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以前の「ひとこと」 : 2016年6月前半
6月1日(水) 1/7の分数の循環小数と楕円
図書館で「ひとけたの数に魅せられて」マーク・チャンバーランド 岩波書店 という本を借りました。面白いトピックスがたくさん載っていました。その中から1つご紹介します。
1/7は次のような循環小数になります。
この数字の並びから、隣り合う数字の組を作って、それをxy座標の上の点だとみなします。
循環小数ですから、上の6つの点が定義できます。この6点を通る図形を考えてみましょう。任意の5点から二次曲線(楕円、双曲線)が決まります。特別な例として円、放物線がありますが、一般には楕円か双曲線になります。実は上記の6点は1つの楕円の上に乗るのです。これは「あたりまえ」ではありません。
図 1 楕円はこんな式で表されます。
この“142857”の繰り返しから、今度は連続する4つの数字を考えて、それを2桁ずつの座標だとみなしてみます。同じように1桁ずつずらしながら6つの座標を定義します。
この6つの点も、やはり1つの楕円の上に乗るのだそうです。
図 2 この楕円はこんな式で表されます。
大変おもしろいと思います。
<おまけのひとこと>
この本、気に入ったので購入しました。図書館で借りて、気に入って購入するというパターンでこのところ何冊か数学関係の本を買っています。
6月2日(木) 関数グラフソフト“GRAPES”
昨日、楕円のグラフを載せましたが、これは関数グラフソフト GRAPESというソフトを使わせていただいて作りました。実に多機能で面白いソフトです。
図 1 こんな図が簡単に描けます。アニメーションも作れます。
図 2
図 3
図 4 極座標とか陰関数とかも簡単に描けて重宝します。これはお勧めです。
<おまけのひとこと>
三菱自動車に続いて、スズキも燃費に関して問題があったということです。私もスズキの軽自動車に乗っているので、ちょっと気になっています。前に乗っていたKeiでは、カタログ燃費の20km/lは簡単に達成できていたのですが(満タン法で)、今はかなり気を遣って運転しても、まだカタログ値まで出せていません。マニュアル車だったら数値が出せたのかなあと思っていたのですが、ひょっとして無理なのかも、と思えてきました。ちょっと残念です。
6月3日(金) ハム・サンドイッチ定理(その1)
「ひとけたの数に魅せられて」マーク・チャンバーランド 岩波書店に載っていたトピックスです。
図1をご覧ください。白い長方形の上に、小さな色のついた長方形が斜めに置かれています。外側の長方形がパン、内側の長方形がハムだと思って下さい。(パンに対してずいぶん小さなハムですが、すみません、そこは本質ではないので気にしないでください。)
図 1 この、ハムの乗ったパンを、ハムもパンも同じ面積になるようにナイフで一直線に切断することはできるでしょうか? その場合、どのように切断したらいいでしょうか?
(つづく) <おまけのひとこと>
簡単なパズルだと思います。解説は次回の更新でします。
6月4日(土) 碁石拾い(その1)
碁石拾いというパズルがあります(リンクは高木茂男氏の「パズル遊びへの招待・オンライン版」です)。パズル雑誌のニコリでも不定期に問題が掲載されることがあります。先日、書籍・雑誌に見る明治期のパズル事情(高橋浩徳)という文献を読んでいたら、碁石拾いが出ていたので、久々にちょっと考えてみました。
図 1 図 2 図 3 図 4 古典問題をいくつか紹介しておきます。いずれもよくできた問題だと思います。
私がこのパズルを知ったのは小学生の頃で、高木茂男氏のブルーバックスのパズルの本で紹介されていたのを覚えています。図1の「升」という古典問題がとても難しくて解くのに苦労した覚えがあります。
(つづく) <おまけのひとこと>
6/4〜6/10の一週間分の更新になります。
Webで検索してみると、「碁石拾い」の話題は意外と少ないなと思いました。
6月5日(日) 碁石拾い(その2)
昨日の図1の「升」という古典問題ですが、下の図のように飛び出している石の位置が違う問題もあります。原理的には同じ問題です。
再掲図 図 1 これが難しいのは、四角く並んだ石の列の外側、対角線上の2つの角の隣に石が2つ置かれているためです。これが1つであれば簡単です。
升のサイズが変わったらこの問題はどうなるでしょうか? 最初に1辺が2のものを考えてみました(図2)。中に空いた点もないし、升というよりは三角ですね。
図 2 図 3 図 4 図 5 上下左右4方向のうち1方向にしか別の石がない石は、最初か最後に拾うしかありません。これを「端点(たんてん)」と呼ぶことにします。そのような点が3つあったら碁石拾いはできません。解けない問題ということになります。最初に図3の黒い石から拾い始めることにします。ルール上、次に拾うのはすぐ右隣の石になります(図4)。この時点で残っているのはあと4つです。この4つをよく見ると、図5のように端点が3つあることがわかります。つまりこの時点で解はない、解けないということになります。ということで図2は解けない問題でした。
次に升のサイズをもう1つ大きくして、1辺が3のものを考えてみます(図6)。
図 6 図 7 これはすぐにわかると思いますが、牛耕式に行ったり来たりすることで、簡単に取りつくすことができます(図7)。奇数なので、牛耕式に左上から始めると右下で終わるのです。ところがこれが偶数になると、同じように行ったり来たりすると左上から始めると左下で終わるため、うまくいかないのです。
ちなみに升の1辺が4以上であれば、偶数であっても奇数であっても1辺が4と同じ原理で解くことができます。
(つづく) <おまけのひとこと>
関東甲信越地方も梅雨入りしたようです。
6月6日(月) ハム・サンドイッチ定理(その2)
先日、「図のように白い長方形の上に、小さな色のついた長方形が斜めに置かれているとき、2つの長方形をいずれも二等分する直線を見つけなさい」という問題をご紹介しました。(ちょっと文面が違いますが)
再掲図 この答ですが、図1のようになります。
図 1 ちなみに、今回は長方形でしたが、任意の2つの図形を重ねても、同様に、2つの図形をいずれも二等分する直線が引けます。これを「ハム・サンドイッチ定理」と呼ぶのだそうです。
<おまけのひとこと>
図 2
いつもメールで感想をお寄せ下さる福岡のKさんから回答をメールでいただきました。ありがとうございます。
6月7日(火) 折り紙の箱の折り図
先日喫茶店に行ったときに、コーヒーと一緒に出していただいたペーパーナプキンでなんとなく折り紙をしてしまいました。最近気に入っている四角半柱の箱と五角形のたとうです。
図 1 箱のほうの折り図を作ったのを紹介するのを忘れていたので、掲載しておきます。
妻が自宅で子供向けのピアノ教室をやっているのですが、いろいろなデザインの折り紙でこの箱を折ったものを置いておいて、欲しいという子がいたらあげるよ、と言ったら、貰っていってくれた子が何人かいたそうです。
<おまけのひとこと>
とある本を読んでいたら、「方程式の解の置換が群論の濫觴と言えます。」という文が出てきました。恥ずかしながらこの歳まで濫觴(らんしょう)という言葉は知りませんでした。「らんしょう」でカナ漢字変換すると濫觴だけが出てきます。
6月8日(水) 碁石拾い(その3)
碁石拾いの話の続きです。古典問題には、文字のかたちの問題がいくつもあります。「中」というのも有名な問題です。
図 1 図 2 図 3 図1が古典問題の「中」です。縦棒の上が2石になっているところがポイントで、これが無い図2のパターンは解けません。ところが、図3のように四角の部分を1段長くすると、縦棒がまっすぐでも解けるようになります。この図3の解が面白くて好きです。
(つづく) <おまけのひとこと>
ブラウザ上でできる素敵なパズルをたくさん公開して下さっているGAMEDESIGNというサイトにも、KAERU JUMPという、碁石拾いそのもののルールのパズルがあります。お勧めです。
6月9日(木) 碁石拾い(その4)
最近、暇なときにちょっと考えてみている碁石拾いの問題があります。まだ結論が出ていないのですが、ご紹介しておきます。
図1のように5×5の碁盤を考えます(図1)。石は最大で25個置けます(図2)。石をどのように配置しても、必ず碁石拾いができるためには、最低何個の石が必要でしょうか?
図 1 図 2 図 3 石が1個しかない場合は特別なので考えない事にします。石が2個ならば、同一直線上になければ碁石拾いできませんから2個では足りません。25個あれば、牛耕式にぜんぶ拾えることは明らかです。24個も同様です。図2から任意の1個を取り除いたものは、必ず碁石拾いが可能です。
では、碁石拾いができないパターンで、石の数が多いものはどんなものが考えられるでしょうか? 図3がその一例で、左上の石が孤立しているため、図3は明らかに碁石拾いができません。これは4×4+1=17個の例です。つまり17個では足りないことになります。一般にN×Nの盤面で、必ず碁石拾いができるために必要な最小個数はいくつかな?というのをNが小さいときを中心にいろいろ考えてみています。
<おまけのひとこと>
碁石拾いの話はいったんここまでにします。
6月10日(金) 花火(というカードゲーム)
「花火」というカードゲームを買いました。協力型のゲームで、ニコリで紹介されていてちょっと興味があったのです。
図 1 実はまだ遊んでいません。
<おまけのひとこと>
今週末、6月11日、12日はリスーピアでワークショップをやってきます。
6月11日(土) リスーピアワークショップ
6月11日(土)、12日(日)はリスーピアでワークショップをやってきました。今回は紙の鎖でつくる菱形多面体のワークショップでした。菱形六面体は、写真で見ると立方体のように見えることがあります。私たちがものを見て形や意味を理解するときに、自分が知っているものと照らし合わせて判断しているのです、という解説をしたのですが、その流れで、文字の理解の話をしました。
図 1 図1は、カタカナで食べ物の名前を書いたものです。言葉を知っていることで、同じ形の文字でも違う文字だと判断できるという例です。今回のワークショップの説明のために、急遽作った図です。
もう1つ、逆の例としてなまじカタカナや漢字を知っていると読めなくなってしまうフォント、という話を紹介しました。しばらく前にネットで話題になっていたものなので、ご存知の方も多いかなと思ったのですが、そうでもなかったようでした。
図 2 日本人には読めないフォントで検索すると、フォントや解説がいろいろ出てきます。
ご参加下さった皆様、ありがとうございました。
<おまけのひとこと>
6/11〜6/18の一週間分の更新を、6/13にやっています。
6月12日(日) 有明から木場へ
週末のワークショップは土曜と日曜の午前と午後に1回ずつ、計4回やっています。その中の1回に、妻が初めて見に来てくれました。その後、木場で知り合いと待ち合わせをしているということで、「どうやって行くのがいいと思う?」と相談されたのですが、有明(国際展示場)から木場はとても行きにくいということがわかりました。
図 1 国際展示場駅からりんかい線で「新木場」に出て、有楽町線で「月島」に行って、大江戸線で「門前仲町」、東西線で「木場」というルートを勧めました。乗換が3回で、30分くらいで到着したとのことでした。
<おまけのひとこと>
バスも考えたのですが、あまりいいルートが思いつきませんでした。
6月13日(月) 立方体の上の3点のなす角度(その1)
Mental Gymnastics: Recreational Mathematics Puzzlesという本を買ってきました。わりと面白いパズルがいくつか載っていたので、ご紹介します。
図 1 図のように、立方体の上に3点を取ります。問1は3つの頂点、問2は辺の中点、問3は辺を3対1に内分する点です。角ABCはいくつでしょう?三角形ABCはどんなかたちの三角形でしょう?という問題です。
問1や問2はよく見たことがある問題なのですが、問3、私は知らなかったので新鮮でした。
<おまけのひとこと>
6/12の夕方、東京に住んでいる子供たちと妻と新宿駅で待ち合わせていっしょに夕食を食べました。一週間早い「父の日」のプレゼントを持ってきてくれていました。感激しました。
6月14日(火) 面積の問題
図のように小さな円を7つ並べて、それにちょうど接する大きな円を考えます。
図 1 小さな円の面積を1とすると、赤い色を付けた部分の面積はいくらでしょうか?
大きな円と小さな円の相似比から面積比がわかるので、隙間の部分全部の面積がわかります。赤い部分は、隙間全部の6分の1です。ということは…
<おまけのひとこと>
たぶんこれ以上の解説はいらないと思います。
6月15日(水) 立方体の上の3点のなす角度(その2)
立方体の3点を結んだ三角形のかたちの話です。難しい問題ではないので、途中の計算を書いてしまいます。
図 1 このように、まず面白いのはABとBCが同じ長さなのだ、ということです。さらに、もう1つの辺の長さを考えると、この二等辺三角形は特別なかたちなのだ、ということがわかります。
AB=BCとCAの比を考えてみてください。よくご存じの値になっています。
<おまけのひとこと>
実はこれに気が付いて、私は「え? ひょっとしてABCを通る面で切断すると、切り口は、まさか正方形になるの?」と一瞬考えて興奮しました。立方体の面に平行に二等分するのではない切り方で、切り口の面積ももっと大きな正方形になる切り方があるなんて! と思いましたがこれはもちろん間違いです。