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以前の「ひとこと」 : 2016年5月後半



5月16日(月) 正方形から折る正五角形の畳紙(その1)

 正五角形というのは、特別な魅力のあるかたちだと思うのです。正三角形も、正方形も、正六角形も、単独で平面を埋め尽くすことができます。ところが正五角形は平面を埋め尽くすことができません。また、「黄金比」という特別な値があります。これは特に正五角形と深い関係があって、いろいろと面白い話がたくさんあります。

 正五角形を正方形の折り紙から折り出す方法はいろいろ研究されています。過去の研究の成果を参照しながら、自分でも作ってみました。(おそらく既にどなたかが作っているのではないかと思います。)

図 1

 正五角形を折り出す部分については、近似解として知られている方法だと思います。その後の折り方、これも新規性があるか怪しいですが、こんな風に折ってみました。

図 2

 ペンローズの菱形(鋭角が72°の菱形)が現れるところが気に入っているのですがいかがでしょうか。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 この折り方、気に入ってしまって量産しています。出来上がった作品を72°ずつ回転させて合わせてみると、若干の誤差があるのが残念です。なんとか誤差がないように作りたいのですが…






5月17日(火) 正方形から折る正五角形の畳紙(その2)

 正方形の折り紙から折る正五角形の畳紙、自分のための備忘録として折り図を作ってみました(図1)。これは単にベースとなる正五角形の折り出し方を説明しているだけで、その後の畳紙としての折り畳み方はいろいろな方法が考えられます。

図 1

 (工程(8)の折り線は適当です。ここでは正五角形がここにできるということを見ていただきたいです。) ポイントは(2)の工程です。ほんの少し隙間を空けて折ります。15cmの折り紙ならば2mm程度の隙間になります。(4)→(5)の、点と点を結ぶ折り線も、正確に折ろうとするとなかなかむつかしい工程です。

 図1の図を楽しみで作ってみたのですが、川村みゆきさんの「はじめての多面体おりがみ」に、ほぼ同じ折り図が載っていることがわかりました。川村さんの図では図1の(2)の工程では、隙間を空けずに完全に二等分するように折る指示になっていました。

 ちなみに計算してみると、15cm角の折り紙だと、(2)の工程で完全に二等分すると7.5cmになりますが、折るべき量は理論的には7.4cm程度になります。なので、15cm角の折り紙ならば(2)の隙間は2mm程度が適切ということになります。

 その後、同じ15cm角の折り紙から、もっと小さな正五角形(図2)やもっと大きな正五角形(写真はありません)も作ってみたのですが、いずれも折り紙作品としていまひとつでした。

図 2

 この折り方(近似)を知ることができて幸せです。

<おまけのひとこと>
 5月13日(金)は2016年度の新旧の課長だけの飲み会がありました。私は今回卒業させてもらったのですが、とても楽しい飲み会でした。二次会は珍しく8名全員が行きました。終電ぎりぎりになってしまって、駅で切符を買っているときに駅員さんから「どこ行きに乗るのですか?急いでください」とフォローしてもらいました。おかげさまで終電に乗ることができました。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。終電に乗れてとても助かりました。(ちなみに田舎なので、終電は23時過ぎです。)






5月18日(水) 折り紙:手裏剣の箱

 Netで折り紙作品の検索をしていたら、展開図を見つけました。完成品の写真は見当たらなかったのですが、パズルだと思って折ってみました。

図 1

 参考にしたのは、こちらの展開図です。Binzinger氏が考案され、展開図を公開して下さっているようです。“origami shruiken star box”という表記があります(shuriken ではなくてshruikenと書かれています)。

 これを15cmの正方形の折り紙から折ってみたのが図1です。三谷純先生の研究とかにもありますが、展開図での山折・谷折を決めても、3次元的な折り方は一意には決まらず、様々な解釈が可能です。完成体の姿をイメージしながら、適当に折ってみました。

図 2

 裏返してみたところです。これは、折り図を見ながら、完全に折り紙的な手法のみ(定規とか鉛筆とかそういう道具を一切使わず、紙そのものと人間の手だけを使う)で作りました。出来栄えはいまひとつですが、考案者のデザインは優れているなと思いました。

<おまけのひとこと>
 今回、紫色の折り紙をつかって作ってみました。紫色というのはデジタルカメラで再現しようとすると、とても難しい色なのです。今回は詳しく書きませんが、いずれまたご紹介したいと思います。






5月19日(木) 前川淳さんの菱形十二面体(その1)

 紹介が前後しますが、前川淳さんの菱形十二面体です。

図 1 図 2

 これを折るのはとても大変でした。これは合同な2パーツを組み合わせて作るのですが、パーツを準備するところよりも組み合わせるところが難しい作品でした。作るのはパズルのようで楽しかったです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 折り紙作品は、作ってみて嬉しかったものと嬉しくなかったものに分けられます。うれしくなかったものはもう作りません。嬉しかったもののうち、どんんどん何度も作りたくなるものと、「もういいかな」と思うものがあります。この菱形十二面体は、「作ってみて嬉しかったけれど、しばらくは作らなくてもいいかな」と思ったという分類です。






5月20日(金) 前川淳さんの菱形十二面体(その2)

 前川淳さんの菱形十二面体、展開図はこんな感じです。(この情報だけからだとおそらく作品は完成できないと思うので、ご紹介させていただいてもいいかなと判断しました。)

図 1

 こんな風に1:√2の長方形を細長く2等分して、それを2×4に分けて対角線の折り線をつける感じです。図1では、折り線の入れ方を片方の長方形にしか描いていませんが、まったく同じものを2つ作って、それを組み合わせます。折り紙とペーパークラフトの中間といった作品で、作り方が面白かったです。

<おまけのひとこと>
 相変わらず夜は咳込んで起きてしまったりして、あまり体調がよくありません。






5月21日(土) 前川淳さんの三段弦巻立方体(その1)

 先日来ご紹介している前川淳さんの長方形から折る折り紙のシリーズ、今日は三段弦巻立方体です。

図 1

図 2

 立てたところと寝かせたところです。

図 3

 基本的には図3のような展開図になります。(この展開図だと4段になってしまいますが。)タテヨコに格子状に山折して、片方向の対角線を谷折で入れます。

 このかたち、気に入っていくつも作ってみました。組んで形を整えるのが意外と大変です。また、前川さんご自身も書かれていますが、ナナメの対角線を正確に折るのは簡単ではありません。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 5月22日(日)の朝に、5/21〜5/27の一週間分を更新しています。
 今朝(5/22)は妻に頼まれて、大きく育ってしまった雑草の株を3つほど抜きました。鶴嘴(つるはし)を雑草の株の根元に打ち込んで、てこの原理で引き抜くように力を加えるというのを繰り返して、なんとか抜くことができました。3株でゴミ袋がほぼいっぱいになるくらいでした。私は妻が大切にしているシャクヤクとかを雑草と見分けがつかずに何度も抜いてしまっていて、今は、「これだけを抜いて」と指定されたものだけを抜くようにしています。






5月22日(日) 前川淳さんの三段弦巻立方体(その2)

 三段弦巻立方体のかたちが気に入ったので、CGにしてみました。

図 1

 なぜこのかたちが「三段弦巻立方体」という名前になったのかというと、このかたちの凸包が立方体の三段重ねになっているためです(図2〜図4)。

図 2
図 3
図 4

 このCGを作るのは楽しかったです。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 5月19日(金)は職場の新人歓迎会がありました。新人さん2名を含めて12名が出席でした。今回は私が最年長の飲み会でした。






5月23日(月) 弦巻構造

 昨日のCGを作った後、すこし変形してみました。

図 1
図 2
図 3

 昨日のものは、基本となるベクトルが

(1, 0, 0)
(0, 1, 0)
(0, 0, 1)

 でしたが、これを

(1, 0, -0.1)
(0.2, 1, 0.3)
(0.15, 0, 1 )

 このように変えてみたのが今日のCGです。基本ベクトルを置き換えるだけで全部が変わるようにプログラムしてあります。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 妻が毎月1回、小さな合唱のサークルの指導をしています。先週、朝から強い雨が降った日が練習日だったのだそうですが、会場の公民館に傘を置いて会場に入ったら、終わった後の傘立てには、一見自分の傘と似ている、でもとても古い傘だけが残っていて、自分の傘がなかったのだそうです。
 公民館の人に相談したところ、「傘までは責任は持てません」と言われたそうです。(まあそれはそうなんですが。) 1ヵ月に一度しかその公民館に行かないので、傘の特徴を話して、もし返ってきたら連絡してくださいとお願いして帰ってきたそうです。

 話をきいて、私は「持っていかれた傘は返ってこないんじゃないかなあ」と思ったのですが、翌日公民館から連絡があって、傘が返ってきたとのこと。返して下さった方、わざわざご連絡下さった公民館の方、ありがとうございました。






5月24日(火) 弦巻構造を正方形から折る(その1)

 弦巻構造を正方形から折ってみました。

図 1

 若干厚みのある両面折り紙を使いました。放っておくとほどけてきてしまいます。この比率のものもきれいだなあと思いました。(精度が出ていなくて作品としての出来は悪いですが)

図 2

 4段にしてみました。

図 3

 A4用紙で作ったオリジナルの「三段弦巻立方体」と、15cmの正方形折り紙から折った4段の弦巻構造を並べてみました。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 先日から続いている咳がようやくおさまってきたのですが、右の脇腹というか胸というか背中というかがものすごく痛むようになってしまいました。肋間神経痛かなあと思っています。






5月25日(水) 弦巻構造を正方形から折る(その2)

 展開図の格子を正方形にして、対角線が45°になるようにするとどうなるでしょうか?

図 1 図 2

 こうすると、理論上は厚みがなくなって平らになります。実際には紙の厚みがあるので、ばねのようなものができました。

<おまけのひとこと>
 5月22日(日)の朝の題名のない音楽会が、「平成VS昭和 いま歌いたい合唱曲の音楽会」という内容でした。義弟が東京混声合唱団(日本でも数少ないプロの合唱団)の団員なので、楽しみに観ました。モーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」、「虹」「桜ノ雨」「気球にのってどこまでも」「旅立ちの日に」「大地讃頌」というプログラムで、久々に合唱を聴きました。いずれもいい曲だなあと思いました。「大地讃頌」はとてもゆっくりなテンポで、「さすがプロ」と感心しました。普通あんなテンポでやったらとても息が続きません。






5月26日(木) 豊科近代美術館の「錯視」

 先日ご紹介した、豊科近代美術館の回廊の天井が不思議だったという話の解説を書きます。中庭の回廊の天井は再掲図Aのように見えるのに、外側の回廊の天井は再掲図Bのようになっていて、いったいこれはどういう構造なんだろう?という話です。

再掲図A

再掲図B

 答を書いてしまうと、再掲図Aの構造は図1のようになっているのですが、再掲図Bのほうは図2のような構造なのです。

図 1

図 2

 つまり、天井が平らなのか、斜めなのかという違いがあったのでした。

 CGでこれを再現してみることにしました。図3は建物を外から見た視点、図4は錯視が見えている視点です。床はグレー、右側の壁が黄色のストライプ、左側の壁が緑色のストライプ、天井は赤のストライプとしました。こういう模様を付けてやらないと、何が何だかさっぱりわからないCGになってしまいます。

図 3 図 4

 正面の壁の緑色のストライプは、右にゆくほど遠ざかるため、どこか遠くの1点(消失点)に収束するように見えます。手前の天井(赤いストライプ)が終わる部分の縁の線が、この緑色のストライプと同じ消失点に向かう方向に見える視点からみると、この不思議な「錯視」見えるのです。

 建物の外から中に入ってゆくgifアニメーションを作ってみました。

図 5

 図6、図7は「錯視」が見えている地点で振り返ってみたところの写真とCGです。

図 6 図 7

 再掲図Bの写真と図6の写真を見比べて、天井の傾斜が同じだと感じられるでしょうか? 再掲図のほうは、わかっていても天井が水平に見える気がします。とても面白いと思うのですがいかがでしょうか。

<おまけのひとこと>
 写真では床が写っていません。本当は床まで写したかったのですが、人物が写り込んでしまうため、カメラをかなり上に向けて撮影したのです。平日の人が少ない時間に、もう一度撮影に行きたいなあと思っています。でもそんな機会はなさそうですが。






5月27日(金) 長方形から正五角形を切り出す

 正五角形を基本とした折り紙を考えてみようかなあと思って、A4とかB5のサイズのレポート用紙から正五角形を切り出すやり方を考えてみました。折り紙の手法で折り出す手順が発表されていますが、それだと不要な折り線が付いたり、(私の技術では)精度が出なかったり、時間がかかったりといった問題があるので、手軽さを最優先した切り出し方を考えてみました。

図 1

 長方形を横長において、そこに正五角形が図1のように内接している状態を考えます。長方形の短辺(図の縦)の長さを入れると、図1のA,B,C,D,Eの長さを計算してくれるExcelシートを作ってみました(図1は単なる画像です)。

 この長さを利用して、長方形の三辺に印をつけて、図2の左上のように正五角形の左側の3点の位置を決めます。

図 2

 いらない部分を切り取って(図2右上)、左下の角を二等分するように紙を折ります。すると、残りの2頂点が決まりますので(図2左下)、そこに印をつけて不要な部分を切り落とします。

 正五角形を半分に折った折り線が付きますが、多くの場合この折り線は必要になるだろうということで、今はこの手法で正五角形を切り出しています。 (「手法」というのは大袈裟ですが。)

<おまけのひとこと>
 この春から東京で一人暮らしを始めた息子が、「部屋の鍵を無くした」ということでちょっとした騒ぎになりました。結局自分のカバンの中から出てきたそうなのですが、そこに至るまでに、この春から就職した近所に住んでいる娘に相談して迷惑をかけてしまったようです。やはり親元を離れて生活するという経験は大切だなあと思うのです。これに懲りて、いろいろ経験を積んで、ちゃんと生きていけるようになってほしいなあと思います。






5月28日(土) 10^n+1 型の素因数分解(その1)

 最近、職場の駐車場から会社の建物に向かって歩いている途中で、通り過ぎてゆく車のナンバープレートを読み取って、それを二桁の数が2つあるとみなして掛け算をする、ということをなんとなくやっています。計算が面倒で「パス」する場合もあります。先日、[69-29]というナンバーを見て、これは(70-1)×(30-1)だから、2100 引く 100 足す 1 だから 2001、と暗算をして、2000にとても近い数字になって面白いなと思いました。考えてみると2001は3の倍数ですから素数ではないのはすぐにわかります。(3の倍数は、数字を構成する各桁の数字を足したものが3で割り切れるかどうかで判断できます。)

 1001が7×11×13なのは有名(?)ですが、3001や4001、5001…は素数なんだろうかと思って、ちょっと試してみました(図1)。

 
図 1

 3001、4001、7001、9001は素数だということがわかりました。(2001、5001、8001は3の倍数なのは明らかです。)

 次に連想したのは、101、1001、10001、100001、というような、両端の桁が1で内側の桁はぜんぶゼロ、という数字です。これは10のべき乗に1を加えた数(10^n+1)です。これを素因数分解したらどうなるでしょうか?

 
図 2

 とりあえずn=10までやってみました。ちょっと検索してみたら、こちらにn=20までの計算結果、こちらにはなんとn=100までの結果が出ていました。さて、ここからどんな規則性が読み取れそうでしょうか?

(つづく)

<おまけのひとこと>
 久しぶりに自分でも面白いと思えるトピックスに出会ったので、少し丁寧に説明したいと思っています。
 今回の更新では、見かけは数字ばっかりの地味なページになります。






5月29日(日) 10^n+1 型の素因数分解(その2)

 10^n+1のタイプの数字の素因数分解について考えています。 リストを見てまず最初に思ったのは、n が奇数ならば11で割り切れるのではないか? ということでした。素因数分解してしまうとかえってわかりにくいので、「11で割る」だけにしてみました。

図 1

 こうして並べてみると、nが奇数のときには11で割り切れそうです。筆算のかたちで書いてみるとよくわかります。

図 2

 次々と1が繰り上がっていって、途中が全部ゼロになるのが面白いです。ではnが偶数ならばどうでしょうか? 昨日の表を見ると、n=2, 6, 10 の場合、101が素因数に入っています。同じようにこれも掛け算で表してみましょう。

図 3

 図1では2桁周期で90が続いていましたが、図3では4桁周期で9900が続いています。その結果、101を掛け算すると

図 4

 このようになって、やっぱり途中が全部ゼロになるのです。このパターンでは、図4の筆算で、一番上の9900...99009901は4桁ずつ増えてゆきますから、掛け算の結果の100...001 も4桁ずつ増えてゆきます。そのため、このパターンで生成される のは、10^n+1のタイプの数のうちのnが4k+2であらわされる数ということになります。つまり、nが偶数なんだけれども4の倍数ではない数、言い換えると2の奇数倍の数の場合は、10^n+1 は 101 で割り切れることがわかります。では残った2の偶数倍、つまり4の倍数の場合にはどうなるでしょうか?

(つづく)

<おまけのひとこと>
 3月に高校を卒業した息子が、通学に使っていた自転車を引き取ったのですが、先日それを盗まれてしまいました。ほとんど使っていなかったので、気が付くのが遅くなりました。いつなくなったのかわかりません。最後に使ったのは五月連休のころなので、確実にあったのはもう3週間以上前になります。がっかりしています。






5月30日(月) 10^n+1 型の素因数分解(その3)

 10のべき乗に1を加えた数、1000...001というタイプの数の素因数分解について考えています。昨日、nが奇数の時は11で割り切れること、nが2の奇数倍のときには101で割り切れることを直感的に説明しました。残っているのはnが4の倍数のときです。こちらの表を眺めてみることにしましょう。

 n=4のとき、10^4+1 = 10001は73×137と素因数分解できます。表を眺めていると、n=4, 12, 20 のところに 73, 137 という素因数があるのが見えます。そうすると、昨日までの類推で、nが4の奇数倍のときは10001 (=10^4+1)で割り切れるのではないか?という仮説が思い浮かびます。計算してみましょう。

図 1

 ご覧のとおりです。これも筆算のかたちで書いてみましょう。

図 2

 今度は99990000と8桁周期になっていることがわかります。なので、nが4の奇数倍のとき、10^n+1は10001で割り切れるのです。

 残っているのはnが8の倍数のときですが、これも同様にして、nが8の奇数倍のときには 10^n+1は 10^8+1で割り切れることが示せます。計算結果だけ載せておきます。

図 3

 以下同様に、16の奇数倍、32の奇数倍、64の奇数倍…はそれぞれ合成数であることが示せますので、残っているのはnが2のべき乗のときだけ、ということになりますつまり、

のです。もちろん、10^n+1のnが2のべき乗だからといって素数だというわけではありません。11と101は素数ですが、それ以降は見る限り合成数ばかりです。こちらのページを見ると、101は、10^n+1のタイプの数のうち、知られている最大の素数だと書かれています。私は検証する手段を持っていませんが、少なくとも先日もご紹介したこちらのn=100までの結果を見る限り、101以降には素数はありません。

(つづく)

<おまけのひとこと>
 今は、桁数の大きな計算がだいぶ簡単にできるようになって、こんな計算や検証が手元のパソコンでやれて楽しいです。






5月31日(火) 10^n+1 型の素因数分解(その4)

 昨日で10^n+1型の数について、nが2のべき乗以外は合成数であることが示せました。改めて10^n+1の素因数分解の表を眺めていると、[7x11x13]を素因数に持っている数が目に付きます。7x11x13=1001=10^3+1で、これは昨日まで考えていた系列には登場しない数です。

 表を眺めていると、n=9,15,21,27,33,39…が10001で割り切れています。つまり、nが3の奇数倍(3x1,3x3,3x5,3x7,3x9,3x11…)のとき、10^3+1で割り切れているのです。

図 1

 つまり、昨日は10^n+1のnが「2のべき乗の奇数倍」のとき、と規定しましたが、実は任意の数mの奇数倍のとき、10^m+1で割り切れるのです。

 たとえば、45という数を考えましょう。45=3x3x5です。45=1x45で1の奇数倍ですから11で割り切れます。45=3x15で3の奇数倍ですから、10^3+1=1001で割り切れます。45=5x9なので5の奇数倍なので10^5+1=100001で割り切れます。同様に、9の奇数倍、15の奇数倍ですから、10^9+1でも10^15+1でも割り切れます。愛用させていただいている多倍長電卓lmで計算してみました。

図 3

 両端の桁が1で、内側の桁がすべてゼロの数には、こんな関係があるということがわかりました。とても面白い「発見」でした。

<おまけのひとこと>
 今回ご紹介したこのシリーズ、どこかで公開されているのかなあと思って検索してみているのですが、まだ見つけていません。どなたかご存知でしたら教えていただけたら嬉しいです。






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