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Fuga canonica in Epidiapente


5度のカノンです。Fuga canonicaの題名のとおり、
カノンでありながらフーガ的様相を示しています。
曲中に王の主題が何度か登場し、その対旋律は
単なる繰り返しではなく、毎回変化していきます。

楽譜には主題に始まるカノンの先行声部と、自由な対旋律が
記されています。主題は原型のまま用いられています。


注)調号は原曲に従っています。

上声部のト音記号が後続声部の音の高さを、
11小節の上声部に付けられた※印が後続声部の入りを示します。
これに従い、以下のようなカノンが出来上がります。



後続声部を青い音符で示しました。
リピート記号はなく、終点もはっきりしています。

39小節から先行声部に再び主題が示され、
後続声部に模倣されますが、この後続声部の主題に続いて
自由な対旋律の声部にも主題が示されます。
後続声部、対旋律とも主調で主題が示されますが、
ここで12度の2重対位法が用いられています。



上の楽譜は49小節〜と59小節〜の主題の出だしを示しています。
49小節〜の先行声部の旋律を、後続声部が5度上で
模倣しますが、示される主題はどちらもハ短調となっています。

先に示した曲の冒頭と比較すると、主題の対旋律が
大きく異なっていることがわかります。
またこの49小節〜と59小節〜を見ても、黒い音符の旋律は
まったく別のものになっています。2つのRicercareも含め、
バッハは同じ主題に非常に多様な対旋律を付けているのです。

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