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観光列車しんぺい号に乗る 第1回

肥薩線とは(肥薩線紹介のページ)

(08年10月の旅)

しんぺい号の車内

吉松駅をしんぺい号出発 

 吉松駅に折り返しとなるしんぺい号の濃い赤の車両がやってきた。厳密には、人吉から来る方の列車はいさぶろう号と言う。昼間二往復運転されており、朝夕は名称なしの普通列車として一両運転をしているようだ。ワンマン運転であるが、やはり客室乗務員がいて検札やガイド、車内販売を担当する。しんぺいは後藤新平、いさぶろうは山縣伊三郎の名前から付けられた。二人ともこの山峡の地に鉄道を築いた当時の責任者だった。この名を冠にした列車がお目見えした当時は普通のディーゼルカーを使っていたとのことだが、観光列車として注目されるようになると専用の車両がお目見えした。フォルムははやとの風号に似ているが、普通列車なのでややグレードは下がる。

 この区間は大部分が無人地帯をひた走り、途中駅の真幸、大畑も周辺に人家のない秘境駅で、唯一矢岳周辺のみにわずかな集落があるだけだ。したがって、日常でこの区間を利用する人はあまりいない。しんぺい号(いさぶろう号もあるが、ここでは旅程に従ってしんぺい号に統一する)は二両編成のほとんどが指定席になっており、二両目の後部にあるシート七席分のみが自由席。また先頭車両には地元の人優先の自由席を設けている。指定席といっても対面式の座席であり、四人座るとやや窮屈という感じは否めないが、普通列車なので文句は言えない。

 自由席座席のお客ははホームに並んでいたが、そのほかは三々五々ゆっくりと車内に入っていく。私の指定席は窓側ではあったが、車窓展望のよい側とは逆になっている。ただ、この列車にも展望席が設けられているので、その点はまったく心配ない。指定席は満席とのアナウンスもあったが、列車を乗り継いでやってきた乗客はそれほど多くなく、この区間のみ乗車するという団体が半数以上を占めた。まあ、JR九州の営業的には悪いことではないともいえるが、やはり乗るのならJRを乗り継いでほしい。ただ、それでもこの列車に乗ってくれる人たちはいいほうで、駅まで車で乗り付けてくる人は私も「ちょっと・・・」と思ってしまう。

(つづく)
スイッチバックの真幸駅へ向かいます