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珍笑、妙笑(ニヤ・ニヤ)?仏蘭西葡萄酒買い付け紀行
ドメーヌ・サンタントナン
午後の訪問先はドメーヌ・サンタントナン。満腹と美味しいワインで、車中ちょっとうつらうつら。気がつくと、ドメーヌ・フォンサラードより秘境らしい山奥に入りこんでいる。谷間に集落があって、入り口はお墓、墓参の人を見かけたが、なにかシラーとして、ニコリともしない。谷のどん詰まりの高い処に小さなお城。ムッシュー伊藤を先頭に、勾配のきつい坂道を上っていくのだけれど、昼下がりのこの村では、人の気配はパンツがテラスに干してあるばかりで、人影が全くない。20戸ほどの、いづれも古びた石造りの家で、その一軒の扉には、魔除けなのだろうか、イノシシと思われる足の先が数個打ち付けられていた。
シーンと静まり返って、不気味である。ワイワイ、ガヤガヤ騒々しく上ってくるちんけな東洋人を生け贄にと、扉の陰から窺っている鈎鼻の村人達という雰囲気なのだ。悪霊の村だ。四国あたりの平家の落人部落のフランス版といった雰囲気。こんなところでワインを造っているのか。悪霊の村ワインと呼ぼう。
どん詰まり近くまで上っても醸造所らしきものはなく、ムッシュー伊藤も、あれ違う村に来ちゃったと気がついた様子。ハハッ!!旅はこういうことがなければ、つまらない。ちょっと戻って、別の谷にはいっていく。先ほどの集落よりは少し戸数も多い LA LIQUIERE村。ムッシュー伊藤が醸造所を探しに消えたので、束の間、村内探検。やはり人影がない。やっとバリク型体型のおばあちゃんが二人、塀の陰のテラスで午後のおしゃべりをしているのを見つけ、普通の村とほっとする。
葡萄畑は離れたところらしく、あの葡萄畑の説明会がなく、ありがたい。扉を開けるといきなり発酵所(キュベ)と貯蔵所(シェ)兼用の醸造所。彼の醸造所は大きめに見ても1階2階合わせて60坪はあるまい。コンクリート製熟成タンクの天井の上に発酵タンクがあって、さて試飲となると、、なんと足下の直径50センチほどのふたを開け、そこからくみ出してくれる。初めての体験なのでギョッとしてしまう。グルナッシュ、シラー、ムーヴェードル、カリニアンなどの葡萄から濃縮度が強烈で、恐るべき怖いくらいのタンニンのワインを造りだしている。そして、発酵につかう酵母は、これも多くの場合、ワイン醸造試験場等で育てられた酵母を使うのであるが、ここではオリジナルな蔵つき酵母使用。
日本の大手商社は、こんな奥地まで入っては来ないだろう。たとえ道に迷うおうが、ムッシュー伊藤の確かな足取りを感じる。樽熟12ヶ月の「マニュー」は限定4000本。独り占めしたい誘惑。でも資金が足りない。ムッシューソクラテス、資金を溜めて、この手狭な、古い醸造所から脱出し、近代化を図り、最高にうまいワインを世界のワイン愛飲家に贈り出したいとおっしゃる。今回の訪問先で最小のシャトー、設備は未だだけれど、フランス版一寸の虫にも五分の魂、魂の固まりでワインを造ってる。しかし一寸の虫は古今東西いずれも資金不足なのだ。
本日の予定の仕事を終え、葡萄畑の中を、バスは宿泊地カルカッソンヌへ向かう
。午後5時近く、ラングドックの陽は高く、空は青く、雲は白く、心は透明になっ
て、・・体は、すっかりうつらうつら・・ボージュール(Beaujour:美しく晴れた
日)。
![]() (ドメーヌ・サンタントナン, a.c.フォージエール編 文、写真:Masanao Nagasaki) |
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