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江の川眺めながら… 第2回

(01年11月の旅)

江の川

車窓展望・三江線

 江津駅から乗客8人を乗せて、ゆっくりとディーゼルカーは出発する。むろん、私を除けばすべて地元の人のようで、観光やマニアの姿はない。右カーブを切りながら山陰本線から分かれ、少し走ったところで江の川と合流。そしてすぐに江津本町駅に到着する。ここで学生が1人乗車した。

 「学生が・・・」と記述を始めたところで、ボールペンに異変が起こった。なんと、インクが切れてしまったのである。これは久々の旅先での大ピンチに見舞われた。もう少し早いタイミングでインク切れが分かっていたら、どこかでボールペンを購入するという手段も取れたのであろうが、列車内ではどうにもならない。乗っている学生から有償で分けてもらおうかとも思ったが、それもみっともない。仕方がないので、ボールペンの筆圧を頼りに、記述を続けることにする。

 このあたりの江の川は、河口近くだけあってなかなか川幅も広い。雄大な流れを見せてくれる。三江線は、その川岸をぬうようにして路線が作られており、小さいトンネルがかなり多い。しかも、地形に忠実な路線のために頻繁にカーブを切っている。車内に車輪とレールがこすれる金属音が響く。

川平駅

 川平駅に到着。ここは二面のホームであるが、片側のホームは事実上使われておらず、レールもはがされていた。かつて本数が多いときは交換駅の役目を果たしていたのだろうが、もはやその必要はないといったところだろう。

 江の川がずっと平行して流れているので、景観はなかなかよい。川はゆったりと流れているが、さほど高くはないとはいえ山が迫っているという光景は、日本全国広しといえども、そうめったに見られる車窓ではない。このあたりをひとつ売り物にしてみたらどうかとも思うが、いかがなものだろうか?。

 川戸駅で10人ほどの乗車があった。閑散としていた車内がようやく活気付く。しかし、小駅の一つ一つで降車していくので、だんだんと車内は閑散さが戻っていく。近距離利用者が多いことを物語っている。比較的駅間が短いため、ひとつの町村に中心駅といくつかの周辺駅があるという状況を繰り返す。したがって、中心駅で乗車し、周辺駅で降車するというのがこの路線の特徴といえよう。むろん、時間帯によってはこの逆のケースになるのだろう。

 ちょうど全路線の3分の1ほどにあたる石見川本駅まできて、始発の江津から乗車し続けているのは私ひとりになった。このあたり、周辺の山々もどんどんと深くなっていく。江の川は相変わらず雄大な流れをキープし続けている。それほど勾配はきつくないようである。
 

(つづく)
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