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以前の「ひとこと」 : 2018年2月前半



2月1日(木) シルバー菱形による2つ穴のリング(その1)

 Folded Strips of Rhombuses and a Plea for the √2:1 Rhombus(Tom Verhoeff and Koos Verhoeff, 2013)という論文に載っていた、対角線比が1:√2の菱形、いわゆる「シルバー菱形」だけで構成される穴空き多面体の話の続きです。今日は別のかたちのCGをご紹介します。

 まずは一般的な視点からの画像を2つ、ご覧ください(図1、図2)。赤・緑・青の座標軸が理解の助けになるかもしれません。

図 1 図 2

 このかたちがどんなかたちなのか、この2つの図からだけではまるでわからないと思います。特別な視点からの画像もいくつかご覧ください。

図 3

 図3は、(1,1,1)の方向からこの多面体を見たところです。正三角形の穴が見えます。

 さらに、図4〜図6はこの立体をx軸方向(1,0,0)、y軸方向(0,1,0)、z軸方向(0,0,1)から見たものです。この方向から見ると、菱形はすべて正方形に見えます。

図 4 図 5 図 6

 こうして三面図を見ても、なかなかこの立体のかたちがわかるとは言い難いかなあと思います。

 そもそも菱形十二面体(図7)も、三面図はすべて図8のような「田」の字を45度回転させたかたちになります。

図 7 図 8

 昔、初めて菱形十二面体というかたちを本で知った時、図を見て説明を読んでも、この「菱形十二面体」というのがどんな立体なのか全くイメージできませんでした。(当時小学生でした。)

(つづく)

<おまけのひとこと>
 このCGを作るのはけっこう苦労しました。






2月2日(金) シルバー菱形による2つ穴のリング(その2)

 昨日の立体は、ちょっと特別な点を持っています。今日の「ひとこと」では、その説明をしたいと思います。

 図1は、昨日の図2の中心に小さな赤い球を置いてみたところです。図2は張ってあった面を表示させず、フレームだけにしたものです。これだと立体の外側と内側がぜんぜんわかりませんが、球は少し見やすくなったかなあと思います。

図 1 図 2

 実はこの赤い球の中心(この座標系の原点)で、2つの三角柱が稜の1点を共有している(接している)のです。

 2つの多面体が稜の1点を共有する例を、もう少しわかりやすいかたちで示します。図3は、2つの正四角柱の例です。

図 3 図 4

 この共有されている点(図4の赤い球の中心)が、特別な点なのです。図3の2つの柱は、たった1点とはいえ共有する点があるので、「ひとつながり」です。これを単連結と言います。

 通常の多面体の表面の点は、その近傍からその点自身を取り除いても単連結になっています。ところが、図1や図4の赤い点は、その近傍からその点自身を取り除いたものが「ひとつながり」にはならないのです。

図 5 図 6

 図5は、図1の赤い球の部分の拡大図です。これが「近傍」です。図6は、「近傍」からその点自身を取り除いたイメージです。点を取り除いてしまうと、もともとその点だけで接していた2つの柱はもはや繋がっていません。「単連結」ではなくなってしまうのです。

 図1のかたちはこういう特殊な点を含んでいるというところが面白いです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 このような点についての議論は、杉原厚吉「不可能物体の数理」に詳しく論じられています。






2月3日(土) シルバー菱形による8の字リング:gifアニメーション

 「シルバー菱形による2つ穴のリング」という名前で呼び始めた立体ですが、「8の字リング」と言い換えることにします。なぜそういう名前にしたのか、下記のCGを見ていただくとご理解いただけるかなあと思います。

図 1 図 2 図 3

 いろいろな向きでぐるくる回転させてみています。たとえば輪ゴムのような輪っかを1回ひねったようなかたちをしていますので、「8の字」と言うのが自然かなあと思います。

 図1〜図3はgifアニメーションなのですが、ファイルサイズを小さくするために、画像のサイズを小さくする、アニメーションを構成する画像の枚数を減らす、画像の色数を減らす、というみみっちい努力をしています。(今のペースだと、数年後にはまたホームページ領域がオーバーフローするのは目に見えているのです。)

 当初「2つ穴のリング」という呼び方を採用したのは、「8の字リング」というと、「8の字結び目」を連想したらいやだなと思ったからです。リング(Ring)と結び目(Knot)は違いますが。

 明日からの更新では、このかたちの模型を作る話をご紹介する予定です。

(つづく)



 我が家ではこれまで長いこと、金属製の四角いお皿のかたちの「おろし金」を使っていました(図4左)。

図 4

 最近、ごく普通の樹脂製の「おろし器」に変えたところ、妻が作業が楽になったととても喜んでくれました。

 もともとこの金属製のおろし金をどういう経緯で入手して、いつから使っていたのか、考えてみたのですが思い出せません。我が家の食器や調理器具は、私が昔学生だったころからのものも生き残っているものがけっこうあって、大小2つのおたまやフライ返し、大小2本の包丁とまな板、ピーラー(皮むき器)あたりがそうだった気がします。まな板は昔、父がいちょうの木の板材から切り出してくれたものだった気がします。

<おまけのひとこと>
 あ、でも8の字リングの模型の話のほかに、「立方体に見えるCG」のたねあかしの更新もする予定でした。そっちにするかもしれません。






2月4日(日) 立方体もどき(その2)

 先日、「立方体もどき」と題して、こんなCGをご紹介しました。

再掲図

 実はこれも、このところご紹介しているTom Verhoeffさんの論文に掲載されていた図をCG化したものです。BridgesのBranching Miter Joints: Principles and Artwork(Tom Verhoeff and Koos Verhoeff:2010)です。

 実際、このかたちがどんなかたちかと言いますと、










































一応ちょっと間をあけて…










































図 1

 こんな感じです。わかりますか? これは、ちゃんと計算して座標を決めたというよりは、「だいたいこんな感じだろう」ということで適当に座標を決めて、実際にCGを作りながら視点や高さなどを微妙に調整して作りました。この調整のプロセスもなかなか楽しかったです。

 現物をつくることもできそうですが、今回はここまでで満足しました。



 昨日(2/3)、食品スーパーに寄ったら、「とうがらし梅酒」というお酒があって、迷った挙句買ってきました。

図 2

 レジに並んで精算してくれた妻が、「珍しくレジの店員さんが、『このお酒は美味しいんですか?』と商品について話しかけてきてびっくりした」と言っていました。

 上の写真はwebサイトからお借りしてきたもので、自分が撮影したものではありませんが、ビンの中には赤い唐辛子が1本入っていて、私が買ったものは上の写真のものとは違って底に沈んでいました。

 家で飲んでみると、甘い梅酒の味の後にしっかりした辛さが伝わって来て、なかなか「当たり」ではないかと思いました。きっとまた買うと思います。でも、空になったらただちに買うというよりは、しばらくしてまた店頭で見かけたら買う、くらいかなあと思います。

<おまけのひとこと>
 結局簡単なほうの更新にしました。






2月5日(月) シルバー菱形による8の字リングの模型(その1)

 このところご紹介している「シルバー菱形による8の字リング」、模型を作ってみました。完成写真だけを見てもどんなかたちなのかわかりにくいので、もう一度gifアニメーションを載せておきます。

再掲図

 こんな模型になりました。

図 1 図 2

 このかたちを構成している菱形は24枚です。菱形を3つ連結した、辺の長さの比が3:1の平行四辺形の面が2面、2連結の2:1の平行四辺形の面が8面、単位菱形の面が2面の十二面体です。頂点の数も12です。

 ちなみにこのかたちは、2分割できるように設計しました。図3のようなパーツを設計して、点線部分を折り曲げて、1,2,3の順に接着してゆきます。パーツには菱形が13個あるので、2つを組み合わせると2つの面が重畳することになります。

図 3

 ちなみに、私はこういう図面は昔からの習慣でPowerPointで描くことが多いのですが、設計して失敗したモデルも一応設計データは保存してあります。図4のサムネイルで、17と書かれているページが図3そのもので、その前の15,16ページには赤いバツ印が付けてあります。これはこの設計で作ってみたら間違っていたという意味です。

図 4

 わざわざ失敗した設計を保存しているのは、しばらく時間が経ってから見直したときに、最初に思い付く(思い出す)のはだいたい最初の失敗した設計なので、それを見ると自分がどう発想してどう間違ったかを思い出すのです。そうすることでその模型やその構造の「かんどころ」を思い出しやすくなるのです。

 そういった記憶の助けとするため、一応「何が間違っていたか」をひとこと書いておくようにしています。

(つづく)



 自宅の2階には2部屋あるのですが、その2部屋の中に置いてある机を入れ替えたいということになって、昨日の日曜日の午前中に妻と模様替えの作業をしました。

 我が家はスキップフロア構造で、地下室から数えると5階層あるのですが、一番上のフロアの2部屋をつなぐ狭い廊下には背の低い本棚が置いてあって、本がいっぱい入っています。その本棚をどかさないと机が通らないのですが、本棚から本を出して、本棚を移動して、また本棚を戻して本を戻して…という手順を考えただけで気が遠くなりそうでした。

 なんとか本棚をそのままにして机を移動できないかなと思ったのですが、妻と二人で持ってみると、妻にはとてもその高さに机を支え続けることは無理、ということがわかりました。なんとか方法はないかな、と思って考えてみたのですが、「サイドキャビネット」を台車代わりに利用して、本棚の上を通過すればよいのではないか、という妙案が浮かびました。

 幸いキャビネットの天板は高さ調節ができるタイプだったので、本棚と干渉しない高さまで上げて、その上に机を逆さに載せて運びました。

図 5

 手前の部屋は中がほぼ空っぽだったので良かったのですが、奥の部屋はベッドとかがあってドアが完全に開き切ることができませんでした。妻がベッドを移動させようとしてくれたのですが、実はこのドアは蝶番に載せてあるだけで、引き戸の建具と同様に簡単に取り外しができるタイプなので、ドアを外して事なきを得ました。

 怪我もせず、家具や家にも傷を付けたりせずにうまく作業ができてちょっと気持ちが良かったです。

<おまけのひとこと>
 なんとなくちょっと体調が良くない感じになってきました。インフルエンザが流行しているので、少々不安です。






2月6日(火) シルバー菱形による8の字リングの模型(その2)

 「シルバー菱形による8の字リング」(再掲図)の模型の話の2回目です。

再掲図

 パーツを2つ作ってみました。

図 1

 実はこれは昨日ご覧いただいた図面に到達するまえの試行錯誤の段階で作ったものです。なので、ちょっと余計な面があったりします。

 両端を適切に差し込むと再掲図のかたちになるのですが、片方だけ差し込むと、例えばこんなかたちになります(図2)。

図 2

 空中に突き出している2つの「切り口」はねじれの関係になっていて、図2と同じものがもう1組あれば、うまく閉じた輪っかになるのかなという気がしました。作ってみようかなと思いました。(追記:図2を2組作っても閉じた輪にはなりませんでした。)

 ちなみになぜ2つに分割できるような設計にしたかというと、この「8の字リング」を2つ、図3のように組むことができるからなのです。

図 3

 これ(図3)は作ってみたくなる、魅力的なかたちだと思います。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 昨日(2/5)は出張でした。今回は天気も良く、無事打合せができました。体力的には負担が少ない出張だったので、体調もだいぶ回復しました。






2月7日(水) 2種類の凸多面体ができる展開図(その1)

 1つ、別の話題をはさみます。こんな展開図を知りました。

図 1

 これは、正三角形が4枚、二等辺三角形が4枚の多面体の展開図です。二等辺三角形の等しい2辺の長さが正三角形の1辺と同じ長さで、二等辺三角形の底辺の長さはそれよりも短くなっています。

 この展開図から、2種類の凸多面体ができるのです。いずれも正三角形4面と二等辺三角形4面の八面体です。展開図の線以外のところで折り曲げたりしません。2つの面が連結して1つの大きな面になったりすることもありません。(特殊な角度の場合は除きます。)

 2種類の凸多面体を、頭の中で構成できますか? 私は頭の中だけでは解けなくて、上の図を印刷して切り抜いて実験して、初めて納得しました。

(つづく)



 2週間前、1月22日(月)に東京に出張で、新宿まで行ったものの、大雪で打合せがキャンセルになって空振りだったという話を書きました。そのとき、行きの列車の中で、下の地図のあたりで特急列車とすれ違ったという話を書きました。

再掲図

 一昨日(2/5)に同じ打合せが再設定され、同じ時刻の列車に乗りました。会社から支給された指定券は、前回同様ほぼ最後尾の11号車でした。そこで今度は写真を撮ってみようかなと思いました。

 前回は進行右側の座席だったのですが、今回は左側でした。月曜日の朝の特急列車はかなりすいていて、右側の席も4分の1くらいは空席でした。そこで、空席の1つに座って、まずは撮影のテストをすることにしました。

 私の持ち歩いているデジタルカメラはこんなタイプです。

図 2

 撮影のために構えると、レンズは筐体の左よりになります。そのため、そのまま右側の窓に寄って撮ろうとすると、レンズは自分の眼で直接窓の外を見るのと比べてかなり室内側になってしまいます。自分が載っている列車の先頭方向を視野に収めようとすると、この数センチの左よりのレンズの位置が大きな影響があることがわかりました。

 仕方がないのでカメラの上下を逆にして構えて、左手の親指でシャッターを切ることにしました。何枚か失敗した後で、ようやくそれっぽい写真が撮れたのが図3です。

図 3

 逆さに構えているので、ズームだとかフォーカス設定とかが面倒でした。

 上の「練習」をした後、小淵沢の駅から私の乗る11号車に新たに二人の方が乗車してきたのですが、そのうちのお一人が私が仮に座っていた席の指定券をお持ちでした。「すみません」とお詫びをして、いったん左側の自席に戻ってから、おそらく間もなく通過するであろう再掲図の地図のあたりに備えて、別の右側の空席に再度移動しました。

 切通しが開けて、下りの線路が少し離れて、「あ、ここだ」と思って何枚かシャッターを切りましたが(図4)、肝心の対向列車が来ません。

図 4

 そうこうするうちに、この区間を通過してしまいました。その直後あたりに長坂の駅を通過するのですが、そのあたりでE353系の新型あずさとすれ違いました。しっかり準備したのに、すれ違い写真は撮れませんでした。

 前回が正しい時刻の運行だったのか、今回が正しかったのか、そもそも駅に到着する時刻ではないので、この程度の「すれ違い位置のずれ」は想定内なのか、よくわかりませんが、ともかく前回がとても運が良かったということはわかりました。

<おまけのひとこと>
 月曜日の出張の列車の中で会社のメールを確認したら、どこかで電話をくれ、というメールが入っていました。下車駅に着いて電話をすると、偉い人がもっと偉い人に来週報告をする準備の相談でした。今週末はちょっと忙しくなるかもしれないなあと思っています。






2月8日(木) シルバー菱形による8の字リングの模型(その3)

 「シルバー菱形による8の字リング」の模型の話の3回目です。A4サイズの用紙にパーツを4つ配置して、印刷して切り出しました(図1)。

図 1

 順に組み立ててゆきます(図2、図3)。1パーツあたり、「のりしろ」が5か所あります。

図 2
図 3

 8の字リングを2組、組んでみました(図4)。重畳している面が2面あります。

図 4

 こうやってつなげてゆくことができます(図5)。

図 5

(つづく)

<おまけのひとこと>
 2月10日(土)の朝に、2/8,2/9の2日分の更新をしています。朝3時前に起きて、印刷だけしてあった型紙に折り筋を入れ、切り取って組み立てながら写真を撮りました。






2月9日(金) 8の字リングを2つ組み合わせた模型

 「シルバー菱形による8の字リング」の2つ分のパーツが揃ったので、再掲図のようにこれを組み合わせてみることにしました。

再掲図

 図1の左側は8の字リングそのもので、右側は組み合わさった2つの8の字リングの半分ずつの状態です。

図 1

 2パーツを図1右のように組むだけでも、かたちのイメージが頭にないと難しいかもしれません。

 図2、図3は3つ目のパーツを組んだところです。これは、パーツ2つで8の字リングを組むやり方がわかっていれば、そんなに大変ではありません。

図 2
図 3

 3つ目を組んだところのかたちが少しでもイメージできるように向きを変えて写真を撮りましたが、でもこのかたちは実物を手に取らないとどんなかたちなのか理解するのは難しいかなあと思います。

 最後に、残った4つ目のパーツをはめました(図4、図5)。

図 4 図 5

 この手の模型はみんなそうなのですが、最後のパーツを組み入れるためには、パーツに負荷をかけて無理のある状態を経る必要があります。完成形が安定していて壊れにくいものほど、途中の状態には無理があることになります。

 8の字リング1つだけでもたいへん美しいかたちだと思いますが、2つを組んだものがまたすばらしいと思うのです。多面体好きにはとても魅力的なかたちだと思います。作ってみることをお勧めしたいかたちです。

<おまけのひとこと>
 最近また本業のほうが忙しいのですけれども、今年になって作りたい模型がどんどん増えて、ここでご紹介したいもののストックがかなりたまってきました。






2月10日(土) 2種類の凸多面体ができる展開図(その2)

 先日、下の展開図から、三角形8面の凸八面体が2種類構成できます、という話をご紹介しました。

再掲図

 この展開図から立体を組み立てるのですが、正三角形が2つ連結したもの(図1左)と、二等辺三角形2枚を底辺で連結したものを2組ずつ考えます。

図 1

 二等辺三角形の底辺だけが他の辺と長さが異なりますから、二等辺三角形はこのように組むしかありません。なので、上の再掲図の展開図で二等辺三角形の底辺をつなぐと、こんな風になります(図2)。

図 2

 この状態から、左右の正三角形の頂点をどこに持ってゆくかで2通りの組み方ができるのです。

図 3

 正三角形2つのつないだ菱形の長い対角線の両端を合わせるようなかたちになるようにすると、こんなかたちになります(途中図です)。

図 4

 一方、長い対角線の両端が他方の短い対角線の両端に合うようにすると(図5)、

図 5

 こんなかたちになります(これも途中図です)。

図 6

 いかがでしょうか。イメージできますか?

(つづく)



 「翻訳できない世界のことば」という本を図書館で借りました。絵本のような体裁です。とてもお勧めです。リンク先の創元社のサイトには、中身がかなり紹介されているので、ぜひご覧ください。

 どこかの本屋さんで出会ったら買おうと思う本のリストに加わりました。(私は通販では買い物をしないので、Netで発注する、という発想にはならないのです。)

<おまけのひとこと>
 2月11日(日)の朝に、2/10,2/11の2日分の更新をしています。






2月11日(日) 2種類の凸多面体ができる展開図(その3)

 昨日の2種類の凸八面体ですが、CGにしてみました。

 まず、長い対角線どうしを合わせる場合です。

昨日の 図 3

 こんな風に、正八面体を一方向に圧縮したようなかたちになります(図1)。つまり、どの頂点の次数(稜が何本集まっているか)も4になります。かたちがわかりやすいように、二等辺三角形の面だけ張っています。

図 1

 このかたちは、二等辺三角形の面のかたちを変化させてゆくと、上下の頂点の距離が変わっていきます。

 一方、このパターンの場合ですが、

昨日の図 5

 こんな立体になります。こちらも二等辺三角形の面だけ張っています。頂点の数が6つなのは同じですが、次数4の頂点が2つ、次数3の頂点が2つ、次数5の頂点が2つになっています。

図 2

 このかたちの特徴は、二等辺三角形の面のかたちを変化させても、正四面体の骨格が維持されることです。アニメーションにしてみるとこんな感じです。

図 3

 赤で示した正四面体の骨格は変化せずに、2枚の正三角形をだんだん広げてゆくと、すきまの二等辺三角形の面のかたちが変わってゆく様子がわかるでしょうか。

 ちなみに私がこの形を見て連想したのは、こんな形状のチョコレートです。

図 4

 画像を検索してみたのですが、見つからなかったのでCGで描いてみました。

 ところでこの多面体、二等辺三角形の底辺どうしが必ずつながるのですから、展開図としてはこれでもいいはずです。

図 5

 実はこの展開図にすると、上2つはもちろん作れますが、それ以外にもっと別の多面体も作ることができるのです。わかりますか?

(つづく)



 給湯器の水抜きをしようと思ってボイラールームの扉を開けたら、配管の断熱材のところにきれいなドーム状の氷の塊ができていました。

図 6

 水抜きをした際、給湯器から垂れた水が凍ったようです。どうしてこんな風にきれいな半球状になるんだろう?と不思議に思いました。理由の仮説はまだ思いついていません。

<おまけのひとこと>
 昨日、三連休の初日の午前中は少し仕事をしました。






2月12日(月) シルバー菱形によるリング多面体その2:CG編

 先日来ご紹介しているシルバー菱形(対角線比が1:√2の菱形)で作る正三角柱構造をベースとした多面体ですが、もう1つ、きれいな3回回転対称のリングを作ってみることにしました。まずはCGによるご紹介です。

 作るのはこんなかたちです。菱形何枚分で、どんな構造なのかわかりますか?

図 1

 このかたちを作るため、まずはCGを作ったのですが、その途中経過が図2です。面を張らないと稜がごちゃごちゃしてよくわからいのですが、面を張ってしまうと、その向こう側が隠れてしまうので、それはそれで不便な場合もあります。

図 2

 なので、こうして部分的に面を張ったり外したりしながら確認してゆきます。この作業、地味に楽しいです。

 さて、先日ご紹介した、同様に3回回転対称のリング(下の再掲図)と今回のものは何が違うのでしょうか?

再掲図(1/24)

 前回のリングのCGです。図3が「面なし」、図4が「面あり」です。

図 3 図 4

 今回のリングのCGです。図5が「面なし」、図6が「面あり」です。

図 5 図 6

 どちらも、菱形3枚を「く」の字型に連結した凹六角形(図7)を片側に3面、反対側に3面もっています。

図 7

 仮に先日のかたち(図3,図4)をタイプI、今日からご紹介をはじめたかたち(図5,図6)をタイプIIと呼ぶことにすると、タイプIのほうはリングの内側に円周に対して垂直な面の輪があり、リング全体の縁に行くにつれて厚みが薄くなっています。(どちらのリングも断面は正三角形の三角柱6本で構成されています。)

 一方、タイプIIのほうは外側に垂直な面が連なる輪があってリングの内側に行くにつれて薄くなります。

 この2つのタイプのリングは、いずれも短い正三角柱を6本組んで構成されています。そう考えると面の数は3×6=18面になりそうですが、図7の「くの字型」の面があるため、隣り合う三角柱が1面ずつ面を共有します。そのため、18−6=12面になっています。(素直に数えると、「くの字型」が6面、垂直な面が6面で12面です。)また、頂点の数は18です。

 面の数も頂点の数も同じですが、この多面体を構成する基本となる菱形の数は異なります。タイプIのほうは24枚に対し、タイプIIのほうは30枚です。

(つづく)



 ちなみに余談ですが、上記の「くの字型」の凹六角形を見ると、タイリングしたくなります(ので、しました)。

図 8

 これを見ると、日本の伝統模様の「青海波」(せいがいは)を連想します(図9)。

図 9

 図8のパターンは菱形格子の上に乗っているので、まだまだいろいろなタイリングが可能です。まあでもそちら方面の話は今回はやめておきます。

<おまけのひとこと>
 最近、夜は20時〜21時くらいには寝てしまって、夜中の1時とか2時とかから活動を始める、というサイクルが定着してきてしまっています。昔、自分の父親もそんな感じだったなあと思います。父が梗塞で倒れたのが53歳の4月でした。そろそろその年齢に近づいています。まあ私は10年くらい前から血圧の薬はずっと飲み続けていて、血圧は安定しているので大丈夫だと思っていますが。






2月13日(火) シルバー菱形によるリング多面体その2:CG編つづき

 昨日、タイプIIと呼んだリング多面体の三面図をCGで描いてみました。

再掲図 図 1
図 2 図 3

 イメージが湧かないときにはぐるぐる回してみると、なんとなくイメージできることがあります。gifアニメーションを作ってみました。

図 4

 いかがでしょうか。

(つづく)



 先週、出社時に高速道路を走行中にラジオを入れたら、FMでバロックのアンサンブルが流れてきました。ん、なんとなくイタリアっぽいけれども誰(の作曲)だろう? と思っておしまいまで聴いてみると、アルビカストロという聞きなれない名前の作曲家でした。

 最近、新しい名前がなかなか覚えられないのですが、「アルビ」までは「アルビノーニのアダージョのアルビ」の連想で記憶したのですが、その後に続く部分が覚えられません。「アルビなんとか」まで記憶して、後で調べてみました。

 ジョヴァンニ・エンリコ・アルビカストロ - Wikipediaによると、ドイツ生まれでオランダとベルギーで活躍した作曲家で、本名はドイツ風の名前だったのだそうです。イタリアは当時の音楽の先進国で、ものの本によるとイタリア人でなければ一流の音楽家として認められなかったといった風潮もあったということですから、イタリア風の名前を名乗っていたのかな、と想像しました。年代はバッハやヘンデルよりも25歳くらい年上です。

 ヴァイオリンソナタや合奏協奏曲などの作品が遺されているようです。作品3のヴァイオリンソナタ集(全12曲)の楽譜はこんな感じでした。

図 5

 第一楽章のアダージョが3段目の途中まで、そこから第二楽章のアレグロが始まっています。ニ短調(♭1つ)ですが、各段の先頭に調性記号が描かれず、「シ」の音が出てくるたびに♭が描かれています。でも、2段目の3小節目の頭の「シ」には♭が描かれていません。同じ音の連続なので、書かなくてもわかるだろうという解釈なのだと思います。

 また、各段の最後にアルファベットのWみたいな記号が描かれていますが、これは次の段の最初の音符の高さを表しています。何度も練習して曲を覚えて演奏するのではなく、楽譜をぱっと見て演奏することが前提になっているのだろうなあと思います。

 第一楽章だけ、ヴァイオリンパートと通奏低音の旋律線だけ楽譜を作ってみましたが、ちゃんと和声を入れないとよくわかりませんでした。

 アルビカストロはラ・フォリアが有名なようです。ラ・フォリアと言えばコレッリの作品が有名ですが、アルビカストロのラ・フォリアも素敵でした。憶えておきたい作曲家の一人になりました。

<おまけのひとこと>
 2月13日(火)の朝に2/13〜2/15の3日分の更新をアップするため、2/12(月)の午前中に3日分の記事を書いています。この連休(2/10〜2/12)は、ほぼ家にこもって模型を作ったりCGを作ったりしていました。ちょっとだけ図書館に行ったり買い物に行ったり笛を吹いたりもしました。本当は妻が家具を見に行きたいと言っていたのですが、「頭が痛い、耳が変」ということで遠出ができませんでした。ちょっと心配です。このところ頻繁に実家に行って、お見舞いや家の中の整理をしているので、心身ともに疲れがたまっているのだろうと思います。






2月14日(水) シルバー菱形によるリング多面体その2:模型編

 タイプIIと呼んだリング多面体の模型を作ってみることにしました。今回は普通のペーパーモデルの手法で作ることにしました。

 3回回転対称形なので、3分の1の部分を設計します。「くの字型」の部分を表と裏と1つずつと、側面の菱形を2枚つないだ細長い平行四辺形が2つ、図1のように配置しました。

図 1

 折り曲げるのは黒い点線です。それ以外の菱形の線は工作上は不要です。 パーツの中で貼り合わせるのは、内側の縁になる赤い線どうしと、外側の輪の部分になる青い線どうしになります。後は隣のパーツとの接続になります。

図 2 図 3

 ご覧の通りかなり雑で出来の悪い模型になってしまいました。(これでも「写真写り」が良いようにいろいろと向きを変えてみたのですが。)ペーパーモデルの手法は特に最後の面の接着が大変なのですが、今回はあまり考えずに設計したため、きれいに作るのが難しい構造になってしまいました。もう少しちゃんと考えないといけないです。

(つづく)



 昨年の秋にミニトマトの小さな鉢を買いました(確か200円くらいでした)。これまでに十数個は収穫できたと思います。今も緑色の実がだんだん大きくなってきています。さらに別なところに小さな黄色い花が咲いていて、これもいずれは実になると思います。

図 4

 過去の経験上、植木鉢を大きくしてやるともっと大きく育つはずなのですが、なかなか植え替えの時間が作れません。

<おまけのひとこと>
 昨年秋の古楽コンサートで一緒に出演した方が、うちの近所のレストランにいらしたついでとおっしゃって、昨年のコンサートのDVDを届けてくれました。ありがとうございます。






2月15日(木) 高速道路

 今日は「その他」のカテゴリの話題です。(ブログではないので、記事の分類とかはしていません。今更ながら、特定の話題だけ抜き出して表示できたりすると便利なんだろうな、と思いますが。)

 昨年11月にプライベートで金沢に遊びに行きました。そのときに、中部縦貫道のごく一部の開通区間を通りました。

図 1

 長野県に関係する工事中(構想中)の高速道路には、中部縦貫道、中部横断道、三遠南信自動車道などがあります。この中で、「縦貫道」が東西(図1の青)、「横断道」が南北(図1の赤)になっているのが、やや直観に反する気がします。そう思ってNetを検索してみると、同じように違和感を感じている方がいらっしゃるようです。

 もっとマクロに日本列島全体を見たときに、細長い本州の長手方向に沿っている道路を「縦貫道」、本州を日本海から太平洋を結ぶ方向に通っている道路を「横断道」と呼んでいることは理解できます。そうえいば昔、縦じまと横じまというコラムを書いたことがありました。



 11月の金沢旅行、実は古楽の発表会に参加した翌朝の出発でした。妻も私も体調があまりよくありませんでした。午前10時半ころ、新安房トンネルの手前あたりで上司のM部長から電話がかかってきて、「なんだろう?」と思って電話に出たら、「先週末は体調が悪そうだったが、パワーアップ休暇を計画通り取得しているのだろうけれども、体調大丈夫ですか?」という御見舞いの電話でした。ありがたいことです。

 お昼過ぎに岐阜県の高山市に到着して、どこかでお昼を食べようということになったのですが、なんとなく高山市内を回避するルートに乗ってしまって、そうしたら道沿いにコンビニすら見当たらず、そのまま東海北陸自動車道に乗ってしまいました。

 この道がともかくトンネル率がとんでもなく高いのです。片側一車線のトンネルが延々と続きます。なるほど、危険物搭載車両(タンクローリーとか)の通行を禁止しているわけです。 途中、パーキングエリアでちょっとだけ休憩したのですが、このパーキングエリアもおそらく一般道からのアクセスができるような立地ではなく、トイレと飲み物の自動販売機が置かれているだけで、「熊出没注意!」のポスターが貼ってあったりしました。

 図2がその付近の地図です。図2の右下のあたりに「高山」が見えています。高山からまっすぐ西に向かうと、東海北陸自動車道に乗れますが、そこから北に向かって、ゆるやかにおおきく左に曲がって、途中ほぼ真西に進路を変えるのですが、ここがほぼずっとトンネルなのです。白川郷で有名な白川のあたりでいったん若干開けたところに出るのですが、それから富山県境のあたりはまたもや長いトンネル区間になります。

 わかりやすいように、図2をグレーにして東海北陸自動車道のトンネル区間を赤線でマークした地図も並べておきます(図3)。

図 2 図 3

 ずっと山間部を走り続けて、ついに砺波平野に出て視界が開けたときには感動しました。(砺波平野と言えば、社会科の教科書にも載っていた「散村」を思い出します。) 13時半くらいに城端(じょうはな)サービスエリアのハイウェイオアシスに到着し、カフェでお昼を食べてようやくちょっと落ち着きました。妻に「これ以上こんなペースは無理」と言われて、さあ困ったぞと思いましたが、そこから金沢まではそれほど時間がかかりませんでした。

<おまけのひとこと>
 鉄道の旅も楽しいですが、車の旅もいいですね。ただ、妻は「乗り物に長く乗るのはちょっと…」と言うので、なかなかプランが難しいです。(鉄道の「乗りつぶし」とか「全駅下車」なんて絶対やらないと思います。もちろんそんなイベントに誘うつもりもありませんが。)






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