N・Mはふっとばされ、現在雪の中で埋もれている。
とりあえず雪の中から這い出て、羽についた雪をふるい落とし、同じく服についた雪を落とすと、状況を確認しようするが・・・
「・・・何山?」
そう、現在N・Mは山の頂上に近いところにいる。
回りには森が一面に広がり、右側には凍った湖が見える。
「変なところに来ちゃったなあ・・・仲間を捜さないと・・・ってうわ!」
そこから動こうとするN・Mだが、雪が動き出したので驚いた。
「わわわ!た、助けてー!」
「・・・別に何もしやしない」
「え?」
よく見てみると、雪の中から這い出てきたのはテオだった。
「えーと・・・あなたは確か・・・」
「テオ・マクドールだ。よりによって最悪な奴と同じところにいることになるとはな」
この一言にN・Mはかなりおびえる。
「ご・・・ごめんなさい」
「いちいちあやまんな。女々しい」
そう言って下山しようと動き出すが、足を踏みはずして雪の中に埋もれる。
「・・・」
「あ、あの・・・助けましょうか?」
そう言って近寄るN・Mだが、テオの姿が消えてしまった。
それを見て固まるN・M。だが、
「いらん。女の手を借りるまでもない」
と、突如後ろから声がしたので、びっくりして今度は自分がその穴に入る。
「う〜〜〜!!」
「はっはっはっは! ばかな野郎だぜ!」
と、N・Mをあざ笑うが、ふと殺気を感じたので慌ててN・Mを助ける。
出てきた瞬間にひっくり返り、尻もちをつくN・M。
どうして助けてくれたかはわからないが、とりあえずお礼を言おうとする。
「あの・・・」
「・・・何だ、びっくりした。義姉さんの殺気かと思ったよ」
「?」
そう言って、テオ飲むいている方向に目を向けると、山頂に雪だるまが大量にやって来るではないか。
「ええ!?」
「どうやら俺たちがターゲットらしいな」
テオはそう言うと、手に懐中時計を持って、それについているチェーンの先を持ち、雪だるまにむけて攻撃をする。
長いチェーンにつながれている懐中時計は一体一体、確実に雪だるまを破壊していった。
「すごい・・・」
「ふん、おまえも見ていないで、さっさと行動すればどうだ?せいぜい逃げるのが精一杯だろうがな。そのソードブレイカーが役に立つとも思えない」
そう言われても、何も言えないN・M。
前回の戦いも、結局は九牙とキイナのおかげで生き残れたのだ。
今回は二人ともいないので、生き残れるかはわからない。
N・Mは後悔した。
だが、もはや乗りかかった船であった。
「・・・はっ!」
N・Mは何かを投げる。
それは雪だるま一体を倒して別のターゲットに向かった。
その動きはテオのものと似ている。
「な・・・こいつ・・・」
N・Mが持っているのは懐中時計。
それを使ってテオと同じように攻撃している。
(・・・この女・・・実戦慣れしている・・・?)
先程と打って変わって真剣な表情のN・Mを見て思わずそう感じる。
だが、たまに標的をはずすこともあった。
「くう・・・!」
それでも一生懸命チェーンを操り、雪だるまを破壊する。
そのうち、新たな敵が現れた。
カタパルトのような形をした氷があらわれ、氷玉を投げてくるのだ。
それも一度にたくさん投げてくるので、回避するのは至難の技。
「ああ!」
N・Mが叫び声を上げる。
すべってくる雪だるまを相手にしていては、これらは防げない。
それどころか、下手すれば両方の襲撃を受けることになる。
だが、ここはテオが何とかした。
N・Mの手を取ると、テレポートしたのだ。
そしてその出現場所は、カタパルトの近く。
「ようやくおまえの剣が役に立つぞ!やれ!」
「は、はい!」
こういうことならば、N・Mのソードブレイカーは役に立つ。
N・Mはソードブレイカーを握ると、その凹凸を利用してカタパルトをひとつ破壊した。
すると、スイッチであったかのように突如、氷の兵士たちが現れ始めた。
「ふん、アイスコマンダーってやつか?」
アイスコマンダー達はN・Mを攻撃しようとする。
「きゃああ!」
無我夢中でアイスコマンダーを一体破壊するが、その後の攻撃が避けられないと思って目をつぶる。
だが、何も起きなかった。
「まったく、僕の力を使わせやがって・・・しっかりしてくれよ」
N・Mが目を開けると、アイスコマンダー達は空中でお互いにぶつかり合い、壊れていっていた。
「この隙にカタパルトを壊せ!」
N・Mは言われたとおりにカタパルトを破壊していった。
敵は動かない上に攻撃手段がないようなので、簡単に破壊できる。
「これで・・・ラスト!」
と、最後のカタパルトを破壊する。
「おー、よくやったよくやった。さて、今度はあの合体し始めている雪だるまをやっつけようかい?」
テオが息を切らせながら下の方にいる合体雪だるまを指さす。
「・・・いっそ逃げません?」
「悪いが・・・」
と、戦うように命令しようとするテオだが、湖の方で大きな音がした。
それに、森の方でも銃声がする。
「え?」
「・・・」
湖は割れていっている。
それもどんどんどんどん。
「何だろう・・・きゃっ!?」
「何ぃ!?」
突如、二人に雪がかぶさってきた。
N・Mは抵抗しようとしたが、転んでそのまま落ちていく。
一方、テオはテレポートしてこの事態を回避しようとしたが・・・