[Home]-[以前のひとこと]-[2019年10月後半]

以前の「ひとこと」 : 2019年10月後半



10月16日(水) 格子パターンな紙の絡み目の検討(その1)

 先日、昔描いたこんな画像をご紹介しました。

 台風で閉じこもっていた三連休中に、これを試作してみようと思いました。その検討プロセスをご紹介しようと思います。



 まず、図を描きやすいように元の絵を45度回転させておいて、直線部分にはどんな長さのパーツが何本あるのか調べました(図1)。 

図 1

 同じ長さの部分を同じ色にしてみると、長さ4種類×4本ずつの16本あることがわかりました。

 帯の幅を1として、内側のピンク色の正方形の輪っかとの間の距離(隙間の幅)が1だとします。そうすると、外側の黄色い帯の隙間の幅は3になるのが妥当です。この絡み目の図の元データは紛失してしまったのですが、そうやって設計したと思います。

 そうすると、さきほど4色に色分けした直線部分の長さは図2のようになります。ただし、角の部分は除いた長さです。

図 2

 図2の寸法に基づいて、簡単に作図してみました。(精度は低い図です。)

図 3

 寸法はよさそうです。さて、これをどのように平面の展開図にするか、考えてみました。

(つづく)



 台風19号の被害が大変なことになっています。各所で人々の命や健康、住まいが脅かされていて、そういったニュースがたくさん報道されています。そんな中、当然あまり報道されませんが、山梨県と東京の間、もう少し詳細に言うと大月と八王子の間の複数個所で倒木や土砂災害が発生しているそうで、この区間のJR中央本線、中央高速道、国道20号線、いずれも現在は通れません。

図 4:大月・八王子間

 地図で見てもわかるように、この区間は川に沿って鉄道(白黒の線)、国道(赤い線)が寄り添って通っていて、高速道路(緑の線)は少し離れたりしながら走っています。相模湖のあたりは土地が狭いのでみんな一緒になっています。

 もともと中央本線は雨に弱くて、雨量が少し増えるとよく運休になっていました。(安全第一ですから、これは当然の対応です。)この区間はそういったリスクをはらんでいる地域なのです。

 10月12日(土)にプライベートのイベント(冠婚葬祭関係のおめでたいほう)を東京で計画していたのですが、台風で一週間延期したのです。今、19日(土)にどうやって東京に行こうか、悩んでいます。甲府から身延線回りだと、目的の時間に到着できません。長野から北陸新幹線を利用するということも考えましたが、現在は長野⇔東京間を臨時ダイヤ・全席自由席で運行していて(それだけでもありがたいですが)、座れなかったら辛そうです。きっと混雑するでしょうし… (でも応援のため、ニーズがあることをJRに伝えるためにも乗ってあげたい気もします。)

 昨日(10/15)の夕方、JR東日本から北陸新幹線及び中央本線(高尾〜大月間)の現況と今後の見通しについて という発表がありました。山梨県側から言うと、15日(火)夕方には甲府〜大月間が運行を開始、18日(金)には大月〜相模湖間が復旧予定ということです。相模湖〜高尾間はまだかなり時間がかかるということなのですが、一応18日には下り線のみの単線運転を開始し、1時間1本程度のシャトル運転をしてくれるそうです。

 相模湖〜高尾間は1駅で、駅間距離は9.5km、通常なら8分程度です。復旧工事中の臨時の単線運転ということであれば、基本はすべて徐行運転でしょうから、20分以上かけてゆっくり行くことになると思います。確かに1時間に1本程度、というのは妥当な設定だと思います。

 大月や上野原あたりから東京に通っている人もいるはずですから、これに乗らざるを得ない人はおそらく大勢いらっしゃると思うのです。きっと満員電車並の混雑を覚悟しなければいけないかな、とも思います。フォーマルっぽい服装をして、荷物も持ってそういう列車に乗るのは大変そうです。でも、復旧工事中にこの区間を全線徐行運転で乗る、というのも得難い経験かもしれません。

 思い切って前日の18日に会社を休んで移動して前泊するか、長野回りで行くか、中央本線を各駅停車で行くか、悩んでいます。(有給休暇はほとんど使っていなくて、取得を指示されているので休めなくはないのですが…)

<おまけのひとこと>
 こんなことで悩めるのは、被災した方に比べれば幸せだな、と思います。






10月17日(木) 格子パターンな紙の絡み目の検討(その2)

 昨日のこのかたち、

 こんな風に開くことを考えました(図1)。

図 1

 紙の利用効率は低いですが、おおきな正方形の輪っかのかたちから折り曲げてゆくことができそうです。

 内側の小さな輪も含めて図面にしてみました(図2)。

図 2

 ファイルサイズは小さいですが、画素数の多い画像ですみません。これをA4の用紙いっぱいにレイアウトして、印刷して切り出して「絡み目」を作ってみることにしました。

(つづく)



 山梨県の甲府市から東京方面に向かうルートが高速道路も一般道(国道)も鉄道(JR)も通れない、というのがニュースで報道され始めました。朝4:55甲府発の身延線の臨時の快速列車が運転されるのだそうです。甲府に前泊してこの列車を利用する方の記事がありました。昨日はこの列車に甲府から乗車された方は2名だけとのことで、周知されていないのでは? といった話もありました。また、静岡県を通って東京に行く臨時のバスの運行も始まったそうです。ただし通常より2〜3時間余計にかかるそうです。それでもたくさんの方が乗車待ちされていたそうです。甲府は特急「あずさ」が動いていれば新宿まで1時間半、八王子までなら1時間もかかりません。こちら方面に通勤・通学される方も少なくない、というのも納得です。ただしこういうときは困りますね。

 物流にも影響がでていて、お店での食料品などの品揃えに影響が出たり、値段が上がったりしているそうです。迂回路で時間をかけて輸送しているということは、当然それだけコストがかかるということですから、仕方がないと思いますが、復旧してくれるといいなと思います。こういったコスト増も含め、適切な対価を払って生活に必要な消費活動を続けるということが大切なのだろうなと思います。とてもささやかで間接的ではありますが、可能な範囲で少し余計に適切にお金を使う、というのも日本の復興のためのささやかな支援活動だと思うのです。

<おまけのひとこと>
 妻は昔から無駄な買い物を一切しない性格で、それどころか無駄ではないはずのものもかなり悩んでなかなか買わないのです。長いこと一緒に暮らしている私もだいぶ感化されました。






10月18日(金) 格子パターンな紙の絡み目の検討(その3)

 今週は、こんな構造

 を、大小2つの紙の輪っかから作ってみようという試みをご紹介しています。いったん本日が最終回です。

 昨日の図のように設計したパターンをプリンタで印刷して切り出しました(図1)。

図 1

 絡み目にしたときに2つの輪であることがわかりやすいように、用紙の色を変えることにしました。同じパターンを2枚、別の色の用紙に印刷ました。大きいほうはピンクの用紙、小さいほうは水色の用紙から切り出したものです。もう1組、色を入れ替えたものがあります。

 まずは絡ませないで組んでみました(図2)。

図 2

 お手本とはちょっと構造が違ってしまいました。

 さらに、絡ませてみました(図2)。

図 3

 さらに構造が違ってしまいました。まあでも今回はここでやめました。

<おまけのひとこと>
 週末はまた天気が悪いようです。心配です。






10月19日(土) 東京旅行(その1)

 大切な約束が10月19日(土)に東京でありました。もともとは12日(土)に予定していたのですが、台風19号のため一週間延期してもらったのです。さすがに翌週なら大丈夫だろうと思っていたのですが、今回の台風の被害はとても大きくて、普段と違って東京に行くのはとても大変になってしまいました。この土日の更新では、そのときの移動の様子などを日記として記録しておきたいと思います。



 19日の約束はお昼でした。天気予報によると18日(金)から19日(土)は雨の予報で、特に被災地は十分な警戒が呼びかけられていました。当日の朝の長野回り(普通列車で長野まで行って、そこから新幹線「あさま」で東京に出るルート)を考えていたのですが、もしもこのルートが運転見合わせになったらまずいな、と思って、前日の18日に有給休暇を取って、移動してしまうことにしました。

 ちょうどこの日、18日の11時ころから中央本線は普通列車は運転を始めるという発表が前日17日にありました。ただし、相模湖〜高尾間は下り線だけを用いたシャトル運行ということで、1時間に1往復くらいの運転とのことでした。この区間も天気が悪くなると運転見合わせになる可能性がありそうです。ただ、順調に行けば運賃(乗車券)のみで移動できますし、所要時間も短くて済みます。一方、長野回りだと時間もかかりますし、新幹線は全席自由席とのことなので、運悪く座れなかったら大変です。

 18日(金)の朝9時ころ、どちらのルートでも良い時刻に最寄り駅に行って、もともと購入してあった「東京週末フリーきっぷ」の払い戻しをしつつ、どちらのルートがよさそうか駅員さんに尋ねてみました。いただいた回答はとても慎重なもので「今のところ中央本線各駅停車は運転しています。お客様のお考え次第です。」とのことでした。

 どうしようかな、と思ったのですが、長野方面に行く普通列車が15分ほど遅れているということもあって、定刻で運転されている甲府行きに乗ることに決めました。最悪なのは相模湖まで行ってしまったところで運転見合わせになることですが、そうなったら甲府まで戻って身延線かバスに乗ることを覚悟しました。

 JR東日本のホームページのトップに北陸新幹線と中央本線の臨時ダイヤが公開されていました(図1)。駅や列車内の放送によると、甲府〜大月間、大月〜相模湖間、相模湖〜高尾間でそれぞれ折り返し運転をしているとのことでした。万一運転見合わせになったときの被害を最小にするためだろうと思います。

図 1

 甲府行き普通列車の先頭の乗務員室(運転室)には乗務員の方が3名くらい、その後の大月行きには乗務員の方が4〜5名、乗務されていました。運転本数が減っている分、安全確認のための目が多いことや、臨機応変な運転変更に対応するためだろうなと思いました。

 最初に乗った甲府行きは、最初は1車両あたりの乗客数が数名でしたが、甲府に近づいて座席(都市近郊型のロングシート車両でした)が8割方うまるくらいになりました。甲府ではホームの向かい側で大月行きを待ちました。身延線との接続待ちをして、5分遅れくらいで発車しました。乗車したときの車両の方向幕は「大月」になっていたのですが、車内放送では「相模湖行き」とアナウンスが流れました。結局、車内放送のほうが正しくて、乗った列車は大月止まりではなく、相模湖まで行ってくれました。

 大月を過ぎるあたりから雨が降って来て、車窓はこんな雰囲気になってきました(図2)。

図 2

 相模湖〜高尾間の9.5km、なんとか運転してくれるといいなと祈りつつ、12:20くらいに相模湖に到着しました。相模湖では跨線橋を渡っての乗り継ぎでした。たくさんの人が急いで乗り継ぎました。この区間は通常の中央特快で運転されている編成なので車両の数が多く、後ろのほうの車両に行くと座席はかなり空いていました。

 発車直後に車内放送で、この列車は高尾行きであること、ずっと徐行運転すること、高尾駅の手前で踏切の安全確認のために5分ほど停車することが説明されました。線路や周辺の様子はどうだろうと思って、ずっと外を見ていたのですが、復旧作業をしていると思われる車両や工事関係者を何カ所でも見かけました。下り線の線路を上り列車で通過できるというのはちょっと特別感がありました。

 結局、13時前には無事高尾に到着しました。到着ホームの向かい側で接続している東京行きの特快に慌ただしく乗り換える人がほとんどでしたが、トイレ休憩もかねて1本後の空いている東京行きに乗りました。14時半過ぎには東京駅に到着して、ほっとしました。

 なお、当初は相模湖〜高尾間は19時くらいまでは運転する予定だったのですが、雨のため16時で運転見合わせになったそうです。午後に移動する計画にしなくてよかったと胸をなでおろしました。

<おまけのひとこと>
 結果的に選んだルートは正解でしたが、いつ止まってしまうかとハラハラしました。夜のニュースでも、この区間が18日から臨時で運転を再開したことが放映され、乗客のインタビューが流れていました。






10月20日(日) 東京旅行(その2)

 翌19日(土)は朝から雨が降っていました。朝6時過ぎ、帰りの列車のチケットを購入しようと思って、宿泊したホテルの最寄りの山手線の駅に傘をさして歩いて行ったのですが、みどりの窓口は土日祝日は朝9時からでした。10時前にホテルをチェックアウトして、もう一度駅に行って相談すると、なんとその日から北陸新幹線も特急「しなの」も指定券が取れるそうです。(前日までは全席自由席でした。) 帰りは指定券を取って、新幹線と特急を乗り継いで帰ることにしました。

 帰りはほぼ順調でした。結局大きく一回りする経路になりました。

図 1

 約束していたお店の時間が12時半で、だいたい2時間ということで15:24東京発の新幹線を予約したのですが、終了時間が延びて、タクシーに乗ったのが3時過ぎ、東京駅には発車時刻の10分前に到着してハラハラしました。同乗していた息子にお金を渡してタクシー料金の精算を頼み、自分はトランクから荷物を出してホームに急ぎました。なんとか無事乗車することができました。

 上田では、車窓から崩落した上田電鉄の鉄橋が見えました(図2)。改めて胸が痛みます。

図 2

 長野にはほぼ定刻で到着し、乗り継ぎの特急まで1時間弱あったので改札を出てすこし歩き回りました。在来線の連絡通路のところに、名物の八幡屋磯五郎の七味とうがらしの缶のデザインの柱がありました。

図 3

 最後の塩尻の乗り換えは、普通列車が接続待ちをしてくれていました。階段を駆け上がって駆け下りて、無事乗車することができました。

 いつも利用している中央線特急「あずさ」が運行してくれていたら、もっと余裕をもって日帰りができたのですが、思いがけず大回りの経路で2日間の鉄道旅行ができました。往復ともほぼ予定通りの列車に乗ることができ、全ての区間で座ることもできて、結果的には良い旅でした。

<おまけのひとこと>
 南の海のほうにまた台風が発生しているようです。もう勘弁してほしいです。






10月21日(月) コレド室町の歩道のタイリングパターン

 10月18日(金)は山手線の神田駅の近くに泊まりました。夕方ちょっとそのあたりを散歩したのですが、コレド室町というショッピングパークがありました。まず目についたのが歩道のタイリングパターンでした。

図 1

 1×1の単位タイルと、3×3のおおきな正方形のタイルの2種類だけを使っているのですが、色を工夫してとても大きなパターンが構成されています。上記のwebサイトのトップのイメージの1つとして建築の完成予想イラストのような絵が表示されるのですが(図2)、そこにちゃんとこのタイリングパターンが描かれています。「江戸の賑わいを再現する」というコンセプトとして、日本の伝統文様を用いているのですね。

図 2

 これは日本の伝統文様の「菱」(ひし)の系統のデザインです。普通は角度は鋭角と鈍角になるようにするのですが、ここでは正方形のタイルを使ってパターンを作っているので、角度はすべて直角です。自分でも図を作ってみました(図3)。

図 3

 これは日本の伝統文様の「松皮菱」(まつかわびし)です。(←さも知っていたかのように書いていますが、検索して知りました。「中太菱」とも呼ばれるようです。) パターンが大きいため、図1の写真のように、普通に歩行者として地上に立ってパターンを眺めると、正方形というよりは菱形のように見えます。なので、「あっこれは!」と思ったのです。歩道の長手方向にパターンが描かれているのも、菱形に見える効果を狙っているのですね。とても感心しました。

 付近にはこれより一回りタイルサイズが小さなものを使った、同様なデザインの歩道もありました。そちらは写真を撮れませんでした。

(つづく)



 今回の更新は10月22日(火)の午後に10/21〜10/23の3日分をまとめて書いているのですが、21日(月)の朝の出勤時にカーラジオを聴いていたら、日本農業新聞の静かな人気「農業ミニチュア」というのが紹介されていました。面白そうだったので帰宅後に検索してみました。

図 4

 これは、ホンダが1966年に発売した耕耘機「F90」のプラモデルだそうです。4,000円くらいだそうです。これがプラモデルになるんだ、と驚きです。でも、模型というのは魅力的だなあと思います。自分で塗料を揃えて作ってみようとは思いませんが、作ったら楽しいだろうと思います。

<おまけのひとこと>
 コレド室町テラスはとても素敵なショッピングパークでした。本を買ったり、保存のきく珍しい食材を買ったりしました。ただ残念だったのが、これだけの規模の施設なのですが、1階のトイレの規模が小さくて、かなり列ができていました(男性用は大小1つずつ)。






10月22日(火) 松皮菱(その1)

 昨日の「松皮菱」のパターンの対称性を説明してみようと思って、こんなgifアニメーションを作ってみました。

図 1

 4フレームのアニメーションです。

×8 ⇒ 
図 2 図 3

 基本形は図2の折れ曲がった線で、これを図2の赤い点を中心に180度回転し、さらに左右・上下に鏡像反転してできるかたちです。

 こういった作図を簡単に試せるカーリー(Kali)というソフトウェアが公開されています。過去にもご紹介したことがあったと思います。これで松皮菱を描いてみました(図4)。

図 4

 これは、コンウェイ記法(オービフォルド記法)だと"2*22"、結晶学のIUC記法だと"cmm" (もしくはc2mm)と表記されるものです。cが180度の回転対称、2つのmが鏡像対称を示します。図1のgifアニメーションのプロセスそのものです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 先週末が大変だったので、22日(火)に休めて助かりました。でも、持ち帰りの仕事をしなければいけないのに進んでいません。






10月23日(水) 「文様の幾何学」

 17種類あることが証明されている壁紙群とか文様群(英語だと wallpaper group)の分類はとても面白いのですが、なかなか記憶に残りません。今回も改めてwebサイトを検索してみたり、手元の本をひっぱり出してきてみたりしています。

 2014年に出版された文様の幾何学(川ア徹郎 著:牧野書店)という本があります。図や例題が多くてわりと気にっている本です。今回、松皮菱の対称性を考える中で、久しぶりにこの本をひっぱり出してきて眺めてみました。

図 1

 この本には、松皮菱と同じcmm(180度の点対称と2つの鏡像対称面を持つパターン)の例題として、こんなような図が載っていました。

図 2

 一方、p6mのパターンの例題として、こんな図が載っていました。

図 3

 これは私が簡単に描いた図なので、本に載っているものそのものではありません。注意深く見ないと、この2つは同じ対称性を持っていると思ってしまいそうだなあと思いました。(実際に本に掲載されている図は、もっと図3に近いパターンでした。)

 例えば図4は松皮菱の頂点をスプライン補間したようなパターンなのですが、壁紙群としてみると、図2と図4が同じ仲間ということになります。

図 4

 でも、図2、図3、図4の3つのパターンを見せられたら、普通は図2と図3が同じ仲間で、図4だけが違うグループだと思いますよね。パターンを構成する部品のかたちや位置関係に注目すれば、図2と図3を同じだとみなす数学的な立場ももちろんあります。

(つづく)



 福音館書店の「はじめてであう科学絵本」に、安野光雅の「なかまはずれ」という絵本がありました(1970年9月号)。

図 5

 冒頭の数ページには簡単な解説が書いてあるのですが、後半は絵だけになって、見開きごとにどれが「なかまはずれ」なのか自分で考えてみてください、というスタイルでした。(実は表裏の表紙にヒントというか秘密が隠されていました。)

 どういう視点で見たときに、何が「なかま」なのだろう、という発想がとても面白かった記憶があります。

 今は、はじめてであうすうがくの絵本1のセット4冊の1冊目として入手することができるようです。おすすめです。

<おまけのひとこと>
 この本が出版されてから数十年後、私が大人になってだいぶたったころに、この絵本を批判する記事を見たことがあるのですが、その内容にとても驚いた覚えがあります。「『なかまはずれ』というのは、差別やいじめを誘発するので、この絵本は子供にとってむしろ有害であり、適切ではない」といった趣旨でした。確か、最初のほうのページで、ずらっと並んだアヒルの中に、アヒルと同じような姿勢に擬態したキツネがいて、そのグループから外れてぽつんと寂しそうなアヒルがいたのです。絵本では「下のほうのアヒルがなかまはずれでしょうか? そうではないですね」といった説明が書かれていました。

 今、検索してみてもそういった情報は見つかりません。さすがにすぐに消え去ってしまった批判なのだろうと思います。あまりにもまとはずれです。






10月24日(木) タイルのCG

 松皮菱のパターンが気に入ったので、正方格子上のタイルのCGにしてみることにしました。

 以前にもご紹介しましたが、タイルのCGのユニットは角を丸く面取りしています。そのユニットの作り方をちょっとだけ解説しておきます。

 寸法が1×1の単位タイルで説明します。図1で3つの直方体を組み合わせます。図2で、8本の円柱で稜の部分を構成します。図3で、4つの球で頂点の部分を構成します。

図 1 図 2 図 3

 図1〜図3の部品すべてを重ねると、図4のようになります。

図 4

 これが単位タイルのユニットになります。半透明だとわかりにくいかもしれないので、下の図6を見てください。これが図4を不透明にしたCGです。

 面取りの部分の幅は、1つの定数の値を変えることで簡単に変えられるようにしてあります。1×1の単位ユニットにおいて、このCGでは隣接するタイルとの間隔を0.1、タイルの高さを0.3にしているのですが、面取りの幅(=球や円柱の半径)を0.05、0.15、0.25と変えてみたのが図5〜図7です。ちなみに図1〜図4は0.15の場合です。

図 5 図 6 図 7

 3色に色付けしていると、かえってかたちがわかりにくいので、白にしてみました。

図 8 図 9 図 10

 さらに、タイルを並べてみました。視点と視野は同じです。

図 11 図 12 図 13

 CGだとこういう「実験」がいとも簡単にできてしまうので、いくらでも遊べてしまいます。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 今日の更新は画像が多いので、jpg形式にして画像も小さくして圧縮率を上げたら、あまり綺麗な絵ではなくなってしまいました。






10月25日(金) 松皮菱のタイルのCG(その1)

 昨日はタイルのCGの解説で終わってしまいました。このタイルを用いた松皮菱のパターンをCGにしてみました。

 図1が繰り返しの基本となる構造です。真上から平行投影で見たところです。図2は同じものを視点を下げて、透視投影で見たところです。

図 1 図 2

 視点を変えずにパターンを広げてみました(図3、図4)。

図 3 図 4

 画像が横長なので、基本形の松皮菱も横向きにしましたが、縦にしてみることにしました(図5、図6)。

図 5 図 6

 ついでに色も変えてみましたが、あんまりうまくいきませんでした。

(つづく)



 今週後半の10/23〜10/25の3日間は社内の技術展示会があって、ずっと説明員として展示の隣に立っています。昔一緒に仕事をした人、同じ職場だった人などと久しぶりに話ができて楽しいです。ただ、ずっと立ちっぱなしなので足腰が疲れます。

 相手が自分を知っているのに自分が相手のことをわからない場合もあって焦りました。また、相手の顔も、一緒にいつ何をしたのかもすぐに思い出せるのに、なかなか名前が出てこない人もいました。また、顔も名前もわかるし、事務系や庶務系の方でお世話になったのに、いつどこの事業所だったのか全く思い出せない方もいました。

 昔お世話になって、今はとても偉くなっている方が二名ほど、お忙しい中とても時間をかけて話をしていってくれたりもしました。これは嬉しかったです。

 ただ肝心の展示内容は、当初目指した状況まで開発が至っておらず、「本当はこういうことを目指しているのですが、まだここまでしかできていないんです」という恥ずかしい説明をし続けています。あと今日1日です。

<おまけのひとこと>
 会場となっている事業所には余剰の駐車場がないため、近隣の事業所に臨時の駐車場が設けられて、そこからマイクロバスで移動しています。おかげで通勤時間がいつもよりだいぶ余計にかかります。今日は雨で憂鬱です。






10月26日(土) 松皮菱のタイルのCG(その2)

 私のサイトで多面体や幾何学模様などをCGでご紹介するときは、基本は平行投影法で描画するようにしています。ただ、今回のタイルパターンのようなものを描画するときには透視投影法で描画することもあります。透視投影で描画するときには、視点位置や視線方向だけでなく、視野角も関係してきます。昨日の図を描く際、視点と視線を変えずに視野角を振ってみた描画を試してみました。それ自体が面白かったので今日はその画像をご紹介します。

 愛用している Povray というレンダリングソフトでは、カメラオブジェクトの angle という定数値を設定することで視野角を決めることができます。15°から90°まで15度刻みで視野角を広げていってみました。

angle = 15 angle = 30 angle = 45

angle = 60 angle = 75 angle = 90

 もっと広げることもできますが、ここまでにしました。



 週の後半、大雨で千葉県でまた被害が出ているそうですね。中央本線の特急は来週から運転再開をしてくれるようで、ほっとしています。私たちは、必要な社会インフラをしっかり見極めて、その維持に適切なコストをかけていかないといけないなあと感じます。でも、そいういうところに予算を配分するという判断をするのはとても難しいことだと思います。

<おまけのひとこと>
 最近、お休みの日は更新をまとめてしまうことが続いていましたが、今日はいつもより少し遅い時間ですが更新することにしました。






10月27日(日) 服装錯視

 先日、久しぶりに定時くらいに帰宅した帰り道にカーラジオでNHKラジオ第一放送をなんとなくつけてみたら、大阪大学の森川和則先生という、顔認識や錯視がご専門の心理学者の方の対談をやっていました。目で見ることで生ずる「錯視」現象を音しか伝えられないラジオで説明する、というのは無理があるのでは、と思ったのですが、化粧錯視や服装錯視といった内容で、言葉だけの説明でも面白さは十分に伝わってきました。

 帰宅してさっそく検索してみると、顔と身体に関連する形状と大きさの錯視研究の新展開:化粧錯視と服装錯視(「心理学評論」2012年第55巻3号pp.348-361:森川和則)という論文がありました。かなり読みやすい内容だと思うので、化粧や服装の「見え方」に興味がある方は目を通してみることをお勧めします。

 この中のごく一部の図を引用しながら簡単にご紹介させていただきます。

 図1は、かたちは全く同じで表面の模様だけが異なる4種類のワンピースを身に着けた時、スリムに見えるのはどれでしょう?という比較の画像です。

図 1

 これは、上記の論文で他の研究者の研究結果のサーベイというかたちで紹介されていた内容です。なので実験系に関しては書かれていません。錯視の研究では、「心理物理実験」といって、被験者に何かを提示して、それについて何らかの判断をしてもらって、その結果を統計的に分析することで定量的な知見を得るという手法が用いられます。この実験条件が難しいのです。

 たとえば、図1のような縞模様に関しては、一般に縦じまのほうがスリムに見えて、横しまのほうが太って見えるというのが定説だと思います。これはこんな風に説明されます(図2)。図を見れば言いたいことは書かれているので、これ以上説明はしません。

図 2

 上記論文の11ページ目に、。崔・三浦・ 佐々木(1998)が実験によって「縦じまのほうがスリムに見える」とを確認したこと、Taya and Miura(2007)がその理由(図2)を明らかにしたことが書かれています。

 ところが、Thompson and Mikellidou(2011)の研究では、上記とは逆の結論が実験的に得られたという報告がある、とも書かれていて、実験系が甘かったのか、隠れた条件があるのか、何か他のファクター(色とか、体形とかの影響)があるのか、興味深いです。

 この論文では、たくさんの研究結果のトピックが包括的に解説されているのですが、たとえばその中の1つに、スカートの丈の違いで足の長さの知覚が変わるか? とか(図3)、

図 3

 スカートの丈の長さは同じにして、デザインを変えたら足の長さの知覚が変わるか、とか(図4)、そんな実験結果も載っています。

図 4

 結果はぜひ論文を見てください。



 昔、学生の頃に同じ研究室で心理物理実験をやっていた同期がいたのですが、どうしても被験者が偏ってしまうというのが悩みでした。たとえば被験者の性別や年代はどうなのか、服飾系に関する経験や知識はどうなのか、等によって、おそらく結果は変わってくるのではないかと思うのです。今回のこういった心理実験、被験者数はどのくらいの人数で、年代や性別の分布はどうなっているのかな、と思いました。(これらは最も基本的な実験条件なので、それぞれの実験内容を報告する元論文に当たれば必ず書かれているはずですが。)

 こういった心理実験では、見たい現象(図3、図4の場合なら足の長さ、図1の場合なら見かけのスリムさ)の認知量を上手に取り出すことが大切です。できるだけ曖昧さを回避すること、実験者が想定していない隠れたバイアス要因をできるだけ取り除くことが大切です。

 たとえば被験者の疲労曲線や習熟度の変化なども大切です。また、被験者に判断してもらうためのサンプルを提示する順番や位置、大きさも大切です。「縦じまと横しまのどちらがスリムに見えるか」という課題に対して全く逆の実験結果が得られたということであれば、それは被験者群の違いが原因なのか(たとえば、まったくのあてずっぽうですが、大学で二十歳前後の男子学生だけを被験者にしていたため、とか)、提示したサンプルがCGなのか実写なのか、とか、モデルさんの体型や肌の色、照明条件の違いが原因なのか、縦じま・横しまの衣服がワンピースなのか上半身だけのシャツなのかによる違いなのか、とか、いろいろな仮説が立てられると思います。

 上記の例とは別ですが、ラジオで解説されていた実験系は次のようなものでした。服装の色が黒と白の2択と、上半身のシャツのすそをスカートの中に入れるか外に出すかの2択、あわせて4通りについて日本人成人女性の平均体型のCGを作って4枚の評価画像とします。それとは別に、身体のラインがわかる全身タイツのようなグレーの服装を身に着けた、バスト・ウエスト・ヒップを1cm刻みで変化させた比較用画像をたくさん用意します。評価画像のうちの1つと、比較用画像のうちの1つをランダムに画面に提示し、「どちらがスリムに見えるか」を判断してもらいます。

 こうすることで、「この条件の服装のときには○cmスリムに見える(もしくは太く見える)」ということを、定量的に数値として示すことができます。巧妙な実験系だと思います。こんな実験系までラジオでちゃんと説明してくれて、感心しましたしスッキリしました。でも、肝心な結論はすっかり忘れてしまいました。(そこにはあんまり興味がなかったのです。)

<おまけのひとこと>
 私はメーカーに勤務する技術者なのですが、「製品の使いやすさ」(最近の言葉で言うと「ユーザビリティ」)の評価のために、こういった心理物理実験の知識というのはけっこう役に立ちます。たとえば被験者に説明するときの説明のしかたを変えただけで実験結果が変わってしまうということもあったりするのです。医薬品の検査などでは、いわゆる「二重盲検試験」(double blind test)といって、その薬が本物なのか、処方する医師も知らない状態で効果を確認するといったことが行われます。

 普通に工学部の機械や電気電子、情報系などを専門としていた設計者は、あんまりこういうことを勉強したことがない人も多いのです。世の中、何がどこで役に立つかわからないものです。






10月28日(月) 円の合同分割(その1)

 パソコンでこんな絵を描いてみました(図1)。

図 1

 左側(青い図)は、角のある草食動物の頭部のように見えないこともありません。右側(赤い図)は、出来損ないの折り鶴みたいに見えます。これは何かというと、いずれも円を5等分したかたちなのです(図2)。

図 2

 ご覧いただくとすぐにわかると思いますが、これらの図は、円の中心から円周に向かって適当な折れ線や曲線を描いて(図3)、それを円の中心を固定して回転することで得られます。

図 3

 今回はたまたま円周の5分の1ずつ回転させたため、5分割のパターンになっていますが、線分が交差してしまわない限り、何分割してもかまいません。もっとも単純に円の半径を用いると、よく見慣れたこんな扇形になります(図4)。

図 4

 これらN等分の分割は、いずれも円周のN分の1を含み、辺(頂点)が円の中心を含んでいます。そして円の中心に対して回転対称形になっています。

 これに対して、こんな疑問があるのだそうです。

円を合同なピースに分割したとき、
 1. 少なくとも1つのピースが、辺や頂点も含めて円の中心を含まないようにできるか?
 2. 少なくとも1つのピースが、辺や頂点も含めて円周上の点を含まないようにできるか?
 3. 円の中心が、あるピースの内部に完全に含まれるようにできるか?

 もちろん、任意のN分割である必要はありません。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 なんだか気分が晴れません。






10月29日(火) 円の合同分割(その2)

 昨日、こんな問いをご紹介しました。

円を合同なピースに分割したとき、
 1. 少なくとも1つのピースが、辺や頂点も含めて円の中心を含まないようにできるか?
 2. 少なくとも1つのピースが、辺や頂点も含めて円周上の点を含まないようにできるか?
 3. 円の中心が、あるピースの内部に完全に含まれるようにできるか?

 今日はこの1番目の具体例をご紹介します。円を六等分します(図1左)。中心角60°の円弧(図1中)を取り出して、この円弧で円の中心と円周を結んでやれば、円を図1右のように6等分することができます。

図 1

 こうして6等分された1つのピースは、同じ円弧3つによって囲まれています。(これが全部外側に凸になっていれば、ロータリーエンジンで使われる、おにぎりのようなかたちの等幅図形になります。) これは左右対称な図形です(図2)。

図 2

 ということは、もとの6等分のそれぞれのパターンをこの直線で二等分することができます。そうすることで円を12等分できるのです(図3左)。

図 3

 ここで、図3の赤いピースに注目してみると、これが「辺や頂点も含めて円の中心を含まないピースである」ことは明らかです。円の中心を含まないピースが存在するような分割は可能なのです。

 しかし、残念ながらこの例は、どのピースも円周上の点を必ず含んでいます。「辺や頂点も含めて円周上の点を含まないピース」が存在するような分割はできるのでしょうか?

(つづく)



 中央本線の特急「あずさ」の運転が昨日(10月28日)から再開されました。ちょうど出張の予定があったのでとても助かりました。ほぼ定時で運転もしてくれてとてもよかったのですが、また車内に忘れ物をする、という大失敗をしてしまいました。しかも以前やったのとまったく同じ失敗です。

 4月に、携帯オーディオプレーヤーを座席で充電してそのまま忘れて下車してしまったという話を書きましたが、まったく同じことをまたやりました。全く学習していません。もう自分が馬鹿すぎて嫌になります。

 原因、というか自分に対する言い訳ですが、特急の車内はそれほど混雑していなかったのですが、2列ほど後ろのサラリーマンとおぼしきグループがめずらしく声高に会話していたのです。(すぐ後ろは空席でした。) そういった世代の方はたいてい寝ているか何か読んでいるか、会話をしていても小声なことが多いのですが、あまりにうるさくて、ちょっとうんざりしてオーディオプレーヤーを取り出したら、充電切れでした。そこで充電しながらタブレット端末で別なことをしていたのですが、下車するときにはすっかり忘れていました。

 昨日は八王子で8時半過ぎに下車したのですが、忘れたことに9時過ぎに気が付いて、「JR東日本お問い合わせセンター(忘れ物)」に電話しました。電話は混雑していて、5〜6回目にはじめてつながりました。乗車した列車名、乗車駅と下車駅の名前とそれぞれの時刻、座席番号、忘れ物が何か、を説明しました。すると、終着の東京駅のホームに連絡して下さること、見つかったらシステムに登録して管理番号が振られるので、東京駅到着から30分経過した後に再び「JR東日本お問い合わせセンター(忘れ物)」に電話して、同じ説明をもう一度してください、と言われました。

 2時間後くらいにもう一度電話しました。すると、忘れ物は見つかって、東京駅の到着ホームの事務室に保管されていること、そこに置かれているのは当日の午後3時半までであること、それ以降は東京駅の忘れ物センターに移されるということを伺いました。3時半までに東京駅に行かれれば受け取れます、と言われたのですが、それはとても無理な状況でした。

 実は10月31日(木)にも東京に行く用事があって、同じ始発列車で終点の東京駅まで乗車する予定なので、そのときに受け取れないでしょうか、と相談してみると、東京駅の忘れ物センターの保管期限がたぶん3日間くらいなので、ちょうどその日の朝に警視庁のほうに移管されてしまうタイミングではないか、ということでした。今回の忘れ物の管理番号15桁を教えてもらって、東京駅のほうの問い合わせの電話番号を教えていただいて、そこに問い合わせてみてください、と言われました。

 その後、時間がなくて、まだ東京駅には問い合わせできていません。今日、電話してみないと…



 この、同じものを同じように忘れてしまったということがショックだったのか、会社の情報システム部門が企画した「攻撃型メールの訓練」の疑似メールの本文中のURLをうっかり開いてしまいました。「訓練を実施する」ということは事前に予告されていたのに、情けないです。すぐに上司に連絡し、簡単な報告書(なぜ引っ掛かってしまったのか)を書く、という余計な仕事を増やしてしまいました。

 出張先で合流した同じ会社の方に、お昼に「訓練に引っ掛かっちゃいました」と失敗談を話したら、「自分も開いちゃって上司に報告しました(笑)」と言っていて、少し安心しました。

<おまけのひとこと>
 紛失2回目のオーディオプレーヤーは、内蔵バッテリーももう寿命が近く、手間やコストをかけてまで取り戻す価値があるか、というと微妙ではあるのです。ただ、忘れ物を管理する仕事をして下さっている方々に失礼な気がして、取り戻せるなら取り戻したいな、と思っています。






10月30日(水) 円の合同分割(その3)

 昨日は、円の合同分割で12等分したときに円の中心を含まないピースができるパターンをご紹介しました。今日は、円周上の点を含まないピースができるパターンを天下り的にご紹介します。

 まず、円を十等分します(図1)。この中心角が36°の円弧が、今日のピースを構成する部品になります。

図 1

 この円弧を図2のように円周上から平行移動して配置します。

図 2

 すると、こんな風に円は十等分されます(図3左)。こうして分割された1つの部分は、中心角36°の円弧5つによって囲まれた図形になります(図3右)。

図 3

 この図3左のかたちの5つの頂点を結ぶと等辺五角形になりますが、もちろんこれは一般には対称形になるとは限りません。説明は省略しますが、この例では左右対称なかたちになります。ということは、この五角形を半分にしたかたちである図4の赤いピースは元の円を20等分しています。

図 4

 図4左の赤いピースは、明らかに円周上の点は一切含みません。これで

円を合同なピースに分割したとき、
 1. 少なくとも1つのピースが、辺や頂点も含めて円の中心を含まないようにできるか?
 2. 少なくとも1つのピースが、辺や頂点も含めて円周上の点を含まないようにできるか?
 3. 円の中心が、あるピースの内部に完全に含まれるようにできるか?

 の2番目も肯定的に解決されました。ちなみに、3番目に関してはまだ未解決なのだそうです。



 さて、昨日と今日、こんな分割をご紹介しました。天下り的に六等分、十等分した円弧で囲まれた図形を考えると、線対称(鏡像対称)な合同分割ができますよ、というご紹介をしました。

図 5

 これ、なぜ六等分、十等分なのでしょうか? この系列の次のパターンはあるのでしょうか? 次は何でしょうか?

(つづく)

<おまけのひとこと>
 昨日、東京駅の忘れ物センターに電話をしてみたのですが、何度かけてもお話し中で、受付時間(10時〜18時)内につながりませんでした。ヤレヤレ…

 急に寒くなったせいか、妻が頭が痛いといって辛そうです。心配です。






10月31日(木) 円の合同分割(その4)

 昨日、同じ円弧に囲まれた左右対称なかたちで円を六等分、十等分する方法をご紹介しました。その続きの話です。

 円を合同なかたちに分割する自然な方法は、円の中心と円周を適当な線で結んで、その線を円の中心に対して回転させれば任意のN分割ができる、という話を最初にしました。これを1つの円弧にしたのが六等分でした(図1)。

図 1

 十等分は、同じことを円弧2つで中心と円周を結ぶかたちなのです(図2)。

図 2

 ということは、次は円弧3つで中心と円周を結ぶかたちが考えられます(図3)。

図 3

 このとき、円は14等分されています。

 それぞれのピースのかたちを見てみましょう(図4)。

図 4

 それぞれの左下が円の中心、黒い円弧が円周の一部だと思って下さい。赤い線を回転させたのが青い線です。図の上下に書かれている数字は、上側、下側の円弧の数を表しています。この系列はずっと続けてゆくことができるのです。

 こうして円弧の数が増えてくると、かたちが一意に定まりません。図4の一番左の図形だけは3つの頂点は正三角形の頂点になりますが、それ以降のものの頂点の位置はどうやって決めたらいいでしょう?

(つづく)



 月曜日に特急列車の中に忘れてしまったものを、山手線内の大学に通っている息子に「すまないが受け取りに行ってもらえないかな?」と頼んでみたら、快諾してくれて、昨日の夕方にさっそく東京駅に行って受け取ってくれました。15桁の数字の遺失物管理番号、乗車列車名と日時、乗車駅および降車駅の時刻、座った座席番号をメールで伝えて、その情報に基づいて受け取ってもらいました。とても助かりました。

<おまけのひとこと>
 10月も今日でおわりです。いつもならトピックが月をまたがないようにするのですが、今回は図を描くのがちょっと大変でなかなか話が進まず、この話題が続いています。すみません。






[←2019年10月前半]  [↑表紙へ]  [2019年11月前半→]

[Home]-[以前のひとこと]-[2019年10月後半]
mailto:hhase@po10.lcv.ne.jp
2001-2019 hhase