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以前の「ひとこと」 : 2025年1月後半


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1月16日(木) 「分水嶺の謎」「準平原の謎」

 1月後半です。本を買った話です。



 昨年末に図書館で「分水嶺の謎」という本を借りたのです。カラーの図が豊富で読んでいて楽しかったのでした。全部読み終わる前に返却期限になったので購入することにしました。調べてみると続編の「準平原の謎」という本も出版されているということで、そちらも合わせて買いました。いつものように行きつけの駅前の本屋さんで取り寄せてもらいました。(高橋雅紀著 技術評論社)

 webサイトの感想やコメントを見てみると、好意的な感想だけでなく批判的なコメントもあるようです。帯にも「地質学者が地形額の常識に挑む知の冒険」と書かれているように、これまでの定説に疑問を呈する本のようなので、確かに専門家の評価がどうなのかは気になります。

 著者の説の妥当性を判断できるほど自分には知識がありませんが、地図を読み解いて考察するプロセスを一緒にたどらせてもらえるのは単純に楽しいです。

 書評や感想を集めたサイトを見ていたら、YAMAP 流域地図というサイトを見ながらこの本を読むのがお勧めという情報がありました。私は著者にならって国土地理院の地図を見ながら読んでいたのですが、流域地図というのも面白いですね。

 画面キャプチャ画像を貼り付けてみました。最初、画像のアスペクト比を間違えたかと思いましたが、こういう俯瞰的な投影図になっています。ある地点をクリックすると、その地点が含まれる流域が表示されます。下の図は利根川の流域です。

 この流域地図そのものがいじっているととても面白いのです。たとえば富士五湖、山中湖以外の4つの湖(本栖湖、精進湖、西湖、河口湖)は自然流出する川を持たない内陸湖なのですね。今まで意識したことがなかったのですが、流域地図を見ていたら気が付きました。

 これは面白いです。



 Daniel Litt氏の確率パズルの話、Xにボールの数を減らした考察を投稿して下さった方がいて嬉しくなりました。

 ありがとうございます。


<おまけのひとこと>
 昨日は吹雪いていたのですが、今日はよく晴れています。






1月17日(金) かかりつけの診療所の写真など

 本業もプライベートも忙しくて簡単な更新です。忙しいのはありがたいことではあります。



 50年前からあやとりが大好きだったのですが、本格的に再開したのは2020年ころでした。2021年の春ころに、あやとり協会の文献やYouTubeの動画で知ったあやとり作品の手順を自分用にいくつか整理したものがでてきて、それを自分が閲覧しやすいようにhtml化の作業をしています。2025年度の数学セミナーの「あやとりの楽しみ」の連載の構想をするために過去にやってみたあやとりについて改めて見返しているのです。

 上に貼ったのは単なる画像です。linkは機能しません。いずれ何らかのかたちでご紹介できたらと思っています。



 だいたい2カ月に一度のペースで定期通院しています。もう10年以上になります。八ヶ岳の裾野にある山小屋のような小さな病院です。

 待合室は天井まで吹き抜けになっていて、明り取りの窓から光が差し込んでいます。シーリングファンがあって、上昇する暖気を吹き降ろしています。

 冬場は薪ストーブが燃えていて暖かいです。

 広いウッドデッキもあります。

 広い窓から八ヶ岳がきれいに見えています。この地は寒いのですが、雪は少ないです。(下の写真、人が写りこんでしまったのでヒストグラム補正で黒につぶしてシルエットにしました。室内が不自然に暗い写真なのはそのためです。元の写真はここまで暗くありません。)

 ありがたいことに今シーズンまだ雪かきをしなくて済んでいます。雪が少ないとはいえ気温は普通に毎日氷点下ですから、日陰の道路は凍結を前提に運転します。


<おまけのひとこと>
 Daniel Litt氏の確率パズルの話、Xのほうでさらに考察を進めて下さっていて感心しています。私はなかなか考える時間が取れなくて考察不足です。任意のN個の場合の答を直感的に理解できる表現があるか、という挑戦なのです。例えば三平方の定理の証明はたくさんあって、「なるほど!」と膝を打つような証明がありますが、そんな納得感を探求されているのです。共感します。






1月18日(土) 多面体の系列のCG

 多面体のCGの話です。



 この週末は「数学セミナー」の連載の記事のための写真を撮ったり図を用意したりしていました。その中で、多角柱と多角反柱の系列の話を出したいと思ったのです。言葉で説明するより図を出せば一目瞭然だと思いました。

 最初に適当にこんな図を作ったのです。

 まあこれでもいいのですが、そういえば多角柱や多角反柱の系列を自動生成するプログラムは作ったことがなかったかもしれないと思って、良い機会なので作ってみることにしました。

 側面をすべて正方形にするか、高さを一定にするか迷ったのですが高さを揃えてみました。n=4のときが立方体です。

 反柱のほうは、n=3のときが正八面体です。

 n=2と設定したら、ちゃんと正四面体を描画してくれました。正四面体は正二角反柱です。多角柱のプログラムにn=2を入れたら一枚の板が出力されました。二角柱です。


<おまけのひとこと>
 1月19日(日)の夕方になってようやく、この土日(18日と19日)の更新をしています。






1月19日(日) 衣料品の商品展示用のフック

 ごく軽い内容です。



 枕カバーがかなり汚れてしまったので新しく買いました。また、最近デスクワークで足元が寒いので、レッグウォーマーを買ってみました。レッグウォーマーは今身に付けてみているのですがあたたかくて快適です。

 これらはフックに掛けられて販売されていたのですが、そのフックの部分を分別して取り外しました。商品説明の紙に小さな穴が空いていて、そこに通すことができてかつ簡単には外れないように、切り欠きが設けられています。なんとなくスリットどうしをはめ合わせてみたくなりました。

 一直線にしか組めないのですが、妙におもしろいかたちになりました。



 妻が度々実家に行っているのですが、先週行ったときに月餅をおみやげに買ってきてくれました。

 おいしくいただきました。


<おまけのひとこと>
 明日の朝は更新の時間がなさそうです。火曜日の朝に2日分になってしまうかもしれません。






1月20日(月) 折り紙の箸置き

 簡単な折り紙です。



 図書館で布施知子さんの「折り紙工房」シリーズ(誠文堂新光社)の「おりがみ 〜食卓を楽しく〜」を借りてきました。

 このシリーズはたくさんあるので、中身を見たことがないものも多いです。「箸置き」を折ってみました。(ほかにもいろいろなデザインの箸置きが紹介されています。)

 7.5cm角の正方形の折り紙用紙が推奨されていたので、手持ちの7.5cm角で唯一たくさんある緑の折り紙で折ってみました。

 簡単ですが面白いです。



 新しい枕と枕カバーを使い始めました。

 もう1枚、似たような枕カバーと一緒に買いました。


<おまけのひとこと>
 勤務先でInBody測定というのを受けてきました。昨年後半から踏み台昇降運動をしていたせいか、下半身の筋肉量は良かったのですが上半身は数値が低かったです。






1月21日(火) 折り紙の箸置き(つづき)

 昨日の折り紙のつづきです。



 昨日のかたちが面白かったので、こんなものも作ってみました。

 7.5cm角の正方形が3つつながった用紙を準備して、それぞれで「箸置き」を折ります。向きの自由度がありますが、まずは頂点を揃えました。

 折り方は同じなので重ねることができます。

 使い残しの折り紙を使ったため、色の組合せは全く考慮しませんでした。重ねてみるなら別の色にすればよかったです。



 これも図書館で、「クラシック音楽の大疑問」岡田暁生(2024)を借りてきました。

 表紙がバッハの肖像ですが、一番有名なやや右を向いたもの(小学校の音楽室とかに飾られているカラーのもの)ではなく、やや左を向いたちょっとマイナーな肖像画が使われていて、かつ本のタイトルを顔に敢えて重ね、しかも目だけは透過させるという凝ったデザインになっています。

 知っている話も多かったので軽く読んでいたのですが、5拍子の代表的な曲と言えばジャズの「テイク・ファイブ」と「ミッションインポッシブル(スパイ大作戦)のテーマ」と書かれていたところで、「あれ、あの曲って5拍子だったっけ?」と思ったのです。

 確かにそうでした。

 「テイク・ファイブ」もかっこいいですが、「ミッションインポッシブル」も緊張感がある素晴らしい曲です。これが5拍子だと気付かずに聴いていました。

 これが6拍子だとしたら、とたんに普通になってしまって畳みかけるような緊張感が薄れます。

 改めて感心しました。


<おまけのひとこと>
 昨日は共同研究先のポスドク研究員の方の学会発表の事前練習に参加しました。私も昔学生だったころは自分の指導教官や教授の先生方にこんなもどかしい思いをさせていたのだろうなあと思いながら聞いていました。今の指導は昔のような厳しい言い方はしないのですが、とはいえいくら言い方がやわらかくても指摘している内容の厳しさは軽減されているわけではないので、これはこれで厳しいなあと思いました。






1月22日(水) CG、紐で遊ぶ

 軽い話題です。



 先日の多角反柱のCG、Xのほうにも投稿したら、使用言語と面の着色についてご質問いただいたので、povrayを使っているということ、こんなプログラムであること、を紹介しました。

 1行目に面の色を指定しているのですが、1行目で (1,1,1,0.8)という4次元のベクトルでRGBの諧調が1(最大)であること、透過率が0.8であることを設定しています。この透過率(T)を0から1まで変えてみたCGを描画してみたものを図にしました。



 以前に掲載した写真ですが、あやとり紐はこんな風に収納しています。

 紐の長さに応じて何重かのループにして、固定した小さなすのこ板に結んでいます。

 あやとりを試すとき、紐の長さや素材をを変えたくなることがよくあって、次々と引っ張って外して試します。机の上には紐の山ができます。それを収納するときに、1本1本に分けて解きほぐしてループにします。

 その作業の途中で、なんとなく全体を半回転ひねって8の字にしてみました。

 中央をきれいな格子にしてみました。

 これはあやとり作品とは言えないですが、こういう整った格子状の状態が好きです。


<おまけのひとこと>
 昨日の夕方、暖房用の灯油タンクが空になってしまいました。前回給油してからまだ2週間しか経っていません。今年は家の中の温度差が小さくなるように、廊下や階段もなんとなくあたためるようにしているので燃料の消費量が多いのです。さすがにちょっと考えようか、という話をしています。






1月23日(木) 折り紙を厚紙で

 すみませんまた2日分まとめてしまいました。



 先日の折り紙が気に入ったので、丈夫な紙で作ってみたくなりました。

 10cm×20cmの用紙を用意して、カッティングマットの方眼を利用して1cm幅にけがき線を入れます。軽く折ってみました。軽く折るほうが難しいです。

 しっかり折ってみました。

 いろいろな方向から眺めてみます。

 紙はやっぱりおもしろい素材です。


<おまけのひとこと>
 2月1日から直属の上司が変わることになりました。なんと今年度3人目です。1時間いただいて自分の仕事の内容を報告したのですが、半分も説明できませんでした。来週また時間をいただけることになりました。これまでもそうでしたが次の上司の方も理解があって、自分の仕事の裁量を従来通り大きく認めていただけそうなのでありがたいと思っています。






1月24日(金) 空間を充填する凸11面体(その1)

 多面体の話です。



 こんな多面体を知りました。

 こちら(別窓で開きます)にgifアニメーションファイルを用意しました。4MBくらいあります。

 面の数が11、頂点の数が13です。ということは稜の数は22です。この凸多面体は空間を充填するそうです。菱形十二面体に関係が深い多面体です。

(つづく)


<おまけのひとこと>
 年度末に向けて、成果の追い込みやら報告書の作成、また来年度の計画の準備などに追われています。忙しくてこのページの更新も、過去に週末などに仕込んでおいたものを出しているのですが、毎日はちょっと厳しくなってきました。






1月25日(土) 人形劇ほか

 週末です。忙しいといいつつ、無駄に長い雑文です。



 最初にイベント情報です。

 かみすわ一箱古本市というイベントが本日1月25日(土) 10:00〜16:00に開催されます。

 13時から、人形作家の伊藤竜三さんの人形劇があります。地元の伝承民話に基づく「泉小太郎」というお話です。昨年、諏訪大社の近くで小規模なリハーサルがあったときに見せていただいたのですが、たった一人で舞台の背景を切り替え、複数の人形を操って演じられているのがすばらしかったのです。人間の人形も歩く動作、泳ぐ動作などを簡単にできるように工夫されているのですが、なんといっても圧巻なのは龍の人形です。

 写真の龍の人形が、たくさんのテグス糸で吊られているのが見えるかと思います。これらは何本かの板や棒を組み合わせた操作部につながっていて、この操作部の一部分をちょっと傾けたり角度を変えることで、龍の胴体や4本の足、顔や口の開閉など、様々な部位が可動するようになっているのです。

 背景は大きな布に描かれており、お話の進行とともにちょっとしたギミックで仕掛け絵本のような舞台効果が演出されます。背景画を描くのもギミックを考えて作るのも、劇でそれらを操作するのも全て伊藤さんがお一人でやるのです。さすがに声だけは事前に録音されているものを再生していましたが、逆に言うと録音されたものに合わせて演技したり画面切り替えをしたりしなければならないのです。本当にすごいと思いました。

 AIでリアルな動画が生成できる時代です。でも、こういう人形劇をすべて自分で作って演じたいという伊藤さんの熱意、とても共感するのです。

 お近くの方、よろしければぜひ。



 以下は雑談です。

 2012年9月に勤務先がそっくり別の事業所に移ることになり、高速道路を使っても通勤に片道1時間以上かかるため、当時管理職で忙しかったので勤務先事業所の近くに単身赴任しました。朝7時から夜10時まではずっと会社にいるような生活で、しかも10時に退社したときに指示された仕事が翌朝7時にできていないと叱責されるような環境でした。このサイトの過去のページで、2011年から2013年ころの更新が全くできなかったのはそのためです。単身赴任で家族にも迷惑を掛けながら、プライベートでやりたいこともできないという生活はちょっと違うのではないかと思うようになり、仕事の内容や立場を少し変えてもらい、勤務地はそのままなのですが単身赴任も6年で止めて片道1時間を通うことにしました。(コロナ禍は大変でしたが、在宅勤務ができるようになったのは本当に良かったです。)

 当時、確か2015年ころに会社のロッカーに新品の靴下を一足、何かの時のストックとして保管することにしたのです。急な雨で駐車場から会社に歩く途中で足を濡らしてしまったときとか、当日急に偉い人との会食で靴を脱ぐような場所に行かなければならなくなった時に靴下を替えたいとかいうことを考えたのでした。でも結局それから10年、その靴下は使われることなくずっとロッカーにありました。

 先日、勤務先の健康管理室からInBody計測に来なさいという呼び出しがありました。靴下を脱ぐ必要があります。ついにストックしていた新品の靴下の出番だ!と思いました。つつがなく測定は終わり(昨年の10月〜12月の体調不良のおかげで体重は6kgくらい減っていました)、その靴下を履いて家に帰りました。

 靴下には特にこだわりはないのですが、古くなると新調するので徐々に入れ替わってゆきます。色とかデザインとかも、5年〜10年の時間軸で見ると変わってきています。ずっと保管していた靴下も今と同様に当時まとめ買いしたものなのですが、その当時のものは全て履きつぶして一足も残っていません。仮に靴下に知覚と記憶と心があったとしたら…となんとなく想像してしまいました。

 私は靴下だ。5足まとめて一緒に買われてきて、箪笥に仕舞われた。私の兄弟は一足ずつデビューしていって、しばらくすると洗濯されて箪笥に帰ってくる。いずれ私も使われる日がくるのだろうな、どんなところに行くのだろうか、どんな使われ方をするのかな、と思っていた。 そんなある日、自分だけが小さな袋に入れられて遠くまで車で運ばれて、大きな建物のロッカールームの金属のロッカーの一番上の棚の隅に入れられてしまった。箪笥にいたころは私の兄弟や先輩の靴下だけでなく、いろいろな衣服が出たり入ったりしていたけれど、ロッカーにいるときは一緒にいるのは夜は会社のユニフォーム、昼間は私服の上着だけ。しかも夏の間はロッカーの扉は一度も開かない。(夏はユニフォームを着ないのでロッカーに寄りません。) ユニフォームはときどき連れて帰られて洗濯されて戻ってくるけれど、私だけが一度も使われることなくずっとロッカーに居続けている。

 そんな暮らしが何年も続いた。数年たつとロッカーの扉の開く頻度はどんどん少なくなって、今や1か月に3〜4日しかロッカーは開かれない。(今は基本は週に1日出社です。出社しない週もあります。) お店で買われてからもう10年。一緒に買われた兄弟たちはどうしているだろう。自分はこのまま使われることなく処分されるのだろうか…

 ついに手に取ってもらって履いてもらった! やっと靴下としての役目を果たせる日が来たのだ。懐かしい仲間のところに帰れるだろうか。

 履いてもらった翌日、初めて洗濯をしてもらい、干してもらい、たたんでもらってようやくあの箪笥に帰ってきた。でも自分の兄弟は誰一人いない。見知らぬ靴下ばかりだ。それはそうだ、もう10年も経つのだから、みんなお役目をまっとうして代替わりしているのだ。自分だけが浦島太郎のように過去から戻ってきたのだ…

 ものには魂が宿る、という考え方があります。人間に心がある、これを疑う立場もありますが、普通は人間には心があると考えます。哺乳類や鳥類には心があると考える人が多いと思います。一方で靴下に心があると考える人はまずいないと思います。これはなぜでしょうか。靴下は生命がなく、人間や哺乳類や鳥類は生命があるからでしょうか。

 では爬虫類はどうでしょう? 昆虫は? 細菌は? ウイルス、は生命ではなく物質と考えるべきでしょうか。これらには心は、魂はあるのでしょうか?

 私は、心や魂というのはそれ自体に宿っているのではなく、それを見ている自分の中の解釈として存在するものなのだ、と考えるのが最も合理的で妥当だと考えています。わかりにくいですね。例えばコロナウイルスが感染したり変異したりする状況を見て、あたかもコロナウイルス全体の集合体が知性と意識を持ち、戦略的に行動しているように報じられたり論じられたりすることがあります。コロナウイルス(の集合体)にそんな知性があるわけではなく、単に適者生存の原理がウイルスに働いて、日々変化する環境の中で結果的にどの遺伝子が生き残るか、という活動があるに過ぎません。それを観測して解釈し、あわよくば予測したい人間の側が状況を理解するために擬人化するのです。

 心というのはそういうものだと私は思っています。心や感情という機能を私たちが身に付けたのは、それがあるほうが人類という種が生存するために有利だったからなはずです。生き物ですから、まず自分自身の個体が生存できることが重要ですが、それ以上に次の世代が生存できることが生物学上は重要なはずです。同じ個体が不老長寿で長生きするよりも、少しずつ異なる遺伝子を持った個体が次々と現れ続けることが、常に変化する環境に適応して生き残ってゆくために有効な戦略なのです。だから生物は、人は老いて次の世代が生まれるのです。

 植物で言うと、草は木の進化系なのだそうです。木のほうが丈夫で長生きで強く見えますが、草は成長が早く、世代交代が早いため環境への適応が早い、つまり進化が早いのです。そのかわり1つの個体の寿命は木よりずっと短い。進化の結果寿命が縮んだのです。

 心や感情というモデルを他の個体や他の生物に当てはめることは、相手の動きを予測し、自分の行動を計画するために有益なはずです。もちろんそのモデルが常に正しいとは限りませんが、その機能を持つ種のほうが、その機能を持たない種よりも有利に生存できるのだと思います。

 靴下に感情移入して上に書いたような小さな物語を想像してしまうのは愚かなことかもしれませんが、対象物に対して心や感情を持つというモデルを当てはめてみるという機能の副産物だなあと思っています。


<おまけのひとこと>
 週明けの月曜日の午前中が〆切の原稿がまだ全然終わっていないのです。この週末は半日くらいはこれをやらないとまずいです。(なのにこんな無駄な話を書いて逃避しています。)






1月26日(日) 空間充填多面体(その2)、人形劇を見てきた

 空間充填多面体の話のつづきです。



 昨日、回転するアニメーションをXに投稿したら、すぐにこんな動画を作って下さった方がいらしてびっくりしました。各頂点の座標や面のかたち、稜の長さの比などを明記したわけではなく、単なる平行投影のCGからこのかたちを正確に理解され、さらには空間充填パターンを理解し、ソーシャル仮想環境のresoniteという世界でこんな風に表現されています。

 こんなことが短時間でできるのですね。驚きです。メタバースとかソーシャルVRには興味がなかったのですが、勉強してみても面白いのかもしれないと思いました。知識がなさすぎて、これがどのくらい難しいことなのか(自分が始めたとしてこういうことができるようになるにはどのくらいかかるのか)、想像ができません。



 この多面体がどんなかたちなのか考えてみました。

 上の図のように、菱形(対角線比が1対√2のシルバー菱形:黄色)が3面、台形(等脚台形ではありません:青)が4面、直角二等辺三角形(赤)が2面、ホームベースのようなかたちの五角形(緑)が2面で計11面あります。この多面体は鏡像対称面を持たず、2回回転対称軸を持ちます。

 これが空間を充填するというのはなかなかイメージできないです。

(つづく)



 伊藤竜三さんの人形劇を見に行ってきました。会場は上諏訪駅を出て、道をはさんだ向かい側の3階の「諏訪市駅前交流テラスすわっチャオ」です。13時からなので、15分前くらいに着きました。

 終演後、写真を撮らせていただきました。

 伊藤さんは操り人形作家で、シンプルな人形からかなり複雑な人形まで制作されて販売されているそうですが、この龍の操り人形は作るのがとても大変なのでもう1体作ることはないと思う、それより新しい人形を作りたい、とおっしゃっていました。


<おまけのひとこと>
 忙しい時に限って次々とやりたいことのアイディアが湧いてきます。






1月27日(月) 空間充填十一面体(その3)

 空間充填多面体の話のつづきです。



 先日来ご紹介している2回回転対称軸を持つ空間充填可能な十一面体ですが、これは菱形十二面体と関係が深いかたちなのです。菱形十二面体同様、全ての頂点が格子点上にあるのですが、この多面体の13の頂点のうち、10個までが菱形十二面体の頂点と同じなのです(下図赤)。

 菱形十二面体は単独で空間充填可能ですが、この十一面体の空間充填パターンを考えたときに、その内部に含まれる菱形十二面体の位置がどうなっているのか、考えてみています。まだわかりやすいCGを作れていません。



 この十一面体を、x軸、y軸、z軸回りに90°回転してみました。面に着色したものと、稜だけのもの、そして含まれる菱形十二面体を描画したものを比べてみました。

 当たり前ですが菱形十二面体はどの軸回りに90°回転しても同じになります。

 菱形十二面体を含む十一面体を開店したCGアニメーションをこちら(別窓で開きます)に用意しました。4MBくらいあります。


<おまけのひとこと>
 もうすぐ6時です。まだ外は真っ暗です。






1月28日(火) 空間充填十一面体(その4)

 空間充填多面体の話のつづきです。



 このところご紹介している単独で空間を充填できる十一面体ですが、これを知ったのはこちらのHendekaeder(独)というページです。英語ならHendecahedron、日本語なら十一面体です。

 このページには、この空間充填パターンがすべり3回回転対称軸とすべり4回回転対称軸を持っていることが示されています。この軸は座標軸原点からどのように伸びているのか、考えてみました。最初に3回回転対称軸方向です。

 上が面を張った図、下が内包される菱形十二面体を描画してみた図です。この十一面体は直角二等辺三角形を2面持ちますが、その直角二等辺三角形の面どうしが接している多面体を追っていったものです。内包する菱形十二面体に注目してみると、この連結は菱形十二面体の頂点でつながっていることがわかります。また、下の図のように3回ごとに同じ向きの平行移動したかたちが現れます。



 一方、2つのホームベース型の五角形どうしが接している多面体を追ってゆくと、すべり4回回転対称軸が現れます。

 先ほどと同様、上が面を張った図、下が内包される菱形十二面体を描画してみた図です。今度は菱形十二面体の面が接していることがわかります。この場合は4つおきに同じ向きで平行移動した多面体が現れます。

 この対称軸は座標軸方向になっていることもわかります。


(つづく)



 昨日の朝、出社する途中で中央高速道の諏訪湖SA(下り)に寄りました。家を出るのが少し遅くなってしまって、朝7時前でした。八ヶ岳の南側からもうすぐ太陽が上ってきそうです。

 おぎのやの釜めしのスタンドがあるのですが、この時間はまだ販売されていません。包み紙でユニット折り紙の立方体と折り鶴が飾ってありました。

 スマートフォンのカメラ、レンズのところにすぐにホコリがたまってしまって、それを取り除くのを忘れて写真を撮るとこんなぼんやりした画像になってしまいます。大事な写真のときには気を付けないといけないと思いました。


<おまけのひとこと>
 妙に大きな画像(アニメーション)ですみません。閲覧しにくいでしょうか。






1月29日(水) 空間充填十一面体の模型

 空間充填多面体の話のつづきです。



 このところご紹介している空間充填十一面体、模型を作ってみました。

 ちょっとパーツの寸法が甘いです。あと、恥ずかしながら展開図を間違えて、稜を1か所カットして繋ぎ直しました。

 作ったのは1月26日(日)の午後だったのですが、夜は外食に行く予定があったので、持って行ってゆっくり眺めて楽しもうと思ったのです。不満足な出来栄えの模型なので、そのままポケットに入れていって(その結果傷めてしまって)もいいかなと思ったのですが、何か入れ物がないかなと思ってちょっと探してみたら、カプセルトイのカプセルにちょうどぴったり入りました。

 全くの偶然ですが、色も似ていました。お店で(ファミリーレストランです)こっそり取り出して眺めてみました。たくさん作って並べてみたくなります。



 昨日の朝、うっすらと雪が積もっていました。ゴミ集積所にゴミを出しに行きました。行くときは車は下の写真の左向きだったのですが、帰りは左から帰ってきて、縦列駐車の要領で車を停めました。頭から寄せると十分に寄せきれないのです。雪のおかげでタイヤの跡がはっきり見えます。

 赤が前輪、青が後輪の跡です。

 あんまりなめらかではありません(運転技術の問題です)。また、斜めからの視点の写真のため、本来は同じ軌跡の平行移動になるはずの左右の前輪、左右の後輪の曲線は画面上では違った曲線になっています。


<おまけのひとこと>
 頻繁にこの止め方をしていると、運転歴40年にして縦列駐車の感じがようやくわかってきた気がします。






1月30日(木) 体積一定で表面積が最小のN頂点多面体(その1)

 多面体の新しい話題です。



 平面図形で、面積が一定で周の長さが最短になるのは円です。円周は曲線なので、直線で囲まれた多角形で同じ問題を考えてみます。辺と頂点の数が任意だとすれば、円に近づくほど周の長さは短くなりますから、同じ条件で比較するために辺と頂点の数は固定して考えることにします。そうすると問題は「面積が一定で周の長さが最短になるN角形はどんなかたちか?」ということになります。

 これは簡単で、正N角形が答になります。平面図形では、正N角形はNが3以上の任意のNに対して存在します。(ユークリッドの手法で作図ができるかどうかはまた別の問題です。)

 同じ問題を三次元で考えてみましょう。体積が一定で表面積が最小になる三次元図形は球ですが、これを全ての面が平面の多面体で考えてみたいのです。面や頂点の数が任意だとすれば、球に近づくほど表面積は小さくなりますから、面や頂点の数が大きいほうが有利(より表面積が小さくできる)ということになります。

 なので条件を揃えます。本日のタイトルにもあるように、「体積が一定で表面積が最小になる、頂点数がNの多面体は何か?」という問題にします。WikipediaにList of small polyhedra by vertex count(頂点数ごとの小さな多面体のリスト)というページがありました。

 調べてみると、頂点数V=4からV=7までは下の図のものが答なのだそうです。V=5は、図の双三角錐(上下に2つの三角錐を貼り合わせたかたち)だけでなく、四角錐(いわゆるエジプトのピラミッドのかたち)もあります。これらは頂点の位置を変えることで平べったかったり細く尖ったりさせることができますが、それぞれの形のなかで同体積で表面積が最小になるかたちを決めることができます。その上で双三角錐と四角錐のどちらが表面積が小さくなるか比べると、双三角錐のほうが小さくなるのだそうです。自分で計算をしてみていませんが、直感的に納得できます。(直感はしばしば当てにならないですが。)

 同様にV=6の場合、図は双四角錐、つまり正八面体の構造が表面積が最小になるそうです。ちなみに正八面体は三角反柱でもあります。頂点が6の多面体というと三角柱もありますが、三角柱より三角反柱のほうが表面積が小さいのですね。

 V=7の場合、これもいくつか構造が異なる多面体がありますが、双五角錐が表面積最小なのだそうです。

 V=8の場合はどうでしょうか。ここまでの流れからすると双六角錐が表面積最小になるのでしょうか。それとも高い対称性を誇る立方体が条件を満たすのでしょうか? それとも、この2つ以外にもっと表面積が小さい多面体があるのでしょうか?

(つづく)



 灯油ストーブのブルーフレーム(商品名です)を40年くらい愛用しています。昨日、芯を繰り出すハンドルを回してストーブを消したら、ハンドルがとれてしまいました。

 ハンドルを回しているときには力を加えているのでちゃんと消せたのですが、手を離したらばねの力でグリップの部分が飛び出してきたのです。ずいぶん前にも同じ経験をしたことがあった気がします。

 本体側のロッドは平らな面が設けられていて、それがグリップに埋め込まれた金属部品と面合わせする設計になっています。よく考えられています。仮にグリップ側の金属がなかれば、グリップは樹脂製なので数十年も使うと劣化して割れてきて、グリップを回しても空回りして力を伝達できないということになるでしょう。

 グリップの内側にたまっていたホコリをお掃除して、グリップの中央のプラスねじで丁寧にグリップを固定しました。まだまだ現役でがんばってほしいストーブです。


<おまけのひとこと>
 以前は月末に近い日には新しい話題を出すのを控えようかと思っていたころもありましたが、最近は月末の新しい話題も、月初めの続きの話題も気にしないことにしています。






1月31日(金) 体積一定で表面積が最小のN頂点多面体(その2)

 昨日のつづきです。



 体積が一定で表面積が最小の8頂点多面体ですが、こんな感じの立体になります。

 すみませんCGの寸法は正確ではありません。

 これは、筑波大の秋山茂樹先生の Minimum polyhedron with n vertices(2021)で知りました。(私が閲覧したのははプレプリントのarXivの文献です。)

 つまり、立方体でもなく双六角錐でもないかたちが表面積が最小になるのです。

 この頂点と稜の構造は、いわゆるデルタ十二面体と同じです。デルタ十二面体については2020年12月に、CGを作りたくて頂点の座標を計算しようとしたことがあって、その時にいろいろ考察してみました。

 デルタ十二面体は、正八面体の向かい合う1対の頂点を2つに切り開いて、その間に二等辺三角形2枚ずつを入れたかたちをしています。途中の変化をCGにしてみました。

 このCGは、最初の正八面体と最後のデルタ十二面体の頂点を線形補間して描いているので途中の画像は不正確です。

 全ての面が合同な正三角形で作ると、ちょっと縦長の平べったい五角形のような感じの立体になります。同一体積で表面積が最小になるには球に近いほうが有利なので、この問題の解である十二面体はデルタ十二面体のx,y,z軸方向の比率を少し変化させたようなかたちになっています。

(つづく)


<おまけのひとこと>
 CGの作成に意外と手間取りました。






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