以前の「ひとこと」 : 2025年5月後半
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5月16日(金) 数学セミナー6月号
5月連休明け、体調を崩してしまって更新を1週間ほどお休みしてしまいました。再開したいと思います。
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5月12日に発売になった 「数学セミナー」2025年6月号
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に書かせていただいた「あやとりの楽しみ第15回」は多面体構造(その3)と題してシシドユキオさんの正四面体や立方体を掲載しました。
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編集後記に「あやとりの正十二面体」の話を書いていただいて感激しています。
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正八面体のあやとり作品の写真と、視点をだいたい合わせてみたCGを並べてみました。
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オリジナルのシシドさんの「八面体の結晶」は4本の稜がないので、それを追加する工夫をしてみたものです。
たった1本のあやとり紐で、自分の両手の中に正八面体の構造が作れるというのは感動的です。自分の目の前で、自分の手で向きを変えて様々な方向から見てみることができます。この作品はぜひ取ってみて欲しいと思います。
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あやとり協会の吉田さんから、「八面体の結晶」を取ってみましたというメールをいただきました。ありがとうございます。完成形は対称に見えるのに、手順が左右非対称なのが面白いというコメントをいただきました。結晶は石野さんのサイトに手順が掲載されていますが、私はこの手順を見るとサンフィッシュを連想します。サンフィッシュも、完成形は一見左右対称に見えますが手順が非対称なのです。サンフィッシュは平面的ですが、左右に4本の糸が集まるところとかが似ている気がするのです。
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国際あやとり協会(日本)のあやとりの新聞雑誌記事のページに、「あやとりの楽しみ」の各号のタイトルをご紹介いただいています。毎月更新していただいて、管理して下さっている加藤直樹さんには大変感謝しています。ありがとうございます。
しばらくサポートページの更新が滞っているので、これもなんとかしたいと思っています。
<おまけのひとこと>
アトピー性皮膚炎で全身が痒いのが酷くなったり少し改善したりを繰り返しながらもう何十年も生活しています。先週は症状がきつくなって、抗ヒスタミン薬を飲んでしのいでいたのですが、副作用で妙に眠くなって頭がぼんやりしていました。(もともとぼんやりしているのに輪を掛けてぼんやりしてしまって仕事の生産性が著しく下がってしまいました。)
5月17日(土) 伝承あやとり作品「二本の木」
あやとりの話です。
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最近、2本の木とその派生作品について調べてみています。国際あやとり教会の1991年の年報に、 Rationally-designed String Figures: Variations of the Kwakiutl figures "Two Trees" (M. Sherman (BSFA 17) 1991 p.29) というすばらしい論文が発表されていて、それを少しずつ読み解いています。
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2本の木
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2本の叉木 リンクは石野さんのサイト「あやとりしてみよう」のそれぞれの作品のページです。石野さんの難易度表記では☆☆☆☆(星4つ)、かなり難しいほうだと思います。
いつもは長い紐で取ることが多いのですが、思い立って短い紐で取ってみました。可愛らしい感じがします。木というよりは双葉とか三葉結び目みたいにも見えるような気がします。
いずれこのShermanさんの論文も「あやとりの楽しみ」でご紹介したいと思っているのですが、内容があまりにも膨大で、どの部分に注目してどうやってご紹介したらいいのかちょっと途方に暮れています。
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上記の論文の冒頭は、こんな素敵な文章で始まっています。
Trees, trees, and more trees; North America's mountainous, rain-drenched Pacific Northwest coast is densely forested with towering cedar, spruce, and hemlock trees. It is therefore not surprising to find trees represented in the local string figure repartoire. (木、木、そしてさらに木。北米の山岳地帯で雨の多い太平洋岸北西部は、高くそびえる杉、トウヒ、ツガの木々が密集した森林です。そのため、この地域に伝わる伝承あやとり作品のレパートリーに木を表現したものが見受けられるのも不思議ではありません。) しばらくはこの論文を研究してみたいと思っています。
<おまけのひとこと>
上記の英文をgoogle翻訳にかけると、“String Figure” を「弦楽器」と訳されました。まあこの文だけを取り出して読めば、Native Speakerでもそのように解釈するのだろうと想像しました。逆に日本語のほうを英訳させてみたら、「伝承あやとり作品」は “traditional cat's cradle art” となりました。「あやとり」は英語だと「猫のゆりかご」なのですね。
5月20日(火) キツネタイルのタイリング骨格を紙で作ってみる
5月18日と19日はスキップして、20日(火)〜23日(金)の4日分を金曜日にまとめて更新しています。すみません間が空きがちです。
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しばらく前に、キツネタイルと名付けた凸でない鏡像対称な等辺六角形のタイリングを研究していました。5月連休の間にこんな模型を作ってみました。
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変形させて遊べないかなと思ったのですがうまくいきませんでした。小さく作りすぎたかもしれません。
<おまけのひとこと>
暑くなってきました。
5月21日(水) 伝承あやとり「2本の木」のグループ
あやとりです。
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このところ、伝承あやとり作品「2本の木」について研究しています。まずは伝承作品として記録されている4つの作品を作ってみました。
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2本の木
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2本の叉木
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3本の木
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4本の木 「2本の木」は人差し指の構えから始めて、最後に人差し指の輪をはずして仕上げるのですが、途中で人差し指の輪は他の指の糸と一切関係しません。最後に人差し指の輪を外す直前に、「人差し指の輪にそれ以外の指の輪を下から上へ通す操作」をするのですが、片側だけやると「3本の木」、両側やると「2本の叉木」になるのです。さらに、前記の操作(両手)をする前に、人差し指の輪を交換してその輪を手前に半回転ひねってから行うと「4本の木」になるのです。
(つづく)
<おまけのひとこと>
「2本の木」、ここ2週間ほどで数百回は取っていると思います。ようやく感じが掴めてきた気がします。
5月22日(木) 「2本の木」の発展:HH
あやとり「2本の木」の研究のつづきです。
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Rationally-designed String Figures: Variations of the Kwakiutl figures "Two Trees" (M. Sherman (BSFA 17) 1991 pp.29-106) では130種類を超える「2本の木」の発展について図入りで解説されています。気になったものの再現を試みています。この論文の Fig.28 がこんな作品です。図と手順表記を引用します。
Fig.28 of above paper
Rationally-designed String Figures: Variations of the Kwakiutl figures "Two Trees"
(M. Sherman (BSFA 17) 1991 p.46)ここでは詳しくは説明しませんが、シャーマン氏は「2本の木」の手順をblock1からblock5まで5段階に分けて,各ブロックの間に特定の操作を行う(装飾処理を行う)ことで、完成形のあやとりのかたちがどのように変わるのかを系統的に調べているのです。この図の上に、3B=…と書かれていますが、これは「2本の木」のblock1とblock2を取ってからここでかかれた表記の操作を行い、その後でblock3-5を実行するとこの図の作品ができますよ、ということを述べているのです。シャーマン氏はこの装飾を施すことの名前を3Bと呼んでいて、これはblock3の前に行う装飾を意味する数字3と、このタイミングで行う装飾の例を A,B,C,… とアルファベットで連番を付けているのです。グループ3の装飾は3Aから3Hまで8通りが紹介されていますが、グループ2は2Aから2Vまでの22通り、グループ4は4Aから4Jまでの10通り、などとなっています。
さらにこれらの装飾処理は複数個を組合せることが普通に可能です。「2本の木」のバリエーションだけでも無限に可能性が広がっています。
この論文は100ページ近いボリュームがあるのですが、それでも操作手順をいちいち言葉で記載していたら膨大になってしまうので、表記法を定義して記号列で手順が記載されています。これを読み解くのがちょっと大変なのですが、とても楽しい作業でもあります。ちなみに装飾3Bはけっこう読み解くのが難しかったです。
上の図を見て、これはアルファベットのHが並んでいるように見えるなあと思ったのです。自分のイニシャルなので、HHの文字の形を意識して仕上げてみました。
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とても気に入りました。
<おまけのひとこと>
この論文は本当に楽しいです。
5月23日(金) 「2本の木」の発展:AI
あやとり「2本の木」の研究の話題がつづきます。
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シャーマン氏の論文を見ていて、こんなあやとりを取ってみました。AIという文字のかたちを模した創作です。
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AI BLOCK1,2G,BLOCK2,BLOCK3’,R(4E,4I,BLOCKS2,3),BLOCKS4,5 この作品そのものはシャーマン氏の論文には出てきません。この作品の手順をシャーマン氏の書式で書いてみました。論文を参照すると、この手順を解読できます。BLOCK3' というのが最初ちょっと苦労しました。2Gは小指を手前へ1回転する操作(をblock2の前にやる)、4Eは小指を向こうへ1回転する操作(をblock4の前に行う)、4Iは小指の輪を外して人差し指の輪の下を通って親指の輪に上から下へ通して小指に戻す操作です。R(…)というのはカッコ内の操作は右手側だけで行うことを示しています。この操作によって右側のIの文字に相当する「1本の木」が追加されます。
シャーマン氏の論文ではFig.139に、両側に「木」を追加する手順として BLOCK1,2G,BLOCK2,BLOCK3’,4E,4I,BLOCKS2-5というのが紹介されていたのです。これを参考にさせていただきました。
それにしてもたったこれだけの表記でこういった作品の手順が記述できるというのは本当に驚きです。もちろんその背景にはソフトウェアの関数化やサブルーチン化に相当する「手順をひとまとめにして名前を付ける」という手法が使われているからこそ可能になっているのですが。この論文が発表されて35年くらい経ちますが、これを真剣に読み解いて作品を再現している人はこれまでにのべ何人くらいいたのだろうと思います。100人は絶対いなそうです。10人はいるかなあ、いてほしいなあと思います。
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毎日、「今日のひとこと」というのを配信して下さっている方がいらして、それを受け取っています。今日はこんな内容でした。
短いけれど
指のない
まるい
つよい手が
何でもしてくれる
断端に骨のない
やわらかい腕もある
何でもしてくれる
短い手もある
ある ある ある
みんなある
さわやかな
秋の朝
--中村久子「中村久子 ある ある ある」で検索してみて衝撃を受けました。(たとえば中村久子(wikipedia) など。)この方の存在は知りませんでした。
<おまけのひとこと>
昨日の昼間はけっこう気温が上がって、日当たりの良い私の仕事部屋は午後は窓を開けないと室温が30℃近くまで上がってしまいました。これでも全国的には涼しいほうなのだと思います。夜は外気温が12℃くらいまで下がったので、今朝は肌寒いくらいでした。服装や寝具の調節が難しいです。ちょっと体調が良くありません。
5月24日(土) 「2本の木」の発展:L(3B),R(3A),5A
あやとり「2本の木」の研究の話題のつづきです。
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「2本の木」の発展、シャーマン氏の論文を見ながらいろいろ試しています。
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「2本の木」+L(3B),R(3A),5A BLOCK 1-2, L(3B), R(3A), BLOCK 3-4, 5A, BLOCK 5 3A, 3B, 5A の定義を知っていれば(論文に書いてあります)、上記の表現だけでこのあやとりが完全に再現できるのです。すごいと思います。
<おまけのひとこと>
週末ですが残務をやる必要があります。
5月25日(日) 「2本の木」の発展:L(3B),R(3A),5A (その2)
あやとり「2本の木」の研究の話題のつづきです。
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昨日ご紹介したこちらのあやとりをXにも投稿したら、手順の表記についてご質問をいただきました。簡単な解説の図を作ったので、こちらにも載せておきます。
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「2本の木」+L(3B),R(3A),5A このあやとり作品は、「2本の木」に L(3B),R(3A),5A の装飾を施したもの、と表現すれば、シャーマン氏の論文を知っていれば完全に再現できます。この装飾の表現は「2本の木」専用で、他のあやとり作品に適用できるものではありません。
最初に通常の「2本の木」の手順を BLOCK 1 から BLOCK 5 までの5ブロックに分けます。「2本の木」に様々な装飾を加えてゆくのですが、それを手順のどのタイミングで行うかを数字で表し、そのときの手順の内容をアルファベットで表しています。
3Aとか3Bというのは、BLOCK 3の前に行う手順であることを示し、5AというのはBLOCK 5の前に行う手順であることを示しています。それぞれの手順の具体的な内容は、文字で書くと長くなるので簡潔な表記法で示されています。表記のルールは論文に appendix として掲載されています。
石野さんの「あやとりしてみよう」に2本の木の手順が紹介されていますが(難易度☆☆☆☆でけっこう難しい部類です)、シャーマン氏のBLOCKは、石野さんの手順で言うと以下の区切りになります。
BLOCK 1 石野さんの手順の 1 (人差し指の構え) BLOCK 2 石野さんの手順の 3〜6 (親指で取る,中指で取る,親指で取って中指を放す) BLOCK 3 石野さんの手順の 7〜9 (中指で取る、親指を放す、中指→親指に移す) BLOCK 4 石野さんの手順の 10〜17 (小指側で2回、「縄をなう」ような操作) BLOCK 5 石野さんの手順の 18 (人差し指を放して整える) L(3B),R(3A),5A を丁寧に書いたものがBLOCK 1-2, L(3B), R(3A), BLOCK 3-4, 5A, BLOCK 5 です。これは以下のように読みます。
BLOCK 1-2, L(3B), R(3A), BLOCK 3-4, 5A, BLOCK 5
- BLOCK 1 と BLOCK 2 を実行する
- 左手(L)で処理3Bを行い、右手(R)で処理3Aを行う
- BLOCK 3 と BLOCK 4 を実行する
- 処理 5A を行う
- BLOCK 5 を実行する
手順3A、
だけ簡単に解説してみます。上に右矢印の付いた1は、親指を次のカッコの中に表された糸の上へ手前から向こうへ持ってゆくことを表します。次のカッコの中の u1f は親指(1の指)の上の(upper, 親指には2本の輪がかかっています)向こうの(far)糸を表します。目標えある u1f (親指の上の向こうの糸) の表記の上に横棒がありますが、これは、その糸を向こうから手前へひねって取ることを表しています。次の#印は、動かした指をもとの姿勢に戻すことを表していて、最後のコロンは「これでいったん一区切り」であることを表しています。
これをいつもの自分流の言葉で書くと、「親指で、親指の上の輪の向こうの糸を向こうから下、手前へとひねって取る」となります。結果的には親指の上の輪の向こうの糸を左手ならば時計回りに、右手ならば半時計回りに巻き付けるのと同じです。
この「手順の表記の読み解き」がとても面白くて、ここ2週間ほど、様々なパターンを試みています。いずれ「数学セミナー」の「あやとりの楽しみ」でもう少しちゃんとご紹介したいと思っているのですが、2ページでどこまで書けるか、うまいご紹介のしかたを考えたいと思います。
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我が家の最寄り駅は市の中心駅で駅の両側の出口にはそれぞれロータリーがあってタクシーが待機し、観光路線や生活路線のバスもあり(激減してしまいましたが)、特に朝夕の通学時間帯には高校生がたくさん利用しています。新宿まで2時間程度の特急列車もすべて停車しますし、八ヶ岳登山の利用者も多い駅です。もう10年以上前になりますが、我が家の子供たちもそれぞれ高校の3年間はこの駅を利用していました。一日の乗降者数は6700人くらいで長野県内で8位という統計がありました。
そんな駅なのですが、駅前にコンビニがありませんでした。ずいぶん前にはあったのですが、全国チェーンのお店ではなくて、朝7時から夕方までの営業だったと思います。そんな状況を憂いて、地元の高校生が協力してコンビニ店舗跡を利用して新しいコンビニを始める、というニュースがありました。日中などは近隣の大人が協力して運営するということでした。
昨日、市の中央公民館でイベントがあって、妻を送っていた帰りに駅に寄って立ち食いそばを食べたのですが、その時にこのコンビニをのぞいてみました。
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駅のロータリーに面したところが広いイートインスペースになっていて、「高校生の居場所」を意識した店内レイアウトになっているのだと感心しました。その奥に商品棚があって、コンビニらしいレイアウトになっていました。普通に見かける全国チェーンのコンビニの品ぞろえやを期待して入るとちょっと残念に思う人もいるかなあと思いましたが、事情を知っているのでぜひ応援したいと思いました。ペットボトル飲料を購入しました。
レジには大人の方が立たれていましたが、現金の精算機があって、それを使って精算するようになっていました。お金の管理は大変なので、こういう気軽に店番ができるシステムになっているのはとても良いと思いました。ぜひともうまく継続してほしいと思いました。
購買行動というのは投票と同じだと思っていて、自分にとって継続してほしいサービスには積極的にお金を使っていきたいと思っています。ちょっとしたお菓子とか飲み物とか、できるだけここで買おうと思いました。そもそもあんまり買わないのですが。
<おまけのひとこと>
シャーマン氏の論文が発表されてから35年くらい経ちますが、この論文を真剣に読み解いてあやとり作品を取って楽しんだことがある人は世界中で果たして何人くらいいるのだろう?と思っています。あやとり教会の会員の中でも10人くらいしかいないのではないか、と想像しています。こんなに面白くて豊かな世界なのにもったいないと思います。
5月26日(月) ブラウザで遊べるパズル、本
軽い話題です。
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Xで濱中さんが紹介されていた、ブラウザで遊べる Akari というパズルがなかなか面白かったのです。ルールはnikoliの美術館と同じです。(nikoliの「美術館」のurlが akari なのですね。)
下の図は、初めてのプレイで試行錯誤しているところです。すでに破綻しています。(上から5行目、左から6行目のマス、スマイルマークの真上のマスを照らす灯りを置ける場所がありません。)
アーカイブにはプレイできるいろいろな難易度の問題が公開されています。つい何問か解いてしまいました。
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土曜日に駅前に行ったときに、本の取り寄せをお願いするために行きつけの本屋さんに寄ったのですが、ついつい本を4冊ほど買ってきました。その中の一冊、僕には鳥の言葉がわかる(著/鈴木俊貴, 小学館:2025) がとても面白くて、買ったその日に全部読んでしまいました。
まっすぐに、一心不乱に研究をしているご様子にほんとうに感動しました。森にすむ生き物が種を越えて「言語」を理解する能力をもっていること、単に単一の「単語」だけではなくその組合せについても理解していると解釈せざるを得ない実験を考案し、時間をかけて根気よくデータを取ってゆく内容がすばらしいです。
<おまけのひとこと>
ここ1〜2か月ほど皮膚の状況がいつもより悪くなっていて、自己判断でしばらく売薬の抗ヒスタミン薬を飲んでいました。数日飲んでいたら症状が緩和されたのですが、そのかわり慢性的に眠くなって頭の回転が鈍くなっていました。薬を飲み切ったので、しばらく飲むのをやめていたら、反動で皮膚の状況がまた悪くなって夜眠れなくなりました。困ったものです。
5月27日(火) 三面図が同じになる立体(その1)
三面図の問題です。
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久しぶりに上原隆平先生の折り紙とパズルと多面体のページを見に行ったら、いろいろ面白いものが紹介されていました。
2025/05/11 のトピックで、三面図が同じになるパズルのパッケージ写真が紹介されています。どんなパズルなのかわかりませんが、どんなかたちなのだろうかとちょっと考えてみました。最初に、三方向から見てHの文字のかたちになるものを考えてみました。3×3×3の立方体を考えて、最初に一方向からだけHの字に見えるように単位立方体を取り外してみました(図1)。
図 1 これだと残りの2方向は3×3の正方形に見えているはずです。もういくつか削り取るとどちらから見てもHになるようにできます(図2)。
図 2 これ、1×1×1の四角柱を5本用意して、そのうち4本を四隅に立てて残った1本を中段水平に置いたかたちです。2次元の普通のHの文字は左右に縦棒が2本あって中段に水平な横棒を加えますが、なんだかその手順の3次元版という感じがして面白いと思いました。
次に、三面図がいずれも図3の階段状になる立体を考えてみます。
図 3 (つづく)
<おまけのひとこと>
どうも更新が不規則になってしまいます。
5月28日(水) シルエットパズル(その1)
シルエットパズルです。
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上原隆平先生の折り紙とパズルと多面体のページ(2023年)の2023/07/15の「石のパズル」が面白そうだったので少し考えてみました。
タイルのセットはこうかなあと思いました(図1)。
図 1 左端の直角三角形が単位タイルで、真ん中の凧型2つと鈍角二等辺三角形が2単位分、右側の直角台形2つと大きな直角三角形が3単位分、だと思います。
これら5種類7ピース(計16単位分)で適当にこんなシルエットを作ってみました。(1つできると芋づる式にできてしまうのが残念ですが…)
図 2 これらの凸多角形が平面をタイリングできるだろうか、とちょっと考えてみたのです。任意の三角形と四角形は平面をタイリングできるので、問題は凸五角形のBとEです。ちょっと考えるといずれもタイリング可能だということがわかりました。
よろしければ考えてみてください。
(つづく)
<おまけのひとこと>
今日は仕事を少し早めに切り上げて注文した本を取りに行ったり薬局に行ったりしようと思います。
5月29日(木) 三面図が「階段」の図形(その2)
三面図の問題です。
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三面図が階段の図形になるように単位立方体を積み上げたかたちを考えてみました。まず思い付いたのが下の図のかたちです。
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これも、階段を三次元表現したときに思い付く自然なかたちだと思います。
一方このかたち、三面図のかたちは変えないで単位立方体の数をもっと増やしたり減らしたりできることに気が付きました。
(つづく) ○
雑誌『数学セミナー』に連載させていただいている「あやとりの楽しみ」、来月6月12日発売の7月号の校正が終わって手を離れ、今は7月12日発売の8月号の原稿の〆切のタイミングです。仕事が忙しい時には原稿作成に十分な時間が割けない可能性があるので、いつも連載の2〜3回分くらいは原稿をストックしています。5月連休明けにお送りしてあった8月号の原稿案を見て、編集長の飯野さんがあやとりを取ってみてくださったのですが、「うまくとれませんでした」というご質問をいただきました。
飯野さんはこれまで連載でご紹介してきたあやとり作品を実際に取ってみて、手順の表記のわかりにくさやあいまいさをご指摘下さり、表現の改善のご提案もして下さいます。本当にありがたいことです。その飯野さんが8月号の原稿を見て作品を取れなかったというのは表記のほうに問題があるのだなと思いました。改めて見直してみると、なんと手順を2工程も飛ばして記述してしまっていました。これではあやとりを取ることができるはずがありません。
おそらく、手順の記載が間違っているという発想にはならず、表記を信じていろいろ試行錯誤をしていただいてしまったのだろうと想像して、本当に申し訳ない気持ちになりました。貴重なお時間を無駄にさせてしまったことを本当に反省しています。原稿を仕上げた直後は気分が高揚していて、「思い込み」でチェックが甘くなっているのだと思いました。今後こういうことがないように、手順の表記の確認はもっと丁寧にやらないといけない、無心に虚心に表記の通りに取ってみて、表記に誤りがないか、複数の解釈が成立するようなあいまいな表現になっていないか、少し時間を置いて再確認が必要だと思いました。
<おまけのひとこと>
本当にすみませんでした。