ワ シ ン ト ン (3)

                2011/10/2628

おそらく大統領に呼びつけられたのでしょうが、930日の夜をマウント・ヴァーノンですごし、翌朝朝食前に大統領と話をはじめ、朝食を一緒にとり、ハミルトンとの関係につき事情を話したが、大統領は彼の辞任を認めない。

おりしもワシントンは大統領の一期目の任期を終え、引退するつもりで引退を心待ちにしていたが、「余人に代えられず」との理由で強引に再選させられることになっていた。「余人に代えられず」はジェファーソンについてもそうだ、と詰め寄られたのである。

   独立宣言には、薄れていて肉眼ではよく見ることはできないのですが、ジェファーソンの直筆のサインがあります。これでやっとご本人と対面できた感じになります。


  以上で今回のアメリカ見物は終了です。

 独立宣言が177682日に署名されたあとのオリジナルの保管場所の移動については、同書上巻P221225に詳しく説明されています。最終的にこの国立公文書館に運ばれたのは、19521213日、国会図書館からアメリカ海兵隊の護衛つきの戦車で運ばれたのだそうです。

 戦車で運ばれた独立宣言のオリジナルは(P227)55トンのコンクリートと鉄の地下金庫に埋め込まれた、5トンの組合わせ式金属扉でおおわれていて、参観時間だけは22フィート上昇して展示ホールのブロンズ製ケースのなかに出てくるのだそうですが。

 たとえワシントンに原子爆弾が落ちたとしても、これら三文書は生き延びるように設計されているというのです。

4.  国立公文書館

上のような史実は別としても、ポトマック川を見下ろすワシントンの私邸はモンティチェロと比べると貧弱ですね。

3. ジョージ・ワシントンの私宅、
  
マウントヴァーノン

2. ジェファーソン記念堂
   これはみかけは素晴らしいのですが、くだらない記念堂ですね。でも、回りは桜の木でいっぱいですから、三月末か四月初頭の桜の季節にくれば素晴らしいでしょうね。

写真:
Pierre-Auguste Renoir (1841-1919)
Luncheon of the Boating Party
1880-81
Oil on canvas
Acquired 1923

1. The Phillips Collection

 アメリカの哲学は合理的であり、アメリカ人の未来にたいする敢闘精神は偉大であり、その敢闘精神が作り出した富の蓄積に感嘆し、じつに有意義な、とても楽しい旅行になりました。

 では、皆様ご機嫌よう。

 マウント・ヴァーノンというのは、ワシントンが長兄ローレンスから相続した農園なのですが、ジェファーソンはこのマウント・ヴァーノンを一度だけ訪ねたことがある。

 彼がワシントン(初代)大統領の下で国務長官をつとめていた1792年、財務長官アレクサンダー・ハミルトンとの抗争に疲れ果てて、大統領に辞表を提出した。

 ハミルトンが財務長官の地位を利用して仲間の議員達にうまい汁を吸わせつつ、議会勢力を拡張していくのに腹をたて、「西インド諸島生まれの私生児」との中傷合戦を開始した結果だった。

朝の10時から開いているというので、9時半に到着したのですが、もはや見学者の長い行列ができていました。実際に入場できたのは10時半ごろでした。カメラの撮影は禁止されており、羊皮紙の文書をいためないようにひどく暗くしてありますので、

        独立宣言
        憲法
        権利章典

をガラスケース越しに眺めてもなにがなんだかよくわかりませんでした。

 むしろ、ジェフリー・アーチャーの小説
        『盗まれた独立宣言』上下Jeffrey           Archer 永井淳訳 新潮社 1993

を熟読したほうが楽しいかも知れません。

   展示品もなかなかに素晴らしいのですが、周囲の住宅街の雰囲気がなんともいえず素晴らしい。わたしはこの次のワシントン訪問のときはこのあたりの小さい民宿ホテルを探して投宿しようと決めました。

フィリップス美術館(The Phillips Collection)は、ナショナル・ギャラリー(National Gallery of Art)、フリーア美術館(Freer Gallery)についで有名な美術館ですが、私立です。場所はメトロのDuPont Circleの近くです。写真撮影は原則禁止のようですが、私は撮影の許可を頂戴しました。

写真:国立公文書館で売られているコピーから部分拡大

画像:国立公文書館のロタンダ。左側が独立宣言が納められているケース

ワシントンの軍人らしい質実剛健さとジェファーソンの知性との差というのでしょうか。でも参考になりました。

   時間が余ったので、車でマウント・ヴァーノンまで走ってきました。片道1時間というところでしょうか。
   前の二美術館に較べると貧弱ですが、一般市民の邸宅を改造した美術館ですから、昔の金持ちの邸宅の匂いが漂ってきます。