金箔の製造(日本の場合)

 また、現在の金箔の製造には二種類の製造法


              イ.和紙に灰汁汁と柿渋 (縁付箔)

              ロ.グラシン紙 + カーボンブラック (断切箔)


があって、縁付箔と断切箔とに分けられるが、ここでは伝統的な縁付箔の製造方法を見聞することとしよう。

 さて、金箔はどのように作られるのか、金沢市の箔工業組合の資
料を拝借してざっと概観しておこう。



 単純化していえば、金箔とは


1.       10ミクロンの厚さに圧延した金属板を縦横三倍づつに引き
 伸ばして、澄(ずみ)と称する厚み
1ミクロンの中間体を作
 り、

   2.       この澄をさらに縦横三倍づつに引き伸ばし、厚み0.1ミクロ
 ンの金箔にする。


たったこれだけなのだが、


             
材料が貴重品である金であることからくる信頼性の保全、

              金箔を打ち伸ばす際の打紙の製造

              澄を打ち伸ばした直後の養生

              ピンホールを作らないための金箔の打ち方


などの細かいノウハウがいろいろ存在するのである。これらのノウハウは金沢市の職人が個人的に保有している。

 ご存知のように、日光の東照宮の陽明門で
ある。

 日本の文化財で保存修復作業が完璧に保た
れているのは、日光東照宮だけのようだ。日
光では組合を作って、
20年ごとに更新される
ように定期的な修復作業が続けられている。
このための作業手順書も現存する。

http://www.nikko-bunkazai.or.jp/index.shtml

 金箔塗装が美しい。これが正しい文化財な
のである。

画像:

伝統的工芸材料
『金沢箔』
石川県箔商工業協同組合
出版年度不明
より借用。