第2章:三本指パターンあやとりにおける様々な開始処理・継続処理
5.上下の太陽の仲間
5-1. 上下に小さい太陽[継続処理]
ナウルの伝承あやとり作品には小さな太陽を作る処理がでてくるものがあります。対称性を高めるため、上下におなじパターンを作ってみました。実は手順はダブルハートの処理とほとんど同じです。なので比較のために並べて表示します。
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Fig.2-51:上下に小さい太陽 |
Fig.2-42:ダブルハート |
- 中指の構え
- 小指を向こうへ半回転、親指を手前へ半回転ひねる
逆の手で輪を外してひっくり返して同じ指に掛け直す
- 小指の手前どうしを結ぶ糸を中指の輪の中から引き出して両薬指にかける
- 親指の向こうどうしを結ぶ糸を中指の輪から引き出して両人差し指にかける
- 薬指の向こうの糸を右手でつまんで時計回りに半回転ひねって両手の小指に掛け、小指をナバホ取り
- 人差し指の手前の糸を右手でつまんで反時計回りに半回転ひねって両手の親指に掛け、親指をナバホ取り
- 薬指、人差し指にかかっている糸を外す
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- 中指の構え
- 小指を向こうへ半回転、親指を手前へ半回転ひねる
逆の手で輪を外してひっくり返して同じ指に掛け直す
- 小指の手前どうしを結ぶ糸を中指の輪の中から引き出して両人差し指にかける
- 親指の向こうどうしを結ぶ糸を中指の輪から引き出して両薬指にかける
- 薬指の向こうの糸を右手でつまんで時計回りに半回転ひねって両手の小指に掛け、小指をナバホ取り
- 人差し指の手前の糸を右手でつまんで反時計回りに半回転ひねって両手の親指に掛け、親指をナバホ取り
- 薬指、人差し指にかかっている糸を外す
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このパターンは上下で独立しているので、局所的な装飾になります。
これも2連続で取ってみました。
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Fig.2-53:「上下に小さい太陽」2連続 |
片側だけならまだしも、両側(親指側・小指側)とも空中でかたちを整えるのは無理でした。マグネットボード上でかたちを調整しています。これもちょっとデザインを複雑にするために付け加えるのに使える手順です。
5-2.上下にからんだ小さい太陽[継続処理]
上の「上下に小さい太陽」をからませたパターンです。ナウルの伝承あやとり作品に「エイガバヌウェア」というのがありますが、それとよく似ています。「上下に小さい太陽」とは1か所だけ操作が違います。先ほどは2つの「小さい太陽」が同時にできるような手順を説明しましたが、「上下にからんだ小さい太陽」は1つずつ太陽を作ってゆく手順になります。
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Fig.2-53:上下にからんだ小さい太陽 |
Fig.2-51:上下に小さい太陽 |
- 中指の構え
- 小指を向こうへ半回転、親指を手前へ半回転ひねる
逆の手で輪を外してひっくり返して同じ指に掛け直す
- 小指の手前どうしを結ぶ糸を中指の輪の中から引き出して両薬指にかける
- 薬指の向こうの糸を右手でつまんで時計回りに半回転ひねって両手の小指に掛け、小指をナバホ取り
- 薬指にかかっている糸を外す
小指側に「小さい太陽」ができる
- 親指の向こうどうしを結ぶ糸を小指側の「小さい太陽」の中から引き出して両人差し指にかける
- 人差し指の手前の糸を右手でつまんで反時計回りに半回転ひねって両手の親指に掛け、親指をナバホ取り
- 人差し指にかかっている糸を外す
親指側に「小さい太陽」ができる
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- 中指の構え
- 小指を向こうへ半回転、親指を手前へ半回転ひねる
逆の手で輪を外してひっくり返して同じ指に掛け直す
- 小指の手前どうしを結ぶ糸を中指の輪の中から引き出して両薬指にかける
- 薬指の向こうの糸を右手でつまんで時計回りに半回転ひねって両手の小指に掛け、小指をナバホ取り
- 薬指にかかっている糸を外す
小指側に「小さい太陽」ができる
- 親指の向こうどうしを結ぶ糸を中指の輪から引き出して両人差し指にかける
- 人差し指の手前の糸を右手でつまんで反時計回りに半回転ひねって両手の親指に掛け、親指をナバホ取り
- 人差し指にかかっている糸を外す
親指側に「小さい太陽」ができる
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あやとりの操作は、順番を入れ替えても結果が変わらないもの(可換操作)と、結果が変わってしまうもの(非可換操作)があります。「上下の小さい太陽」は互いに独立なので、並行して作っても1つずつ完成させても結果は同じです。
「上下にからんだ小さい太陽」を2回連続で取ると、かなり複雑なパターンになりました。
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Fig.2-54:「上下にからんだ小さい太陽」2連続 |
これはもはや空中で(両手の間で)かたちを整えるのは不可能で、マグネットボードの上でかたちを整えました。
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2021.05.04
長谷川 浩(あそびをせんとや)