九牙と権兵衛は振り向くと、大量のつららが襲いかかってきた。

これには九牙の牙も、権兵衛の獄炎刀も役に立たない。

セラミックメイルのおかげで権兵衛は大したダメージを負わずにすんだが、九牙は両腕に刺さり、自由を奪われた。

「プラフィス・・・後は頼む」

そう言うと、プラフィスが再びやって来た。

その出現と同時に両腕も治る。

それから一言台詞を言おうとするプラフィスだが、その前に敵の攻撃の第二波がやって来る。

敵、本体の突撃だ。

だが、余りにも見え見えだったので、スピードこそあったが権兵衛でもよけることができた。

だが、問題はそこからだ。

敵の通った後に氷の波が出てきて、二人の行動の自由を奪った。

「な、何じゃこりゃ!?」

権兵衛は大いに慌てる。

何とかして烈火を使おうとするが、両腕も氷の中に入ってしまっていて、炎が発生しない。

プラフィスはこの程度・・・と、きどって詠唱しようとするが、敵はそれを待たなかった。

今度は雪玉・・・というより、氷玉と表現する方がいいかもしれないものがたくさん飛んでくる。

さすがにこの氷を溶かすわけにはいかなくなり、プラフィスはフレイムファングを連射して氷玉を防いだ。

だが、さすがに権兵衛の分もカバーし切れないので、敵を倒した方がてっとりばやいと思い、標的を飛んでいる敵に向けることにした。

その時、吹雪が襲いかかってきて、突如視界が悪くなった。

しかも敵の氷玉攻撃は終わっていない。

「いででで!? おい、曲者! さっさとやっつけっちめえよ!」

「・・・わかっていますよ」

プラフィスは苦笑いをする。

権兵衛に対してもだが、それよりもこんなに一方的に攻撃されることになるとは思ってもいなかったのだ。

とりあえず、権兵衛はセラミックメイルを装着しているので、顔に思いっきり当たらないがぎり死にはしないと見て、まず自分の周りの氷をフレイムタスクで溶かす。

「あ! ずりい!」

「あなたも余裕ができたら助けますよ」

そう言って九牙に変わる。

これほど視界が悪いと、エルフの視力でも敵と見分けがつかない。

こうなったら感度の高い九牙に狙撃してもらうのが一番と見る。

だが、回りは吹雪。

いくら高い感度を持ってしても、敵を見分けるのは厳しい。

その上、今度は強力な風を送り始めた。

それも、大きな雪玉と共に。

それに反応した九牙はプラフィスと強制交代し、銃を撃つが粉々になった雪が自分に降りかかるのを感じて、本体ではないと感じた。

(まずい・・・このままでは私までやられてしまう)

とりあえず、感じたものはどんどん撃ちまくった。

だが、どれもこれもはずれ。

「おい、九牙! 俺を出せ!」

(うるさいな・・・)

と、思った矢先、前で大きな物音がする。

(・・・まさか!?)

そう、巨大な雪玉だ。

おそらく、フレイムタスクをいくら連射しようと、解ける前に大きさを増すほどのもの。「まずい!」

と、思った瞬間、後ろの上空に、何か気配を感じた。

すぐさま反応し、背後に脇から撃ったものの、当たったかどうかはわからない。

そしてその気配は雪玉に突っ込む。

(!?)

そしてその雪玉は止まった。

それと同時に吹雪も止む。

「・・・?」

「おい! 九牙、ここから・・・」

だしやがれ、と言おうとしたところ、氷はなくなっていくのを見る。

「おお、何かすげえな」

そう言って雪玉を見ると、二人の人が這い出てきた。

N・Mとギアローだ。

「いたたたた・・・あれ? 九牙さんに権兵衛さんだ。無事だったんですね!」

そう言ってN・Mの方は再開を喜ぶが、どうも複雑な心境の九牙と権兵衛。

いったいどういう経過があってこのようなことが・・・

「うわっ! ギアローさん!? 何で後ろにいるんですか!?」

と、振り向いた瞬間に驚くN・M。

「いや、何、フェイにふっとばされて、空中でこのへなちょこ捕まえて、誰かが勝手にとどめを刺したのだがな」

そう言って何か雪の中から取り出そうとすると、空を切る。

「・・・どうやら雪に還元された模様」

「・・・まあ、いいか」

何だかあれだけ苦戦を強いられたのにもかかわらず、このようにあっけなく幕を閉じたのに少々不満な九牙だったが、生きているだけましと思うことにした。

 

 

 

もう片方のパーティーはこの時どうしてたんだ?

 

神との対峙へ