紅 葉 の 千 畳 敷 カ ー ル

                                2009/09/24&25

 9月連休が終わったのを見届けて、長野県ではもっとも早い紅葉を見物に出かけました。

 駒ヶ根の千畳敷です。ここのロープウエイは麓のしらび平から頂上の千畳
敷まで標高差約1000mを一挙に稼いでくれるのです。このロープウエイが開通したのは昭和42年のことですから、私達が大学に在学していたときは、このような便利な乗り物はありませんでした。

 では皆様ご機嫌よう。

 私もあのような重いリュックを背負い一日6時間山歩きできる身体になりたい、と切に願いました。

写真:左が木曽駒ヶ岳、右の突出しているのが宝剣岳。
      右下に極楽平。

 登山なさっている方々に聞いてみたら、このロープウエイで高度をかせいで、あとは尾根伝いにぶらぶらとハイキング気分でいくのさ、と事も無げな返事でした。この極楽平から6時間歩いて木曽殿山荘に泊まり、翌日2863mの空木岳に登るのだそうです。

 例年、長野県でもっとも紅葉の早いのは千畳敷で9月末だと聞いていましたので、75歳の友人とふたりででかけました。

 登山とはこんなに簡単なものかと思われるほど簡単でした。奥穂高ロープウエイでも標高2156mまでしか登れないのですから、千畳敷の標高2600mというのは圧倒的な高度です。

 ところがどうだ。今は日本国民総グータラ時代となってしまい、今時木曽駒高原から木曽駒ヶ岳に登山する人などいない。木曽福島の人でも権兵衛トンネルで中央アルプスをくぐり抜け、伊那に抜けて南下して、駒ヶ根からロープウエイを使って登るのである。

 彼岸花が美しく咲いていました。

 帰りは駒ヶ根に降りて、宝積山光前寺に立ち寄って帰りました。貞観二年(860)に開基された天台宗のお寺でご本尊は不動明王なのですが、秘仏で、来年がご開帳の年なのだそうです。

 翌日も大快晴でした。同行した友達が75歳だったので、八丁坂は無理ですから、南側の極楽坂をゆっくり登りました。眺めは上々で富士山は申すに及ばず、背後の御岳山、その北に白山、私の住まいのある八ヶ岳の北横岳/蓼科山も紫色に霞んでいるけれどもはっきり遠望できました。

 こんなに登山というのは楽な娯楽になったのですね。

 このロープウエイ頂上駅にホテルが併設されているので、ここに泊まりました。このホテルの特徴は、元旦に日の出を見ると、ちょうど富士山の上から日が昇るというのです。

 心臓の手術を5月にやってその後安静にしていたのですが、もうそろそろ良い頃だろうと見当をつけて最初の日はカール右手の八丁坂をひいひい言って登り、木曽駒頂上まで登ってきました。さすがに足腰立たずの状態に近くなり、「昔は猿(ましら)のごとく、飛び跳ねるようにして登山したものなのに」と嘆く結果におわりました。

 だから、木曽駒に登るときには木曽福島で汽車を降りて、木曽駒高原スキー場までバスにのり、標高1350mのスキー場から歩いて登りました。木曽駒ヶ岳の標高は2956mだから、標高差1600mを足で稼いだことになります。空気が澄んで眺めがよいのは10月はじめだからと説得されて、前期の試験中に登山したものだから、疲れ果ててしまい、原子力工学の試験は惨憺たる結果におわりました。