臼 杵 石 仏

                 2009/11/17

 阿弥陀如来が出迎えに来てくれる。
そして彼に随伴する
観音菩薩が蓮台
を差し出し、それに跳び乗るやいなや、
極楽に到着するのでしたね。右の観音
菩薩は右手が欠落していますが、定石
通りならば、蓮台をたずさえていたの
に違いありません。まさにそのとき
「南無阿弥陀仏」(私は阿弥陀仏に帰
依します)、と唱えなければならない
のでしたね。

 これらの仏像は平安時代のいにしえ
から、仏教の本質を教え続けてくれて
いるのです。国宝になるのも宜なるか
な、です。

写真:ホキ石仏第一群第三龕 
      大日如来座像の左手にある「伝勢至菩薩立像」

 私がもっとも好んでいる仏像はこの勢至菩薩像です。媚びとか衒(てら)いがまったくありません。人間界のことなぞあずかり知らぬ、と強情を通しているのか、見て見ぬふりをしているのか。とにかく、俗気から離れているではありませんか。

古い平安時代の仏像ですから、装飾が
剥げていますが、よく観察すると、お顔
には、金箔が残っています。

きちんと三十二相八十種好を守ってい
る律儀さは、奈良の東大寺の(江戸時代
に造られた)大仏の無神経な黒色とはこ
となり、折り目正しさがあると思いまし
た。龍樹著鳩摩羅什訳「
大智度論」巻四
第十四項を正しく踏襲しているのです。

 「
大智度論」とは、龍樹が著述し鳩摩
羅什が編纂した、その当時の仏教百科事
典なのです。仏像の素肌は、そこに書か
れているとおり、金色でなければならな
いのです。

九州温泉旅行の途中、明礬温泉の鶴寿泉に入浴しているときお聞きしたのですが、どうやら別府まで来たのなら臼杵に摩崖仏を見物しておかなければならないらしい。

そこでレンタカーを飛ばして臼杵にやってきました。別府からは結構な距離がありましたね。ETC割引を使い、¥900でした。30分、43km

では皆様、ご機嫌よう。

写真:ホキ石仏第二群第一龕 左、阿弥陀如来坐像、右、観音菩薩立像

写真:古園石仏、大日如来坐像他

写真:古園石仏入り口

 これも金箔装飾がほどこされていますね。これが仏の真の姿なのです。奈良の東大寺の「黒い大仏」は仏ではありません。福井県勝山の「黒い大仏」も仏ではありません。「黒い大仏」は罰当たりなのです。

 こういう観点からしても臼杵の石仏は実によく出来ています。

写真:ホキ石仏第一群第三龕 阿弥陀如来坐像

写真:ホキ石仏第一群 左、第三龕、大日如来坐像等  右、第四龕、地蔵菩薩半迦像他、

写真:ホキ石仏第一群

写真:ホキ石仏第二群第二龕 阿弥陀如来立像

写真:ホキ石仏第二群第二龕 九品の弥陀

石仏については最近
(平成
7年)国宝指定
されたので、写真を数
葉載せておくことにし
ましょう。