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以前の「ひとこと」 : 2010年5月前半



5月1日(土) 日帰りドライブ強行軍(その4):佐久間ダム

 3年前のゴールデンウィークに、秋葉街道方面を走る日帰りのドライブに行ったことがあります。そのときの様子を2007年5月5日のひとことから3日間ほど紹介をしたのですが、出発編、下栗編、水窪編まで書いたところで止まっていました。実に3年ぶりに続きを書きたいと思います。(今回はトップページに大きな図が多いです。すみません。)

図 1

 今回(2007年5月4日)の全行程の図を改めて書くと、こんなルートになっています。高速道路等でしたらたいした距離ではありませんが、すれ違いも困難な狭い山道の区間がかなりの割合を占めるコースであるため、時間がかかります。

再掲図

 前回(3年前)に載せた地図をもう一度載せておきます。前回までで、赤で示したこの図の一番南のところ、飯田線の佐久間駅までの話を書いていました。今日はその続きの話です。

 佐久間駅でここからどうしようかちょっと考えました。午後3時過ぎ、今まではずっと家から離れる方向に走ってきました。ここからは自宅に近づく方向に走ることにしました。実は、この近くには鉄道の名所がいくつかあります。飯田線の水窪川の、通称「渡らずの鉄橋」と、すぐ隣の中部天竜駅の「佐久間レールパーク」です。(「渡らずの鉄橋」については、たとえばこちらのページ「飯田線 第6水窪川橋りょう」が詳しいです。) 今回は一人で来ているということもあるし、時間もないのでまたにしようと思いました。

 ところがその後、再訪の機会も無いまま、佐久間レールパークは平成21年11月に閉園してしまいました。平成23年春ころに新しくJR東海博物館(仮称)の開業が検討されているそうで、楽しみです。

 それはともかく、ここから帰ろうということで、佐久間ダムのダム湖沿いの県道を北上して長野県に帰ることにしました。

図 2

 佐久間ダムです。その昔は修学旅行の見学なども多かったとききます。電源開発ということで小学校の社会の教科書にも載っていた記憶があります。このダムのために従来の飯田線がダム湖に沈み、水窪(みさくぼ)川沿いに飯田線が迂回するようになったのですが、このあたりは本当に交通の難所で、どこへ出るのも大変だと思います。

 連休も後半で(すみません、これは3年前の2007年5月の連休のときの旅行記です)、しかも午後3時半過ぎという時刻もあってか観光客もそんなに多くなく、ちょっとうら寂しい感じがしていました。

(つづく)
 

<おまけのひとこと>
 ようやく連休です。嬉しいです。






5月2日(日) 日帰りドライブ強行軍(その5):ダム湖沿いの道

 佐久間ダムのダム湖に沿って走る道は、長野県・愛知県・静岡県の県道1号線の飯田富山佐久間線です(下の図1の黄色い線)。3県にまたがる県道1号線ということで、珍しいのだそうです。佐久間ダムの上を東から西に渡って、天竜川の右岸に沿って、北に向かってずっとさかのぼってゆきます。(天竜川は太平洋に向かって南に流れています。) 昔はダム湖の東側の左岸にも道路があったようなのですが、今は完全に廃道になっていました。

図 1

 このダム湖の部分が愛知県(西側)と静岡県(東側)の県境になっていて、この区間はずっと愛知県になります。基本的には行き違いのできない道で、ところどころに待避所が設けられています。もっとも、ほとんど全く交通量はありません。とりあえず次の目的地の、飯田線の大嵐(おおぞれ)駅を目指して、黙々と走ります。

 佐久間ダムから大嵐駅までは距離にして約25kmあります。25kmというとピンとこないかも知れませんが、たとえば東京の山手線ならば1周が34.5km、品川-新宿-田端で20.6kmだそうです(もっとピンと来ないでしょうか)。高速道路とかでしたら15分程度でしょうけれども、道が険しいため、1時間くらいかかりました。

 図1の地図からもわかると思いますが、夕方の4時前で陽はだいぶ西に傾いていたため、ダム湖の西側の道(図1の黄色い線)は完全に西の山陰に入ってしまっていました。ダム湖をはさんだ対岸側は、おだやかな午後の陽射しが射しているのが見えました。交通量がとても少ないせいでしょう、路面には木の枝とか枯れ葉とかがたくさんあって、注意して走る必要があります。ここで事故や故障があったら大変だなと思いながら走ります。

 ともかく、等高線に沿って延々と細いくねくね道を走り続けるので、楽しいのですが気を遣います。だんだん陽が翳ってくる中、大嵐駅に着いたときにはほっとしました。

(つづく)
 

<おまけのひとこと>
 実はその後、今回ご紹介している旅のちょうど1年後の2008年5月5日に、大嵐駅を再訪しています。そのときには図1の地図の左端にある新豊根ダム(みどり湖)に行って、そこから図1のテントのマークのあるキャンプ場のところを抜けて大嵐に出たのでした。そのときには、朝は飯田まで高速で行って、大平宿を抜けて、清内路村とか根羽村とか売木村とかを通って愛知県に出て、大嵐から県道1号線沿いに北上して帰ったというルートでした。春とか秋とかの季節がよい時期でまとまったお休みがあると、年に1回くらいそういったただひたすら細い道を走るという日帰りドライブがしたくなって出かけるのですが、それについてここに書こうとするととても大変なのです。今年は遠出はしないかわりに、過去のドライブの記録をまとめようと思ったのです。






5月3日(月) 日帰りドライブ強行軍(その6):旧 富山村

 ダム湖をずっとさかのぼってゆくと、対岸に渡る釣り橋(鷹巣橋)があります。この橋を渡ると静岡県になります。渡ったところにあるのが飯田線の大嵐(おおぞれ)駅です。

図 1

 大嵐駅側から鷹巣橋を見たところです。

 この橋の愛知県側(ダム湖沿いの県道1号線の走る側)にある集落が、2005年までは日本で一番人口が少ない村だった富山(とみやま)村です。

 富山村については、Wikipediaの富山村(愛知県)とか、デイリーポータルZというサイトの日本で一番小さい村という記事とかが参考になります。こんなところを見て、一度行ってみたいと思っていたのでした。

 とはいえ、夕方でこの先の道も心配だったので、車で通り過ぎただけでした。斜面の上のほうに学校が見えました。お休みの夕方の、人の気配の無い学校の雰囲気がちょっとさみしい感じでした。

(つづく)
 

<おまけのひとこと>
 アクセスカウンタが53万を超えたようです。このページを開設した当初の数年間はかなり熱心に更新をしていて、一時期は毎日数百のアクセスをいただいていたのですが、ここ数年は数ヶ月のお休みが入ることがしばしばあるため、カウンタの進み方も一日あたり3桁を割ることが多くなりました。

 それでも、見に来てくださったり、メールでコメントくださる方もいらして、本当に感謝しています。今後ともよろしくお願いします。






5月4日(火) 日帰りドライブ強行軍(その7):大嵐

 飯田線の大嵐(おおぞれ)駅はとても興味深いところです。図1に現在の地図、図2に佐久間ダムができる前の地図を載せました。といってもこの表示だとわからないので、図をクリックしていただくと、大きなサイズの地図が表示されますのでご覧下さい。

図 1:現在の地図 図 2:昔の地図

 (以下は大きな地図を見ながらお読みください。) 地図のほぼ中央に飯田線の「大嵐」(おおぞれ)駅があります。大嵐駅のひとつ北側の駅が「小和田」(こわだ)駅です。駅から降りても文字通り何も無い、駅に行くための鉄道以外の交通手段は鉄道以外に有り得ないという、秘境駅として有名になった駅です。

 佐久間ダムができる前の古い地図を見てみると、天竜川の深い谷底に、集落があったらしい様子が見られます。ダムができて、これらの集落がダム湖に沈み、小和田駅を利用する人もいなくなり、駅周辺にも道はない、という状態になってしまったのだそうです。

図 3:大嵐駅

 大嵐駅の駅舎の写真です。もちろん無人駅です。新しくてきれいな駅でした。この駅そのものは静岡県にありますが、天竜川の静岡県側には家などはほとんどないので、この駅の利用者は大部分が鷹巣橋を渡った愛知県側の方なのだと思います。新聞や郵便物などは、この駅まで鉄道で運ばれて、橋を渡って配達されるのだそうです。

 地図を見るとわかるのですが、この駅の両側がトンネルになっています。本当にホームの長さ分くらいしか、線路が地上に現れません。両側のトンネルの写真を撮ってみました。

図 4:北側 図 5:南側

 こんなに険しい地形のところに鉄道が通り、人が暮らしているんだなあと思います。もうすこしいろいろ見たかったのですが、暗くなってしまったらとても大変なので、再訪を誓いながら帰りを急ぐことにしました。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 昨日(3日)は飯田まで古楽の練習に行ってきました。参加者は例によって私と飯田のMさんの2名だけでしたが、いろいろな曲をまる一日たっぷりあわせてきました。とても楽しかったです。






5月5日(水) 日帰りドライブ強行軍(その8)

 3年前のゴールデンウィークに出かけたドライブの話の最終回です。大嵐駅を出たのが夕方の4時半過ぎ、そろそろ日も傾いてきて、心細くなってきました。

 鷹巣橋を渡って北の長野県に向かおうとすると、県道一号線が一部崩落していて大型車は通行止、小型車も片側交互通行の区間があるという標識が出ていました。近くに迂回路はありません。来た道を帰るのはとても時間がかかるし、西側の愛知県豊根村方面も、やはり細い山道で暗くなってからは走りにくそうだし、とりあえず行けるところまで行ってみようと思って走り始めました。

 そもそも交通量のほとんど無い道ですが、対向車は全く通りません。しばらく走ると、片側通行・2t車以上は通行止というところがありました。こわごわ通過した後、山側の安全なところに車を止めて、現場の様子をちょっとだけ見てみました(図1)。

図 1:崩落区間

 雨水などでさらに崩落が進むのを防ぐため、崩れた部分がブルーシートで養生され、土嚢で押さえてありました。流されたガードレールが谷底のほうにくねくねと折れ曲がっていて、見るからに恐ろしい様子です。

 こういう道路をきちんと保守管理をしていてくれる仕事の人がいるんだなあと大変ありがたく思います。ここを過ぎると、道もだんだんによくなって、あとは無事に家に帰り着くことができました。

 秋葉街道を南に下り、いくつもの峠を越え、「日本のチロル」下栗の里を見て、佐久間ダム、富山村、大嵐駅を通って天竜川沿いを走るというとても楽しい一日でした。

<おまけのひとこと>
 連休中だったので、3年前の連休に一人でドライブに行った話を紹介しました。図や写真は準備をしてあったのですが、なんとなく書きそびれていました。明日(5月6日)からは通常の更新に戻る予定です。






5月6日(木) 紙の鎖で組む菱形六面体(その1)

 連休中はドライブの話などを書いておりましたが、紙の鎖で組む立体の話の続きです。連休前に、正方形4つから成る四角柱の側面の形をした紙の筒3つから成る紙の鎖から立方体を組む話をずっと書いてきました。これを菱形六面体でやったらどうなるでしょう、という話を今日から書いていきます。

 過去に何度か書いていますが、菱形六面体というのは鈍角型と鋭角型の2種類があります。立方体を対角線で立てて(図2)、それを垂直に押しつぶすと平たい鈍角型の菱形六面体になりますし(図1)、逆に縦に引っ張ると細長い鋭角型の菱形六面体になります(図3)。

図 1:鈍角型 図 2:立方体 図 3:鋭角型

 さて、この菱形六面体を、立方体と同じように紙の筒で組んでみたいと思います。正方形の場合は4枚を一列につなげる方法は1通りしかありませんが、菱形の場合はでたらめにつないでもうまくいきません。

図 4

 図4にいくつかのつなぎ方を示してみました。この中で、筒の鎖にして菱形六面体が組めるのはどのかたちでしょうか?

(つづく)

<おまけのひとこと>
 我が家は携帯はauなのですが、cdma1x のサービスがもうじき終了するということで、機種変更の割引の案内が来ていました。昔の契約だったので基本料金が高かったので、この際ということで機種を変更して契約も見直しました。



 今まで使っていた携帯です。(私のものと家内のものです。)新しい携帯も、同じ機種の色違いにしました。






5月7日(金) 紙の鎖で組む菱形六面体(その2)

 昨日は、紙の鎖で菱形六面体を組む準備として、そもそも鎖をつくるための菱形4つをつないだ「型紙」はどんな展開図になっているべきでしょうか、という話を書きました。

 答は「V字型」で、このように菱形六面体の側面の筒に組むことができます。

図 1

 これを3つ使って、立方体のときと同じように菱形六面体が組めるでしょうか?

 最初に、立方体のときの組み方を復習してみます。(今日はCGです。)

図 2 図 3

 最初に図2のように組んであったとして、これを図3の向きにします。これは簡単で、図の左右方向を軸に90度回転させれば図3になります。立方体3個を「だんご」に見立てると、3個のだんごが串に刺さっているとすると、その串を軸に回転させるイメージです。

 図3の向きから、緑の筒を上にもってゆくと図4のかたちになります。

図 4

 同じことを菱形の筒でやってみましょう。正方形の筒の場合の図2,図3に相当するものを菱形で描いてみたのが図5,図6です。

図 5 図 6

 この、図5の状態から図6の状態に、簡単にもってゆけるでしょうか?

図 7

 菱形の場合、ただ単に回転させただけだと、向きが変わってしまいます。図7に、図5を転がしたアニメーションを作ってみましたのでご覧下さい。図7の最後の状態と図6が違っているのがわかりますか?

(つづく)

<おまけのひとこと>
 今朝は早く目が覚めてしまったので、1時間ほどかけてこれらのCGを作りました。






5月8日(土) 2つの輪と紐の知恵の輪

 週末なので「紙の鎖による菱形六面体」はお休みして、別な話を書きます。

 ちょっとwebで調べ物をしていたら、知恵の輪の環というblogにたどり着きました。思わず全部読んでしまったのですが、その中に、2つの輪と紐の知恵の輪が紹介されていました。

 面白そうだったので、今朝、手元にある材料で試作して遊んでみました。

図 1

 変形しない金属などの輪に、それよりも長さの短い紐の輪を絡ませたものを2組作ります(図1)。手元にあったリングは、カードなどをまとめるリングなので開閉してしまうものですが、まあそこは目をつぶることにします。

図 2

 この2つをうまく絡ませて、図2のように2つの輪が紐で結ばれるようにします。また、この図2の状態から再び2つの輪をばらばらにする、という知恵の輪です。紐の長さが十分に長ければ、相手の金属の輪を紐の輪の中に通せるので簡単です。それができない紐の長さなのに図2のかたちに持っていけるというところが知恵の輪たるゆえんです。

 私は頭の中だけで考えたのでは解けなかったので、実際に作って試してみて感動しました。こういうのを初めて思いついた方は本当にすごいなと思います。紐はもうちょっと短くてもよかったかもしれません。簡単に作れますので、ぜひ試してみることをお勧めします。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 週末はパズル以外の話を書こうかなと思っていたのですが、今朝はこの知恵の輪が面白かったのでご紹介したくなったのでした。






5月9日(日) 3つの輪と紐の知恵の輪

 昨日の、2つの輪と紐の知恵の輪の3つバージョンを試してみました。3つになると、解くのはややこしくなりました。

図 1

 カードリングを使っているので、絡まって戻せなくなってしまったら、あっさりリングをはずしてほぐすことができます。研究用には最適です。

 ただ、一生懸命やっていたら、ひもの結び目がほどけてしまいました。(ひもが「ほどける」も「とける」も同じ「解ける」という漢字になるのですね。)何か工夫が必要です。

<おまけのひとこと>
 お休みの日は、前日にとてもはやく寝てしまって、朝は4時とかに起きていろいろやっています。今日は「母の日」ということで、ちょっとしたお菓子を実家に送ったのですが、お礼の電話があったときにそんな話をしたら、家系だねと笑われました。






5月10日(月) 紙の鎖で組む菱形六面体(その3)

 紙の鎖で組む菱形六面体の話に戻ります。

 立方体の時には、3つの筒をこのような位置関係にすることで組むことができました。

 菱形六面体の場合も、同じような位置関係にします。正方形の筒とちがって、この位置にもってこようとすると、筒の向きは唯一に定まります。

再掲図 図 1

 この向きにすると、図2のようにきれいに菱形六面体になります。(今日はこのアニメーションをご紹介したかったのでした。)

図 2

 ところが、緑の筒を菱形1枚分だけまわして図3の向きにすると、これは組めません。

図 1(再) 図 3

 緑の筒ののこりの2つの面は、そもそも回そうとしても、白い菱形に対して菱形の対角線の長短が逆になってしまうため、合わせることができません。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 この週末は、「数学文化」の原稿を書きました。図を描くのが楽しかったです。今回の菱形六面体も、CGを工夫するのが楽しいです。






5月11日(火) 紙の鎖で組む菱形六面体(その4)

 先日も書きましたが、菱形六面体には2種類のかたちがあります。鋭角型と鈍角型です(図1)。

図 1

 菱形は、90度より小さい尖った鋭角と、90度より広い鈍角を持っています。鋭角菱形六面体は鋭角が3つ集まる頂点があります。鈍角菱形六面体は鈍角が3つ集まる頂点があります。どんな菱形であっても鋭角菱形六面体は作れますが、鈍角が120度以上になると(=鋭角が60度以下になると)鈍角菱形六面体は作れなくなります。なぜなら1つの頂点に鈍角が3つ集まれなくなるためです。

 菱形4枚の筒を3つによる紙の鎖から菱形六面体を作るパズルでは、鋭角型と鈍角型の両方を作ることはできるのでしょうか? それとも、鎖の組み方を変えないと、この2つの菱形六面体は作れないのでしょうか? (もちろんここで使う菱形は、鋭角が60度以上ある、どちらのタイプの菱形六面体も構成できる菱形であるとします。)

 結論から言うと、同じ鎖からどちらの菱形多面体も作れます。実際に作ったものを写真でご紹介します。

図 2 図 3 図 4

 図2〜図4は鋭角型です。 図4で、最後までパーツを押し込んでしまうと引き抜くのがちょっと大変になってしまうので、途中で止めてあります。

図 5 図 6 図 7

 図5〜図7は鈍角型です。写真で見ると立方体に見えるかもしれませんが、非常に平たい菱形六面体です。

 パーツを用意するのは簡単ですのでぜひ作ってみることをお勧めします。正方形の筒と違って組むのはちょっと大変かもしれません。特に鋭角型と鈍角型を自在に組み分けるのは、慣れないと意外と大変です。が、それだけに大変面白いパズルです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 今年も2月にリスーピアでワークショップを担当させていただいたのですが、そのときのレポートが公開されていました。こちらです。このところご紹介している「紙の鎖による菱形六面体」は、このときの題材だったのでした。






5月12日(水) 紙の鎖で組む菱形六面体(その5)

 立方体を紙の鎖で組むとき、各パーツの面の色を白3-黒1,白2-黒2,白3-黒1に塗り分けて用意すると、全面が白や全面が黒をはじめ、任意の2色の塗り分けが実現できるという話をご紹介しました(4月26日のひとこと)。

 それでは、菱形六面体の場合はどうでしょうか? 菱形六面体の場合は昨日も書きましたが鋭角型と鈍角型の2種類があります。1つの鎖で、鋭角型の白と黒、鈍角型の白と黒の全てが作れるでしょうか?

図 1

 これが全部同じ鎖から作れると面白いなあと思う一方、「白の鋭角型と黒の鈍角型」「白の鈍角型と黒の鋭角型」の2種類は作れるような鎖は作れても、4つ全部が作れる鎖は不可能ではないだろうか、というのが最初の私の予想でした。

 先に結論を述べてしまうと、図1の4種類が作れる鎖は存在します。本日以降、その説明をしたいと思います。

 最初に、説明の準備として、菱形の筒の4面にa,b,c,dと名前をつけることにします(図2)。

図 2

 菱形六面体を2色に色分けして作る場合、立方体と同じく黒が1面の筒、2面の筒、3面の筒を用意して鎖にすればよさそうです。正方形の筒の場合は黒が1面といったら1種類しか存在しませんが、菱形の筒の場合はどうでしょうか?

図 3

 図3に、a,b,c,dそれぞれの面を黒にした筒の絵を載せました。以下、便宜上4つの筒の名前もa,b,c,dと呼ぶことにすると、この4つの筒のうち、結局違うものは何種類あるでしょうか? (もうすこし丁寧に言うと、この4つの筒は全く同じでしょうか、それともどれかとどれかは右手と左手のように鏡像の関係でしょうか、それともそれ以外の関係のものもあるでしょうか。)

(つづく)

<おまけのひとこと>
 デイリーポータルZ:普通が普通じゃなくなってる信州そば屋めぐりという記事に、上田の刀屋、草笛というお蕎麦屋さんが紹介されていました。刀屋は実家の近くのお店で、昔は出前をしてもらったりしていたお店でした。とてもおいしくて量もたっぷりでお勧めなお店です。池波正太郎が贔屓にしていたという話も聞いています。
 デイリーポータルZで上田の食べ物の話といえば、上田 佐久は五目焼きそばの街なのか?という記事もありました。この記事の最後の囲みに「上田市民は日昌亭派と福昇亭派に二分される」という意見が書かれていますが、私は福昇亭派です。






5月13日(木) かくれんぼパズル

 昨日は朝忙しくて、更新のためのhtmlファイルの作成はちゃんとしたものの、データをサーバに転送する作業の途中で割り込みが入って、昨日分の画像ファイルだけ転送したところで家を出てしまいました。昨日の更新の「問い掛け」の答をすぐに書いてしまうのもためらわれるので、今日は臨時で違う話を書きます。

 もう5年も前になりますが、京都の葉樹林さん(前のお店)に遊びに行ったことがあります。とてもとても楽しかったのですが、そのときにいろいろ購入させていただいた中に、「かくれんぼパズル」というのがありました。

図 1

 ピースの形状や問題がはっきりわからない写真のほうがよいのかなと思ってこんな画像にしてみました。

 ちょっとかわったかたちをした4ピースを5×5の枠の中に入れて、なおかつ盤面の指定されたマスは完全に覆いなさい、というパズルです。私がいただいたものは非常にシンプルなデザインでしたが、そこも気に入っています。(私の手元にある図1のものは、問題が4問ついていたのですが、実は4問目はまだ解けていません。)

 パズル販売サイトのtoritoかくれんぼパズルを見ると、覆うべきマス目には動物のイラストが描かれるようになって、問題も10問あるそうです。

 さらに、パズル販売メーカーのThinkfunからも、CoverYourTracks(足跡を隠せ)という名前で販売されているようです。こちらは百町森のサイトで紹介されていました。ThinkfunのCoverYourTracksのページには、ボーナス問題として20問がpdfでダウンロードできるようになっています。とりあえずありがたくダウンロードだけはしてあります。

 非常に秀逸なアイディアのパズルだと思います。面白いです。

<おまけのひとこと>
 かつて仕事の上でお世話になったかたからこのサイトをご覧頂いているというメールを頂いて、大変嬉しく思っています。

 せっかく書いたので、今日はサーバへの転送を忘れないようにしないと…






5月14日(金) 紙の鎖で組む菱形六面体(その6)

 菱形4枚で筒を作って、そのうち1面にだけ色を塗ったとき、違う種類のものは何通りあるでしょうか?という話をしています。今日はその解説をします。

図 1

 図1のa,b,c,dの4つの筒は同じかどうか調べるため、aに注目して、それを回転させてみましょう。

図 2

 画面の左右方向、上下方向、前後(画面の奥行き方向)の3つの軸を考え、それぞれの軸のまわりに180度回転させることを考えます(図2)。aは手前右側の面が黒く塗られています。画面の上下方向の軸で回転させると、黒い面は奥の左側になるはずです(c?)。画面左右方向の軸のまわりに回転させれば、黒い面は奥の右側に来ます(d?)。最後に、画面の奥行き方向を軸に回転させると、黒い面は手前左側に移ります(b?)。

 …ということは、この4つの筒は「同じ」なのでしょうか?

 残念ながら(?)そうではなくて、aを回転させて同じになるのはbだけです。aをどのように回しても、cとdとは同じにはできません。ここが菱形多面体の厄介で面白いところです。図3に、aを実際に回転させたときにできる菱形六面体の筒の図を載せましたので、考えてみてください。

図 3

 このように、aとbが同じでcとdが同じ、なのです。図4のように、cとdを並べて、その奥に鏡を立てたとしましょう。そうすると鏡に映る像がbとaなのです。(図学的には鏡の位置が変ですが御勘弁ください。)

図 4

 以上のように、1面だけが塗られた菱形の筒は右手型と左手型の2種類があることがわかりました。3面を塗った筒も、もちろん同じように右手型、左手型があります。それでは隣り合う2面を塗った菱形の筒は何通りあるでしょうか?

図 5

(つづく)

<おまけのひとこと>
 阿原先生のblogで、先日の2つの輪のパズルにコメントをいただきました。ありがとうございます。






5月15日(土) Osker's Lab Mouse

 パズルファンならばおそらく名前をご存知の、Oskar van Deventer氏が2003年にデザインされた、Osker's Lab Mouse というパズルがあります。こちらのページのJava アプレットで遊んでみることができるのですが、ルールを簡単にご紹介します。

 ねずみが1匹ずつ入ったケージ(cage:かご)が3つあります。それぞれのケージは4つの部屋に分かれていて、各部屋は一方向にだけ通れるトラップドアで一巡できるように繋がっています。

 それぞれの部屋には1から4の番号が振られています。手元には1から4のスイッチがあって、それぞれの番号のスイッチを押すと、3つのケージのその番号の部屋の明かりが灯ります。もしもその部屋にねずみがいたら、ねずみは明かりにびっくりして隣の部屋に逃げ込みます。

図 1:初期状態

 このパズルの目的は、3匹のねずみを、それぞれのケージの右下の壁のカーブした広い部屋に同時に入れることです。

 最初は3匹とも1番の部屋にいますから、1番のボタンを押すと3匹とも動きます。その結果、Aのねずみは2番の部屋、Bのねずみは3番の部屋、Cのねずみは4番の部屋に入ります。

 Aのねずみは目的の部屋に入っているので、ここに留めておきたいところですが、Cのねずみが右下に入るためには、Cのケージの右上の2番の部屋を通ってゆかなければなりません。とすると必ず2番のボタンを押さなければなりませんから、そのタイミングでケージAのねずみはせっかく入った右下の部屋から出て行ってしまいます。

図 2:ゴール

 手軽に解ける面白いパズルだと思います。このパズルのルールを一般化して、どんな条件のときにこのパズルが解けるのかを考えてみるのはちょっと面白そうだなと思います。

<おまけのひとこと>
 今日は週末ですが仕事です。






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