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惜別!くりでんに乗る 第1回

くりでんとは?

(06年8月の旅)

趣ある駅舎の沢辺駅

OH!バンデス号

  くりはら田園鉄道のターミナル駅のひとつ・沢辺駅は、時代を感じさせるような古い駅舎に味わいがあるが、「みんなの足だよ栗鉄は 乗って残そう孫子のために」という看板が、廃線の決まった今となっては物悲しい。駅舎内には所狭しといろいろなポスターやチラシが張り巡らされており、雑然とした印象は否めない。

 ここは有人駅で、初老の駅員が一人いた。ちょうど夏の甲子園の決勝戦真っ盛りだったので悪かったとは思いつつ、細倉マインパーク前駅までの切符と、記念の乗車券セットを購入した。切符は昔ながらの硬券で今ではなかなかお目にかかれない。切符を買ったあとは列車到着までの短い時間で、あちらこちらと写真撮影をする。駅舎内には親子連れの姿もあり、どうやら父親がマニアらしく、子どもたち以上にはしゃいでいたように見えた。

 やがて列車の到着時間が迫った。父親は駅名板をバックに子どもの写真を撮っていたが、その時に初老の駅員が帽子をかぶせてくれた。駅員は手にタブレットを持っていた。窓口で見たときにはこの駅員は委託の方かと思ったが、列車交換業務をこなしていたのでれっきとした職員のようである。駅員はタブレットを運転手に渡し、列車交換の作業を無事終了。私たちと入れ代わりに、やはりマニアと思われる男性数人がこの駅で下車した。間もなく、ゆるゆると列車は出発する。

OH!バンデス号のヘッドマーク

 えんじ色の一両編成のワンマンカーで、なぜか「OH!バンデス号」というネーミングが付いていた。旅行している時は、この列車がくりでん応援列車という存在であること以外、ネーミングの由来などさっぱり分からなかった。ただ、通常のワンマンカーだと、女性の声で淡々と駅名を読み上げるだけのアナウンスなのだが、この列車は男性によるやたらと元気のいいアナウンスがされていた。観光案内も兼ねてのアナウンスのようで、のちほど声の主が宮城県のシンガーソングライター・さとう宗幸氏であると知った。

 ところで、「OH!バンデス号」というのは、廃線までの最後の1年間、くりでんを応援していこうという地元テレビ局のプロジェクトから生まれた列車で、ネーミングは「おばんです」を言い表す番組名に由来している。列車の車体や車内には、子どもたちが描いたくりでんの絵が展示されており、地元の人たちに愛着を持たれていることがよく分かる。そういえば赤字対策として、時期限定で運賃の値下げ作戦を実施していたというニュースを思い出した。

(つづく)
車内や車窓のようすを見てみました