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以前の「ひとこと」 : 2014年6月前半



6月1日(日) n体問題

 ずっと以前、2001年6月14日のひとことで、三体問題の新しい数学解という話をちょっとだけご紹介したことがありました。(さっき検索したらえらく昔だったのでびっくりしました。)このときには図とかを紹介していなかったのですが、最近またこういった話題を目にしたので、少しご紹介しようと思います。

 これは、もともとはCris Mooreという方が1993年に三体問題や多体問題を計算機を使っていろいろ調べる中で発見されたものの1つということです。上記のページのGalleryの中の図を引用させていただきます。

8の字軌道:by Cris Moore

 3つの質量が等しい場合、これが安定した軌道になるというのはとても面白いです。

 同じページにこんな軌道も載っていました。

4質点による美しい軌道:by Cris Moore

 これも大変美しいですね。リサージュ図形のようです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 今回、6/1〜6/8の分はまとめて更新しています。5月は仕事がとても忙しくて、ゴールデンウィークはちゃんと休めたのですが、その後毎週末に休日出勤が続いて、そんな中で東京でワークショップをやって(これはもちろん自分がやりたくてやっていることですが)、かなり疲れてしまったようで、5月30日(金)あたりからのどがとても痛くなって微熱が出て、5/31(土)、6/1(日)はずっと寝ていたのですが回復せず、6月2日(月)に病院に行ったところ、「おそらく溶連菌に感染している疑いが高い」と言われて、6/2は休日出勤の振替休日を取得してしまいました。それから1週間たったのですが、まだ完全に回復している感じがしません。






6月2日(月) n体問題(つづき)

 今回ご紹介しているn体問題は、SCIENTIFIC AMERICANのBlog(2013年7月30日)からの引用です。ここには、昨日の8の字軌道も含め、5つのgifアニメーションが紹介されています。4質点の五芒星の形や、同じく4質点のダビデの星(上向きと下向きの正三角形2つが重なったかたち)の軌道などが紹介されていてとても興味深いです。これらの引用元のRobert vanderbei氏のサイトがまたとても面白いです。

 上記のSCIENTIFIC AMERICANのページから、2枚のgifファイルを引用します。

引用:Ducati

 黄色が円運動をしていて、水色が左右、ピンクが上下の往復運動をしています。時計の文字盤に見立てて、黄色が12時、3時、6時、9時の位置にあるときに、3体が一直線上にくるように見えます。見ていて飽きないパターンです。

引用:Hill2

 こちらは水色が円運動をしている軌道の中を、黄色とピンクが三葉のサイクロイド曲線のような図形を描いて互いに追いかけっこをしているように見えます。よく見ると黄色とピンクは互いの距離は常に一定でしょうか。質量が同じなので、ある1点を中心に互いに回転していて、その黄色とピンクの中心と、水色の質点が互いに同心円を描きながら回転しているようです(下図)。これは安定する理由が理解できる気がします。

説明図

 このパターンは質量が異なる3点の場合、たとえば黄色とピンクの連星がとても重くて、水色の惑星がとても小さければ、連星の重心に対して惑星がずっと遠くを回転運動をするのは想像できます。ですが3質点が同じ質量でこのようなバランスが成立するということろがとても面白いです。

 上記のblogの中で、「これが仮に太陽と地球と月だったら」というコメントがありました。もちろん太陽と地球と月が同じ質量などということはナンセンスな仮定ではありますが、広い宇宙にはもしかしたらこんな連星系があるかも、と想像すると楽しいです。

<おまけのひとこと>
 妻に見せたら「ジャグリング(お手玉)みたいだね」と言われました。確かに。

【2014年6月15日付記】
 実は1つ目のDucatiという、青とピンクが上下・左右に運動して、黄色が回転しているパターンも、説明図と同じ原理で説明できることに気が付きました。この例ではピンクと青の距離が一定になっていて、その中心と黄色が対になって回転しているのですね。














6月7日(土) 3を4つ使って100を作る(その1)

 先日、とある数学の講演のビデオをYouTubeで見ていたら、数字の3を4個使って100を作れますか?という問題が出ていました。

 使っていいのは四則演算(+、−、×、÷)と累乗(べき乗)、階乗とします。

 今日のところはネタ元は公開しないことにします。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 先週、実家の母からメールが来て、6÷2(1+2)= という問題について尋ねられました。最近Netで話題になっているようですね。私が答えたのは「カッコの中を先に計算する。6÷2aと言ったら 6/(2a) = 3/a だから、答は1」です。なんでもgoogleにこの式を入れると、答が9と出てくるので議論になっているらしいのですが、
  6÷2(1+2)   ・・・ (1)
= 6÷2×(1+2)   ・・・ (2)
=(6÷2)×(1+2)
=3×3
=9
という処理をしてしまっているようですね。これだと
6÷2a=6÷2×a=3a
という主張なのでしょうか。出題が(2)ならば答が9に同意しますが、(1)から(2)の変形はおかしいと思います。もちろん「乗除は加減に先立つ(掛け算・割り算は足し算・引き算より優先)」ですが、掛け算記号を省略する場合は、さらに優先度が高いです。






6月8日(日) 3を4つ使って100を作る(その2)

 同じ数字を4つ使っていろいろな数を表す、というと、「4つの4」というのが有名です。私のところでも2006年3月30日のひとことでちょっと紹介しています。

 実は4に限らず、1,2,3は同じ数字4個で作れます。一例を挙げます(図1)。

図 1

 では、3が4個で100を作るにはどうしたらいいでしょうか? ちょっとだけ答に近い(?)例を3例ほど挙げます。

図 2

 10を作る作り方は何通りもあります。図2の一番上と一番下は、それぞれ (3^3+3)/3、3*3+(3/3)で10を作る例ですが、それ以外にも(33-3)/3とか、3!+3+(3/3)とかでも10になります。図2のまんなかは、3が5個で100を作っていますが、もう1つ3を減らしたいのです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 今朝(6/8)、妻と地区の配りものをしました。多少段取りがよくなって、今日は30分ほどで終わりました。

 ascii.jpになぜ働きアリの7割がサボるのかという記事がありました。最近、本業のほうで余裕がなくて、余裕が欲しいなあと思っています。私は仕事の裁量を与えていただいているので、これは自分の責任なのですが。
















6月14日(土) 3を4つ使って100を作る(その3)

 今回の4つの3で100を作る問題は、Emrehan Halici氏のLife is a game:Emrehan Halici at TEDxSabanciUniversityという動画で知ったものです。Sabanci大学というのはトルコのイスタンブールにある大学のようです。上記の動画はとても面白いです。

 それでは4個の3で100を作る答を書きます。









































一応ちょっとだけ間をあけます…









































 まず、3の階乗が6、さらにその階乗が720になります。これを使うと、

 となります。というわけで4個の3で100になります。

 もう1つ、こんなのも紹介されていました。

 これ、わかりますか?分母側の3の前にピリオドがあるのがポイントです。









































またちょっと間をあけます…









































 これはこういうことです。

 なので、こうなります。

 もうひとつ、こんな例も紹介されていました。3×3×3×3=100、これはもちろん誤りです。でも、3を4回掛けた答である81は9の二乗ですから、9進法ならば100になります。これを踏まえると

 こうなります。3が4か所に登場しています。右辺の下付きの(3!)は6進法であることを示しています。これ、残念なのは左辺の33は十進法だというところです。3×3×3×3=100のときは、この式全体が9進法だと主張することができたのですが。

<おまけのひとこと>
 今日(6月14日)は朝6時半から神社の奉仕会で草刈りに行きました。神社での礼のしかたを習いました。「警察や消防の礼(お辞儀)のときには手は、中指をズボンの横の縫目に合わせますが、神社での礼、神に対する礼のときには手は前、太ももにのせる感じです」とのことでした。






6月15日(日) ボロメオの輪

 先日、アウトレットモールのアジアン雑貨のお店に行ったら、面白いものがあったので買ってきました。

写真 1

写真 2

 3つの細長い輪が絡み合ったかたちになっている木の彫り物です。石などを飾る台座として売られていました。サイズによって250円、300円、350円と3種類ありましたが、今回は一番大きな350円のものを買ってきました。パーツの長さは10cmくらいです。大きいもののほうが細工がしやすいからでしょう、出来が良かったのです。小さいものは雑な感じがしました。

写真 3

 いちばんコンパクトな状態です。おそらくこの状態で1本の木から彫り出したと思われます。

写真 4

 少し広げたところです。(写真3と写真4は左右が逆です。)

写真 5

 この構造は「ボロメオの輪」といって、どの2つに注目してみても鎖になっていないけれども、3つが絡み合って外れない状態になっています。

 木彫を学ぶ人は、1つの木のかたまりから鎖を彫り出すというのを必ずやるそうですが、これもそれに類するものですね。これは人間が手作業で作っているのでしょうけれども、削り出して磨いて塗装して乾かして、それなりに手間と時間がかかっていると思います。日本国内で日本人が作ったとしたら、少なくとも一桁値段を高くしないと成立しないと思います。これはどこの国の人がどのくらい時間をかけて作っているんだろう、1つ作るとどのくらいの収入になるんだろう、これを1つ作る報酬でどのくらいのものが買えるんだろう、というようなことが気になりました。

<おまけのひとこと>
 相変わらず仕事は忙しいですしプレッシャーはとてもきついのですが、今週末は少し元気です。久々に笛も吹きました。ただ、来週はやらなければならないことが山ほどあって、頑張らないといけないです。






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