だから、というわけでもないのでしょうが、京都駅から出発した特急電車「はしだて号」に乗るのは福知山までで、福知山で新大阪駅からきた「こうのとり号」に乗換えとなるのです。私は蓼科に住んでいるので山の家を朝7時半に出て、茅野駅を8時半に出発し、塩尻で特急電車「しなの号」にのり、名古屋で「のぞみ号」に乗換え、京都からさらに特急電車二本に乗り継いで午後3時にやっと城崎温泉に到着しました。合計7時間半の大旅行でした。使用したJRの切符は合計5枚もあり、往復切符をジパングで作製するのに茅野駅の駅員さんが合計3名も交代して35分でやっと作ってくれましたが、その切符には作製ミスがあったというので翌日再度家から駅まで往復一時間かけて往復させられました。

 とはいうものの、城崎温泉はとてもへんぴな場所にあるのですね。京都駅から特急一本で到着するのだろう、と誰でも考えるのでしょうけれど、そうはなっていない。同行者の一人である「先生」は鳥取生れだからよくご存じなので、説明を受けましたが、山陰本線はまだ単線の場所があって、それに電化していないのだそうです。ではディーゼルですか?と聞くと「そうだ」という答えが返ってくる。いまどき日本に電化されていないJRの本線があるなんて信じられません。

城崎温泉西村屋招月庭

                        2012/11/25

 1126日に京都で大学の同窓会の講演会が催されることになっていたので、講師の方お二人とご一緒して城崎温泉西村屋の招月庭で泊まることにしました。丁度紅葉の頃だし、それになんといっても117日に解禁になった松葉かにの蟹づくしなのです。蟹を腹一杯食べようという浅ましい根性なのでありました。

さて、肝腎の蟹なのですが、どうやら浜坂の蟹を食べさせられたようで、水っぽくて最高の味とは言えませんでした。蟹というのは漁獲した直後に浜挙げして直ちに茹であげるのが料理法なのです。遙か沖合に出て二三日の漁獲ののち帰港した蟹は水っぽくて味が落ちます。

画像:露天風呂付客室。奥に小庭、手前に流し場がつく。密やかな感覚があって真夜中に入浴すると楽しい。

 5万坪の庭がついているというので評判のホテルなのですが、プールに覆いかぶさる形の脱衣室は目障りです。プール側から眺めると悪くはないのですが、一年の大部分はプールは使えないのですから、この脱衣室は建てないほうが良かったようです。

 ところで、友達の一人から聞いたのだけれど、城崎温泉の近くに湯村温泉というのがあって、荒湯から98℃の温泉が湧き出しているそうだ。冬の寒い日に訪れてみたいものだ。

ああ、喰った、喰った。これでしばらくは蟹はいい。

写真:料理人に傅かれて焼き蟹を食する教授

とはいえ、美人の女中さんにかしずかれ、料理人が炭火で焼いてくれる焼き蟹や蟹刺しを頬張るのは気持ちのよいものですね。堪能しました。

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 旅館は西村屋招月庭にしました。二ヶ月半前の9月に予約をとったのですが、その時点で空いていたのは、露天風呂付の特別室二部屋だけでした。人気も超の字がつく繁盛ぶりです。蟹漁の解禁が117日だったので美味しい蟹を食べようとする観光客で満員になるようです。

 べつに一義的にJRが悪いのではなく、へんぴな長野県の田舎に住んでいる私にも責任があるのでしょうが、それにしても城崎は「辺鄙な」場所ですね。びっくりしました。

 でも「辺鄙」という特質は、現代ではなかなか望んでも得られない利点を保持しているもののようで、たとえば、ペルーのマチュピチュは辺鄙だからこそ観光客が詰めかけるのでしょう。辺鄙な場所の孤立した立地はまさしく城崎温泉で、これから冬場で湿雪に閉ざされると、孤立感はますます深まることでしょう。

写真:一の湯。海岸の近くだから食塩泉なのだ。

 今回の同行者は二人で、ともに大学の同窓生です。お一人は某大学の名誉教授で、70歳を越したというのに、現在でも非常勤講師、客員教授として働き続けられているYさん。一人は某有名繊維会社のOBでどうやら役員待遇だったご様子のKさん。翌日に出身大学の同窓会で講演をお願いしてある関係で一日早く懇親会を温泉で催した、という関係なのです。

写真:門前の係員の愛想のよいこと。

 では皆様、ご機嫌よう。

画像:湯村温泉、荒湯

嘉祥元年(848)とも貞観2年(860)とも言われる、今からおよそ1150年前に慈覚大師によって発見されたと伝えられている古湯であり、元湯は「荒湯」と呼ばれ98度の高温泉。豊富な湯量を誇る「湯村温泉」その中心を流れる春来川沿いに設けられた「足湯」は、天然かけ流しです。足湯に入っている間 に、荒湯で温泉たまごやさつまいもを茹でる事ができます。少し温泉の臭いするが美味しい! 泉源が浅く、湧出量の豊富な温泉のため、旅館だけでなく各 家庭にも配湯されている。

写真:美女にかしずかれてご機嫌な博士。

とてもよく撮れている他人様の写真集を添付しておきます。城崎温泉無料写真集。 奈良時代に開湯したという温泉場はあまり多くないようですから、この次もう一度来ることにして、御所の湯、一の湯などの入湯は次回にまわすことにしました。

画像:男子大浴場の奥にあるプール建物(表)。広いお庭のほうから眺めると、こうなるのだけれど、山陰地方は冬は湿雪が降り積もるからこのプール施設は一年の大半は役立たずになるのだろう。

画像:男子用内湯から露天風呂を見る。木立の奥にジャグジー風呂とミストサウナがある。内湯の湯滝は湯量が足りず、迫力に欠ける。

 お風呂は豪華でいろいろの風呂、露天風呂、ジャグジー、サウナ、ミストサウナなどがあって退屈しません。お蔭で外湯探訪に出発する元気はなくなってしまいました。

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写真:城崎温泉駅前。佇まいが古くて懐かしい雰囲気。

写真:ロビーで結婚式記念写真を撮るカップル

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