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以前の「ひとこと」 : 2001年6月前半


6月1日(金) 飛行機はなぜ飛ぶのか

 MSNジャーナルというページがあります。わりと面白いコラムが載っていて、ときどき目を通しています。

 5月29日の記事で、飛行機はなぜ飛ぶのか――「ベルヌーイの定理」説に挑むというのがありました。この挑発的なサブタイトルに気を惹かれて、ちょっと覗いて見ました。すると、最初の見出しが 流体力学による説明は神話にすぎない でした。

 思わず、擬似科学か冗談かと思って読んでみました。よく「飛行機が飛ぶなんて気のせいだ。あれは集団催眠の一種だ。だれかが我に返って、こんな金属の塊が飛ぶはずが無いという当たり前の真実に思い至ると、飛行機自身がその考えに納得して落ちるのだ」なんて話を聞きませんか?

 実は読んでみると、そんなに挑発的な内容でもなければ、既存の定理を神話扱いするほどのものでもありません。もっととんでもない話かと思ってちょっと期待したのに残念でした。


6月2日(土) 『大きな木がほしい』

 佐藤さとるの『大きな木がほしい』という本があります。もしも大きな木があったら、木に登って、木の上におうちを建てて・・・という話です。子供が学校で、この本の紙芝居ならぬ「布芝居」というのを見てきたそうです。話が進むにつれて絵の描かれた大きな布を「びろびろびろっ」と広げていって、とても面白かったらしいです。

 「八ヶ岳小さな絵本美術館」というのがあります。(ホームページはこちら。)ここに、喫茶コーナーや絵本図書館(閲覧室)があるのですが、その部屋のテラスに木の上のお家が作ってあって、登ってみることができます。小さな小さな家ですが、本物の自然木の上に、木材で作ってある家です。木の上の家のファンの方なら、機会があったら一度ご覧になってもよいのではないかと思います。


6月3日(日) 『冒険者たち』

 「勘」というのは大切だと思っています。「勘」だとか「予感」だとかいうものは、自分がそれまで経験してきた様々なことが無意識の下に記憶として蓄積されていて、途中の論理的な思考のプロセスが意識に上ることなしに、結論だけが頭に思い浮かぶ、というものだと思います。

 よくよく考えてみれば「予感」の論拠となるような体験を思い出すことができる場合もあるし、どんなに頭を絞っても思い出せないこともある。でもそういった「意識に上らない記憶」も、しっかり自分の体験として無意識の中には記録されていて、それが現在の自分の行動を決めるための材料としてちゃんと使われているのです。

 斉藤敦夫の『冒険者たち』という本があります。このなかに、個性的なキャラクターがたくさん出てくるのですが、私は「ガクシャ」と「イカサマ」が好きでした。「ガクシャ」は科学者のキャラクタで、情報を収集して論理的に考えて行動するタイプ、「イカサマ」は賭博師のキャラクターで、全ての行動をサイコロを振って決める、というキャラクタでした。

 で、お互いに相手の行動決定原理を軽蔑しているのですが、お互いに冒険に加わっていることがわかったとき、イカサマは言います。「あんたはおおかたいろいろ考えてやってきたんだろうが、自分はサイコロを一振りしただけだ。結果はご覧の通り同じだ。」 冒険に加わるかどうか、論理的に考えてもさいころを振っても同じ結果になったというのです。(すみません、もう30年近く読んでいないし、手元に本もないので言いまわしは違っていると思います。)

 面白い本です。お勧めです。


6月4日(月) ワンダーボーグ

 おもちゃのバンダイから、ワンダーボーグという昆虫型のロボットが発売されています。こんなページで丁寧に紹介されています。

 昔、コンピューターカー(このページに写真があります)という玩具を持っていました。このページによると、1970年の製品のようです。(もう30年も前なんですね。)紙のカードに切り欠きを作る事によって、「前進・停止・後退」のモータ制御と、「左・直・右」のハンドル制御ができるというものでした。

 残念ながら当時は使いこなせませんでしたが、当時こんなすばらしい製品が玩具として発売されていたことに感動を覚えます。

 ワンダーボーグもとても面白そうです。学校で子供たちにコンピュータを教えるんなら、こういうものを教材とすればいいのに、と思います。


6月5日(火) 『パズル遊びへの招待』

 高木茂男さんの パズル遊びへの招待・オンライン版 というページをみつけました。お勧めです。


6月6日(水) 『失われた小銭への怒り』

 ベートーヴェンのピアノ曲で一番有名なものといったら「エリーゼの為に」だと思いますが、「失われた小銭への怒り」という曲が晩年にかかれているのだそうです。Webで検索してみると、Op.127 としているところと Op.129 としているところがあってよくわからないのですが、いずれにせよあの晩年のすばらしいピアノソナタや弦楽四重奏をかいていた時期に、こんなタイトルの曲があったなんて知りませんでした。

 このページ(ベートーヴェンはケチだった?!) に、ちょっとしたコメントが書かれています。 宵越しの金はもたねぇ型のモーツアルトとは対照的 という一節で笑いました。


6月7日(木) ラインパズル
line puzzle

 6月5日の「ひとこと」でご紹介したパズル遊びへの招待・オンライン版の中に、23.移動板パズル(15パズル、娘パズル等)というページがあります。ここに、私のページでパターン作成型スライドパズルとして紹介しているパズルのオリジナルに関する情報が載っていました(右図)。

 正式な名称はライン・パズル。1964年の発売だそうです。図のように1ピース分飛び出しているのが右上で、私の作ったもの(右下)とは90度違っていますが、これはパズルを置く向きだけの問題です。上記のページにはいくつかのパターンとその解答例が載っています。試してご覧になってはいかがでしょうか。


6月8日(金) MICRO IR デジQ

 “チョロQ”という車のおもちゃがあります。プルバック式でゼンマイを巻いて走る小さな車です。

 玩具メーカーのタカラと、ゲームソフトメーカーのコナミが共同で、このチョロQのデザインの車を赤外線でコントロールする玩具を発表したそうです (このページに詳細があります)。大きさはチョロQより一回り大きいみたいですが、それにしてもとても小さいようです。机の上とかに障害物を置いてコースを作って走らせることができるくらいでしょうか。楽しそうです。

 昔は、コントローラと本体の車とが線でつながっているタイプの玩具をリモコン(リモートコントロール)、文字通り無線で制御するものをラジコン(ラジオコントロール)と呼んでいたと思います。今のように家電製品の「リモコン」などなかった時代です。

 赤外線で離れたところから操縦できる車、というのは何と呼べばいいんでしょうか?

 ラジコンといえば、1/1 ラジコン、つまり本物の車をラジコンにしてしまおう、というページをみつけました。宇宙や深海や汚染地域など、危険なところで作業する車などをこうやって操れたら便利だろうな、と想像しました。

 上記のページに「駐車場に駐車するときはラジコンの方が楽だし、安全でしょう」と書いてあるのですが、本当にそうでしょうか? 例えば車庫入れとかで操作を誤って、自分の車と壁に挟まれたりという事故が起きそうな気がします。(少なくとも自分が普通に運転席で運転していれば、自分の車に轢かれることだけはないわけですから。)


6月9日(土) 第6感

 読売新聞のサイトに、 マウスに“第6感”、放射線感知能力を確認  という記事が載っていました。 なになに・・・

 通常の五感では認識できないとされ、「見えない危険」とも呼ばれる放射線を、マウスが感知できることを、・・・(中略)・・・実験で確かめた。照射時の電離作用で生じるオゾンのにおいを感じている可能性があり、常識を打ち破る発見として、関心を集めそうだ。

・・・(中略)・・・

 一方、鼻の奥のにおいを感じる部位を手術で切除したマウスで同じ実験をすると・・・(中略)・・・。これらの結果から、マウスは放射線によって作られたオゾンのにおいを感じ取ると考えられた。

 ちょっと待ってください。この実験のどこが第6感なんでしょう? 単に嗅覚じゃないですか。 記事を読むと、本文中には一切“第6感”という言葉は出てきません。センセーショナルなタイトルをつけたい気持ちはわからないでもないですが、あまり無責任なことを書いて欲しくないと思います。


6月10日(日) フラクタル
もみの木の枝 もみの木の枝の説明

 庭の木の枝が成長する季節になってきました。玄関脇に小さなモミの木があります。毎年、全ての枝の先端から3本の枝を出します。新しく出てきた枝は色が淡く、すぐわかります(左図)。

 同じ写真に、今年の枝(黄色)、去年の枝(青)、一昨年の枝(赤)と色づけしてみました。同じパターンを縮小しながら繰り返して行く、定義通りのフラクタルだなあと感心しました。

 フラクタルについてのWebサイトはとてもたくさんありますが、こことかは説明もシンプルで図も多くてわかりやすいです。 ここはきちんと説明していますが、ちょっと読みにくいかも。


6月11日(月) 牽引

 トレーラー・パークというページを見つけました。トレーラーのような牽引自動車を動かすシミュレータがあるページです。以前、大きな重機を搭載したとても長いフルトレーラーが国道からバックで道路脇の現場に入ろうとして大変苦労しているところに出くわしたことがあります。何度も切り返すのですが、なかなか入れずに10分くらい待たされました。気の短い車がそばまで詰めて行くため、ますます動きがとれなくなって大変なようでした。(私じゃありません。)

 このページのシミュレータでトレーラーを動かしてみて、トレーラーの車庫入れの難しさが身にしみてわかりました。(だいたい車庫入れ以前に、ハンドルを切るのが早すぎて、いきなり曲がれなかった私。しかもそうなるとどうやって立て直したらいいかわからない。)あのとき、「あーあ、プロなのに恥ずかしいな」などと思ってしまってすみませんでした。

 ともかくとてもおもしろいシミュレータです。動作はとてもゆっくりなので(速くもできますが)、反射神経は要求されません。運転に自信のある方、ぜひ挑戦してみる事をお勧めします。


6月12日(火) キャスト・パズル
S&S 結合 S&S 分解
DEVIL 結合 DEVIL 分解

 キャストパズルという製品があります。はなやま玩具という会社の製品です。残念ながらメーカーのホームページにはあまり情報がありませんが、いろいろなサイトに写真やコメントが載っています。(お勧めは、例えばここ。)

 私は、抽象的でシンプルなデザインで、なおかつ簡単過ぎないものが好きです。とりあえず写真の2つを持っています。上が「S&S」、下が「DEVIL」という名称のパズルです。(写真が小さくてわかりずらくてすみません。)「S&S」はパーツの形がSの字に似ているためつけられた名称です。「DEVIL」の方は、一見易しそうに見えて悪魔的に難しいからということでつけられた名称なのだそうです。いずれも原案は19世紀のものだそうです。

 「S&S」はメーカーの難易度指定では中級、「DEVIL」は同じく上級なのですが、私はなぜかDEVILのほうが簡単でした。

 この「DEVIL」ですが、理論的には2つのパーツをまったく接触させずに外す事が可能です。例えば、それぞれのパーツに電極をとりつけておいて、接触して通電したらブザーが鳴るようにしておいて、ブザーを鳴らさずに外す事が可能なはずなのです。

 もちろんそんな面倒でむなしいことはしませんけれど、「一切接触しないで外せる」というところがこのDEVILの美しさだと思います。


6月13日(水) 自走式掃除機

 松下電器から、自走式のコードレス掃除機を試作という発表があったようです。自分で勝手に走り回って掃除してくれる掃除機らしいです。

・自分で勝手に充電器に乗って充電できるんだろうか
・ゴミを感知して勝手に運転を始めるんだろうか
・きれいになったら勝手に充電器に戻って待機するんだろうか
・障害物はどの程度回避してくれるんだろうか
・迷路のような構造になっていたら、スタート地点に戻れるんだろうか
・段差はどの程度OKなんだろうか

 など、いろいろ疑問が湧きました。まあ最初の製品は出したりしまったり充電したりは人間がやるんでしょうね。でも、いずれは完全自動化されて掃除ロボットになって、自分で充電して汚れを感知して家を巡回して勝手に掃除してくれるものもできるでしょう。家や家具も、そういったロボットを前提とした設計になってゆくのかもしれません。

 余談ですが、Panasonicは松下電器、SANYOは三洋電機、NECは日本電気なんですね。


6月14日(木) 3体問題に新しい数学解

 古典力学の世界で有名な「3体問題」というものがあります。天体(質点)が1個だけならば、その天体には外からは何ら重力が働かないため運動は変化しません。天体が2個だけならば、その2個がどのような運動をするかは簡単に記述できます。ところが天体が3個になると、突然問題が難しくなって、厳密解は特殊な場合以外求まりません。

 3体の運動がどれほど複雑かは、以前「あそびのコラム」の宇宙ステーションでもちょっと紹介しました。Webで検索してみるととてもたくさんの情報がありますが、とりあえずちょっと数カ所見た中ではここが比較的わかりやすいかと思います。

 今朝の朝日新聞に、3体問題の数学解として、新たに「8の字軌道」が発見されたという記事が載っていました。これまで解かれた厳密解は、同じ質量の3体が常に1直線状にある場合とか常に正三角形の頂点に位置する場合だけだったと思うのですが、8の字解もあるんですね。

 この8の字解は漸近安定なんでしょうか? つまり、ちょっと厳密解からずれたとき、厳密解に引き戻そうとする力が働くのでしょうか、それともどんどんずれていってしまうのでしょうか? 詳しい情報を探してみようと思います。


6月15日(金) 携帯の着信音を真似する鳥たち

 昔々、NHKのTVで週末の夜の確か7時20分から10分間、「海外の話題」という番組をやっていたころがありました。各地のおもしろおかしい話題を放映していて、とても好きな番組でした。(テーマ音楽とかが今でも頭に浮かびます。)

 CNNのページをよく見ます。ここの「こぼれ話」というコーナーが、そういったおもしろいニュースを扱っていて楽しいです。ここに、携帯の着信音を真似する鳥たちという記事が載っていました。生き物が、新しい環境にどんどん適応して行く様子がわかってとても驚きました。




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