「うわわわ!?」
ここは氷の張っている湖。
こんなところに落ちてしまっては凍え死んでしまう。
それに、二人は敵をよく見るために広い湖の真ん中あたりにいる。
泳ぐにしても、陸に上がって仲間を見つけることができなければ確実に凍死だろう。
氷の破片はもはや人間を一人乗せることもできない程粉々だ。
だが、もう逃れる術はない。
二人は覚悟して、湖に入ろうとした。
その時、何者かが放ったものによって、ものすごい勢いで二人をつかみ、そして戻ってきた。
二人は無事に、陸地に上がる。
「・・・助かった♪」
キイナが言う。
だが、遁世はいまだに目を閉じて湖に着水するのを待っていた。
「・・・遁世♪ 私たちは助かったんだよ☆」
そう言うと、ようやく遁世は目を開け、立ち上がり、ほこりを払うと、何事もなかったような目になる。
「敵は倒したのか・・・?」
「わざとらしい☆」
と、チョップでの突っ込み。
「とりあえずありがとう・・・」
と、キイナがお礼を言おうとした人物は、全身に布を巻き、そしてそれは目にしかすき間はないかなり怪しい人物だった。
「ここは神の空間であることはわかっているな?」
突然男が言う。
キイナはとりあえずうなずくものの、遁世はどういうことかわからない。
「今回は雪の神をお前たちは相手にすることになったが、いきなり四つに別れてしまったからな。私が何とか集めようとしているのだが・・・」
と、空の方を見る。
二人は「その集めようとしている」の言葉に驚いた。
この男はそのようなことができるのか、と。
男は空を見ると、先程使った道具を取り出す。
その道具は、糸の先にショベルのようなものがついていて、どうやらそれを自在に操ることができるらしい。
それを投げ、引き戻すとその中には二人の人間がいた。
「あ♪ フェイにテオだ☆」
キイナが言う。
二人は降ろされると、テオはキイナを見て首をかしげる。
「・・・? お前たちは・・・」
「お、キイナと遁世だ。偶然だな」
と、フェイ。
二人はこのあいさつに少々素直にうなずけないことを先程聞いているが、とりあえず男の方を見る。
が、すでにその姿をくらましていた。
「・・・?」
「誰だったんだろうね☆」
「? 誰かいたのか?」
テオが聞く。
「うん・・・どこいっちゃったのかな〜、あの怪しいおっさん♪」
と、キイナ。
「ちょっと待ってろ」
そう言ってテオは地面に手を当てて、目をつぶった。
二人は何をするのかわからなかったが、フェイが説明をする。
「テオは超能力者で、今はサイコメトリーということをしている。このあたりにある記憶を探り出すものだ」
「へぇ〜☆ 便利だね♪」
キイナが言う。
しばらくすると、テオが立ち上がる。
「何かわかったのか?」
「いや、このあたりの記憶はここには誰もいなかったといっている・・・」
テオはそう言うと、雪山を見た。
「う〜ん、謎だね☆」
「それよりも、早くギアローさんと合流した方がいいと思うな」
遁世が言う。
「そうだな・・・気になるやつもいるし」
テオが言う。
三人はテオの気になるやつとは、あの怪しい男の事かと思っていたが、実際は違った。