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2024.12.31 公開

ひとこと



10月28日(火) 幾何学の作図の話(その1)、あやとり(中央が離れた「長い垣根」)

 幾何学の作図の話とあやとりの話です。



 A Hierarchy of Geometric Constructions(MohammadJavad Maarefvand (Sharif University of Technology)) という論文を arXiv.org で見かけました。この論文で言いたいことはこの表なのだと思います。

Table.1 of above paper

 一番上、「定木とコンパス」(Ruler and Compass) では平方根や1/3は作図できるし、正十七角形も作図できるけれど2の立方根とか円周率は作図できない。有名なギリシャの三大作図問題(円積問題:円周率の作図、立方体倍積問題:2の立方根の作図、角の三等分の話を思い出します。

 2行目、折り紙(Origami)や目盛り(マーク)付き定規(Neusis)を使うと三次方程式の解を作図できるようになるので2の立方根が作図できるが、超越数である円周率は作図できない。(前例にならって目盛りのないものさしを「定木」、目盛りがあるものさしを「定規」、と漢字の表記を変えてみています。)

 そこから下は論文をちゃんと読んでいないのでまだ理解できていません。折り紙の技法によって立方根が作図できるというのは非常に面白いですし、何より Origami という日本語由来の単語が学術用語として定着しているのは嬉しいです。

 この論文からいろいろ連想しました。まず、「定木とコンパス」で作図できるのは有理数体 ℚ およびその二次拡大です。体(Field)というのは代数構造のことで、群・環・体の定義を一緒に学ぶとわかりやすかったです。体は乱暴に言うと足し算と掛け算が定義されていて、その単位元、逆元が存在していて四則演算が自由にできる(四則演算した結果もまたその集合の中に存在している)代数構造です。整数 ℤ は割り算の結果が整数にならないことがあるので演算が閉じていないので体ではありません(掛け算の逆元が集合に含まれない)。

 この二次拡大というのが面白くて、有理数体 ℚ に平方根、例えば√2を加えたℚ(√2) 、つまり { a + √2 | a,b ∈ ℚ} は四則演算で閉じているのですね。(任意の有理数 a, b, c, d を考えたとき、a+b√2 と c+d√2 の加減乗除はすべて p+q√2 のかたちになる、という意味です。)まるで複素数のようです。

 では、整数 ℤ は環の構造を持っていますが、同様に整数に√2を加えたℤ(√2) 、つまり { a + √2 | a,b ∈ ℤ}を連想したのです。昔、Sternmosaikという木のタイルのパターン例をCGで描きたいと思ったことがありました(2004年3月13日)。

[01]
[14]
[15]

 このタイルの頂点が存在する可能性がある座標がℤ(√2) : { a + √2 | a,b ∈ ℤ} になっていたなあと思ったのです。

モザイクタイルのパーツの頂点が位置する可能性のある格子

[01] [16]

 タイルを配置したときの座標値に二次拡大が現れる面白い例だなあと思ったのです。本題の幾何学の作図の話とはぜんぜん違う連想をしたのでした。



 昨日に続いて「長い垣根」の中央分離型です。

「中央が分離した長い垣根」

 「垣根」の手順に1か所変化させることで中央を分離させることができました。

「長い垣根」


<おまけのひとこと>
 自然数 ℕ、整数 ℤ、有理数ℚ、実数ℝ、複素数ℂ の集合を表す白抜き太字のブラウザでの表記法がわからなくて調べてみました。手元のブラウザでは表示できているようですが大丈夫でしょうか。




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