「ギアロー?」
すでに戦闘し、ダメージが顔にみられる古津矢九牙とN・Mがいた。そしてキイナは倒れている。
空からやって来たのは紛れもなくギアローだ。 だが明らかに様子が違う。
「キサマラ・・・? ミタコトガ・・・」
「ギアローさん! 一体どうしたの!?」
N・Mが言う。 ギアローは頭を抱える。
「ウウ・・・ワレハ・・・」
「正気を失っているようだ。だが我々を見て正気に戻りつつある。後、何か一押しすれば・・・」
「私の羽とかどうでしょう?」
九牙はしばらく今までのギアローとN・Mのやりとりを思い出しながら考えると結論を出した。
「危険過ぎる。奴の勘違いとはいえ、お前を相当敵対視していたからな。キイナは無理やりついてきたようなものだし・・・私もかなり強引についていったからな。・・・打つ手はない」
ギアローはまだ頭を抱えて何か思い出そうとしている。
「洗脳されているのでしょうか?」
「いや、あいつはすでに相当神域を侵している。それだけでも死に値するものなのに生かして我々を殺す意味はまったくない。むしろ我々はただ神をどうこうしようというのはおおっぴらにやっていないのだからな。警告を受けることはあってもいきなりというのは考えにくい・・・」
「それじゃ、何であんな状態に?」
「・・・今奴を刺激するのはまずいのだけは確かだ。魔法でいろいろ探りたいところだが・・・そんなことをしたらフィスのいない今、奴にかなうものはいない。心理的に解析するなら、まだ精神は消えていないことだけは確かだ。さっきの話し方で傲慢さと自信過剰さは増しているが、ただ者を破壊するだけが生きがいの魔人というのにはなっていないはず。我々を見て何か思い出そうとしているのも理性がまだ消えていない証拠だ」
長い説明を終えると、ギアローに変化が現れた。
「!!」
二人は身構えるが、ギアローはそのまま落ちてプールの中に突入していた。
「ぐっはぁ! 誰だ! 俺を○ラえもんにしようとした奴は!」
「・・・土左衛門だ、あほ」
「ぬう! 誰だ! この天才マジックエンチャンターギアロー様をあほよわばりする良識者は!」
「・・・」
とりあえず戦わずに済んでとても良かったと安心する九牙であった。
「・・・あの難しい説明は全部無駄になりましたね・・・」
「生きていれば無駄なことをすることもあるさ」
「そう、例えば私の存在とかな!」
「・・・ここはシリアスなんですから」
「関係ない」
「・・・」