Tòto Riina(トト・リイナ)は1992年当時、シチリアのマフィア対策特別判事Giovanni Falcone(ジョヴァンニ・ファルコーネ)ならびにPaolo Borsellino(パオロ・ボルセリーノ)を次々に爆殺した暗殺指示者、マフィアの大ボス。これらのレポートを読むとマリオ・プーツオの描いたマフィオーソの世界は今も変わっていない、という確信がえられます。パレルモとかコルレオーネはどうやら今でもマフィアが健在のようです。
Giovanni Falconeの高速道路での爆殺の模様については次のYou Tubeを参照してください。
興味ぶかい日本語のレポートは次。
S i c i l i a (1)
2010/05/11~12
パレルモPalermoとモンレアーレMonreale
欧州でまだ見ていないところはどこだろう、と考えて、シチリヤ島に決めた。
昔、35年ほど前に家族(といってもまだ娘は生まれていなかった)と一緒にパレルモに来たことがあるので、これで二回目なのだが、昔のことはすっかり忘れてしまって、あのときどこのホテルに泊まったのかさえ記憶にない。港に面していたからPresident Hotelかなと思うのだが、現在のPresident Hotelには昔のクラシックな趣がない。President Hotelはその後建直しされたのだろうか。
写真:パレルモ市内。外部者から見るとなんとのどかなこと。
地図:AVIS
コルレオーネについては、地元のツアー会社の案内板には次のとおりの紹介が載っています。
次に訪ねるのはコルレオーネです。小さな中世の町で人口は約12,000人です。エメラルド色の丘と多くの滝によって囲まれています。この町は主としてマフィアのボス、Salvatore Riina とその派閥によって知られていますが、多くの恐ろしいマフィアのボス達の故郷なのです。そのひとりは、Totò Riina で、彼は現在複数回の終身刑で服役中です。大寺院と先史博物館を訪ねてみてください。そうすると、この静かな場所が、かつては多数の不名誉な人たちによって故郷と呼ばれていた事実が受け入れがたくなることでしょう。
マリオ・プーツォという作家は、ナポリ移民の子としてニューヨークで生まれた人なのですが、英語の使い方に抜群のキレがあって、少ない単語で簡潔で大胆な表現をするものだから、私のような英語を母国語としない人間にはとても読みやすいのです。ゴッドファーザーは勿論、The Sicilian, The Last Don, Omertaなど息もつかずに読み進ませる迫力がありましたね。彼の死後はMark Winegardnerが引き継いでいますけど、使用する英語については冗長で読むに堪えません。
パレルモの街ではマッシモ劇場前面の階段でGodfatherⅢの最終場面、カバレリヤ・ルスティカーナの間奏曲とメアリー役のソフィア・コッポラ、声にならない絶叫を発するマイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)、甘く美しかった映像が思い出されて感激しました。
時代から言えば、平安時代末期あるいは鎌倉時代ということになるのでしょうが、モザイク装飾の華麗なこと。これは東ローマ帝国の美術様式を正しく現代に伝えているのだと確信させられました。現在イスタンブールのアヤ・ソフィア寺院を訪ねても、これだけ完璧な東ローマ美術は残っていません。これはパレルモまでやってきた価値があると感動いたしました。
写真:モンレアーレ。回廊の柱頭彫刻。
写真:モンレアーレ大聖堂。噴水はアラブの名残か。
それで仕上げはパレルモのイタリア語学校に入学して、そのあとレンタカーでシチリアを回る、という計画だったのだけれど、出発時期が近づくにつれて面倒くさくなってしまい、結局ユーラシア旅行社のツアーに乗ってしまいました。
昨年の秋だったかな、次はシチリヤに行くと決めて、イタリア語を勉強した。NHKのCDブック『イタリア語練習ドリル』京藤好男2009と『ポケットプログレッシブ伊和・和伊辞典』小学館2001を買い込み、まがりなりに三回勉強したので、イタリア語に慣れることができた。今回は文法に主眼をおかずに、「イタリア語を話す」ことを目的としたので、NHKブックにでてくる例題は暗記して、口が動くように訓練した。
実は今回の旅行も、Mario
Puzoが描くMafiaの乾ききったドライな風土を求めていたのですが、残念ながら実感できませんでした。いつかあのコルレオーネ村へ行ってみたいものです。
ルッジェーロ2世(Ruggero II)が1130年初代のシチリヤ王になったというのも今回初めて知りましたよ。
だから今回ユーラシア旅行社の添乗員のお嬢さんに案内されてパレルモ王宮のパラティーナ礼拝堂とか、チェファルーの大聖堂とか、モンレアーレの大聖堂とかを見物したら、腰が抜けるほど驚きました。
画像:ルッジェーロ2世
写真:
パレルモ王宮のパラティーナ礼拝堂
では皆様ご機嫌よう。
写真:Corleone
写真:劇場内部。ロイヤルボックス。マイケルが狙撃の狙いをつけられた場所
写真:マッシモ劇場でのSofia Coppola - The Godfather, Part III
写真:マッシモ劇場。大階段横の彫刻。
写真:モンレアーレ大聖堂内部。ただもう完璧。凄い。
写真:チェファルーの大聖堂。ルッジェーロ2世。未完。
それにしても難しい場所ですね。50年あまり前に世界史を勉強しただけの私には、シチリアは手に余る。私の大学受験の頃の世界史の教科書にはシチリヤの歴史的変遷は載っていなかったのだ。ノルマン朝などというノルマンディー出身の王朝があったなんて今回初めて知りましたよ。
写真:チェファルー Cefalú
写真:パレルモの市場。マグロのイタリア語は
Tonno(トンノ)だって。英語ではツナ。
写真:パレルモ市内 Piazza Pretoria