前年の異常な「冷夏」とはうって変わって、この年はまさに「猛暑元年」だった。普通にしていても暑いのに、二人が入った大きなお腹はそれを更に増長させていた。
7ヶ月目くらいからお腹は急に大きくなった。おかげで何処へ出かけても、「もうすぐ生まれるの?」と聞かれた。そのたびに「双子なので・・・」というとずいぶん驚かれた。しまいには『私は只今双子を妊娠中です。出産は9月の予定です』とでも書いた看板を持って歩きたいくらいだった。
恐らく多くの妊婦さんがそうだと思うが、お腹が大きくなるにつれて足の付け根が痛くなったり、妊娠後期は歩く時は足元が見えないから怖いし(実は1回コケた)、更に大きなお腹は洗顔の時も、台所で炊事をする時も、入浴の時も何をするにも邪魔だった。特に寝る時とトイレ(和式)は苦労した。
寝る時は、お腹が大きすぎて仰向けに寝ると息苦しくなるので横向きになるのだけど、二人入っているために少し形がいびつになったりしていて、なかなかうまく横になれない。しかも布団に座る時なども気をつけないと、強く腰を打ってしまう可能性があるので、本当にそーっとそーっと座らないといけなかった。(出産後同じ双子ママから『クッション使えばよかったのに』といわれてしまった。あーその手があったか・・・)
和式のトイレはもう絶対だめ。お腹がつかえてしゃがめないのだ。きっと相撲部屋は何処も洋式トイレなんだろうなって思った。出産予定日が近づいた頃、実家から帰ってきたらって言われたけど、これを理由に断った。
でも病院関係は和式のところが多い。必ずやる尿検査の時、辛かったー。
市で主催する『母親学級』というものに出席した。ここでも双子妊婦は注目された。どうして母子手帳が2冊なのか、なぜ双子を妊娠したのか、つわりとかはどうなのか・・・様々なことを聞かれた。別に一人も二人も妊娠に違いは無いのだから、そんなに大きく変わることは無いように思うのだけれど、みんないろいろ聞いてきた。
夏の暑いさなかに窓の無い部屋で汗だくで、保健婦さんや助産婦さんの話を聞きつづけることはなかなか大変だった。途中で眠くなったりした。
双子を妊娠しているというと決まって、それは遺伝なのかそれとも不妊治療でもしたのかと聞かれた。双子とかは遺伝か不妊治療以外絶対授からないと思っている人が多いのに、ビックリした。私の回りにいる双子ママの中では、遺伝・治療どちらもいるが、中にはいずれにも当てはまらないという人も大勢いる。あまりに情報が無いためか、変な確信を持っている人も中にはいて、時々話していて面食らうことも多かった。
妊婦は辛い
注目の双子妊婦