自民党改憲案が目指す国

アメリカの属国たる「大日本帝国」 か 

日本国憲法の花開く世界を将来の国民に引き継ぐのか

 

憲法9条を守る原村民の会 2013年4月13日  毛 利 正 道

 

講演録音版100分  このレジュメを見ながらお聞き下さい。

 

注:講演中で、砂川事件最高裁長官名を、「横田」と思わず言ってしま

いましたが、これは間違いで、正しくは「田中耕太郎」です。

ご意見・ご感想をお寄せいただけるととてもありがたいです。

✿途中に載っているURLは、そこに関連する私の論説です。

必要ならご参照下さい。

 

◆◆日本国憲法改正草案 概観◆◆  

 

1 好戦的「日米同盟」が大前提(9条・25条がない米国憲法)

  膨大な密約群、経済協力・軍備増強義務による占領実態   

  在日米軍基地を通じて日本国内に出入り自由なCIAなどの情報機関

によって政治家が秘密を握られがんじがらめになっている

2 国民主権 から 天皇を戴く国家 へ  

前文にも憲法としての重要な効力あり

3 すべての戦争・軍隊放棄 から 

安全保障・国防軍が海外で戦争する国 に

4 天賦不可侵の人権 から 

国民の責任・義務と公益・公の秩序が優先する人権 に

5 公共のための制約可能な財産権 から 活力ある経済活動の保障 に

6 歪める三権分立 首相への権力集中、国会・司法の脆弱化、

特に平和的生存権の削除

http://www.haheisashidome.jp/hanketsu_kouso/p1_12.pdf

http://www.lcv.ne.jp/~mourima/08.5.15koukyuuhou.pdf

http://www.lcv.ne.jp/~mourima/09.5.28seizonkento.html

7 住民自治 から 合併推進どころか

300の自治体しか残らない国家最優先の国に  

8 緊急事態(戒厳)の創設 

9 時の国会多数派が容易に改憲できる改正条項

10 権力を縛る憲法 から 国民を縛る憲法 に  

11 改正の限界を超え、一層の改憲も自由に 

前文「これに反する一切の憲法を排除する」

12 驚くほど一致する大日本帝国憲法  

13 憲法・安保が対立する時代から、憲法・安保一体による反国民

スパイラルの時代に    

植民地でありかつ専制国家=日本の歴史上初めての事態

 

自衛隊と国防軍の違い  名前だけの改変か

1日本国憲法はなぜ軍隊・自衛戦争まで放棄したのか

@   明治以来の日本が、自衛の名で侵略戦争を行ってきて、

その犠牲が膨大であった

A   自衛戦争によっても

多くの罪なき人々が甚大な犠牲を被ること

2自衛権行使の3要件=自衛隊合憲とする政府見解の根拠

@   我が国に対する急迫不正の侵害

A   これを排除するに適当な手段がないこと

B   必要最小限度の実力行使にとどまること  

2日本国憲法下ではできないと答弁されてきたこと

@   武力行使目的による他国領域への派兵・武力行使

A   他国を守るための派兵・武力行使(集団的自衛権行使)

B   他国による武力行使と一体となる協力=

イラク米軍輸送業務(名古屋高裁判決)

C   敵基地攻撃能力を平素から保有する

D   性能上専ら他国の国土の壊滅的破壊のために

のみ用いられる兵器

3現在の自衛隊では海外でできないこと

@   正当防衛・緊急避難以外の武器使用・殺傷行為 

A   任務遂行のための武器使用 ⇔ 警職法7条

B   前線・危険地帯での警護・安全確保活動

4これらがすべてできるようになる

 

集団的自衛権の行使

1 国連憲章51条で初規定  安倍首相が大好きな「血の同盟」

  自国と密接な関係にある国に対する攻撃に対し、

実力を持って阻止する権利

  尖閣問題(自国の領土が対象の「純粋自衛権」問題)とは

直接関係ないことに留意

2 この条項による参戦と説明されたもの=民族自決権を否定する侵略

  米国 ベトナム(韓国軍:35万人派兵され4万人を殺傷し5千名死亡)

・ニカラグア・アフガニスタン

  ソ連 ハンガリー・チェコ・アフガニスタン

  いずれも、「他人の権利を守るためにやむなく行う」

正当防衛とは到底言えない

3 アメリカ新戦略「戦略的転換点」下での強力な圧力

  2012.5日米共同声明 

「日米同盟の動的防衛協力による抑止力の拡大強化」

  2012.5米議会報告書 

「日本の憲法はより緊密な日米協力に対する妨害物」

  2012.8第3次アーミテージ報告 

改憲より急ぐ課題=集団的自衛権の行使

  2012.11ヘリテージ財団

「尖閣による日本の政治的変化を利用して同盟深化を」

  2013.2 日米共同声明 「集団的自衛権の行使容認を検討する」

4 実現させる方法   

1 安保法制懇解釈で

2 議員提案による国家安全保障基本法制定

(昨年7月自民決定)

第10条―我が国と密接な関係の他国に対する武力攻撃に対し

自衛権を行使する

―アメリカの要請を100%満たすには改憲まで必要―

5 改憲案9条第2項の制定で海外の前線での戦闘ができる

 

改憲めざす動き

1 衆議院で366議席4分の3を超えている96条・9条改憲勢力

=自民・維新・みんな

  白鳥令参院選予測=3党で135  

あと27名で3分の2=162名を超える

  民主党議員を取り込むための96条改憲議員集団の動き急

2 政権党自民党が選挙公約で憲法改正を初明記、

維新・みんなが今国会に原案提出で一致

  安倍内閣総勢79名中76名がタカ派集団に加入 

史上最高の超右翼陣容

3 「まず96条、続けて9条改憲」を許すのか と争点を設定する

尖閣で翻弄されている現在も、9条改正反対が国民の多数

4 96条改憲そのものも許すな も重要

(1)立憲主義憲法が自己を守るため法律可決要件を

圧倒的に超える発議要件を定めた

「3分の2」賛成なら、反対はその半分しかいない=圧倒的賛成     

国会の3分の2が賛成して始めて全国民に支持されている改正

と言いうる

主権者国民に発議後に二者択一するしかない

国民投票が残っているだけでは違憲

(2)小選挙区で歪められて形成される国会過半数派がその都度リードし

   「TPP交渉成功」というテレビでねじ曲げられる国民が投票する事態

・民意と選挙結果の乖離を徹底的に国民にアピールすることも重要

2012総選挙 

自民 小選挙区43%の得票で237議席=79%獲得計294

 

なぜ、今、天皇を戴く国家 なのか

1 現人神天皇を頂点とする大日本帝国憲法下の日本

  天皇に全権力あり 法律の制限内での権利  

忠君愛国思想で国民精神を統合

2 そこでなにが起こったのか

  77年間続いた領土拡大目的武力行使  軍事費最小年で29%  

遅すぎた終戦 

3 古事記・日本書紀以来

1300年続いた天皇による国民精神統合

http://www.lcv.ne.jp/~mourima/08.7.29tennousei.html

  秀吉は、天皇を中国アジアの支配者にするため

朝鮮・中国に16万人を出兵

  松蔭は、明治政府を担う面々に神功皇后・秀吉の意向を

実現するアジア侵略を説いた

4 イラク戦争に耐えられなかった自衛隊

  空陸派兵9000名のうち26名自殺=自殺率289

=全国民レベル24の12倍

イギリス軍同然の前線任務につけば、

1万人6年派兵で526名超が戦死・自殺する

学校愛国教育に加え、

自衛隊でも徹底した戦前思想教育がなされているにも拘わらず 

「一切の人殺しNO」の社会に65年間育ってきた国民

5 戦争を遂行できる軍隊とこれを支持する国民を確保することは

現代国家の重要テーマ

   (これならいける、ではない)

これしかない、天皇イデオロギーによる国民精神統合

 

尖閣領有権問題への視点

1 「中国を恐れるな」

@   周囲の国全体で人口39億人=3倍、GDP=2倍 

14の国と境界接していて、

国境紛争・国境警備に精力を注がざるを得ない中国

A   これまで日本との関係で明確に国際法に違反したのは、

日本領海を潜水艦を潜行させたまま通過した

2004年11月10日のみ

B   尖閣問題解決に向けての中国主張は正当かつ一貫

・紛争あることを認めて棚上げ  

・現状不変更  

・管理開発は共同で

2 問題の発端は胡主席が面と向かって反対したのに

野田首相が直ちに国有化したこと

     日本が民有(半官半民の法人)に移すべき

3 解決の視点

@   日本領土だとしても中国民衆を納得させることはできない

A   そこには、77年間に及ぶ中国侵略を

日本が真に謝罪していない現実もある

B   尖閣諸島自体には全く価値なく、幅200キロに及ぶ広大

な海域は双方の合意なくしては何の役にも立たない 

 合意あれば、宝の山 にもなりうる

C   現代国際社会は、民族国家が国境を巡る紛争を有している

常態あるも、それを武力に訴えないとの合意が

形成されつつある との認識必要

D   北東アジアネットワーク・特に(トモダチ作戦でない)

国際防災緊急支援体制の確立・多くの前例ある第3国を

交えた領土問題交渉(武田鉄矢も推奨)が重要

4 尖閣諸島は、米中間の台湾戦争にも関わる微妙な位置にあることに

留意のこと 

5 2011.1.8論説

「尖閣諸島領有権問題をいかに解決すべきか」

http://www.lcv.ne.jp/~mourima/11.1.8senkaku.pdf

 

北朝鮮にどのように対処すべきか  

(毛利Web「オバマ・金正日会談を」参照)

       http://www.lcv.ne.jp/~mourima/09.8.22kaidanwo.html

1 北朝鮮核兵器開発の歴史

@   2002.10〜2003.2 

3回にわたり、「対米不可侵条約締結なら

核兵器開発問題を交渉で解決する」と言明

A   2003.4.6 

「武装解除後イラク攻撃、不可侵条約では国を

守ることができず、物理的抑止力のみが国を守る」

B   2005.2.10核兵器保有宣言 

以来3回核実験  「ロケット」発射数回

2 北朝鮮にとって核兵器は体制を維持する目的で保有している 

他国攻撃目的ではない

3 ただし、米国・北朝鮮間の戦争で、

出撃基地日本が攻撃されることはあり得る

        1950年からの朝鮮戦争でもそのような事態があり得た

4 世界62カ国が加盟する非核兵器地帯条約を北東アジアでも

5 計り知れない核兵器拡散 

最悪の反人類兵器を地球から一掃する視点で立ち上がる

  核兵器の非人道性に関するオスロ国際会議に120国参加

「100発で10億飢餓」

6 TAC東南アジア友好協力条約は、

「武力でない対話による紛争解決」と規定、国連憲章51条を

超えており、中国・北朝鮮も加盟。

7 北朝鮮が加盟するTAC・非同盟諸国首脳会議

を通じて紛争の平和的解決の道を

 

他国間の戦争に日本が巻き込まれる危険

1 砂川事件1959.3.20一審判決が、

米軍駐留違憲判決で指摘したポイント

2 朝鮮戦争では、現にその危険あった

3 米中間の台湾危機でも危険あり 

1996年にも在日米軍基地からも出動

4 岸信介首相1958.10.18発言でも

米国駐日大使館極秘報告でもこの認識あり

5 曖昧かつエスカレートする「抑止力」信仰よりもはるかに現実的

       毛利Web参照

         http://www.lcv.ne.jp/~mourima/10.5.20futenma.pdf

         http://www.lcv.ne.jp/~mourima/10.8.15houfuku.pdf

 

原発と憲法

1 人類が制御できない原発は、700万年の人類の歴史を70年で

破滅させうるものであり、平和的生存権・生命自由幸福追求権

などの基本的人権を「将来の国民にも侵すことのできない

永久の権利として与えられる」(11・97条)とする日本国憲法に

真っ向から反する違憲の存在である。

2 自民改憲案は、

この「将来の国民の権利」をすべて削除した反人類的存在

3 原発は、米国核兵器世界戦略を展開するための最大の障害物

=日本での反原爆運動を抑えるべく、「平和利用」として

大々的に推進された 核兵器2万発原発400基

4 現在も、

「原発=潜在的核兵器保有能力として必要」とする見解根強い

 

アメリカ・財界のための「活力ある経済活動」の保障(前文)

1 TPPで如実 田母神俊雄も反対! 

アメリカ多国籍企業に日本を明け渡す憲法   

2 アベノミクスへの対抗軸 

「若い世代・女性の各過半数が非正規」を20年前に戻す

3 20世紀型人権

=生存権と平和的生存権(名古屋高裁判決)のスパイラル的発展を

平時・非常時を問わず、人間の尊厳を破壊する存在を一切拒否せよ

http://www.lcv.ne.jp/~mourima/09.5.28seizonkento.html

 

攻勢的で楽しい護憲運動を

1 反TPP運動、反貧困などとも

「改憲=一層のアメリカ植民地化」反対で共闘を

2 脱原発運動とも! ここで若い世代との連携も

3 TPP・貧困格差・原発も、改憲が目指す内容そのもの

        改憲反対を媒介項として数点共闘に発展させ、

さらにその力で国政選挙レベル共闘に

http://www.lcv.ne.jp/~mourima/13.1.1ha-tokyoutei.pdf

4 憲法集会でぜひしっかり学習を 

「日本の戦争」シリーズ全5巻2時間30分 

日本国憲法の「心=77年間の侵略を反省し、決して繰り返さない」を

http://www.lcv.ne.jp/~mourima/13.5.3tirasi-1.pdf

http://www.lcv.ne.jp/~mourima/13.5.3tirasi-2.pdf

5 明るい気持ちになる「諏訪9条の輪」のすてきなポスターを

受注生産で全国に