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直径 (π) |
高さ (H) |
重さ (W) |
容量 (CC) |
碗 |
75π |
82mm |
213g |
180cc |
皿 |
160π |
35mm |
298g |
130cc |
前田昭博 白瓷面取珈琲碗
人間国宝 鳥取市河原町
柔らかい、審美の間接光が差し込む光の反映。省略化であるのに、むしろ強調された造形美に影を写し込む「心の醸造器」。一粒の粒子はやがて塊となって、貴方に届きます。推し量るような多情が表れては、印象映像が次々と浮かび上がります。「浮力」を得た魂の器であります。

私は何処に行こうとして、何を探しているのだろうか。日々の移ろいは私を変えるのだろうか。緑の中、一枚だけ真綿色の枯笹葉。今年最初の雪。鉛色の空に帰る鳥。初めて行った映画館の硬い椅子…。「眺めては飽きもせず」何時かの歌にあったように、脳は心地よい憂いを醸し出し、懐かしみ、大海に帆を上げては、何処かに寄港するようです。

音も無く景色を隠す雪のように、肉に混じる小骨を噛み、気づかれぬ様に飲み込む。取り繕いの自己都合を恥じるように。周りに合わせるように。私は誰かを助けてきたのだろうか?手を差し伸べたのだろうか?

「私にも影は在りますよ、綺麗な影に成りました」と。
傷つき、汚れ、腐敗へと傾いていた心に、白瓷(しらし)の清く染まらぬ「白」が、光と影を伴って語りかけてきます。香り高い大吟醸酒のように、「情への発酵」に導いて繰れるかのようです。轆轤を回すその手は勝手に自然に動き出して、土は雑念を取り除くように、練り上げられていきます。更にカッティングにより、光の焦点は趣を加え、影を演出する面との相対に溜息がこぼれます。
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