エレベータを抜けると、そこは光り輝かんばかりの装飾でいっぱいだった。

「うわぁ・・・」

まるで上京してきた学生みたいに見回す翡翠。そしてその横につく裕二は浮いていた。あたり前だが。
十代を探せ、という方が難しいのではないか?

「ほれ、登録するぞ」
「あ、はい」

堂々と受付まで歩く裕二。それについてくる翡翠。

「・・あの」
「ん?」
「何を買うんですか?」
「これだ。みとけ」

といって裕二が差し出したのはちょっとした厚みの紙。
品物の写真と、そしてそのいくつかに、丸がついている。

「これを落とすんですか?」
「そうだ」
「・・・ふーん」

一つ目はLSIチップ。なんなのかは知らないが、重要な情報でも詰まっているのだろうか。
二つ目は古びた壺・・・壺?

「なんですか? これ」
「さぁな」

どうやら裕二も本当に知らないらしい。翡翠はあきらめて、紙に目を戻した。
三つ目。

「・・・・?」

それは・・・確かに、翡翠が何かを感じる物であった。









MISSION FOR IRREGULARS

4「俺が知りたいのは−−−」







どこか、奇妙な感じのする壺ではある。

(それだけなんだけどね・・・)
「おい。座るぞ」

裕二に促され、翡翠は席に座った。
他にも豪華ないすが百ほど並んでいる。

「ずいぶん、古くさいですね」
「競売にもいろいろあるんだよ。最新のパソコン使ったヤツとか、値段を順々に書いていくヤツとか」
「はぁ」
「今回は一番シンプルなヤツだな。値段を叫んでいって、一番高いヤツが競り落とす方式だ」

そこまで裕二が言ったとき、ステージに男が一人、女を数人引き連れて上がってきた。

「始まるぞ」





「っぷぅ」

智也がタバコを吐き捨てた。
どう見ても二十歳は超えていないだろうが、そんなことは問題ではない。

(いつ現れた?)

エレベータ。×だ。動いたりすればいくら戦闘中でもわかる。
階段。これも×。ここは敵の配慮かどうかわからないが、エレベータしか通っていない。
とすれば、可能性は後一つ。

(能力)

魂入霊歌、闇葛。組織的な違いはあれど、それらは全て『能力者』で構成されている。
能力の度合いによって階級が決まることも少なくはない。よって特殊な能力を持つ者はかなり優遇される。

「聞きたいか?」
「!」

楸の考えを読みとったかのように、智也が口を開いた。
楸は『闇属性操作』。相性が悪ければ勝つのは難しい。
もっとも、今まで使うことは少なかったが。

「『空間属性移動』だ」
「な・・・!」

空間属性移動。
主に能力の分別は『作用する属性』と『作用方』の二つからなる。
智也の場合は『空間』を『移動』する能力。
ただの移動ではない。瞬間移動だ。

「だから−−−こうして」

智也が言葉をとぎれさせたとき・・・彼の目の前の泰志の隣にいた智也は・・・楸の背後にいた。

「!!」

ヒュ

拳が、背後に姿を現した智也へと向かう。が

「こんなこともできる」

腕の先に−−−智也はおらず。
瞬間!
視線の端に、何か黒い者が見えた。
それが靴の底だと気づいたのは−−−咄嗟に智也の足を払ってからである。
そして次の瞬間には、智也は泰志の隣にいた。

「なるほど・・・一筋縄じゃいかない訳か」
「だ」

その二人を見て、楸はいらついた。
時間が迫っている。二人が先に『最上階』へとたどり着く前に、こいつらを倒さなければならない。
そう・・・『二人』だ。
その二人は、真っ暗な『筒』の中を、ワイヤー伝いにえっちらおっちら上へと上っていた。

「つ・・・疲れた」
「ゴメンねえ」
「・・・謝るなら背中に捕まるな」
「さて、真君? 何か質問は」
「えーと・・・目的から」

真がそういうと、梓は指を一つ立てた。

「まず一つは−−−私たちを『イレギュラー』と呼ぶわ−−−最後の『イレギュラー』の召喚」
「召喚?」
「そう。魂入霊歌は『有のイレギュラー』。闇葛は『無のイレギュラー』を召喚しようとしている」

『召喚』。
その単語を聞き、真はあの巨大な−−−

「怪物じゃないわよ。私たちと同じような、人間」

梓に言われ、その考えは頭から消した。
梓は次に、二つ目の指を立てた。

「そのために、他の『イレギュラー』の・・・なんてゆーか『エネルギー』がいる訳よ。どういう物かはわからないけど」
「イレギュラー・・・って、どうやって判別するんですか?」
「そこはまだわかってないわ。組織が何を基準にしてるとかは」
「それじゃ・・・」

真が首を傾げた。梓は自分を『イレギュラー』だといった。
何故自分が?

「それはね・・・追っ手が来たからよ」
「追っ手?」
「そう。貴方があの場所を離れた、少し後に」

なんてことだ・・・全然知らなかった。

「とらえられていたら・・・どうなったんです?」
「わからないわ。でも、さんざん搾り取られた後・・・殺される」

真の反応−−−愕然とした表情だが−−−を見てから、「そのためには」と梓は三本目の指を立てた。

「私の存在が邪魔になる」
「え?」
「私は言うところの『導く者』よ。あなた達『イレギュラー』を『あるところ』に導く」





「全く・・・いっつもですけど、梓は人使いが荒いんですわ。か弱い乙女に夜中に買い出しにいかせるなんて」

木賊はぶつぶつとつぶやきながら、それでもヒョイヒョイと品物を選び出している。
文句を言いながら・・・ふと、手を止めた。コンビニの、窓の向こう。自分を見ている誰かが居る。

「どなたですの?」

普通なら相手に聞こえるはずもないが・・・木賊は問うた。そして、答えは以外にも返ってきたのである。
それは言葉ではないにしろ、確かに答えだった。
突然・・・そうか?
木賊には予想できていたことではないか? いや、そんな問題は問題ではない。
外に面している・・・そうだ。本や雑誌が置かれている、そのガラス。
それが、割れた。
派手な音を立て、割れ、そして。
内側に向かって、飛んできた。

「−−−!」

迷わず、持っていた絵筆ではじき飛ばす。
一つ、二つ、三つ、四−−−!
受けきれない!
咄嗟に−−−本当に無意識に、木賊はスケッチブックを眼前に出した。使いたくはなかったのだが。

ドドッ

そんなような音を立て、手に来る衝撃。
眉間の少し、ほんの少し手前に、とがったガラスの先が見えた。
安堵などしている場合ではない。木賊はスケッチブックを放り捨て、あたりを素早く見回した。

「!」

店員が、体からいくつものガラスの破片を飛び出させて死んでいた。思わず目を背ける。
そして。
男と目があった。

「え!?」
「ち−−−」

木賊がこちらを向くなど予想もしていなかったのだろう。男は少し狼狽した。
木賊は素早くバックステップをした。MDと菓子の間の通路を抜け、カウンターまで下がる。

「あなた・・・魂入霊歌の?」
「・・・だが?」

淡々とした男の答えに、木賊は歯ぎしりをした。憤怒の為だ。

「あなた・・・無関係の人間を」
「知るか。俺にとって重要なのはそんな事じゃない。『お前を捕捉する』という任務の『完璧』なる遂行のためだ。楸とはまた違うがな」
「・・・・・!!!」

男はニヤと顔をゆがませた。
木賊の顔が、怒りに染まった。

「・・・・!」

男は少しばかり驚いた。
木賊の目、そう、瞳の中心が猫のように細くなったのだ。

「なっ!?」

そして、茶色だった『中心でない』所・・・そこが、赤く、紅く染まった。

「か・・・『覚醒者』だと・・・!?」

男は・・・男? 少年か、いや、何で男と判別したか。
『女』は、木賊のその変化に、明らかに驚愕していた。





そのとき、西山幸治は路地を歩いていた。
路地。あの、よく若い女性などが酔っぱらいに襲われているところ。
もしくは、俗にチンピラと呼ばれる男達がたむろしているところ。
まぁそういうところはおいて置くにしても、普段近寄らない場所と言うところは変わらない。
そして、何故そんな場所に『かの』西山幸治が居るかというと−−−。

「・・・なんでだっけ?」

・・・・。






あとがいてみる

間に合った・・・(感涙)。
よーしゃ、クリスマスに間に合ってよーやくやりたいことができた(ひとのHPだけど(爆死))。
とゆーわけで、まぁ西山君も出てきて結構急展開っぽくて進んでないと言う妙な小説ですが。
ちょっとした謎があります。
今回は本文中のどこかに『クリスマス記念小説』へのリンクが貼ってあります。いいですか〜?
ヒントは出しましたよ〜。まぁそんなに探してまで見る価値があるかとゆーと怪しいですが(笑)。
そんでわ〜。


 

ろう・ふぁみりあの勝手な戯言〜


どもー。
なんかクリスマス記念な小説まで頂いて〜
すみません、なんか使い魔の技術(?)のなさで、難易度が落ちてます<『クリスマス記念小説』へのリンク

それはさて置き(さておくな、こら)

うーむ、ハンターな漫画って全然見てないから知らないや。
でも競売をやっていた記憶はある。ような気がする。

さてさて、ウチのホームページのお客様が登場人物として出てくる本作品!(「SSS」じゃなくて某FFMIX小説サイトというウワサ有り)(とゆかそっちの方が有力)(ぐぁ)
話が進んでだんだんと物語の輪郭が見え始めた今日この頃!
なにやら専門用語もいろいろ出てきて用語集をつくってお願いずべてけさんッ!(こら)

これからどう展開していくのか!
楽しみなので早く書いてくれなさい(オイオイ)(ああ、ノリがヘン)(いつものコトのよーな)(ぐはぁ)

しっかし、なんか西山君が出てきて『かの』とか冠詞が付かれているのかが疑問。
アナタそんなに有名人なんですか?

幸治「忘れた」

はい、お約束。


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→NEXTSTORY
5「聞け。お前にも重要なことだ」