でした。今日は最後に私が用意していた解(下図)
→ ではどうやって立方体を覆うのかという図を載せてこの話題を終わりにしたいと思います。下の図は、水色のパーツを折りたたんでゆくステップを図示したものです。
これを2つ作ると、うまく立方体の表面を覆うことができます。
昨夜京都のUさんが、この解がどのように立方体の表面を覆うのかを美しくてわかりやすい図にして改めて送って下さいました。ありがとうございます。その図を拝見して、そちらをご紹介させていただこうかなあとも思ったのですが、上の図が用意してあったので自分の図を載せることにしました。
これを平面上の展開図として図示すると、たとえばこんなふうになります。
この問題、考えるのが楽しかったのでした。
○
今日のあやとりは 二人の酋長から「はしごの終了処理」です。
hh230907-1 「二人の酋長」からのいろいろな仕上げの例を2021年10月にご紹介していました。今日のものはそのラインナップに追加されるべきものです。
○
一昨日の夕方、東側の窓から陽の光が射していてびっくりしたのです。私が仕事をしている部屋は北東側と北西側に窓があります(下図の赤い部分)。
朝は北東の窓から朝日が、夕方は北西の窓から夕日が射します。今(9/7(木)朝6時前)も八ヶ岳から朝日がちょうど上ったのが北東の窓から見えています。
ところが一昨日は同じ方向から夕方に赤い夕陽の光が入ってきていたのです。いったい何に反射しているんだろう? 少し離れた並びの家の窓や太陽光パネルからならばこの時間にこの角度の反射光は入らないはずだけど、と思って窓を見てみたのでした。そうしたら、
2023年9月5日(火) 18時ころの東の空 光っていたのは雲でした。カメラが色補正してしまいましたが、肉眼で見るともっと夕焼け色でした。雲の反射でも、部屋の中に影ができるほど強い外光になるのだ、というのにちょっと驚いたのでした。
<おまけのひとこと>
自分の部屋の窓の方角の図も今朝描いたのですが、方位マークも世の中にあるものを参考にしながら自分で描きました。google map を拡大してキャプチャした図をべースにしました。背景が白になるように加工しています。こういうのを描くのも楽しいです。
9月8日(金) 手持ちのカードを増やした時のポーカーの役ができる確率、あやとり
カードゲームのポーカー(Poker)の手役の確率の話とあやとりの話です。
○
Big Two and n-card poker probabilities(“Big Two” というカードゲームと手札がn枚のポーカーの手役の確率:Brian Wu, Chai Wah Wu, 2023) という論文が arXiv に載っていて、興味深く読みました。結論だけ簡単にご紹介します。
ポーカーの手役はご存じでしょうか。全部は説明しませんが、作るのが一番難しい「ロイヤルストレートフラッシュ」、次が「ストレートフラッシュ」ですが、その後に「フォーカード」「フルハウス」「フラッシュ」「ストレート」と続きます。この論文では「フルハウス」「フラッシュ」「ストレート」に注目しています。
フルハウス:2.60%
フラッシュ:3.03%
ストレート:4.62% 52枚の一組のカードからランダムに5枚を選んだ時に「フルハウス」(同じ数字のカードが3枚と、残り2枚も同じ数字)、「フラッシュ」(5枚のスートが同じ)、「ストレート」(5枚のカードの数位が連続)ができる確率はそれぞれ約 2.60%、3.03%、4.62%なのだそうで、確率が低い手役のほうが強いというルールになっています。(この計算では、より上位の役は含まない組み合わせの数を数えています。)上記の論文では、同じ1組52枚のトランプ(playing cards)から、6枚、7枚、…と配るカードを増やしていったときに、「フルハウス」「フラッシュ」「ストレート」ができる確率がどのように変化するかを議論しています。
ここで素朴に6枚や7枚の手札における「フルハウス」「フラッシュ」「ストレート」とは何か、という定義が気になります。上記の論文では、例えば手札が7枚だったとしても、あくまでも「フルハウス」は同じ数字のカードが3枚と、別の数字のペアが1組あって、残りの2枚は任意、という定義ですし、「フラッシュ」は7枚のうち5枚が同じスートであればよくて、残り2枚はスートは何でもいいです。ストレートも5枚のカードの数位が連続していればよくて、残り2枚はなんでもいいです。(この論文では、上位の役を除外せずに場合の数を数えているようです。たとえば「フラッシュ」の中には「ロイヤルストレートフラッシュ」も含めて数えている、ということです。)
手札が7枚なら、「フラッシュ」なら7枚全部がスートが同じであって欲しい気がしますし、「ストレート」なら7枚全部が数位が連続してほしい気がしますが、そういう定義ではありません。
上記の定義で、手札の枚数nを増やしていったときの「フルハウス」「フラッシュ」「ストレート」ができる確率をプロットしたグラフが上記の論文の Figure 1です。(下のグラフをクリックすると大きな図を表示します。)
Figure 1. of above paper 手札が17枚配られたとしたら、その中にはかならず「フラッシュ」を成立させる5枚があります。なぜならば、トランプのスートは4種類ですから、鳩の巣原理で17枚あれば少なくとも1つのスートは5枚以上になるはずです。なので n が 17以上のときは「フラッシュ」ができる確率は 100% です。
論文のアブストラクト(abstract:あらまし)にも書かれていますが、手札が11枚のところで「フラッシュ」と「ストレート」の確率が逆転します。また手札が19枚のところで「ストレート」と「フルハウス」が逆転します。でもこのくらいの枚数になってくると、9割以上の確率で「ストレート」も「フルハウス」も手札の中にある、ということになります。
こういう逆転が起こる、というのは確かに面白いと思います。でも、手札6枚のポーカーをやるとしたら、「ストレート」と言ったら6枚すべてが数位が連続していてほしいですし、「フラッシュ」といったら6枚すべてのスートが揃ってほしい気がします。また、「1ペア」「2ペア」に続いて「3ペア」ができるはずですし、「ダブル3カード」ができるはずです。「4カード&1ペア」もできますね。でも、複雑な手役は一度のカードチェンジでは実現する確率は非常に低いでしょう。そうすると何度かカード交換ができるようにしたくなるような気もします。そうするとなんだかだんだん麻雀に近くなっていくような気もします。
ポーカーというゲームは(まともにやったことはありませんが)、希少な珍しい手役を作ることが目的なのではなく、プレイを積み重ねる中でトータルとして掛金を最大化するのが目的のゲームです。麻雀のように手役に応じて得点が増えるわけではなく、その回の得点(チップ)は各々のプレーヤーが自分の手と相手の様子だけを見て 決めるのです。良い手を持っていたからと言って大きな得点が得られるわけではなく、相手が早々に降りてしまったら高収入は得られませんし、微妙な差であったとしても、相手の手役より1つでも上ならば、その場の掛金がつり上がっていたら大きな収入になります。「配られたカードで勝負するしかない」のですが、その配られたカードがかなり悪かったとしても、駆け引き次第では大勝できる可能性は残っているのです。(そういうゲームはとても勝てる気がしません…)
○
あやとりです。はしごの終了処理、今日は 丸と三角です。C.F.Jayneの本に載っているこのあやとりの図を載せておきます。
Fig.331
"String Figures and How to Make Them"
C.F.Jayne (1906)
hh230908-1
- 「丸と三角」(説明略)
- はしごの終了処理
- 小指を向こうへ半回転ひねる
- 親指を手前へ1回転ひねる
- 親指の輪を人差し指に移す
- 親指で小指手前の糸を取る
- はしご展開
- 親指で人差し指の根元付近で人差し指手前の糸を取る
- 親指でナバホ取り
- 人差し指の先端を、親指内側の三角形の中に上から入れ、
小指を外しながら人差し指を下から向こうへ回転し、展開うーん、こうしてみると上下対称でないのが気に入りません。どうしたものか。
<おまけのひとこと>
昨日の朝から腰が痛くなって、どうしたのだろうと思っています。やっぱり在宅勤務用に良い椅子を買わないとダメかなと思い始めました。
9月9日(土) 「人間は、いちばん変な動物である」
すみません、週末は「あやとりグループ展」の準備で手一杯でした。9月11日(月)に9/9〜9/11の3日分をまとめて更新しています。
○
先週の月曜日、久しぶりに本屋さんで本を注文したのです。その時に店内を一回りしたら、「人間は、いちばん変な動物である」(日高敏隆:山と渓谷社)があったので買ってきました。面白くてすぐに読んでしまいました。
日高先生は動物行動学で有名な先生ですが、特にローレンツの「ソロモンの指輪」の訳者として、またドーキンスの「利己的な遺伝子」の訳者として有名だと思います。2009年に亡くなられているのですが、最晩年に京都精華大学で行われた講義をまとめた本が文庫本として2022年に発売されたのがこの本です。生物学の講義、ということなのですが、「人間とは何か」というテーマで行われた13回の講義の内容を書き起こされた本で、とてもわかりやすいのです。まず、図が出てこない。写真も出てこない。唯一、第3章で人類が芸術作品(絵画や彫刻)でどのように女性を表現してきたか、というところで芸術作品の写真が出てくるくらいです。耳から聞くだけでちゃんとわかる話になっている。これがまずすごいのです。
最初の第3講までで、けものとしての人間が他のけものと比べてどれほど変わっているのか、という観点で語られます。その後で「言語」の話になり、「社会」の話になり、「遺伝」の話、「結婚」の話、「性別」の話、と続いてゆきます。チョムスキーの生成文法の話、ドーキンスの利己的な遺伝子の話、ダーウィンの進化論の話、今西錦司先生の「棲み分け」説の話(残念ながらこの説は今では否定されているそうです)等々、今の世の中を生きてゆく上で知っていると良いと思われる事柄が易しく面白く語られています。
どの講義のトピックもとても面白いのですが、たとえば第5講では、ウグイスが「ホーホケキョ」とさえずるのは遺伝か生後の学習か、という実験が紹介されます。ウグイスのヒナは成鳥のさえずりを聞いて同じようにさえずれるようになるのだそうで、ヒナのうちから成鳥のさえずりを一切聞かせないと、そのヒナはおとなになっても「ホーホケキョ」と鳴けないのだそうです(かわいそう)。じゃあウグイスのヒナにカラスの「カー」という啼き声だけを聞かせたら、そのウグイスは「カー」と鳴くようになるか、という実験をした人がいるのだそうです。ウグイスのヒナは、カラスの啼き声を聞いても全く興味を示さず、ましてや鳴きまねなどしなかったそうです。ところがその同じヒナにウグイスの「ホーホケキョ」の録音を聞かせると、その音色には興味深く耳を傾け、鳴きまねをするようになったのだそうです。
講義録なので、そこで会場から「オウムや九官鳥のように人の言葉を覚えてしゃべる鳥がいるが、それはウグイスの事例と比べてどうなのでしょう?」という質問が出て、それに日高先生が答えている内容も書かれています。
そういえば50年くらい前、小学校に通う通学路の途中に床屋さんがあって、大きな緑色のインコの鳥かごがお店の前に置かれていたのです。鳥が好きだった私は、毎日毎日そのインコに向かって口笛で「ホーホケキョ」とウグイスの鳴きまねをしていたのですが、数か月後、そのインコが「ホーホケキョ」を覚えてくれて、すごく嬉しかったのです。今考えると、他所の飼い鳥に勝手にそんな真似をするのはとても悪いことだったかもしれません。
<おまけのひとこと>
「あやとりグループ展」の準備も大詰めです。あやとりはスチレンボードにピン留めしているのですが、出来栄えが気に入らなかったものを取り直したり、スチレンボードを壁に固定する方法を考えたり、それぞれのパネルの簡単な説明書きを用意してみたりしています。
9月10日(日) 古い「数学セミナー」
古本屋さんで買った古い雑誌の話です。
○
パネルを展示するための細々したものを買いに100円ショップに行ったついでに隣のbook offに寄ったら、雑誌「数学セミナー」の1983年3月号(通巻256号)があったので喜んで買ってきました。
まず、表紙が非常に面白かったのです。(これについては明日。)また、目次を見ただけで胸がいっぱいになりました。安野光雅「算私語録」、戸村浩「トムのページ」が連載中です。伏見康治先生が「坪井忠二先生の憶い出」を書かれています。江沢洋先生が「物理は自由だ---高校生のために」という運動方程式の記事を書かれています。前原昭二先生が「ゲーデルの不完全性定理」を解説されています。「あなたは太鼓の音を聴いてその形がわかりますか?(上)」という、カッツの太鼓の問題の解説と、4次元以上では形が異なるが固有振動は同じになるものが存在することが示される記事があります。(この時点ではまだ2次元ではこの問題は解決されていませんでした。)
1983年といえば、私が定期購読していた雑誌は「サイエンス」でした。(今の「日経サイエンス」です。)ホフスタッターのコラム「メタマジック・ゲーム」を感動して読んでいました。「数学セミナー」を買うようになったのはもっとずっと後でした。当時の「数理科学」や「数学セミナー」を読んでいなかったのはとても残念です。
<おまけのひとこと>
すみません今日もあやとりの紹介はお休みです。
9月11日(月) ピラミッドを裏返す、あやとり
フォールディングパズルの話と現代あやとりの話です。
○
昨日ご紹介した(昨日買った)「数学セミナー」1983年3月号(通巻256号)の表紙、「ピラミッドの裏返し」池野信一 が非常に面白いのです。
正方形4枚を筒状に繋いだものを裏返す、というフォールディングパズルがあります。4枚の正方形は対角線に沿ってのみ、折ることができます。これでこの筒が裏返せるのです。
牛乳パック工作などで作った経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
数セミ256号で紹介されているのは、底のない正四角推を裏返すというパズルなのですが、4面の正三角形のうち3面を二重にする、というのが工夫です。下の図のような正三角形7枚の帯を繋ぐのです。
正三角形は、図のように2つの直角三角形に二等分する折線だけで折ることが許されています。自分がわかりやすいように1,2,3,…,7 の数字を描いてみました。裏側にも同じ数字を描きます。青文字の面は初期状態で四角推の表面に現れる面、赤文字の面は裏返した時に表面に現れる面です。
上の図の帯を下図のように折り曲げて、1番の三角形と7番の三角形を辺で繋ぎます。2と3の間を谷折り(1と2が上にくる)、5と6の間を山折り(6と7が下にくる)して、そこからは立体的にして7の下に1を重ね、1と7の底辺をセロテープで繋ぎます。四角推の外側に青い文字の面が、内側に赤い文字の面が見えるはずです。
先日、1対√3の長方形を折りたたんで三枚重ねの正三角形の構造にするとメビウスの帯ができるという話をご紹介しましたが、この正三角形7枚の帯の輪も「ねじれて」います。
こういうときのために保存してある過去のカレンダーの紙から正三角形7枚の帯を切り出して、実物を作ってみました。
数セミの表紙によると19手で裏返せるのだそうですが、私はたっぷり1時間近くかかって偶然裏返せました。まだ仕組みがよく理解できていません。まるでキャストパズルを解いてみているような感じです。お勧めです。
○
今日は現代の創作あやとりを取ってみました。
五輪のマーク U 途中まで取ったものです。
手順を見ながら取るのですが、どこまで取ったかわからなくなって混乱します。
<おまけのひとこと>
グループ展の準備で忙しいとか言いながら、フォールディングパズルにはまってしまいました。
9月12日(火) 正三角形の板を釘で動かなくする(その1)、あやとり
数学(物理?)の問題の話とあやとりの話です。
○
明日はあやとりグループ展「あやとりひろば」の搬入と設営なのですが、パネルを壁に固定する方法を考えているときに思い付いた問題です。
正三角形の板があるとします(下図左)。壁に釘を2本、水平に打ってその2本の釘の上に正三角形を載せると、その板を支えることができます(下図中央)。
このままだとこの板の左右の位置は定まりません。直線は2点で決まるので、残りの2辺にも2本ずつ釘を打てば(上図右)、正三角形の板を固定することができます。
このように、板そのものには釘を打たずに壁にだけ釘を打って正三角形の板を固定したいのです。ここで「固定する」というのは、重力方向は考えなくてよくて、正三角形の板が平行移動も回転移動もその組み合わせもできない状態になっていることを指します。
さてこの場合、釘は何本まで減らせるでしょうか? またそのとき釘はどこに打てば良いでしょうか? その釘の位置は一意に決まるのでしょうか、それとも解は無限にあるのでしょうか?
(つづく) ○
先日の「丸と三角」→「はしごの終了処理」が上下対称ではなかったので、
hh230908-1
「丸と三角」→「はしごの終了処理」それをなんとかしてみたくてこんな手順を試してみたのです。
上下が逆になっただけでした。うーむ。
○
昨日の朝、日の出前の東の八ヶ岳の空がとてもきれいだったのです。
2023年9月11日(月) 4:50ころ 昨日は朝から出かける予定があった妻が「外がやけに赤くてびっくりした」と言って起きてきました。(その後で5時にセットされていた目覚ましが鳴っていました。)
空の色はどんどん変わります。30分もしないうちに朝焼けの赤い色はすっかりなくなりました。
2023年9月11日(月) 5:15ころ 今朝の同時刻は写真を撮り忘れましたが空は濃い青でした。毎日表情が変わる空を見るのは楽しいです。
<おまけのひとこと>
板を釘で壁に固定する問題、展示パネルは長方形なので最初は長方形の板で考えたのです。でもこれだとあんまり面白くありません。「三角形だったらどうなのだろう?」と思ったら、長方形より面白かったのでそれをご紹介することにしました。
9月13日(水) 正三角形の板を釘で動かなくする(その2)、あやとり
正三角形を点で固定する問題の話のつづきとあやとりの話です。
○
「正三角形の板の周囲に釘を打って板が動かないようにするとき、必要な釘の本数は何本で、それをどこに打てば良いか?」という問題をご紹介しています。さっそく大坂のKさんからコメントをいただきました。ありがとうございます。私が準備していたものと同じロジックでした。
まず思い付くのは正三角形の各辺の中点に1本ずつ、全部で3本の釘を打てば固定できそうです。
図 1 また「解は無限にあるでしょうか?」という問いかけに対しても、Kさんは「辺の長さより間隔の狭い2本の釘を水平に配置すれば、そこに正三角形を頂点を真下に向けて置くことができる。そうしたら2本の釘を通る直線と平行な辺の中点に釘を打てば動かなくなる(のではないか)」というコメントをいただきました。
図 2 私も全く同様に考えました。図1や図2の状態で、いかなる方向にも平行移動できないことは明らかだと思いますが、(正三角形の内側外側にかかわらず)任意の点を中心とした回転ができない、ということはどうやって示せばよいでしょうか? 逆に、3本目の釘を水平な辺の中点以外の場所に打ったらどうなるのでしょう?
具体的な問題で考えたほうがむしろわかりやすいかもしれません。下の図3のように、正三角形の辺を 3:2 に内分する点2点に釘が打たれています。この状態で、3本目の釘(赤で示しました)を打って、正三角形を固定することはできるでしょうか? できるならばどこに打てば良いでしょうか? 解は1つだけでしょうか、複数あるでしょうか?
図 3 仮に、3本目の釘も第3辺を 3:2 に内分する点に打ったとします(図4)。釘を打った点を結ぶと正三角形になっています。(3回回転対称できれいです。)
図 4 この状態の正三角形の板は固定されているでしょうか? 固定されていないならば、それはどうやって示せばよいでしょう? 少なくとも平行移動はできなそうですが…
(つづく) ○
内側が網目になった「はしごの終了処理」のあやとり、射影図が上下対称にならないのが嫌で試行錯誤していました。「逆ナウルの太陽」→「正ナウルの太陽」→「はしごの終了処理」の手順で、いちおう対称にはなりました。
なんでこんなにジタバタしているかというと、1か月前にご紹介したこれ
hh230811-1 の網目が少ない版を取りたいのです。あと一息だったのですが…
○
言葉に関する余談です。今回、釘の頭の画像を透過gifファイルにして活用しているのですが、このファイル名を nail.gif にしました。釘は英語で nail なのですが、そういえば爪も nail ですね。カタカナで「ネイル」と言えば爪を連想される方が大部分なのかなと思いました。「釘を打つ」は“hammer a nail” で、「爪を切る」は “cut nails” なのですね。「ネイル」は二重母音として日本語に定着したのだな、と思います。昔だったら「ネール」と表記されたのかもしれません。有澤誠先生が game を「ゲイム」と頑なに表記されていましたが、お気持ちはよくわかりますが、「ゲーム」という表記は完全に定着していて、もはや二重母音表記は普及しないですね。
main は「メイン」と「メーン」を両方見る気がしますが、言葉によって異なった表記が定着しているみたいです。「メーン」が主に使われるのは「メーンイベント」「メーンバンク」、「メイン」のほうが多いのは「メインディッシュ」「メインストリート」「メインストリーム」とか、でしょうか。C言語の main() 関数、これは「メインかんすう」と発音します。「メーンかんすう」と言うと違和感があります。
<おまけのひとこと>
昨日の夕方の5時過ぎくらいに、在宅勤務中に仕事のPCがネットワークに繋がらなくなったのです。問題を切り分けるため、プライベートな機器が接続できるか確認したところ、どの機器もダメでした。それどころか、同じ光通信を利用している固定電話も使えません。これは明らかに自宅内の機器の問題ではなく、その外側のインフラネットワーク側の問題と思われました。携帯電話から機器に貼ってある問い合わせ番号に電話に電話したのですが繋がりません。おそらく問い合わせが殺到しているのだろうと思ってプロバイダのwebサイトの障害情報を見たら「原因解析中」ということでした。結局夜7時半過ぎに回復しました。長引かなくて助かりました。
9月14日(木) 四角推を裏返すパズル(その2)、あやとり
三角形を釘で固定する話の準備ができなかったので、1つ前の話題です。
○
雑誌「数学セミナー」1983年3月号の表紙に載っていた正四角推を裏返す問題、とても面白くて試行錯誤を続けていたのです。
遊びにくいので、こんな型紙を設計して印刷して使っています。
図 1 正三角形の縁の線は折らず、正三角形の辺を繋いでいる細長い長方形の中心で折ります。
ようやく、「裏返し」を自在に行き来できるようになりました。
⇔ 手順のちょうど中間に、こんな状態を経由します。
これ、本当に面白いので作ってみることをお勧めします。
○
このところ工夫を重ねてきたあやとり、ようやく目指すかたちができました。
嬉しかったので、大きいほうと並べてパネルにして、「あやとりグループ展」に飾りました。
でも、パネルの固定、うまくできなかったのです。心配です。
<おまけのひとこと>
昨日は「あやとりグループ展」の設営に行ってきました。準備していたパネルの固定方法がうまくゆかず、急遽ガムテープで固定に変更しました。カッコ悪くて悲しいです。何より、会期中に落下してしまうのではないかと不安です。
9月15日(金) あやとりグループ展「あやとりひろば」、他
今日は簡単な話題です。
○
あやとりグループ展「あやとりひろば」が昨日から始まっています。13日(水)の夜に設営に行きました。当初準備していた展示パネルの固定方法がうまくゆかず、極めて見た目が悪いのですが布テープで上下を固定してきました。
これが少しずつ緩んでしまうようで、今回の展示の代表者であるあやとり協会の吉田さんが初日にも見に行って下さって、テープを押さえ直して下さったそうです。本当にありがとうございます。
最終日の9月19日(火)には朝から会場に行く予定なのですが、明日からの3連休は行かれません。どうか落下しませんようにと祈っています。事前の固定方法の検討が甘かったです。もし次の機会があるようでしたらこの経験を活かしたいです。
○
先日乗ったエレベーターの内壁がこんなクロス貼りでした。
縮小画像だとわけがわからないかもしれません。「カフェウォール錯視」みたいだなと思ったのです。
<おまけのひとこと>
本業のほうで、10月1日付の組織変更の内容が昨日公開されました。ちょっと不本意な内容で、やれやれと思っています。ここ2〜3年は平和だったのですが。まあ勤め人ですからそういうこともあります。