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海のローカル線に乗る(93年初乗車編) 第1回

五能線とは?(五能線紹介はこちら)

(93年5月の旅)

これでもかと続く海の車窓

 青空が広がった。期待どおりのいい天気になった。私はホテルで朝食をすませ、うきうき気分で駅に向かい、まずは鰺ヶ沢行きの列車に乗り込んだ。この旅の最大のメーンである五能線めぐり。車窓から見る海が美しいと評判のこのローカル線は、私にどんな感動をもたらしてくれるだろうか。

 鰺ヶ沢までは、津軽平野のどまん中を列車は走る。両側には水田とリンゴ園が広がっている。津軽平野はとことん広い。両側をそれぞれ眺めるが、山が近くに見えないほどだ。秋になれば、両側のリンゴ園にすずなりのリンゴを見ることができるのであろう。まさに、とことんのどかな風景なのである。

 列車が鰺ヶ沢に到着するか、と思ったその時、視界がぐっと広がり、一面に日本海が見えてきた。青く澄んだ海のお目見えである。この旅では初めての海との対面となった。まさしく一気に海が目に飛び込んできたという感じであり、これだけで「うーん」と溜め息をついてしまったほどだ。

鯵ヶ沢駅

 鰺ヶ沢で列車交換のために10数分の待ち合わせ。そして今度は一両編成の列車に乗り換える。ここからがいよいよシーサイドレイルロードと言われる、五能線最大のハイライトとなるのである。

 車窓からの日本海はまさしく壮大であった。沿線に集落が少ないローカル線ならではの延々と続く海沿いの眺め。しかも、山がそれほど海岸線に迫っていないため、トンネルもそれほど多くなく、まさに海岸線を伝うように走っているのだ。

 地図で見たり、ガイドブックで読んだりして、ある程度の想像はしていた。でも、実際に乗ってみると、これでもかとばかりに続くこの風景は見事の一言に尽きる。いくつかのガイドブックに「五能線は列車に乗ることに最大の目的がある」と書かれていたが、まさにそのとおり。しかも、この路線は非電化区間であるため、視界をさえぎる電柱がない。当然見晴らしも抜群なのだ。

 列車は海沿いの集落にある駅にひとつずつ停車しながら、ゆっくりと進む。決してあわてて走ろうとはしない。それもまた、私のような観光客にはとてもありがたいことなのである。鰺ヶ沢からいくつかの駅を通過した。そして、津軽西海岸にぽつんとある、ひとつの小駅に私は途中下車することにした。

(つづく)
海沿いの小駅とは?