| (Fuga a 2 Clav.) 転回対位法による単一主題の反行フーガ、3(4)声部、4/4拍子、各71小節
 原 形
 転回形
 
 出版譜のFuga a 2 Clav.とほぼ同一の曲です。
 この曲は自筆譜XIVを2台の鍵盤楽器用に編曲したものです。
 I からXVまでの各曲は1冊の本にまとめられていますが、
 この編曲版は単独の楽譜で残されています。
 原形・転回形ともに、楽譜にはタイトルが付けられていません。
 
 なお、この編曲版は、自筆譜XIVの初期段階の原稿に基づいていることが
 調査から明らかになりました。詳細はこちらで説明しています。
 
 編曲方法としては、XIVの3つの声部のうち、2つの声部を1人の奏者に、
 残る1声部をもう1人の奏者に受け持たせており、
 後者には、原曲にはない新たな声部が付け加えられています。
 
 編曲版の原形では、原曲の上声部と下声部を第1奏者が、
 原曲の中声部を第2奏者が受け持っています。
 
 
  上の楽譜の左が原曲、右が編曲版です。
 
 また編曲版の転回形では、原曲の上声部を第1奏者が、
 原曲の中声部と下声部を第2奏者が受け持っています。
 
 
  上の楽譜の左が原曲、右が編曲版です。
 
 編曲版の原形と転回形を比較すると、第1奏者と第2奏者の
 受け持つ声部がそっくり入れ替わっていることがわかります。
 
 
  上の楽譜の左が編曲版の原形、右が編曲版の転回形です。
 
 なお、新たに加えられた声部については、
 原形と転回形とで対応しておらず、各々自由な旋律となっています。
 
 この編曲版は、わずかな修正を加えて出版譜に加えられましたが、
 おそらくバッハ本人は、この編曲版を出版譜に加えるつもりはなく、
 編曲版は私的使用を目的としたものと推測されます。
 (こちらで詳細を説明しています)
 
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