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Choral.
Wenn wir in hoechsten Noethen Canto Fermo in Canto
BWV668a、オルガンコラール、ト長調、4声部、4/4拍子


未完成に終わったFuga a 3 Soggettiの穴埋めとして
「フーガの技法」の出版譜に追加された曲で、
病床のバッハが口述筆記させたといわれています。
下にコラールの原曲を示します。4行からなるコラールです。



曲は4つの部分からなり、その各部分において、
コラール旋律の各行を主題としたフーガが展開されます。
いわゆる「パッヘルベル形式」です。



上の楽譜は曲の冒頭です。コラールの第1行の旋律による
反行フーガになっています。ひとしきりフーガを展開した後、
ソプラノに装飾されたコラール旋律が示されます。



同様に19小節〜、29小節〜、40小節〜のソプラノにも
装飾されたコラール各行が示されます。

11小節以降、コラールの2、3、4行によるフーガが
それぞれ展開されますが、いずれも反行フーガです。



上の楽譜は第4行によるフーガの冒頭です。
縮小フーガになっており、テノールに示された主題を
アルトが縮小・反行形で模倣しています。
また、上に示した楽譜の中だけで主題が5つみられますが、
こののち曲の最後まで絶え間なく主題が示されてゆきます。

44小節の3拍目から声部数が5声部に増え、
また3声による主題の重複が見られます。



同様の重複はContrapunctus11にも見られます。

わずか45小節の中にぎっしり詰まった4つのフーガ、
そして繰り広げられる模倣技術の数々は、
未完に終わった曲集の穴埋めにふさわしい充実振りです。

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