JBL1500AL用エンクロージャーの制作案内
Model ISA−CWO1


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 JBL 1500AL ウーファーユニット用 エンクロージャーの仕様

 仕様の概要
  .エンクロージャー機種名 : Model ISA−CWO1
 
 .構造方式 :  .100%無垢材積み重ね方式(WING方式)サイドラウンドエンクロージャー
             .サブバッフル(取り外し方式)によるバスレフ形/密閉型兼用方式
  .素 材 :    .無垢材のハードメープル45mm〜50mm厚を採用する。
               .強度/音響特性に優れ楽器にも使用される素材。
               .音響的に最適な伝搬速度や内部損出を備えている
  .バッフル板 : 本体と取り外し式の二重方式
  .バスレフダクト : 直径100mmでfob=27Hz/30Hz/32Hzの3本からチューニングにより決定し
               本体と同材のハードメープルブロック材より削り出し製作する
  .曲面反射板 : オリジナル曲面反射板を平行面を持つ天板と底板内側に張り付け定在波減衰対策とする
  .チューニング用補強板 : 音質調整用の取り外し方式(構造的補強ではありません)
  .内容積 : 約170L(ユニット、補強材等のロス分を保証済みの値)
  .寸法 : W600mm/H900mm/D700mm
  .板厚 : バッフル:合計90mm(本体45mm/取り外し式バッフル45mm)
         本体  :40〜70mm
         天板/底板:45mm
  .仕上げ : 白木用オイルワックス仕上げ(素材感を重視した自然な仕上がり)
  .運搬移動用取り外し式ハンドル取り付け
  .端子を使用せずスピーカーケーブルを直接ユニットに接続
  .吸音材は全く使用せず。


 発注者の不満
  .発注者は数年前に特注した箱形エンクロージャーにJBLウーファー:1500ALを搭載し、エンクロージャー上部には
    同じくJBLコンプレッションドライバー:435Be+山本音響SS-300(ウッドホーン)、JBLスーパーツイーター:
    UT-045Be+特製ウッドホーンによる3Way構成のシステムで使用されています。 
  .低音の品質に不満を持っていて、その理由は?
    .平行面を持つエンクロージャーには定在波の発生が問題。
    .         〃            吸音材の使用が問題。
    .         〃            吸音材を使用する為に音響エネルギーをスポイルしてしまう (本来の良い性質を損う意)
    .その為にエンクロージャーの背板を外して後面開放型として使用している。
     理由は  .まとわり付く様な低音が消えて、音がスコンと抜ける
            .いわゆる箱臭さを無くしている
            .その為に最低域の再現性が弱くなってもかまわない。



 発注者の希望
 
.ヘビー級のシステムを追求するのでは無く、スーパーミドル級が良い。
  .ダブルウーファーでは部屋の制約からスピーカー間の距離が縮まり立体表現が厳しくなる。
  .その代わり中身がめちゃくちゃ詰まった凄味が欲しい。
  .ガチーンと縦に切り込んで来る様なトランジェントのいい低音が好みである。
  .ふわっとゆったりした量感を望んでいない。
  .大音量に上げてもガチッと受け止めてくれるソリッドなエンクロージャーを求めている。
  .強力なウーファーを羽交い締めにしたい欲望がある。
  .1500ALが吹っ飛ぶほどパワーを入れてみたい。
  .ウーファー1500ALの設計仕様に合わせてバスレフ方式とする。
  .サイドラウンドは必要悪の吸音材を激減させてくれる。
  .    〃     立体表現が優れている。
  .    〃     空間が出る。
  .    〃     音がスピーカーにべったり付着しない。
  .サイドラウンドで全ての機能のおいしいとこ取りを狙っている。
    注)サイドラウンド=本体の側板から背面にかけて曲面を持つ構造を指します。


 製作側の対応と提案
 
.顧客の希望に合わせる為にユニットや材料の能力を最大限引き出した音を目標とする
  .オーダーメードでサイドラウンド方式のスピーカーエンクロージャーを製作します(他に例無し)。
  .この作品にはサイドラウンド方式を実現するには無垢材100%積み重ね方式を採用する。
  .低域再生周波数限界のシュミレーション提示
  .プロトタイプ製作 : .内容積1/20のスケールモデルを製作して外観デザインを詳細に確認する。
                . 同時に実現可能か製作工法の確認も行う。
                .プロトタイプは独立したスピーカーシステムとしても音出し可能とする。




工房前に積んだ使用材料の様子です。

  

使用材料


本作品に使用する材料についての説明です。





スケールモデルの製作


本製作に入る前に内容積1/20の
スケールモデル(通称ちびモデル)を製作します。






積層ドーナツ状板材の製作


本体を構成する中心となる部材です。





取り外し式補強材の製作


音質調整用の補強材です。





曲面反射板の製作


定在波を減少させる曲面反射板です。





曲無垢材のバスレフダクト(ポート)の製作


ダクトの不要共振と風切り音のノイズを減少させまする部材です。






スピーカーケーブル通し口の製作


スピーカーユニットへの接続端子を使わずにケーブルを直付けにします。
密閉事ケーブル交換をする為のオプションです。



スパイク型インシュレーターの取付


スパイク受け一体型の”CERABASE”インシュレーターを
取り付けるための加工を行います。



移動用ハンドルの取付


スピーカーユニットを含むとエンクロージャーの
合計重量は200Kgを越えますので移動や運搬には
ハンドルが必須となります。



納品セッテイングを終えた状態です。


ウーファー用エンクロージャーの組立


最終段階の組立接着と仕上げ行程です。