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以前の「ひとこと」 : 2019年5月前半



5月1日(水) 正四面体を連結したリング(誤差あり)

 こんなペーパーモデルを作ってみました。

図 1 図 2

 立てたところと寝かせたところの写真です。

 プラトンの5つの正多面体のうち、正四面体以外の4種類は、面と面を合わせて連結してゆくと、ちょうど8個で輪っか(リング)を作ることができます。

正四面体 立方体 正八面体 正十二面体 正二十面体

 でも正四面体だけは、どれほどたくさん用意してどれほど大きな輪を作っても、決して正確に輪を閉じることができないことが証明されています。

 図1、図2でご紹介したペーパーモデルは、誤差が比較的小さなリングの構造です。それぞれの面の角度が微妙に違っていて、そのため光の当たり方が違って微妙な陰影が見えて美しいと思います。ただ、腕が悪いため工作の精度が残念なのが悲しいところです。このかたちの詳細は明日以降もうすこしご紹介したいと思います。

(つづく)



 家の前の畑で、朝6時ころからトラクターで畑を耕している音がして、かなりうるさかったのです。

図 3(2019/05/01)

 昔はここは田んぼでした。図4は20年前の写真です。

図 4(1999/05/15)

 10年くらい前から休耕田になって、その後そば畑に転用されました。どうやらお蕎麦屋さんが自前でお蕎麦を栽培しているらしく、休日の早朝にしか農作業の時間が確保できないようで、朝5時半から1〜2時間くらい作業をしている様子です。

 一部の畑は太陽光発電のパネルが敷き詰められました。土地の利用の仕方もどんどん変わってゆきます。10年後、20年後にはどうなっているのかなあと思います。

<おまけのひとこと>
 令和の時代が始まりました。






5月2日(木) The Quadrahelix:A Nearly Perfect Loop of Tetrahedra

 昨日のペーパーモデルを作ったのは、The Quadrahelix:A Nearly Perfect Loop of Tetrahedra(Michael Elgersma, Stan Wagon:2016)「4つのらせん:ほとんど完璧な正四面体による輪」という論文を見たのがきっかけです。本日はその内容をかいつまんでご説明しようと思います。

 まず、論文冒頭のAbstract(あらまし)の先頭に「1958年に、S.Swierczkowskiが『正四面体の面どうしを接合して閉じた輪を作ることができない』ことを証明した。」ということが述べられています。それ以外の4つの正多面体では閉じた輪を作ることができます。図1は、上記の論文のFig.1の引用です。 立方体8個で輪ができるのは自明なので、それ以外の3つについて図示されています。

図 1:論文Fig.1より

 正四面体をいくらたくさん用意しても厳密な輪を作ることができないことは証明されていますけれども、上記の論文は、誤差を望むだけいくらでも小さくする方法を見出した、という内容なのです。論文のタイトルの“Quadrahelix”(4つのらせん)というのがその方法を示しています。

 論文では、最初に正四面体を連結したらせん構造について議論しています。水戸芸術館の写真も紹介されています。このらせん構造は、私も昔ブロックで作ったことがありました。

2015年7月8日のひとこと

 上の図がJOVOブロック、下の図がジオシェイプスで作ったものです。

2015年7月13日のひとこと

 このらせん(Helix)構造は正四面体を繋いでいくと一直線に無限に伸ばしてゆくことができます。同じ長さのらせんを4つ用意して、それを連結して輪に近い構造にすることを考えます。単位となるらせんの長さをつないだ正四面体の数 L で表すことにすれば、いろいろな長さのらせん4本による構造に名前を付けることができます。論文ではこれを QHL と呼んでいます。

 正確に言うと、輪に近い構造にするために正四面体を2つ、ジョイントとして追加していますので、QHLには4L+2個の正四面体が使われています。図2〜図4は上記の論文の Fig.6 からの引用です。

図 2:QH5 図 3:QH7 図 4:QH10

 図4のQH10になると、隙間(ギャップ)がずいぶん小さくなっているのがわかります。この隙間は正四面体の1辺の長さを1としたとき、0.078程度だそうです。まだまだ大きな隙間ですが、輪っか全体に誤差を分散させれば、おそらくJOVOブロックやジオシェイプスで組める程度の小さな誤差になりそうです。

 論文では、Lの数をどんどん大きくしてゆくと誤差がどんどん小さくなってゆくことが示されています。

図 5:論文 Table.1より

 表の上から4行目、L=10のとき、最右列の “gap of QHL” が0.078になっていますが、Lの値をどんどんどんどん大きくしてゆくと、ギャップがとんでもなく小さくなっていっていることがわかります。

 論文後半ではらせんを8本使った構造についても議論されていて、これもギャップがどんどん小さくなってゆく系列が形成できることが示されています。最後に著者らも答を知らない “Open Questions” として、ギャップを限りなく小さくしてゆくことができる三角形の構造はあるか? といった問いかけがされています。

 …というわけで、QH10 を作ってみることにしました。いきなり紙模型を設計する自信がなかったので、まずはJOVOブロックで作ってみることにしました。

(つづく)



 妻がNHKラジオの英会話タイムトライアルを数年前から聴いているのですが、昨年度の1年分12冊のテキストをbook offに持っていったら、1冊50円、トータル600円で引き取ってもらえたと喜んでいました。1年前、2017年度の12冊は1冊10円の120円だったというので、なぜこんなに買取価格が変わったのだろう?と不思議に思いました。



 私の甥が、母をドライブに連れて行ってくれたそうです。志賀高原のあたりをぐるっと回ってきたそうで、ちょうど桜が満開でとてもきれいだったそうです。次の世代がそういうことをしてくれるようになって、本当にうれしいです。

<おまけのひとこと>
 平成最後の日と令和最初の日は天気が悪かったので、ほぼ家にこもっていました。連休後半はどうしようかな、と思っています。






5月3日(金) QH10をJOVOブロックで作る

 昨日ご紹介した、正四面体を繋いだらせん構造4つで誤差のある輪を作るというモデルをブロックで作ってみることにしました。

QH10

 正四面体10個の構造が4つと、ジョイントになる正四面体2つ、全部で42個の正四面体を繋いだかたちになります。正四面体を1つ1つ別々に作ったとすれば、面になる正三角形は42×4=168個必要ということになりますが、リング状に繋がっているので、各正四面体のうち2面は表には現れません。つまり正四面体1つあたり2枚の正三角形があればよい、ということになります。

 

 上の図のように、4つのらせん構造を別な色で作ることにすると、各色20枚ずつの正三角形パーツがあればよいことになります。これ以外にジョイントとなる2つの正四面体用に4枚のパーツが必要です。

 少し試行錯誤をした後で、単位となる正四面体10個の連結構造はこのような展開図になっていればよいことがわかりました(図1)。

図 1

 4本のらせん構造は、2つずつ鏡像対称になっています。そこで、展開図も鏡像にして、このように鏡像モデルを作りました(図2)。

図 2

 もう2つ、図2と同じものを別の色で作って、ジョイントとなるパーツを加えて「輪っか」が完成しました(図3)。

図 3

 赤と白、緑と青が合同です。らせんの構造が美しいと思います。この模型は黒のジョイントパーツの面で立たせることができます。立ててみることにしました。

 リング構造なので、立てると背景がいろいろと写り込んでしまってよろしくありません。どうしようか…と考えて、昔作って飾ってある正四面体48個の疑似リングを、今回作った QH10 の輪っかの中に収めるような写真にしてみようと思いました。 高さを調節するために、先日とある展示会で貰ったルービックキューブの廉価版パズルを土台にしています。

図 4 図 5

 図4がジョイントの黒いパーツが見えている側、図5は反対側です。図5の視点も美しいと思います。

 なお、視点を変えると図6、図7のように相対的な大きさを違って見せることができます。錯視の「フレーム効果」です。

図 6 図 7

 本当はカメラの光軸をずらさずに撮影すべきだったのですが、視点が変わってしまっているので今一つです。

 これで構造がわかったので、紙模型を設計して作ることにしました。

(つづく)



 リスーピアのワークショップの打合せのお電話を岡部先生からいただきました。岡部先生は5月19日〜20日に、5種類の正多面体のうちの正十二面体以外の4つを作るというワークショップをされるのだそうです。私は今年は9月に担当をさせていただきます。いろいろと話をしたいことのイメージが膨らんできています。楽しみです。

<おまけのひとこと>
 昨日(5/2)は1日がかりで紙模型を1つ作りました。お休みの日にどこにも出かけないで模型の構想を練って設計して制作するというのはとても楽しいです。






5月4日(土) QH10のペーパーモデルの型紙

 ここ数日ご紹介している、正四面体10個のらせん構造を4つ使ったリングですが、今日はどんな型紙から作ったかをご紹介します。

 展開図を考えるとき、ブロックで作った実際のモデルがあるとたいへん都合が良いのです。かたちが複雑になってくると、頭の中だけではとても考えきれなくなって、設計ミスをしやすくなります。現物を見て、手で触って確認するというのがとても有効になります。

 ブロックのモデルの色分けと同じく、4つのらせん構造をそれぞれひとつながりのパーツとして設計することにしました(図1)。

図 1

 パーツを切り出す前にしっかり折り筋を入れておきます。7個-6個-7個の3段の20個の正三角形のパーツの上下の辺の三角形4個分を貼り合わせてらせん構造を作ります。ただ、4つのらせん構造の筒を完成させる前に、図2の赤丸の部分は接着しておくことをお勧めします。

図 2

 どういうことかというと、先に筒を完成してしまってから図2の赤丸部分をつなごうとすると、貼り合わせるのが面倒になるのです(図3)。

図 3

 なので、あらかじめパーツのどことどこが接着されるのかを確かめて、筒を作りつつ各パーツを連結してゆくのがお勧めです。

 余談ですが、図3の絵を描くのはちょっと楽しかったです。 紙模型の設計は製作手順を考えて、一度に複数個所の接着をする手順をできるだけ避けるようにしています。

 …などと偉そうなことを書いていますが、図4は最初に作った型紙からパーツを切り出したところなのですが、「のりしろ」が2か所余計についています。

図 4

 組み立てが進んでから気が付いて、余計なのりしろを切り落としました。実物のブロックの模型があったにもかかわらず、このていたらくです。

 でも、出来上がった模型は気に入りました。写真を再掲します。

 論文にも載っていた、正四面体を連結した誤差の小さいリング構造の他の作例も作ってみたくなりました。

(つづく)



 先日出かけたときに帰りに寄った道の駅で、こんなものを買ってきました。

図 5 図 6

 左(図5)は「しょうがスープ」というもので、有限会社 芳光という長野県小諸市の会社の製品のようです。美味しくて気に入りました。 初めて試したとき、パッケージの写真の真似をしてスプーン山盛りのスープの素をカップに入れたら、味が濃すぎてカップをもう1つ用意して、2倍に希釈して飲みました。この分量だとたぶん100杯分くらいありそうです。大変お得です。これだけで飲んでも美味しいですが、何かちょっと加えてもいいです。

 右(図6)は丸正醸造という長野県松本市の会社の製品で、「青こしょう醤油」というものです。これも大変気に入りました。奇しくもどちらも地元の製品なのですが、普段食品を買っているスーパーなどのお店では見かけません。今はいろいろな製品があふれているので、こういったものの販路を開拓するのも大変なのだろうな、と思います。

<おまけのひとこと>
 乗っている車のメンテナンスはいつもディーラーにお願いしているのですが、この連休は4月30日から5月5日までずっとお休みのようです。客商売なのにこういう連休にちゃんと休むというのは従業員にとってとても良いことだと思います。みんながそれぞれ少しずつ不便なことを受け入れることで、持続可能で余裕のある社会になってゆくといいなあと思います。
 私のお休みは明日5月5日までです。このお休みは、これまで時間がなくて作れなかった模型をたくさん作ることができました。充実したお休みです。






5月5日(日) 工芸の五月:「異形の宴 奏の象(カナデノカタチ)」

 連休後半のささやかなイベントということで、昨日は松本市に行ってきました。連休中ということに加えて工芸の五月というイベントの最中で、駅も街中もたいへん混雑していました。(地方都市に人が集まって活気があるのはとても良いことです。) 工芸の五月というのは10年ほど前から毎年松本市で5月に開催されている数々の展覧会やクラフトフェアなどのイベントの集合体です。その中でも、松本市美術館の市民ギャラリーで開催されていた異形の宴 奏の象というのがとても面白かったのです。入場無料で、展示品の写真撮影OKということだったので、ありがたく見学をさせていただいて写真も撮ってきました。10名ほどの作家さんの合同展示会だったのですが、特に吉田直樹、徳持耕一郎の作品が気に入りました。以下、簡単に紹介させていただきます。



 吉田直樹氏は、ジャズやクラシック音楽をテーマにした木工作品を数多くつくられたのだそうです。昨年亡くなられているということで、追悼展示なのだそうです。偶然にもこの展示会に出会って、こんな作品があったということを知ることができて良かったです。

 ギャラリーに入った正面にまず飾られていたのがビバルディの四季、という作品でした(図1)。

図 1

 まず、楽譜が正確なことに驚きます。2冊の本を見開きにしたデザインになっていて、4つのページには四季の「春」「夏」「秋」「冬」の楽譜の一部が彫刻されています。これはもちろん手作業で彫っていったのだと思うのですが、とても根気が要る大変な苦労だと思います。

 楽器の部分をアップにするとこんな感じです(図2)。第1・第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロが並んでいます。4つの楽器の配置もサイズもいいです。チェロにちゃんとエンドピンがあるのもいいです。

図 2

 確かにこれは工芸作品ですね。 こういう作品もあるんだなあと思いました。とても素敵だと思います。これを作るのにいったいどれくらいの時間をかけているんだろう? と思いました。

 図3は「チェロソナタ」という作品です。レリーフになっています。グランドピアノの一部分とチェロの一部分が見えている縦に細長い作品です。これも、さりげなく壁に飾られていたりしたら素敵だろうな、と思う作品です。

図 3

 吉田氏の作品は、椅子に組み込まれていたり照明が組み合わされていたりして、家具を制作されていた方だったのかなあと思いました。上の写真の作品も、フレームや土台なども含めて木製で、全体の色や雰囲気がよく考えて作られていると思います。

 なお、「工芸の五月」のイベントの一環として、「吉田直樹 追悼展 音の在り方」という展覧会があるそうです。

 5月18日(土)〜5月26日(日)の9日間の10時〜17時、松本市のギャラリー自遊石とのことです。もう一度見に行こうかなと思いました。ただ、この週は仕事がとても忙しい時期なので、ちょっと厳しいかもしれません。



 もう一人、気に入った作家さんの徳持耕一郎氏は鉄筋彫刻家なのだそうです。こんな作品です。

図 5 図 6

 鉄材を曲げたり溶接したりして、空間のある視点から見ると音楽を奏でる人の姿や楽器の一部分が浮かび上がって見える、という作品です。左がウッドベース(コントラバス)、右がギターを弾いている姿です。

 視点を変えるとこんな風に見えます(図7)。

図 7

 右手前のギタリストはまだかろうじて認識できますが、左の奥のベーシストはこの角度(横)からみると、なんだかわからないごちゃっとした線の集まりにしか見えません。

 Facebookに鉄筋彫刻25年:徳持耕一郎ファンサイトというページがありました。徳持氏はジャズが好きで、最初はスケッチから始めたのだそうですが、それが鉄筋彫刻になったのだそうです。

 これはサイズも大きいので、1つ自宅に置きたいというものではないですが、とても面白い、素敵な作品だと思いました。3次元作品なのだけれども特定の視点から見ないと意味が分からないとか、光を当ててできた影を見ないと意味がわからない、という立体作品があります。デザイナーの福田繁雄の作品にそういったものがあって、とても好きでした。

 このほかの作品も面白かったです。こちらのblogに、全ての作家さんの作品の写真が一通り紹介されていました。この展覧会は明日5月6日までだそうです。お勧めです。(とここに書いても仕方がないですが)



 もう1つおまけの話題です。子供の日なので、折り紙の兜です。

図 8 図 9

 しばらく前にNetで見て真似をして折ってみた作品です。どなたの作品なのかわかりません。すみません。

<おまけのひとこと>
 長かったお休みも今日で終わり、明日から一足はやく仕事が始まります。
 お休み中、出かけない日はゆっくりこのページの更新をしているのですが、いつもと違って書いた後に読み返す時間があるので、ついだらだらと長く書いてしまいます。明日からはまた簡単な更新に戻ります。お休み中にいろいろとネタを仕込んだので、当分話題に困ることはなさそうです。






5月6日(月) Twisted Domes(Paul Gailiunas)

 正三角形だけからなる凸多面体はデルタ多面体といって、全て調べ尽くされていますが、凸でない多面体であれば無限に存在します。簡単な例として、正四面体を面で貼りつけていけば、表面がすべて正三角形の構造がいくらでも作れます。その中でも比較的球面に近い、正多面体から派生するような構造について少し調べてみたところ、Twisted Domes(Paul Gailiunas, 2004)という論文がBridgesにあることがわかりました。

 三角形によって構成されるドーム構造といえば、バックミンスターフラーのジオデシック・ドームが大変有名です。昨日の子供の日のgoogleのトップロゴで、擬人化されたアルファベットのキャラクターが遊具で遊んでいる画像になっていましたが、その遊具がジオデシック・ドームでした。

googleトップロゴ(2019/05/05)

 論文の冒頭のアブストラクトで、三角形によるドーム構造は通常正三角形を用いないが、この論文では正三角形を用いたドームはとても面白い、例えば鏡像対称面がなくなる、といったことが述べられています。

 図だけみていても面白いのでぜひご覧いただきたいのですが、例えば7ページ目のFig.11にはこんな図が出ています。

図 1 図 2 図 3

 図1は正四面体由来の構造、図2は立方体-正八面体由来の構造、図3は正十二面体-正二十面体由来の構造です。 (昔、図2の構造をブロックで作ってみたことがあったのですが、自分の過去ページを検索してもみつかりませんでした。凸状態と凹状態の座標の計算をした覚えがあるのですが…)

 この中で、図1の正三角形だけの構造が面白かったので作ってみることにしました。

(つづく)



 同じく論文のFig.11から、裸眼立体視用の画像をgifアニメーションにしてみました。

図 4

 これは模型として作るのはちょっと大変そうです。

<おまけのひとこと>
 今日から仕事です。(世間的には振替休日なので、冒頭の日付は赤文字にしておきました。)






5月7日(火) 2-捩れ正四面体:構成

 昨日ご紹介したTwisted Domes(Paul Gailiunas, 2004) の Fig.11に載っていた図の1つ(下図)の模型を作ってみることにしました。

 まず、JOVOブロックで作ってみました(図1、図2)。

図 1 図 2

 捩れ立方体とか捩れ十二面体というかたちがありますが、このかたちは辺の長さが2倍の正四面体の「捩れ操作」をしたかたちになっています。(論文での説明とは異なりますが、多面体を構成する手法はいろいろあって、別な手法から同じ多面体を作ることができる例はたくさんあります。) 以下、簡単に図で説明します。

 1辺の長さが2の正三角形の面を4つ使って、一回り大きな正四面体を作ります。それを広げていって、稜の間隔が距離1になるようにします。もともとの正四面体の頂点のところには、1辺の長さが1の正三角形が生まれます(図3)。

図 3

 出来上がったかたちの稜の色を揃えて、新しくできた面を張ってみます(図4)。

図 4

 これは、立方八面体に似ています。

 このままだと正三角形と正方形の面になっているので、正方形の面に筋交いを入れて、全ての面が三角形になるようにします(図5、図6)。

図 5 図 6

 このままだと稜の長さが1と√2の2種類あることになってしまうので、赤い稜の長さが1になるように調整してやると、捩れ多面体のかたちになるのです。

 図5と図6は筋交いを入れる向きが異なります。この操作によって多面体の鏡像対称性が失われて、右手型・左手型が生じます。

 

(つづく)



 5月5日(日)に、オイル交換とタイヤ交換を近所の行きつけのガソリンスタンドでやってもらおうと思って電話をしてみたら、「今日はメンテナンスサービスはお休みです」とのことでした。連休だし仕方がないよなあと思って、2番目に近いガソリンスタンドに電話したら、やってくれるというので車を持っていってやってもらいました。 説明が的確で、対応も良く、たいへんありがたかったです。



 昨日5月6日(月)は、妻が東京で恩師の先生の発表会にピアノと歌で出演しました。当初は私が伴奏をすることにしていたのですが、会社が出勤日になってしまったので、私は今回は不参加ということにさせていただきました。無事に終了したということで、よかったです。

<おまけのひとこと>
 昨日は十連休の最終日ということで、通勤時に車が少なくてとても快適でした。






5月8日(水) 2-捩れ正四面体:展開図

 2-捩れ正四面体(下図)をペーパーモデルで作製すべく、展開図を設計しました。

 まず、必要な正三角形の枚数ですが、もともとの2倍の正四面体のに由来するもの(図1の白い正三角形)が4×4=16枚、に由来するもの(図1の青い三角形)が4×6=24枚、頂点に由来するもの(図1の赤い三角形)が4枚、合計で16+24+4=44枚の正三角形によって構成されています。

図 1

 こんな展開図を考えてみました(図2、のりしろなし)。

図 3

 赤・青・黄・緑がもともとの正四面体の面、黒が稜、灰色が頂点に相当する面になっています。

 のりしろを追加して、右手型と左手型の型紙を作ってみました(図3)。

図 3

 これを実際に作ってみます。

(つづく)



 連休中、確か5月4日(土)の午後に、こんな虹が見えました。

図 4

 虹の円弧の半径がとても大きく、かつ低い位置にごく一部だけが見えている、という感じでした。

 写真で見ると、虹がどこにあるのかわかりにくいなあと思って、画像の色を多少加工したのですが、それでもわかりにくいので、ヒントの図を作ってみました(図5)。

図 5

 図4の虹は、この図のピンク色のあたりに見えています。

<おまけのひとこと>
 昨日の帰り、FMラジオを聴いていたら、知らないピアノ曲をやっていました。なんだろう、リストあたりかな、あんまり知らないけど、と思ったら、チャイコフスキーのピアノソナタでした。そんな曲があるとは知りませんでした。難しくて弾けない感じでしたし、あまり弾きたいとは思いませんでしたが…






5月9日(木) 2-捩れ正四面体の模型

 昨日の展開図から、2-捩れ正四面体の右手型、左手型の2つのペーパーモデルを作ってみました。

 設計した型紙を印刷して折り筋を付け、切り抜いたところです。

図 1

 切り出し作業が楽になるので、のりしろの等脚台形の底角を60°にしたのですが、これだと三角形の2辺を接着するときにのりしろどうしが干渉してしまうことに組み立て始めてから気が付いて、必要な部分のみ底角を30°に切り落としました。失敗…

 出来上がった鏡像モデルです(図2〜図4)。鏡像対称性がわかるような位置関係を保ったまま、いろいろな向きに置いてみました。

図 2

図 3

図 4

 正四面体の構造を残しながら、尖り過ぎず丸過ぎない、きれいなかたちだなあと思います。鏡像対称面を持たないところもまたいいです。



 今週は、朝6時からのNHK-FMの「古楽の楽しみ」を通勤の高速道路で聴いています。アーノンクールの1960年代の初期の録音で、CDになっていないものをLPレコード音源で放送してくれていて、これが面白いのです。テレマンのカルテットやターフェルムジークをやっていて、楽しいです。

<おまけのひとこと>
 今週は朝が寒いです。昨日の朝は車に乗った時の車外の温度表示が0℃でした。妻も風邪気味になってしまったと言っていて、心配です。






5月10日(金) 3-捩れ正四面体をブロックで作る

 2-捩れ正四面体のペーパーモデルを作ったので、次に3-捩れ正四面体をJOVOブロックで作ってみることにしました。展開図はこんなかたちになります(図1)。

図 1

 図1左が2-捩れ正四面体の展開図、図1右が3-捩れ正四面体の展開図です。のりしろは描いてありません。赤・青・黄・緑の4つの面もともとの正四面体由来の面、黒が稜に由来する面、白が頂点に由来する面になります。赤青黄緑がそれぞれ9枚ずつ、黒が36枚、白が4枚で、全部で72枚の単位正三角形を使います。

 出来上がったブロックの模型をいくつかの方向から見てみました(図2〜図4)。

図 2

図 3

図 4

 これは紙で作らなくてもいいかなと思いました。



 図1で、2-捩れ正四面体と3-捩れ正四面体の展開図をご紹介しましたが、では1-捩れ正四面体(単に「捩れ正四面体」と呼んで構わないと思います)の展開図がどうなるかというと、図5のようになります。

図 5

 着色のルールは図1と同じです。さてこれはどんなかたちでしょうか? この話題は過去に何度か書いていますが、展開図というかたちでご紹介するのは初めてかなあと思います。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 同世代の「乗り鉄」な友人の連休中の鉄道旅行の話をききました。一日に15時間くらい普通列車を乗り継いで、お昼は駅そば、朝晩はコンビニ、ひたすら列車に乗っている旅だそうです。「さすがにこういうスタイルの旅行はちょっときつくなってきた」そうです。でも楽しそう…






5月11日(土) 捩れ正四面体のCG

 昨日の「捩れ正四面体」の展開図を組み立てるとどんなかたちになるのか、CGにしてみました。

 いくつかの面の透明度を上げてみました(図1)。背景が黒の場合と白の場合で試してみたのですが、黒のほうが若干わかりやすいかなあと思いました。

図 1

 面の色をすべて同じにしてみると、こうなります(図2)。

図 2

 これはよくご存じの正二十面体です。捩れ多面体は鏡像対称性が無いはずなのですが、正四面体に「捩れ操作」をした場合は、もともとの4つの面と、もともとの4つの頂点由来の面が等価になるのです。そのため右手型・左手型どちらも同じ正二十面体になります。

 4つの面に色を付けてみました(図3)。

図 3

 さらに、もともとの頂点由来の面を白にしてみました(図4)。

図 4

 残った面が展開図の黒で表した面(12面)になります。



 先日、珍しく会社の売店でお昼休みにおやつを買いました。森永ミルクキャラメルを買ったのですが、そうしたら「ミニチュアペーパークラフト」がついている、というのです。1週間ほどかけて、キャラメルを全部食べてしまった後で作ってみました。

図 5

図 6

 きっと色を塗ると良いのでしょうけれども、着色しなくてもこれはこれで面白いです。ドールハウス用にはちょっと大きすぎるでしょうか。

 検索してみると森永のお菓子のパッケージ5種類があるようなのですが、私の買ったものはミルクキャラメルのパッケージそのものだったのが嬉しかったです。

<おまけのひとこと>
 3年前に私の後任として仕事を引き継いでくれて、昨年から別の職場に異動になった会社の同僚に、昨日の会議で久しぶりに会いました。終わった後の雑談で、彼が通勤用の軽自動車の乗り換えの時期になってきていて、私が載っている車種を中古市場で探しているということを話してくれて、運転していて何か気になることはありませんか、と尋ねられました。
 久々に会社で車の話をして楽しかったです。私の車は今75,000kmくらい走っていて、1年で通勤だけで25,000kmくらいは走ってしまうので、来年には10万キロをこえる計算です。前の車は16万キロでクラッチワイヤーが切れて大変でした。15万キロまでは乗るかなあと思っています。






5月12日(日) 「重ね四つ目車」のような折り紙

 幾何学的なパターンの折り紙を見かけると、作ってみたくなります。YouTubeで1枚折りのダリアの花という折り紙(こちら)を見かけました。完成品ではなく、完成直前のこのかたち(図1)が気になったので作ってみました。

図 1

 正方形が8つ、互いに重なり合って円環状に並んでいるように見えます。ちなみに裏側はこんな感じです。

図 2

 こんなかたちの家紋を見たことがあったよなあと思って調べてみました。 一番かたちが近そうな家紋に「重ね四つ目車」というのがありました(図3)。

図 3:重ね四つ目車

 8回回転対称形ですが鏡像対称性はありません。右手型と左手型があることになりますが、図1の折り紙と図3の家紋では回転方向が逆になっています。

 「重ね四つ目車」は、目結(めゆい)と呼ばれる一群の家紋のうちの1つのようです。四角の真ん中に小さな四角があるのが「目」なので、今回の図の折り紙は肝心の「目」がないことになります。ただ、このパターンを1枚で折るのは面白いなと思いました。

 この折り紙、無地ではなくてパターンが印刷された用紙で折ったら重なり合った正方形の印象が強くなるかな、と思ってやってみることにしました。

(つづく)



 昨日は妻の車のタイヤ交換と、フロントガラスにできてしまった小さな傷の修理をしてもらってきました。車両保険を使うほどの費用ではありませんでしたが、けっこうかかってしまいました。

 これまで20年以上、自家用車で通勤しています。これまで乗り継いできた車の走行距離の合計を考えると、おそらく40万キロは下らないと思います。高速道路などで飛び石がフロントガラスに当たったこともありましたが、ガラスに傷がついた経験はありませんでした。それなのに、まだ買って1年も経っていない、走行距離も3,000キロくらいしか走っていない車のフロントガラスに傷がついてしまって残念です。まあこれは確率の問題ですから「そういうこともあるよね」と思ってはいます。もっと大きな事故に遭うよりはるかにまし、とも思っています。



 先日実家に行ったときに姉から借りていたスピカ 〜羽海野チカ初期短編集〜を読みました。良かったです。 芸術やスポーツなど、一流のプロになれる人はごくごくわずかしかいませんが、でもそういった夢中になれる楽しみを知っている、持っていることは幸せだ、と思います。

<おまけのひとこと>
 急に暑くなってきました。家の中の上の部屋と下の部屋の温度差が大きいです。我が家はスキップフロアで、1つのフロアは狭いですが、地下室も入れると5フロアあります。地下室にタイヤを保管しているのですが、出し入れがちょっと大変です。






5月13日(月) テクスチャのある折り紙用紙で「重ね四つ目車」を折ってみる

 昨日ご紹介した、正方形8枚が円環状に重なっている、家紋の「重ね四つ目車」のようなかたちの折り紙を縞模様の折り紙用紙で折ってみました。

図 1

 それぞれ、こんな用紙から折りました(図2、図3)。

図 2

図 3

 折り紙用紙の辺に平行なストライプと、対角線方向のストライプです。無地のものよりもかたちがわかりやすいことを狙ったのですが、あんまりわかりやすくなった感じがしませんでした。

 これ、表裏同等折りができると良いのでしょうけれども、あまりそういう設計は得意ではないので、まったく別のアプローチとして、「正方形のカード2枚に切り込みを入れて、それを組み合わせてこのかたちを作れないか?」と考えてみました。

(つづく)



 昨日の日曜日は母の日でした。実家に行って母と車でちょっとしたドライブをしておしゃべりをしてきました。修那羅山(しゅならさん/しょならさん) 安宮神社 ・ 修那羅石仏群というところに行ってきました。

 1860年に開かれたらしいということなので、江戸時代の末期、明治が始まる直前に開かれたという比較的新しい神社のようです。こんな参道を通ってゆきます。

図 4

 様々な石仏、羅漢像が並んでいます。

図 5

 久しぶりに母といろいろな話ができたのも良かったです。

<おまけのひとこと>
 いつも、年度替わりの4月〜5月は仕事がなかなか落ち着きません。今年は組織がだいぶ変わったため、さらに落ち着きません。






5月14日(火) スリットを入れた正方形2枚で「重ね四つ目車」をつくる

 正方形8枚が円環状に重なっている、家紋の「重ね四つ目車」のようなかたちを、色の違う2枚の正方形に切り込み(スリット)を入れて組んでみようと思ってやってみました。

図 1

 重なり合った部分を等分するように素直にスリットを配置すると、こんな感じの設計になります(図2)。濃い色の太線がカットする部分です。

図 2

 この設計はパーツは4回回転対称で、かつ2つのパーツは合同です。美しいです。ただしこれは三次元空間内の変形では組めません。仕方がないので対称性は犠牲にして、実際に組める設計に変えました(図3)。

図 3

 これならできそうです。千羽鶴用の7.5cm角の折り紙を適当に2枚取り出して、図3のように切り込みを入れます(図4)。

図 4

 余計な線を入れたくないので、同じサイズの折り紙を「定木」として用意して、定木の用紙を折って寸法を出しておきます。定木の用紙とパーツの用紙をぴったり重ねておいて、切り込みを入れる線の両端に目打ちで小さな目印の穴を空けます。その目印を利用して図4のようにスリットを入れました。

 図4を組み合わせてみました(図5)。

図 5

 色遣いをもう少し考えれば良かったです。でもイメージしたかたちができて満足です。



 今回の正方形2枚のパターンを変形して、菱形と長方形を組み合わせてみようか、とか、凧形と等脚台形を組み合わせてみようか、とか思いましたが、まあでもこれは正方形が圧倒的に美しいよね、と思って、そういったものを作るのはいったん見送りました。

 他の正多角形2枚を同様にスリットを入れて組む、というのも考えてみましたが、まあわざわざやらなくてもいいか、と思いました。

<おまけのひとこと>
 夜中の1時くらいに目が覚めてしまって、いろいろ折り紙を折ってみたり、今日の分の更新の準備をしたりしています。朝方にもうひと眠りできるといいのですが…






5月15日(水) 2-捩れ正八面体をブロックで作る

 先日、2-捩れ正四面体というのをご紹介していましたが、その系列で「2-捩れ正八面体」をブロックで作ってみました。

2-捩れ正八面体

 図1が一般的な視点から見たところ、図2が2回回転対称方向から、図3が3回回転対称方向から、図4が4回回転対称方向から、それぞれ見たところです。

図 1 図 2
図 3 図 4

 パーツが足りなくて、ちょっと変な色遣いになってしまいました。 この立体は、辺の長さが2の正八面体に「捩れ操作」を行っています。元の正八面体の面が緑のパーツです。元の緑の面の間を、1単位の正三角形を上下に並べて補間しています。元の正八面体の頂点の部分(次数が4)に四角い穴が空くので、そこに正方形の面を足しています。

 この多面体は、元の正八面体の面由来の三角形(緑のパーツ)が4×8=32枚、稜に由来する三角形(白と黒)が4×12=48枚、頂点に由来する正方形が6枚から成っています。

 ある多面体に「捩れ操作」を行ってできる立体は、元の多面体の双対多面体に対して捩れ操作を行ってできる多面体と同じになります。例えば立方体と正八面体は互いに双対ですから、立方体に捩れ操作をしても正八面体に捩れ操作をしても、同じ「捩れ立方体」ができます。

 でも、2-捩れ正八面体と2-捩れ立方体は異なります。2-捩れ立方体のほうも作ってみようかなあと思い始めました。

(つづく)



 先日実家に行ったときにお昼をご馳走になったのですが、そのときにこんな箸置きを出してくれました。

図 5

 折り鶴、いいですね。本当はもう1つ、青もあるのだそうです。ちょっといいなあと思いました。

<おまけのひとこと>
 昔、会社でお世話になっていた方が、2年前に62歳で亡くなっていたということを知ってショックを受けました。男性の60歳の生存率は9割くらい、70歳の生存率は8割くらいなのだそうです。寿命が延びてこの数字も大きくなったなあと思うのですが、当たり前ですけれどもいずれは生存率はゼロになるわけで、亡くなる方もだんだんと増えてくるのですよね。






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