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以前の「ひとこと」 : 2015年9月前半



9月1日(火) マルファッティの問題

 与えられた三角形の内部に、重ならないように3つの円を配置するとき、面積の合計が最大になるのはどんな場合でしょうか?

 1803年にイタリアのマルファッティ(Malfatti)は、3つの円が互いにすべて接し、各円が三角形の2辺に接するような置き方が面積の和を最大にすると主張したのだそうです。

図 1

 これは正しいでしょうか? 例えば、正三角形の場合ならば、マルファッティの円はこのような配置になります。

図 2

 3つの円の面積の和は、正三角形の面積の何パーセントになるでしょうか?

(つづく)

<おまけのひとこと>
 会社の健康診断のストレス診断で引っ掛かってしまって、産業医の先生と面談をすることになりました。






9月2日(水) 二等辺三角形に内接する正三角形の作図

 一日、別の話題をはさみます。作図問題です。

 AB=ACの二等辺三角形を考えます。ただし底辺BCは斜辺AB=ACより短いとします。つまり頂角Aは60°より小さいです。

 問題は、底辺BC上に任意の点Pを与えられたときに、三角形PQRが正三角形になるように、辺AB,AC上に点R,点Qを作図しなさいというものです。

図 1

 ちょっと考えて、「これかなあ」という作図方法は思いついたのですが、あまり美しくありません。なので答は載せないでおきます。

<おまけのひとこと>
 8/29(土)の朝、息子を駅に送って行ったときと、8/30(日)のお昼に、やはり息子を図書館に送って行ったときに、今乗っている車と同色同車種を見かけました。2回ともナンバーが同じだったので、同じ車です。近所に同じ車に乗っている人がいるんだ…と思いました。6月中旬から乗り始めて、まだディーラーの試乗車以外で走っているのを見たことがなかったので、ようやくこのあたりでも見かけるようになってきたか…と思いました。






9月3日(木) 安島-マルファッティ問題

 一日だけ間を空けて(といっても同じ日に更新しているのであまり意味はないですが)、マルファッティの円の話の続きです。

再掲図 図 1

 マルファッティの予想では、上の左の再掲図が円の面積の合計を最大にするはずだったのですが、実は右の図1のほうが、面積は大きいのです。(これは手ごろな図形の計算問題なので、解いてみることをお勧めします。)

 しかもこの問題は、マルファッティが論文を発表したよりも30年ほど前に、日本の和算家の安島直円(あじまなおのぶ)が発見しているのだそうです。 Wikipediaの安島直円のページや、MathworldのAjima-Malfatti Pointsなどが参考になります。江戸時代の日本の数学のレベルが高かったという話は誇らしいですね。

<おまけのひとこと>
 9/2〜9/3は久々の国内出張(宿泊あり)です。社有機に乗る予定です。






9月4日(金) WARMS ウッドトレイ

 3月末に車の契約をしたときに、カタログギフトをもらったのです。ところがカタログの中の何をもらおうか、決め手に欠けて、申込期限の9月8日が近づいてきて、ようやく先週になって何をもらうか決めて、申し込みました。

図 1

 ベトナム製の木製のトレイ(2個セット)にしました。サイズは26cm×18cm×2cmです。お茶とお菓子を置くくらいの大きさですが、小さなパズルとかを置くのにも便利そうだなと思ってこれにしました。

 届いてみたら、意外と重さもあって質感もよくて気に入りました。カタログギフトとしては当たりだったなあと思っています。これから活躍してくれそうです。

<おまけのひとこと>
 これを書いているのは8/30(日)夕方です。週末も終わりです。持ち帰りの仕事も不十分ですし、今週末も楽器には触れなかったし、読みたい本も読めていないし、自分のせいですが中途半端な週末になってしまいました。家族にも申し訳ないです。






9月5日(土) 正八角形の作図?(その3)

 先週、「正八角形の作図?」という図を2つご紹介しました。お気づきかと思いますが、これらは正八角形ではありません。

図 1

 これは、8つの辺の長さは同じですが角度は2種類あります。四角形で言えば菱形に似た特徴を持っています。図1のように回転させてみると正八角形ではないことがよくわかります。

図 2

 図2は、8つの角度は135°で等しいですが辺の長さが2種類あります。四角形で言えば長方形に似た特徴になります。同じ回転させてみると正八角形ではないことがよくわかります。

 三角形や四角形については、辺の長さや内角、対角線の性質などで様々な分類がされ、いろいろな名前が付けられていますが、五角形以上になるとそういった分類は見たことがありません。五角形と六角形については、平面を埋め尽くす充填パターンについて、大変おもしろい分類がありますが。

 今回、二種類の八角形について、菱形や長方形に似た性質があるとお話ししましたが、八角形は辺の数が2倍あるので、もっとずっと多様な分類になるはずです。今回の再掲図1と2が、菱形と長方形のようだな、と思った感覚が面白いなと思ってご紹介したのでした。(説明が不親切ですが、この感じが伝わりますでしょうか。)

(つづく)

<おまけのひとこと>
 9月5日(土)の朝に一週間分の更新をしています。明日の日曜日も一日休日出勤になりました。
 今日の更新の図2ですが、この図を見ると「スネークキューブ」というおもちゃを思い出します。(以前なら説明を書いていたところですが、時間がないので今日は省略)






9月6日(日) 正八角形の作図(その1)

 今日と明日の更新は、「正八角形の作図?」ではなくて「正八角形の作図」です。正しく正八角形が作図できます。

図 1

 正方形の対角線をひいて、正方形の頂点を中心に、対角線の交点までを半径とした円を描きます。その円が正方形の辺と交わる点を図1のように結ぶと正八角形になります。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 最近は仕事以外のことをやる時間がほとんどなくて、ここ(おまけのひとこと)に書きたいようなトピックがあまりないのです。これは良くないことだなあと思います。






9月7日(月) 正八角形の作図(その2)

 もう1つ、正八角形の作図例です。

図 1

 同じく正方形の対角線をひいておきます。正方形の頂点を中心に、今度は正方形の1辺を半径とする円を描きます。その円が対角線と交わる点を求め、その点から正方形の辺に垂線を下します。(もしくは4つの交点でできる小さな正方形の辺を延長します。)

 昨日のものとは違うアプローチですが、これでも正八角形ができるのが面白いです。昨日のものも今日のものも、内角がすべて135°になっているのは明らかなので、これらが本当に正八角形なのかを確かめるためには、辺の長さが等しいことを示せばよいです。入試問題レベルでしょうか。

 先日、正方形を鋭角二等辺三角形に分割する話を書いたのですが、Polyhedronの日記のPolyhedorn氏からメールをいただいて、長方形をなるべく少ない鋭角三角形に分割するにはという記事をまとめられたそうです。面白かったです。お勧めですのでぜひご覧ください。

 また、Polyhedronの日記の最新の記事距離が2種類になる平面上の4点の配置、同じくtogetterのほうに次元を上げた考察もされていて、とても面白かったです。私も以前、2008年4月12日のひとことで、この問題をご紹介したことがありました。解に関して系統的に考察していなかったのですが、次元を上げた考察の議論がとても参考になりました。これもお勧めです。

<おまけのひとこと>
 今乗っている車の平均燃費が、一時期はリッター21.9kmまで行ったのですが、今は20.9kmまで下がってしまいました。高速道路も80km/h巡航とかができるととても経済的なのですが、100km/h区間は回転を上げてしっかり100km/h出して走っているせいかなと思っています。






9月8日(火) 与えられた円に内接する複数の小さな円の作図(その1)

 先日、三角形の内部に内接する3つの円の話を書きましたが、そのときの図を眺めていて、「与えられた円に内接する半径が同じ3つの円はどうやって作図するんだろう?」と思いました。

図 1

 これはそんなに難しい問題ではありませんでした。同じ理屈で図1右のように、円の数を4つにしても簡単に作図ができます。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 最近は週末にせいぜい2〜3時間しか更新の時間が取れません。その間に急いで図面とかネタとかを用意して書いています。どこかでまとまった時間が欲しいなあと思っています。今度のシルバーウィークはそんな時間が取れるといいなあと思っています。






9月9日(水) ナノブロック:アルパカ

 ナノブロックでアルパカを作りました。

図 1 図 2 図 3

 これも良いデザインだなあと思いました。

<おまけのひとこと>
 これで手元のナノブロックのストックはおしまいです。そのうちまたナノブロックの別なモデルを買ってこようと思います。






9月10日(木) 出張

 先週、山形県に出張してきました。Beechcraft Super King Air B200という、乗務員2名含め定員15人の小さな飛行機で往復しました。

 朝8時半に空港に行って、9時過ぎから約1時間のフライトでした。庄内空港からはタクシーで10時半には出張先の事業所に入りました。実は山形県は初めてだったのですが、海風が強いのでしょう、防風林がみんな斜めに傾いて立っていました。家の敷地のまわりも板塀などできちんと囲われているところが多かったです。信号機も縦型でした。雪が多いのだろうなと思いました。

 到着した晩は酒田市内で懇親会を設定していただきました。先方は三十代中ごろの若い課長さんだったのですが、日本酒がお好きなのだそうで、昨年度は酒田市の利き酒大会で優勝し、山形県の大会でも優勝し、全国大会に行ったそうです。全国大会では100名くらいの参加者のうち、30位だったとか。自宅には日本酒用の冷蔵庫もあるそうです。

 翌朝はホテルから朝7:30のシャトルバスで事業所に移動して2時間ほど仕事をして、10時前のバスで庄内空港に移動し、再び社有機で戻ってきました。12時前には職場の自席に戻っていました。その日も夜10時くらいまで仕事でした。あわただしい出張でした。

<おまけのひとこと>
 写真とか撮ればよかったのですが、飛行機に同乗する10名余はみんな会社の人で、なんとなく恥ずかしくて写真は撮りませんでした。
 出張には傘を持っていこうか、上着を持っていこうか最後まで迷いましたが、空港で車に置いていくことにしました。正解でした。






9月11日(金) 与えられた円に内接する複数の小さな円の作図(その2)

 ちょっと間を空けて、円に内接する3つの小さな円の作図方法について説明します。

図 1

 与えられた円の中心はわかっているとします。(わかっていなければ、円周上に適当に3点を取ってその三角形の外心を作図すればいいです。)これから描く小さな円(図1の黄色)に注目します。この円に接する直径2本と、大きな円との共通接線を考えます。この3本の直線がつくる三角形は、頂角が120°の鈍角二等辺三角形になります。

 図1のA,B,C点を考えると、これらは円周を6等分する点になっていることがわかります。なので、正六角形の作図方法(円の半径で円周に点を取ってゆく)で3点A,B,Cを決め、AとCを通る直径と、Bを通る接線を引きます。(円周上の与えられた点を通る接線の描き方は、その点を通る直径に対して垂線を引けばいいです。)

 あとは、この二等辺三角形に内接する円を作図すれば、黄色い円が描けます。残りの2つの円は簡単ですね。

<おまけのひとこと>
 今年の夏は異常に暑かったと思ったら、雨の日が続いています。涼しくて助かるといえば助かるのですが。






9月12日(土) チェボタレフの予想:円分多項式の因数分解(その1)

 整式を円分多項式といいます。(なぜ円分多項式と言うかといえば、この整式の根が複素平面上で単位円をN等分した点になるためですが、今回の話の主眼ではないので詳しい説明はしません。ごめんなさい。)

 この整式を因数分解することを考えます。この式は x=1 でゼロになりますから、Nの値にかかわらず、少なくとも (x-1) では必ず割り切れます。N=2,3,4 の例を載せておきます。

図 1

 Nの値が大きくなってくると、手計算では因数分解はとても面倒になります。今は計算機の上で数式処理ができるソフトウェアがあるので、Nの値が数百、数千になっても計算機が調べてくれます。

 1938年にソビエトの数学者チェボタレフ(1894-1947)が、円分方程式を因数分解したときに現れるxの係数は、Nがどんなに大きくなっても0か+1か-1しか現れないと予想したのだそうです。さてこれは正しいでしょうか?

(つづく)

<おまけのひとこと>
 2週間ぶりの更新になってしまいました。この間にこのページを訪問して下さった皆様、申し訳ありませんでした。9月20日(日)に2週間分(9/12〜9/25)をまとめて更新しています。






9月13日(日) オライリージャパンの本のおまけ

 本屋さんでO'REILLYの本を手に取ったら、本と同じ大きさのレポート用紙がパックされていました。同じ本でも柄の異なるレポート用紙がセットになっていたので、吟味して買ってきました。

図 1

 本を2冊買ったので、2種類のレポート用紙を手に入れました。少しずつ使っています。ちょっと楽しいです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 このところ週末も出社しています。土曜日に自宅で仕事をして、日曜日に会社に出て他のメンバーと相談して、という状況です。平日はもちろん、休日にも自分の時間があまり取れなくて不本意です。シルバーウィークを楽しみにしています。






9月14日(月) オライリージャパンの本のおまけで箱を折る

 使い終わった用紙で、箱を折ってみました。ちょうどデザインが表に出て、かっこいいなあと思いました。

図 1

 この箱の折り方も気に入っているのですが、保存するときに畳んでおけないのが難点です。

<おまけのひとこと>
 会社のPCの画面が調子が悪いのです。画面ほぼ中央付近に10本以上、縦線が入ります。それがいやで、別のふるい大きなノートPCからリモートデスクトップで入って仕事をしていました。ところがその古いPCのモニタのバックライトがそろそろ死にそうです。困りました。仕方がないので外付けのモニタを接続しているのですが、使い勝手が悪くて効率が悪いです。修理しようか、別のPCを手配しようか迷っています。






9月15日(火) チェボタレフの予想:円分多項式の因数分解(その2)

 整式を因数分解したときに、1以外の係数が出てこないだろうという予想の話の続きです。実は、予想された1938年のわずか三年後の1941年(昭和16年)にこの予想は否定的に解決したそうです。 

 ソビエトのV.Ivanovという数学者が“On properties of the coefficients of the irreducible equation for the partition of the circle”という論文で、N=105のときに係数2が出てくることを示したのだそうです。こちらにロシア語の論文のpdfがありました。ロシア語は私は読めませんが、数式は見ることができます。

図 1

 このように、41乗の項と7乗の項の係数に−2が出てきます。さらに高次になってくると、係数3、4、5、6…も出てくるのだそうです。因数分解マニアの人には常識なのだそうです。

 計算機に頼っている現代ではなく、手計算の時代にx^105-1 を因数分解するなんてすごいなあと思いました。きっと見つけたときには何度も検算したんだろうな、嬉しかっただろうなと想像します。

<おまけのひとこと>
 9/14〜9/18の週も毎日遅くまで仕事で大変でした。






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