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おすすめ記事	2000年１月（各都道府県の都市システム　ＥＥＡとリヒテンシュタイン）　1999年12月（大晦日 12／26）　2000年1月（テラロッサ　アーケード）　2月（インディヘナ　大鑽井盆地　英国　マラ）
	3月（サンゲンアジャホ　青年さ～ら　湖沼国境）　４月　第三のイタリア　七つの海

２００２年７月２日　リサーチ・トライアングル・パーク

　今日は、みかんちゃんさまから頂戴した疑問です。

みかんちゃんさん

　ノースカロライナ州に、「リサーチ・トライアングル・パーク」と呼ばれる先端産業集積地がありますが、ある本には、その場所のことを、単に、「リサーチ・トライアングル」と書いてありました。パークをつけたりつけなかったりするのはどうしてでしょうか。

さ～ら

　リサーチ・トライアングルと呼ばれるのは、ノースカロライナ州東部にある州都のローリーと、デューク大学のあるダラム，ノースカロライナ大学があるチャペルヒルの３都市を結ぶ地域のことです。

　そして、リサーチ・トライアングル・パークというのは、このトライアングルのほぼ中央にある研究都市のことです。アメリカ合衆国には、リサーチ・パークが１５０個ほどありますが、リサーチ・トライアングル・パークもその一つで、アメリカ合衆国のリサーチ・パークとしては、最も成功している例だといわれています。

みかんちゃんさん

　リサーチ・パークって何ですか。

さ～ら

　インドストリアル・パークというのは普通の工業団地ですが、リサーチ・パークはこいつに研究という付加価値がついているものです。普通の工業団地と違って、リサーチ･パークは、近くに有名大学があって、そこに研究開発型の企業や研究所をつくると、その有名大学と連携することができるというすぐれた立地条件をもっています。なおかつ、その周りに快適で住みやすい環境があります。そういう最先端で魅力的なところなんです。

みかんちゃんさん

　付近に大学があり、研究開発型の企業や研究所が集まっているようなところといえば、シリコンバレーもそうですね。

さ～ら

　そうです。シリコンバレーは、スタンフォード大学が、大学に隣接してもっている土地に企業の研究所を誘致したことがきっかけとなり、そこを核としてサンフランシスコ市やサンノゼ市の方向に研究開発型のベンチャー企業が立地し、ハイテク産業の一大集積地となったものです。スタンフォード大学が隣接地に企業や研究所を誘致したのは１９５１年ですから、ずいぶん前ですね。この約２９０haの土地を、スタンフォード･リサーチ･パークといい、これがシリコンバレーの核ですね。

みかんちゃんさん

　ノースカロライナ州の場合も、リサーチ・トライアングルの核に当たる部分が、リサーチ・トライアングル･パークと考えていいわけですね。

さ～ら

　まあ、そういうことです。でも、試験では、そこまで神経質になる必要はありません。シリコンバレーと違って、リサーチ･トライアングルの場合は、その用語を書かせる問題はなく、選択肢から選ばせる問題しか出ないと思いますから。
（付記）右図参照。この地図にはダム湖も描かれていて、ローリー（Raleigh）が滝線都市だってことも、何となくわかります。手持ちの地図帳で見ると、チャペルヒル（Chapel Hill）の南のダム湖はCape fear川、ダラム（Durham）の東のダム湖はパムリコ湾に注ぐNeuse川にあることや、ローリーがピードモント台地と大西洋岸平野の接点に、ダラムとチャペルヒルがピードモント台地の上に、それぞれ位置することなどがわかります。

みかんちゃんさん

　スタンフォード･リサーチ・パークが成功したから、各地でその真似をして、アメリカ全体で１５０ものリサーチ･パークがつくられていったんですね。

さ～ら

　そうです。スタンフォード･リサーチ･パークは、世界で初めてつくられたリサーチ･パークで、リサーチパークの元祖です。リサーチ･パークと聞けば、スタンフォード･リサーチ･パークが連想されるわけで、たいへんいいイメージをもちますから、用地を売却する側としても、インダストリアル･パークという名称をつけて売るより、土地が高く売れていいんです。だから、工業用地を開発する場合、大学に近い場所を開発し、そこを「なんちゃらリサーチ･パーク」とネーミングして売り出すようになったんです。

みかんちゃんさん

　そういえば、日本にも、「なんちゃらインダストリアル･パーク」とか「なんちゃらリサーチ･パーク」というのがありますね。

さ～ら

　そうですね。「なんちゃら工業団地」として売り出すより、「なんちゃらインダストリアル・パーク」とか、「なんちゃらリサーチ・パーク」という名で売り出すほうが売れるんじゃないか？って考えているんでしょうね。企業としても、郵便や名刺の住所に「なんちゃら工業団地内」と書かれるより、「なんちゃらインダストリアル･パーク内」とか、「なんちゃらリサーチ・パーク内」と書かれるほうがイメージがいいと考えるかもしれませんね。

みかんちゃんさん

　でも、工業団地とインダストリアル･パークは日本語と英語の違いだけで、同じ意味でしょう？　それと、リサーチ・パークの日本語訳は何でしょう？

さ～ら

　同じ意味だと知っていても、工業団地と聞けば、工場ばっかで殺風景なイメージじゃないですか。パークの方は、緑豊かで噴水もあるような公園のイメージをもつ人も多いと思いますよ。リサーチ･パークの日本語訳は「研究団地」ですが、これじゃ買い手はつきませんね。研究に没頭するオタク集団が住んでいる住宅団地だと思われるかもしれません。「そんなんとは違うぞ！」っていうメッセイジが入るし、開発するときも、リキが入って、緑を多く残し、自然と調和した工業団地・研究団地づくりをするんじゃないですか?

みかんちゃんさん

　ふふ、イメージって大事ですよね。で、ふと、思ったのですが、京都府と大阪府、奈良県の府県境に「京阪奈学研都市」というのがありますね。三つの府県にまたがっているので、トライアングルを連想するんですが、リサーチ･トライアングル･パークを念頭においているんでしょうか？

さ～ら

　リサーチ･トライアングル･パークとだぶらせて、ああいう風になったらいいなって考えている人もいるようですね。それから、スタンフォード･リサーチ･パークは狭いんですが、リサーチ･トライアングル･パークの方は２８００ｈａもあって、広いんです。どこに研究所があるのかわからないくらいの森で、森林公園と言ってもいいような感じらしいですよ。そうそう、筑波の学園都市も、リサーチ･トライアングル･パークの成功がきっかけで開発されたようです。リサーチ･トライアングル･パークの開発は１９５９年で、けっこう古いんです。

２０００年６月３０日　普遍原料かつ重量減損原料を使う工業

　アルフレッド・ウェーバーの工業立地論について一席ぶつときには、原料を、その分布によって、どこにでもある普遍原料と特定の場所にしかない局地原料に分け、また、製品にしたとき重量が変化するかどうかによって、製品にしたとき重量が減る重量減損原料と、形が変わるだけで重量が変化しない純粋原料とに分けたうえで、次のような表を作って、立地因子の輸送費に関して、うだうだと説明しますね。

	普遍原料（例：水・空気）	局地原料（例：鉄鉱石・石炭）
重量減損原料（○→ ｏ）	市場指向　（例：ビール・清涼飲料水）	原料産地指向（例：鉄鋼など）
純粋原料　　　（○→□）	市場指向　（例：ビール・清涼飲料水）	不定（輸送費が立地因子とならない）

　ところが、この表を見た金時クンは、表の中に書いてある例に注目し、恐ろしいことを質問してくれた。

金時クン
「市場指向型工業の『ビール･清涼飲料水』は、どちらかというと、普遍原料かつ純粋原料を使う工業の例ですよね。」
さ～ら
「そうだね。」
金時クン
「じゃあ、普遍原料かつ重量減損原料を使う例にはどんな工業があるんですか？」
さ～ら
「・・・　（内心：たじたじ）」
金時クン
「・・・　（内心：おりゃ，おりゃ、言ってみろ、どんな例があるというんじゃぁ～い！）」
さ～ら
「（え～と、え～と、困ったちん。）　水や空気を使う工業でぇー・・・（え～い！ウソでもいいわい！）、たとえば、空気を原料にして窒素や酸素を作る工業（*）とか、水から不純物を取り除き、そいつを分解して・・・、なんて工業（**）があれば、　重量が減る（はずだ。よく知らないが。。。）から、その例に該当します。該当しま、該当し・・・、該当・・・、該当する・・・、と思いませんか？」
金時クン
「・・・」
さ～ら
「・・・（え～い！『うん』と言え、『うん』と！）
金時クン
「なるほど、わかりました。（と、答えておくか。まっ、ここは大人のつきあいで、矛をおさめておこう。）」

　こんないいかげんなお答えでいいんでしょうか？　まっ、理屈のお勉強なんだから、例なんかどーでもいい、屁理屈でもいいわい！と思っているのですが、それにしても、もっとまともな例はないのかしらん（と思う今日この頃のさ～らでした）。

（*）　　窒素や酸素は、空気を冷却することにより分離・精製して製造されます。
（**）　水から氷を作るなんてのはどーでしょうか？

２０００年６月２９日　お天気調べごっこ－網走の最高気温記録の謎－

　さきほど、ＮＨＫで、「ヒートアイランド」という番組を見て、都心の高温域に吹き込む海風の果たす役割にうなった。それで、１ヶ月ばかり前に、ブンちゃんさまから頂戴した疑問を思い出しました。

　フェーン現象に驚きたいときは、日本各地の最高気温記録の統計を見ますね。山形４０．８℃（１９３３年７月２５日）、甲府３９．８℃（１９９４年８月４日）などが、那覇３４．９℃（１９９１年７月１１日）、東京３０．１℃（１９９４年８月３日）、大阪３９．１℃（１９９４年８月８日）などに比べて高温であることを知ると、「にゃるほど！恐るべしフェーン現象！」と納得するからです。

　ところがそのとき、ブンちゃんさまは、北海道の中での最高気温記録が網走の３７．６℃であることに目をつけ、「網走はどうしてこんなに暑いの？」という疑問を出してくれました。恐らくはフェーン現象だろうと思ったのですが、自信がないので、「調べてみます。ただし、回答は大学合格後になるかもしれません。」と言っておきました。

　このところ寒い梅雨が続いており、今年はエルニーニョ年になる可能性もあり猛暑にならないかもしれないなあ、なんて思っていたが、ＮＨＫ番組の「ヒートアイランド」を見て、このブンちゃんさまご提出の疑問「網走最高気温記録の謎」を思い出し、合格前に回答してもいいかな？と考え、ちょいと調べてみました。

　まず、網走が最高気温を記録したとき、北海道の他の都市はどうだったんだろうと思い、北海道諸都市の最高気温記録を調べました。

北海道諸都市の最高気温記録

網走（℃）	37.6 1994年8月7日	37.0 2000年7月31日	36.0 1924年8月11日	35.8 1938年8月19日	35.8 1905年7月12日
帯広（℃）	37.8 1924年7月12日	37.4 1976年7月26日	37.0 1994年8月7日	36.7 1924年7月15日	36.4 1925年7月31日
札幌（℃）	36.2 1994年8月7日	36.0 2000年7月31日	35.9 2000年8月1日	35.8 1943年7月21日	35.5 1924年7月11日
紋別（℃）	36.3 1978年7月13日	36.1 2000年7月31日	35.4 1978年7月29日	35.2 1994年8月7日	35.2 1978年7月11日
旭川（℃）	36.0 1989年8月7日	35.9 1928年8月19日	35.5 1978年8月3日	35.4 1984年8月16日	35.3 2000年8月1日
北見枝幸（℃）	35.0 2000年7月31日	34.6 2000年8月1日	34.0 1978年7月11日	33.4 1999年8月9日	33.4 1999年8月8日
小樽（℃）	34.9 2000年8月1日	34.7 1978年8月3日	34.4 1999年8月3日	34.2 2000年7月31日	34.2 1960年8月8日
倶知安（℃）	34.4 1999年8月8日	34.2 1994年8月10日	34.1 2000年7月31日	33.9 1999年8月4日	33.6 1971年8月6日
江差（℃）	34.4 1999年8月4日	34.0 2000年7月30日	33.8 2000年7月31日	33.8 1978年8月3日	33.6 1989年7月29日

　すると、網走の最高気温記録日の１９９４年８月７日は、帯広・札幌･紋別でも暑かったこと、網走で２番目に暑かった２０００年７月３１日は他の多くの都市でも暑かったことがわかりました。そして、両方の日ともに、網走の最高気温が最も高いこともわかりました。北海道が暑いとき、なかでも網走が最も暑くなるときがけっこうあるようですね。なぜなんでしょう？

　そこで、北海道が暑かった日の天気図をネットで調べてみました。

２０００年７月３１日の天気図　→雲の様子	１９９９年８月４日　→雲の様子

天気図は　wind and wave online system	雲の様子は仙台市科学館気象データベース

１９９４年８月７日の天気図なし　→雲の様子

東北大学情報シナジーセンター　日本画像データベースJAIDAS

　と、なんやら見ているうちに、記憶がよみがえってきました。世界に向かって公言する必要はまったくないのですが、１９９４年といえば、愛妻と結婚した年ではあ～りませんか。そういや、あの年は確かに暑かった。いや、熱かった（いまも熱々ですが←誤解無きよう、念のため）。

　１９９４年は、全国的に７月から８月にかけて最高気温を記録し（→ここ参照）、７月１６日に佐賀が３９．６℃、８月４日に甲府が３９．８℃、８月５日に津が３９．５℃、８月７日に岐阜が３９．７℃、８月８日に京都が３９．８℃、８月１２日に上越高田が３９．５℃、８月１４日に富山が３９．５℃、富山の伏木が３９．７℃。

　あたしゃ、この年の夏は奈良で暮らしていたが、奈良は８月８日に３９．３℃。これらはいずれも各都市最高気温になりました。札幌の８月７日の３６．２℃は１４０年に一度の確率、長野の８月１６日の３８．７℃は２０００年に一度の確率の猛暑らしい。いま住んでいる長野県の家では、ふだんの年なら夏でもクーラーは不要で、夜は涼しいからガラス戸を締め切って寝るのだが、この年はさすがに耐え切れず、有史以来初めて、網戸というものを買ってつけたのであります。

　網走では８月７日にハーフマラソンが開催されたが、この日３７．６℃で、７０年ぶりの記録更新、記録的猛暑のため養鶏場の鶏１０万羽が死んだそうだ。そうそう、にわとり、にわとり。そんなニュースもありました。

　全国的に暑かったことはわかったが、なぜ、北海道で網走が特に暑かったのか？

　１９９４年の天気図は、ネットでは見つからなかった。『気象年鑑』やCDＲＯＭ版で出ているものをみればわかるのですが、無念、ＣＤＲＯＭは買ってないし、『気象年鑑』は冷夏だった年の１９９３年版しかもっていない。しかたががないので、２番目に暑かった２０００年に７月３１日の天気図で我慢します。

　この年の夏の猛暑は、天気図を見れば、なんとなくわかるが、日本の東の海上に張り出した高気圧から日本海の前線に向けて熱い空気が流れ込んだのが原因らしい。太平洋高気圧の勢力が強くて、かなり北に位置するのが味噌かな。こういうときは、特に日本海側の富山以北から北海道のオホーツク海側にかけての地方では、これにフェーン現象も重なるもんだから、記録的な猛暑となります。この日は、富山で最高気温３８．８℃、輪島で３８．２℃。北海道もとんでもない状況になり、札幌で３６℃。そして、北海道テレビの記事によると、オホーツク海側はフェーン現象により特に高温となり、網走は午後２時半過ぎに７月の気温としては過去最高の37度を記録。ちなみに、この日の那覇は天気が悪くて２６．９℃だったから、網走は那覇より１０℃も高温でした。

　はは～ん、やっぱり、フェーン現象でいいみたいですね。そこで、網走とはどんなところかを調べますと、

管内は、西側に北見山地と石狩山地、南から東は阿寒・知床の山並み、北東方向にはオホーツク海と、周りを山と海に囲まれた地形となっています。周りの山による天候への影響は、雨雲がさえぎられるため降水量が少なく、日照時間の多いことや、山越え気流によるフェーン現象で高温となることです。（網走地方気象台ホームページより）

　もうこれで、悩みません。北日本と東日本の高温記録について問われたら、すべてフェーン現象で説明しきってしまうことに決めました。

　これを書いている今、足元が寒くてたまりません。今年の梅雨は涼しいですね。寒い梅雨に油断して、つい暑い夏の話をしてしまいましたが、今年の梅雨明けはどのくらい暑くなるのでしょうか？　なんとなくそんなに暑くないような気がするが、ちょっぴり不安。

２００２年４月２４日　地理事始

　新年度の地理の勉強は、まだ始まったばかりで、新年度に入ってから、まだ疑問をいただいていないので、今日は、地理事始ということで、地理はちりでも、南米のチリをネタにした暇つぶしメールを公開します。太陽くんとのやりとりです。

　「アルメニアや中央アジアには美人が多いらしい。一般に、混血が進んでいるところは、美人が多い傾向にあるといわれている」などと、みんなの前で与太を飛ばした日の夜、太陽くんが、メールをくれました。

太陽くん

　そういや、昔、学校にチリからの留学生がきたんすけど、やはり美人が多いらしい。混血が進んでいるからかな。

＊注
　チリの人種・民族構成は、本によってさまざまに表現されている。
　　　　古今書院『世界と日本の地理統計』、帝国書院『地理データファイル』
　　　　　　　スペイン系７５％、他の欧州系２０％、先住民３％。
　　　　二宮書店『データブックオブザワールド』　
　　　　　　　メスチソ（白人とインディオの混血）７９％、ヨーロッパ系２０％、先住民１％。
　チリ人に訊ねれば、「自分は、スペイン系（あるいは、他の欧州系）の白人だ」と答える人が多く、それを集計すれば、古今書院と帝国書院の統計のような結果が得られるだろう。しかし、ほとんどのチリ人は多かれ少なかれ先住民族の血をひいており、純粋な白人ではないから、二宮書店の統計も正しい。

さ～ら

　変なこと覚えてますな。チリは、スペインだけでなく、ドイツなど他の欧州諸国からの移民もあるし混血度高いね。ラテンベースでインディオの血が薄く入ると美人になるのかな。なお、チリでは、なぜか、「日本の男、かわいい」ってもてもてみたいらしい。どうだい？　チリに行って、一発、太陽家の子孫を仕込んできたら？

　＊注　チリで日本人男性がもてるというのは、筆の勢いで書いただけです。あしからず。
　平凡社『ラテンアメリカを知る辞典』より引用
　白人はスペイン系（バスク、アンダルシア、カスティリャ地方の出身者が多い）が中心であるが、バルディビア市、オソルノ市を中心とする南部にはドイツ人が多い。このほか、イタリア、イギリス、フランス、スイス、ユーゴスラビアなどからの移民も多い。公用語はスペイン語であるが、南部ではドイツ語も用いられている。

太陽くん

　では、受験が終わればチリへ飛んで、大統領の卵でもつくってくるかな。ペルーのフジモリに対抗できるような。

　＊注　「受験が終われば」と書く受験生がかなりいて、ナイーヴな心の持ち主だなぁ！と、私は感心します。「大学に合格したら」と書きたい！めでたい結果で受験が終わり大学に合格したい！　だけど、勝負は時の運、ひょっとして、すべての大学にふられれば、そこでくじけて、大学進学という希望すら断念するという結果になるやもしれない。そういう最悪の事態まで考えて、こう表現しているんですね。受験生の心ってのは繊細なんだなぁ、って思います。太陽くんも含め、「受験終われば」という表現をした人はみな、めでたい結果で「受験が終わり」、現在、第一志望大学に通っていることを、ここで、報告させていただきます。

さ～ら

　それはいい考えだ！　よっ！大統領の父ちゃん！　その暁には、愚生も、在日チリ大使館の掃除夫として雇ってもらうかな。我輩は、塵とりが、得意だから。待てよ！　そのころ、おいら、生きているのかな？　生きていたとしても、よぼよぼのボケ老人だな。お役に立てそうもない。すまん。

太陽くん

　チリにお招きしましょう。その頃、チリはまだ高齢化してないだろうけど、高齢者雇用問題の走りとして、雇いますよ。それから、息子には銅の値段を上げさせす！

さ～ら

　銅の値段を上げると、先進国から総すかんくって、外圧により、大統領の地位からひきずりおろされる恐れがあります。なお、チリは最近、経済成長していますから、変なことにならなければ、ご子息さまが大統領になる頃には、銅の値段なんか安くてもいいかもしれません。地下資源に依存しない国づくりをする賢明なお子に育てないと、未来の人材としては使い物になりませんぞ。

　＊注　このところの約１５年間、チリは経済成長が高く、特に1997年のGDP伸び率は7.1％で、1990年代以後の中国並みに高かった。現在はそれほどではないが、そんなに悪くはない。最近のGNP／人は約4,500ドルで、メキシコやベネズエラとほぼ同じ。輸出金額に占める割合は、銅が30％弱、銅鉱が約10％。

太陽くん

そうか、ひと勉強になった。社会資本の整備から始めますわ。しょうもないメールにおつきあいさせて申し訳ない。

さ～ら

　こちらこそ、わるのりして、悪かった。試験に出ないがチリの最近の経済成長について勉強しようっと！　１０年後の授業のために。　ん？　そのころもやっているのかな？　この稼業。

　このやりとりで、私からの最後のお返事は、嘘八百であります。１０年後に受験でチリが脚光を浴びるとはとうてい思えませんし、チリの最近の経済成長についての勉強なんざぁ、その後、ちっともやっておりません。しかしながら、こう書いて、こちらも勉強しているんだというところを見せれば、明日を担う若者の向学心をくすぐるのではないかと思い、ウソも方便で書き送っているのであります。あしからず。

　と、まあ、こんな感じで、私は若者たちとメール交換して遊ばせていただき、自らのボケを防止しているのであります。

２００２年４月１７日　演繹と帰納について－プラトーンが唱えた？演繹法－

　綿羊な！　じゃなくて、面妖な！
本サイトは受験地理が専門である。メリノ羊についてひとくさり喋ろと言われれば、喋るのにやぶさかではない。

　私には、哲学する友人が何人かいる。私も哲学し始めるのは好きだが、哲学するのは性分に合わないのか、たいていは、ｔｅｔｕｇａｋｕの「ｔ」の字を書き終わらないとこらあたりでやめている。だから、プラトーンに関して知っている言葉といえば、恥ずかしながら、「プラトニックラブ」だけで、それも真の意味をまったく知らない。それと、およそ文化的なことから最も遠い性格なので歴史小説以外の小説はほとんど読まない。まして、難解な小説は読まない。だから、村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』は、本屋で手にとったこともない。

　にもかかわらず、なぜかわからないが、ねじまき鳥さんという方から、次のような疑問が舞い込んできた。

　突然ですが、　プラトンが唱えた？演繹法のことが、よくわかりません。「一般的なことから、特殊なことを導く」と書いてありますが、実際、なんなのだろうと思いました。

さ～らのお答え

　理屈で考えれば、現実の個々の具体的事例はこうなるはずだ！って考えるのが演繹法（the deductive method）。ＡだからＢ、ＢだからＣの類ですね。現実の個々の具体的事例をもとに考えれば、一般にこんな感じのことが言えるじゃろう！って考えるのが帰納法（the inductive method）、と、私は理解してます。正しい理解ではないかもしれません。この程度の説明では恥ずかしいので、今度、そーくらてーすさんにお会いしたときにお訊ねしてみます。なお、ここに、英語の綴りを書いたのは、「おいらこんな小難しい単語を知っているぞ。」と自慢するためではありません。これらの英単語は、私が受験生の時代に試験によく出た単語なので、今もそうかもしれないと思って、もしそうなら、受験生のためになるんじゃないかと思って書きました。「本サイトに来れば、地理も英語も勉強できてお得なのだ！」ということをアピールして、HPの宣伝をするわけです。

　哲学は詳しくないので、それらの用語の定義を噛み砕いて説明することはできないけれど、「本サイトは受験地理サイトであり、哲学談義をする場ではないので、この趣旨をご理解いただきたい。」などとお答えして、頂戴した疑問に答えないと、「おまえさん、本当のところは答えられないからそう言うんだろう。」とバカにされるに決まってます。バカにされるのは悔しいので、「もらった疑問には、ウソでもいいから答えてしまえ」を信条とする私さ～らは、答えてしまいます。でも、本当は答える能力がないので、「たとえば」という例をあげ、何となくわかってもらえるようなお答えをさせていただきます。

例１

　ケッペンの気候区分は経験的な（empirical←英語の勉強にもなってお得だね）区分、すなわち、自然を観察した結果得られたもの、すなわち、経験的な方法により得られたものです。ほかにアリソフの気候区分ってのがありますが、こいつは経験的ではなく（as distinct from an empirical method based almost entirely on observations　←わるのりしてますな）、自然の法則から導かれたものだと言われます。経験的なものってのは、帰納法で得られることが多いような気がします。自然の大法則から導き出すのは演繹的と言っていいでしょう。

　ケッペンの区分は、現実の地表の植生が似ているところをまとめあげていき、似たような植生のところを同じ気候区とした。これは、特殊かつユニークな個々の事情から出発しているから、帰納法的なやり方であって、演繹法ではありません。

　たとえば、日本はCfa気候に区分されますが、なぜ、Cfaになるかとか、なぜ、夏暑いのか、なぜ年中多雨なのか、などは、ケッペンの区分だけからは、説明できません。「なぜもへったくれもありません。現実がそうだから、とか、そういうところをCfaと決めたからなんです。」としかいいようがないわけで、こりゃまさに、帰納法的説明です。でも、ケッペンの気候区分は特殊なものではなく、一般化されており、多くの人の支持を集めています。
まさに、特殊から一般を導く方法です。

　もう一つの、まれにしか試験に出ないアリソフの気候区分は、ねじまき鳥さんがもし地理好きの受験生でないなら、ご存じないかもしれませんが、気団と前線の季節的移動に着目した気候区分です。

　気団とは、同じ性質をもつ大気のかたまりで、まあ、高気圧の部分と考えればいいです。その気団ですが、地球上には、赤道付近から順に、赤道気団、熱帯気団、寒帯気団などがあるとします。日本付近を例にとると、太平洋高気圧とか小笠原気団と呼ばれるやつは熱帯気団で、シベリア気団やオホーツク海気団は寒帯気団です。

　前線とは、気団と気団の境界のことです。だから、赤道気団と熱帯気団の間には熱帯前線が、熱帯気団と寒帯気団の間には寒帯前線がある、という具合になります。日本付近を例にとると、梅雨前線というやつは、小笠原気団とオホーツク海気団の間にあるから、すなわち、熱帯気団と寒帯気団の間にあるから、寒帯前線です。

　地球には季節がありますので、これらの気団と前線は、季節的に南北に移動します。その移動に着目すれば、次のような世界の気候区分が可能になります。

　赤道気団をＥ、熱帯気団をＴ、寒帯気団をＰ、などと表記すると、赤道から順に、
ＥＥ気候：　年中、赤道気団（Ｅ）の影響を受ける気候
ＥＴ気候：　夏はＥ、冬は熱帯気団（Ｔ）の影響を受ける気候
ＴＴ気候：　年中Ｔの影響を受ける気候
ＴＰ気候：　夏はＴ、冬はＰ（寒帯気団）の影響を受け、その交代期に寒帯前線の影響を受ける気候

などという具合に、気候区分ができます。これがアリソフの気候区分です。

　これによると、北海道の一部（ここはＰＰ気候）を除く日本の大部分はＴＰ気候になります。なぜＴＰ気候になるかと問われれば、夏はＴの、冬はＰの影響を受けるからだ！と説明することができます。また、Ｔは高温、Ｐは寒冷、寒帯前線は雨をもたらす、というきまりがありますから、日本の気候の特色を、気候区分の理屈から説明できます。
　一般から特殊はこうなるはずさ！と考えて区分してあるから、一般から特殊を導く演繹法だと言っていいと思います。

　では、どちらがいいか？　それは甲乙つけがたし！です。ケッペン区分には理屈はないが、現実に即しており便利です。アリソフ区分は理屈がすっきりしているから優れているように思うが、現実に照らせば、なんか変だ！という部分があります。たとえば、地中海沿岸地方も日本も、アリソフ区分によると、同じＴＰ気候になります。ところが、現実を見ると、地中海沿岸は冬雨型で、日本は夏雨型で、降水型は全く逆。これを同じ気候区として扱うのは、理屈上では理解できても、感性が許しません！

やっぱ、ＣｓとCfaという別の気候区として扱うケッペン区分がしっくりいくという気になります。　ケッペン区分は、現実を観察して得られた経験的な区分ですから現実にぴったりくるのは当たり前ですが、アリソフのは違います。

例２

　四柱推命という占いは、中国ん千年のデータをもとにして作られているらしい。それが本当だとすると、これは経験的に得られたもので、どちらかといえば帰納法的だ。血液型性格判断も、人間観察の結果、Ａ型はなんちゃら、といい、けっこう当たってるなと思うときが多いが、なぜ？といわれたとき、「なぜもへったくれもありません。あの人もこの人にも当てはまるからそうなんです」という説明をすれば、それは帰納法的説明だ。
　星の動きがこうだから、というふうに、宇宙にあるかもしれない大原則、大理法（があるとすればですが）、そこから出発する占いは、どちらかといえば、演繹法的かな？

例３

　男は同時に複数のことを考えることができないが、女は考えることができる。という法則を、人間観察の達人が発見した。これは、特殊な多くの個々人を観察した結果導き出した経験的な法則だから、その方法は帰納法。

　男は同時に複数のことを考えることができないが、女は考えることができる。という法則を、脳医学の大先生が、脳の中にある脳梁の機能を研究し、電子だかなんだかしらないが、その動きによって、女性は男性に比べ脳梁が太いので、これこれしかじかというメカニズムで、そうなるはずである！と結論づければ、一般から、男女個々人の能力の違いに関する法則を導き出したのだから、その方法は演繹法かな。

例４

　自分のＨＰをもっている受験生の第一志望大学合格率は、ネットができない受験生の第一志望大学合格率に比べ、格段に低い。

　この法則が、長年の受験生観察によってデータをとったうえで発見したものならば、そのみちびきかたは経験的で、「どうしてそんなことが言えるんですか？」と聞かれたら、「なぜもへったくれもない！　Ａ君もBさんもそうだったから、そういえるのであーる！」と言うわけなんだが、まさにそれは帰納法ですな。

　自分のＨＰをもっている受験生は、これこれしかじかのメカニズムの働きによりＨＰの更新をしないではいられない。１回の更新には、ＰＣ立ち上げから更新し終わるまで物理的にしかじかの時間がかかるはずであるから、その時間分だけは確実に勉強時間を短縮せざるを得ない。したがって、勉強時間が圧迫され、勉強時間はかくかくしかじかの理由で成績アップに比例するからして、なんちゃら、という具合に、一般から論理的に、ＨＰオーナー受験生不利の法則、ホームレス受験生有利の法則を導き出し、「だから、ホームレスのＣさんは、大邸宅を構えているＤ君に比べて合格する可能性が高い」とか、「Ｄ君、合格するために、ＨＰはお休みしなさい。」と言うならば、こうした方法は演繹法かな。

　んなふうに理解していますが、どうでしょうか？

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