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がんばれ!秋田の第三セクター 第1回

秋田内陸縦貫鉄道とは?

(05年4月の旅)

もりよし号

鷹巣から出発

 鷹ノ巣駅はホームこそ長大編成列車に合わせて長くなっているが、周囲は閑散とした感じであった。秋田内陸縦貫鉄道の乗換口を探したところ、ホームの一角にポツリと乗り場があった。JRとは改札などでの区別はしておらず、かつての阿仁合線当時の名残のままである。縦貫鉄道は町名である「鷹巣」が駅名になっているが、JRはなぜか「鷹ノ巣」とカタカナの「ノ」が入る。理由は定かではない。

 縦貫鉄道専用の駅舎はあり、ここで急行もりよし号の切符を購入し、ついでに「使用済み切符セット」100円を記念に買って、ほんのわずか収益に貢献した。ちなみに乗車券・急行券ともに硬券だったので記念に欲しいと思っていたが、使用済みセットの中に入っていたのでラッキーであった。

 さて、秋田内陸縦貫鉄道について説明する。この路線は鷹巣−角館を結んでおり、文字通り秋田県の内陸部を貫いて走っている。国鉄時代に鷹角線として整備が始まり、鷹巣からは途中の比立内まで、角館からは松葉までそれぞれ開通し営業していた。ただ、中途半端な盲腸線だっただけに赤字ローカル線の対象となってしまい、廃線により鷹角線構想も水泡に帰すかと思われた。だが、秋田県などの第三セクター路線として存続し、未開通部分も無事に工事が終わり、晴れて全通ということになった。角館では田沢湖線が新幹線になってしまったため乗り入れはできないが、鷹巣では臨時列車の乗り入れが可能になり、この時期は角館と弘前を結ぶ「さくら号」が運行されている。

 私が乗るもりよし号は、上下1本ずつ走っている唯一の急行列車で、窓も大きくとって外がよく見える構造になっている。ただ、平日ということもあるのか乗客はまばらであった。地元住民の姿はなく、観光もしくは長距離を移動する人だけであった。しかし車内は急行列車ということもあり、なかなか乗り心地はよかった。

 しばらく盆地を走っていた列車も、やがて里山へと入ってくる。時折駅近くの集落はあるが、あとは田畑が広がったり、雑木林を走ったりと里山の風景が次々と変わっていく。時々、残雪もちらほら見られる。そしてカーブの多い路線だけあって、列車のスピードは一向に上がらない。ローカル線らしいといえばそれまでであり、古い路盤なのでいたしかたがない。

 途中駅の合川、米内沢、阿仁前田と過ぎるが、乗降客は一人もいない。いずれも委託業務と思われる地元の人が所在無げに列車を見送る。これが普通列車だったら、地元住民の乗降もあるのだろうが、わざわざ住民が急行券を買ってまで乗るはずはない。川がだんだんと近づいてきて、車窓がまるで三江線の内陸部に近くなってくる。山間部を走る鉄道の醍醐味ともいえる光景だ。それとともに残雪の量もだんだんと増えてくる。やはり秋田内陸といえば積雪も多いのだろう。

(つづく)
山間へと入っていきます