・5月4日。
八戸の健康ランドの仮眠室は暖房が効きすぎだった。そのため、割と寝苦しい夜となる。僕ものどが渇いて何度も眠りが浅くなったけど、あまり朝までは起きたくない性分なのでできるだけ睡魔で抑えこんでいたが、結局にっちもさっちもいかなくなって起き出して、自販でジャワティーを買ってがぶがぶ飲んで戻ってくると、なんとおいらが寝ていたスペースでは知らないおっさんが眠りこけているではないですか!たった5分くらい席を(いや、床か)外した隙を突いた、しかも夜中の3時過ぎの鮮やかな犯行(?)に唖然。わざわざ着ていた毛布を乱してから床を離れたのに、と悔やんでもおっさんは高いびき。ま、負けたと思いながら周囲を見回すと、なんとラッキー睡眠スペース発見!
しかし、このアクシデントで驚かされたのはむしろ最初隣で寝ていたヒガシだったのだ。もちろん隣の床が「入れ替わった」ことなど露ほども知らず、しかもおいらは寝る前に「明日ヒガシのが先に起きたらおいらも起こしてよ−」と頼んでいたのだった。そして何も知らないヒガシは起き抜けに素直にとなりのおいらに声をかけようとしてぶったまげたらしい。そりゃあびっくりするよなあ、一晩でおいらがおっさんに化けてたら(笑)。
夜中に期せずして寝る場所を移動するというアクシデントはあったものの、ヒガシとおいらの「割と寝起きはよいのよ派」はいつもながらちゃんと早く目覚め、おいらが朝風呂に入ろうと朝の脱衣をしていたらヒガシが風呂から出てきた。そして「高岸おっさんに化けちゃった話(仮称)」でひと笑いしてから、おいらも風呂場に入っていったものの、湯船が海水だったのを思い出してシャワーだけにとどめた。
さっぱりしたところで支度を整え、ヒガシと爽やかなトークを決めていると、「朝なんて寝るためにあるのさ派」のアブと@seryがやっと起きてくる。といっても寝る前に「明日は早く出発するからな!」とキツめに言い聞かせてあったので奴らにしては充分上出来の起床時間だったけれど。
昨日と打って変わっての好天を期待したものの(前日は一日天気がイマイチだった)、どうも天気には期待できなそう。でもとりあえずひたすら恐山を目指そうよ、と朝のジャンケン。ハンドルを握ったのは@sery。青森県をカニに例えるならば向かって右のハサミである、下北半島を駆け上る。
それにしても天気はいまだにグズついている。どうも天気に恵まれがちなトラベラーズツアーとしては腑に落ちない感じ。ホットラインとやらが雨雲を呼ぶのか?(照)。まあそれはさておき、とりあえず恐山のふもと、青森県むつ市を目指して進むプレサージュ。道はひたすら田舎の森と山と田園風景の繰り返し。でも「どの家も2重扉だぜー」という誰かの鋭い発見の声によく通り過ぎていく家々を見ると、なるほどどの家も玄関の扉が必ずガラス戸なんかで更に囲ってある。大雪対策なのか寒波への対策なのかは分からなかったが、冬が厳しいんだろうなあと窺い知れる風景だった。コンビニでさえ2重扉だったからねえ。
でも景色は田舎ながら、通過する道のりには結構知っている地名も多かった。例えば三沢、例えば六ヶ所村、そして例えば横浜!?。この横浜には後に一本取られることになるのだが、今のところ窺い知る余地もなく、アホ4人衆は六ヶ所村の原発の仰々しいフェンスの横を通りながら、「このへん地価安そー」とか「こんなところに左遷(とば)されたら俺会社やめるよー」「そんなことはさせんね」なんて地元の方の耳に入ったら逆鱗アタック食らうこと必至な勝手な会話。しかし、それはさておいてもこのあたりの方々、日本手ぬぐい装着率が異様に高いような・・・。
下道では決して気楽な道のりではない100キロちょっとの道のりをそれなりに快調に飛ばす@seryのおかげで車はむつ市に入る。そしてコンビニでひと休みしてからいよいよ恐山に挑む!

<なんと、恐山にはまだ雪が!>
ちょっとウェッティーな峠道になんかアドレナリンが注がれてるっぽい@seryのドラテクが徐々に炸裂ドットコムして、なかなかキツいコーナーの連続に「うおー」「さおー」と車の中で右往左往するように左右に振り回される他3名。しかしふと周りの車を見てみるとどうも同じ様な県外車が多く、「観光地を目指してるんだなあ」と実感。しかしまたふと道端に目をやると小さな社のような祠のようなものが点在し、「やはり霊場なんだなあ」と実感。しかししかしまたまた目をやるといまだにあちこちに雪が残っていて、「緯度高いんだなあ」と実感。でも上の写真を見てもなんとなく分かると思うけど、なんか登っていくにつれてガスが濃くなってきて不気味さはどんどん増加。なんか怪しげな鳥居のようなものをくぐり、しばらく行くと湖が見え、そのほとりにあるのが今回の第一目的地ともいえる霊場恐山だった。小雨の中、車を降りる。

<後ろの山が恐山かなあ?>
湖が見えてきた頃から漂ってはいたが、嫌でも鼻につく強烈な硫黄のにほひ。トラベラーズの50%はここで軽い吐き気をもよおしたほどだ。とはいえ折角訪れた恐山。傘をさしてカメラを持ち、入場料を払っていよいよ突入。
しかしなんとなく想像していた景色と違う。なんかおいらのイメージだと「おそれざん。」というでかい山がどかーんとあって、その山の中に建物があってイタコとかがいるのかなあ、というイメージだったんだけど、確かに山の中にはあったけれど、思ったよりも開けたところだった。でもちゃんとした社の向こうに広がる岩ばかりのなんともモノクロチックな景色、いわゆる地獄めぐり。もしトラベラーズの中に霊感の強い奴がいたとしたら多分何か感じちゃったりしたのだろうけど、この「霊感よりむしろ性感♪」という連中はそういう感覚にはとんと無縁であるため、景色は結構な不気味さの地獄めぐりもやはり観光地感覚。ビデオを回し、写真を撮り。そういえば折角足を運んだのに、恐山がなぜ霊場たるのかというバックグラウンドを全く学ばなかった。今考えるとそういうところもお気楽さの所以だったのかもね。とはいえいっぱい生息していたカラスは異様に不気味だった。。。
そうして一旦(有料ゾーンの)外に出てお土産を漁っていると、「そういえば、イタコに会ってねーじゃーん」と気付く。お土産やさんのおばちゃんに聞いてみると「まだ寒いから建物の中にいるよ。再入場できるから見てくればいいよ」と教えてくれた。
そういえば素通りしていた木造の建物の横に「イタコの口寄せ」という看板が立っている。わくわくしながら入口のドアをガラッと開けると、そこにはたくさんのイタコさん・・・はいなくて、口寄せ待ち(?)の人々がたくさん座って順番を待っていた。ちなみに口寄せ料は一回3000円らしい。ヒトによっては安いんだろうなあ、と思いつつ、順番待ちの方々の冷たい視線に耐えながらなんとかガラスの奥にいるイタコさん(おばあちゃんっぽかった)を撮影する。しかし後から映像を見たらガラスに映るおいら達の姿のせいでほとんど分からなかった(苦笑)。
帰り際、きっとこいつも日頃の行いが悪いのであろう某@ちゃんがふと踏んだ側溝の上に渡してある木が折れるというアクシデントが発生。某@ちゃんは片足をモロその側溝の灰色の泥のようなものの中に突っ込んでしまう。軽く逆ギレ、笑う他3名。こうして恐山とおわかれ。
ここからハンドルを握ったのはトラベラーズで一番の爆走野郎Hチームのヒガシ。しばらく続く峠道にぶーたれながらも本州最北端だという大間崎(おおまさき)を目指す。雨もやみそうになってきて、道端には桜。そして気付けば右手に海。人口は少ない地区であろう通行人の少なさだったけれど、景色はなかなかのもの。半島らしく(?)断崖の上を通る道もあったりして、なかなか楽しみながらプレサージュは歩を進める。
そしていよいよ大間崎が近づいてくると、やっと待ってました晴れ間が!太陽が当たると断然上がるテンション。そして大間崎到着。
恐山もそうだったけど、ここも結構な観光地らしく、県外車で溢れかえる駐車場に車をネジこみ、早速海辺へ。風が強かったけど、晴れ間もあってそれが気持ちいい!波間に遊ぶ水鳥、飛び交うカモメ。向こうに見える灯台や島。遠くに来たなあと改めて実感。
そしてここ大間崎はマグロの一本釣りの名所らしく、マグロと一本釣りをする腕のそれぞれのオブジェがあり、うっかりはしゃぐトラベラーズ。しかし、観光客の失笑を買うくらいでないとやっぱり僕らの旅は盛り上がらない。だろ?

<本州最北端!>
風と波と空にすっかり気を良くした僕らは大間グルメを求めてまわりを探索。そうしたら、ここはNHKの連続テレビ小説(確か「私の青空」)の舞台になったところらしく、おいがつおのお姉さんの写真がいろんな所に飾ってあった。ここで僕は初めておいがつおの(菊地桃子の妹役の)女の子と一六茶の女の子が同一人物なのだと知った。ひとつおりこうになった。
そして折角来たのだから、と「本州最北端 大間崎到着証明書」なるものを発行してもらう。こういう証明書って後から結構自分の中で価値が出てくるもの。まあ「恋人証明書」みたいに後で痛くなったりするものもあるけどね(笑)。
さてさてグルメ、グルメ。色々覗いた数軒目の店で「海峡丼」なるものを発見。なんと具はウニ、イクラ、アワビ、イカという豪華版。店が混んでいることもあって結構待ったけれど、間違いなく2500円の価値はある丼だった。具は新鮮だったしね。まあ下のおいらの顔を見てもらえれば分かると思うけれど。やはり旅の醍醐味は現地グルメ。ケチってはいけません。食に関しては。

<海峡丼、「まいうー」>
さあ今日はこれで観光終了です、というわけであとはひたすら盛岡目指して南下です。という方針で再び下北半島を南下スタート。とりあえず目指すは青森市。というか青森インターだったけど、ナビを見るとなかなか遠そう。まあとりあえず疾走しましょうという感じで車を走らせる。
海を離れるとまた単調な風景が続き、しかも車も多く、サクサク順調には進まない。林と畑の中をひたすら一本道が通る感じ。線路が並行してずっと走っていたが、期待してた電車は通らなかった。残念。
そして途中で「横浜」というナウい道の駅を発見。ここも観光客で混んでいたけれど「おみやげ買えそーじゃん」と、寄ってみることに。車を降りると店のプレートが「YOGOHAMA」になっていて、そのなんとも青森っぽさにギシ&セリ大感激。
そこ横浜町は菜の花が有名らしく、菜の花グッズが勢揃い。僕は普通のお土産、他3名は愛のあるお土産を地方発送し、再び旅立つ。来年こそは見てろよ。オイ。
そこからもどうも渋滞続き。順調に行けば夕食時には盛岡に入れるかなあと思っていたが、青森市にたどり着くまでにまた渋滞。でもおかげで車窓から海辺のサンセットを見れたのは収穫だったけれどね。くふん。

<浅虫温泉のサンセット>
車が青森市に到着した頃には既に日が落ちていたけれど、青森市は意外と都会だった。東北って仙台にしろ盛岡にしろ、大きな年はちゃんと大都市してるのに、その合い間がすご〜〜〜〜く長い。そのへんが不思議なスケールのでかさだなあと感じた。
よってひたすら盛岡へ。なんか名前は忘れたが暴走族っぽいネーミングの(名前は忘れたが「阿修羅」みたいな語感の)パーキングエリアがあったりして面白かった。
そして車は盛岡へ。とりあえず冷麺の看板が出てる店に入ろうよ、ということでインター近くの焼肉やへ。さすが本場、看板も「焼肉」と同じ大きさで「冷麺」と掲げてある!気を良くして店に入る。既に腹ペコ。
冷麺は辛さを好みで選べるものだったので、中辛を注文。他のみんなは辛さは控えたようだった。まあうち2人は辛さが身体を蝕む体質なので仕方ないとして、折角だから辛いの食おうぜ、セリと思ったが黙っていた(笑)
そして冷麺登場。たっぷりの具の中ででかいスイカが目を引いた。食べてみると麺が太い!今迄食べた事のある冷麺の2倍はあろうかという太さ。でもシコシコしていて本当にいくらでも入ってくる感じ。ウマイ。しかもいっぱい辛い味噌をといたはずのスープもスイカの甘さが程よく染み出してマイルドな味わい。でも後からしっかり辛かったけど。焼肉もうまかったし、大満腹で健康ランドへ。相変わらず混んでいたけど、しっかり仮眠スペース確保して、程よくビールで一杯やって寝る。
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