手術室に向かう途中の窓から綺麗な青空が見えた。看護婦さんが『いいお天気だから、大丈夫だよ』と励ましてくれた。
帝王切開術は腰椎麻酔なので、色んな音や声は普通に聞こえる。しかしお腹を切るのに、裸で両足を広げて手術台に寝るとは思っていなかったので、凄く恥ずかしかった。
緑色のシートのようなものが体の上にかけられ、顔の上には机のようなものがあって、その上に器具がいろいろ置いてあるのかなと思った。『ではこれからはじめます』
まな板の上の鯉っていうのはこういうことか・・・。
ところが、中毒症がどんどんひどくなってきたこと、子供の心音が下がり、『胎児仮死』の可能性が出てきたなどの理由で、9月10日のお昼過ぎ緊急の帝王切開を行なうことになった。
手術には産科と小児科のドクターが4名、両科の婦長と看護婦数名が立ち会ってくれることとなった。自分ではそんなにひどくないと思っていた中毒症は、物凄いことのようだった。
手術承諾書にサインしながら、大丈夫かなあと不安だった。たまたま13日の手術のことでドクターに会いに来ていた文さんは、いきなりこれから手術と聞かされて青くなったらしい。
急なことだったが、実家の母やおば、それに文さんのお父さんと弟も駆けつけてくれた。