第27回:三手のあやとり(その3) 偶数本指の構え 

(2026年6月号:通巻776号)

 連載3年目の4月号と5月号では三手の「人差し指の構え」から始める格子状のあやとり作品をご紹介しました。6月号では三手の「2本指の構え」「4本指の構え」の作品について考察しています。


三手の「2本指の構え」

 三手の2本指の構えはきっとこうなると思うのです。

三手の「2本指の構え」

 紐の交差の上下を考えると、このあやとり紐が3回回転対称になっていないのがわかるでしょうか。(画像をクリックして拡大したほうがわかりやすいかもしれません。)中央の正三角形の3辺を構成する3本の紐が三角形の頂点で交差しています。3回回転対称になるためには1本の紐の両端の交差は、片方が上でもう片方が下になっていなければだめです。

 でも、手前の水平な糸は「交差の両方が上」、左の斜辺の糸は「交差の両方が下」、右の斜辺の糸は「片方が上で片方が下」になってしまっています。

 上の図の三手の2本指の構えから「二段ばしご」を取ると、下のように回転対称ではない完成形になってしまいます。

三手の「二段ばしご」(回転対称でない)


3回回転対称な三手の「2本指の構え」

 3回回転対称の「2本指の構え」を作ろうとしたら、そもそも普通のあやとり紐ではダメなのです。下の図のような「三葉結び目」になったあやとり紐を特別に準備すれば、この回転対称の三手の「2本指の構え」が作れるのです。

三手の「2本指の構え」

回転対称な三手の「二段ばしご」
(三葉結び目のあやとり紐を使用)

 普通に両手で取ると2つの「菱形」ができるので、「二段ばしご」という名前ですが、三手で取るとそれぞれの手に対応した3つの「菱形」と、中央の三角形ができるので、これを「二段ばしご」と呼ぶのはちょっと無理がありますね。でも通常ひとりの両手で取る「二段ばしご」を3つの手に拡張してみました、という意味でこの名称を使っています。


三手の「絡みの2本指の構え」

 一方、ここでは詳しくは説明しませんが(詳細は本誌連載記事を参照してください)、同じ2本指の構えでも中央を絡みにすると普通の(自明な結び目の)あやとり紐から3回回転対称な2本指の構えが作れるのです。そこから始めると下の図のような絡みの二段ばしごが作れます。

回転対称な三手の「中央絡みの二段ばしご」
(通常のあやとり紐を使用)

 交差の上下が違うだけですが、違いがわかるでしょうか?


三手の「4本指の構え」

 2本指の構えから4本指の構えに拡張してみました。

三手の「丸太の沼」 三手の「中央絡みの丸太の沼」

 いずれも普通の(自明な結び目の)あやとり紐を使っています。そのため、上左の三手の「丸太の沼」のほうは、中央の三角形の頂点の交差が回転対称になっていません。一方、右の「絡みの丸太の沼」のほうは回転対称になっています。

 特に上の右側のあやとり図形のかたちが気に入っています。

 なお、もともとの「丸太の沼」は連載第10回(2025年1月号)でご紹介していますが、中央の2本の糸がほぼ水平になるように整えることで「丸太」と見立てています(リンク先参照)。三手になるとそれが三角形になってしまうので、見立ての名称は適切ではなくなってしまっています。


三手の「丸太の沼」をハンドモデルで

 上の写真左の三手の「丸太の沼」はマグネットボード上で外周が正六角形に近いかたちになるように整えました。これを3つの手で取ってみると、下の写真のように花のような仕上がりになりました。

三手の「丸太の沼」
(ハンドモデル)

 まったく雰囲気が違います。これも「あやとり」ならではの表現ではないかと思います。

2026.06.14


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2026.03.14 公開
2026.06.14 更新
長谷川 浩(あそびをせんとや)


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