少し前に戻って・・・ 全員が異次元に行く前に、寝ていたプラフィスはN・Mを見るために呼び起こされ、そして再び寝ようとしたが、どうも眠れない。
(何だかやたらと肌につくこの嫌な感じは・・・一体なんでしょう?)
とても耐えられない悪寒。あたりを見回し、九牙の視覚を見ようとしたのだが、どうも覗けない。
「あなたはすでに閉じ込めさせて頂きましたよ・・・」
声のする方に視線を向けると、丸いマスクに一本とげが出ていて、その模様は両目が星、細長い丸が笑っているような口を作り、そして赤い団子っ鼻というおどけた顔だ。更に中世の王子などが着ているようなキュロット衣装に更にとげをつけるという、何とも言えない変態的な格好をした敵が出てきた。どことなく道化師を連想させるのだが・・・ 相手はまだ自分を敵といっていないが、プラフィスはすでに敵と断定している。
「せっかく九牙に外に出させてもらいましたのに、また閉じ込められなくてはいけませんの?」
ていねいに話すプラフィスだが、明らかに怒っている。
「あなたの能力はこれからあの三人が戦う敵に対して非常に有効な能力を有しているのでね、ここは私が相手をさせてもらう」
そういうと道化師は五本の指からとげを出す。
「あなたごときに星流の槍を使うことはありませんわね」
そう言うと唱え始めた。

森羅万象をつかさどる8つの理よ
わがもとに集い混じりて9番目の理となりて
長き太き牙となれ

「『エネアタスク』!」
すべての理が集い、そのどれにも属さないエネルギーを作り出す。だがすぐには使わない。
「これが舞う時はあなたの負ける時です」
「ふふふ・・・協力して差し上げましょうか」
鋭くつめを交差させるように振ると、その衝撃波がプラフィスに向かって走る。 もちろん、そう簡単にダメージを受けるわけには行かないので消えるように避け、最初にいたところよりも少し前に移動した。
「まだまだ行くぞぉ!」
道化師は更に連続してとげ・・・むしろ爪といった方がいいかもしれないが・・・を振り回し、衝撃波を繰り出す。 それに対して次々に避けるプラフィス。徐々に敵に接近し、突然スピードを上げて道化師の目の前に現れる。
「くっ!!」
大きくのけぞって10メートルほど飛んで着地した。 そこまでプラフィスは追いかけようとはしない。
「はっはー! くらえー!」
手をひろげ、天にむけてからプラフィスに向けると、青光りする光線を発射する。 こんな芸当ができるとは、と一瞬驚くが、落ち着いて避けることにした。
「いただきぃ!」
「!!」
青光りする光線は何と一か所に固まり、拡散した。これはさすがに避けようがなく、プラフィスはダメージを負った。
「この程度、何とも・・・!」
余裕を見せようと開いた口が何と動かなくなってしまった。 マヒだ。 道化師はひじを手に乗せ、手のひらで顔を覆うようにして嘲笑する。
「ふふふ・・・エルフは状態変化に強いと聞いたが、私のパラライシスレーザーには抵抗できなかったようですね・・・?」
必死に動こうとするプラフィスだが、うまく動けない。
「今度こそ私の爪のえじきになってもらいますよ・・・その『牙』を打てないうちにね!」
プラフィスは少々後悔した。閉じ込められてイライラしていたとはいえ、相手をなめてかかったことを。
「まあ、どうせですからね。外は今どうなっているのかぐらいは見せて差し上げましょう」
道化師はそう言うと、指を鳴らす。そしてその隣にスクリーンのように外の光景が映し出されていた。 それは奇妙な鳥を相手に苦戦する三人の姿。だが次の瞬間鳥は九牙のボウガンによって胴を貫かれ、プールに突っ込んでいくところだった。
(やった!)
道化師の方を見てみると、顔にてを当てたまま怒りに打ち震えていた。
「がぁぁ!」
また青光りする光線をプラフィスに向かって放つ。 しびれが一層ひどくなり、目を開けることもままならなくなった。
「今日はこれぐらいにしておいてやる! またいつか決着をつけるぞ!」
そう言ってどこかへ消えようとした時、『牙』が刺さる。
「がはっ・・・」
「・・・」
こうしてプラフィスはもとの次元に戻ることに成功する。 だが復活するのに少し時間がかかりそうだ。
 
 
 
 
 
 

三人が見つけたものは!?
 
 

神との対峙へ