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田園と渓谷美の路線 第1回

樽見鉄道とは

(07年7月の旅)

樽見鉄道の大垣駅

大垣駅から出発

  樽見鉄道は岐阜県の大垣駅から揖斐川の支流沿いに北へ向かう第3セクター鉄道である。もともとは国鉄樽見線という名称だったが、樽見線という名にもかかわらず樽見まで鉄道が走っていないという摩訶不思議な路線といわれていた。赤字ローカル線として廃止対象になったが、第3セクターとして生き残ったうえ、工事が進ちょくしていたことから樽見まで無事路線が開通したのである。

 しかしながら、もともと山間部へ向かう盲腸線だったこともあり、多くの乗客が望めそうな路線ではなかった。ただ、セメントを運ぶ貨物輸送があったことで、企業の出資が多かったために今まで存続してきたのである。その貨物輸送もなくなってしまい、先に廃線となってしまった神岡鉄道同様、廃線の危機を迎えているそうである。薬草弁当列車などさまざまな企画列車を積極的に取り入れてはいるものの、あるいは早い時期に廃線の決定がなされるかもしれないという状況である。

 大垣は東海道本線のターミナル駅であるが、樽見鉄道の乗り場はホームのはしにポツンとあった。もともと国鉄線だったこともあり、大垣駅の一角を間借りしているような感じにも見える。すでに一両編成のディーゼルカーが停車していた。私は窓口で「うすずみ温泉入浴券つきの切符」を購入した。これは乗り放題のうえ、温泉入浴券と温泉内レストランの千円分食事券がついている企画切符である。

 ディーゼルカーは「モレラ号」と名づけられた車両である。240の専門店をもつ日本最大級のモール・モレラ岐阜からきているそうだ。モレラ岐阜については後でも触れる。外装は広告車両となっているが、内装はローカル線の雰囲気そのもの。レールバスの名称がつけられており、シートはロングシートと味気ない。最後部に陣取って列車内で過ごすわけだが、祝日とあってか乗客はまばらである。

 ここで乗る列車は途中駅の本巣行である。直行に乗るという手もあったが、少し早い時間に大垣に来れたのでこの列車に乗ったというわけである。そんなわけで列車はゆるゆると出発する。まずはしばらくの間、東海道本線に寄り添うように進んでいく。やがて分岐をしはじめたところで東大垣駅に到着。ここで列車交換のため、数分ほど止まる。見渡した向こうには東海道本線の列車がこの小さな駅をまったく無視するかのように突っ走っていく。列車交換が終わるとまたゆるゆると出発をする。

 

(つづく)
田園風景のなかを進んでいきます