(第57窟、説法図、初唐(618-704)

翌日、莫高窟を午前と午後二回にわけて見物しま
した。
昔のように開けっ放しではなくて、各窟に
スチールの扉がついて鍵がかかっています。

120人民元の入場料で見物できるのは10窟だけです。

敦  煌

       2006/06/16-18

皆様は美術愛好家でいらっしゃいますから、すでにと
っくの昔にたずねられたの
でしょうが、私は無精者で
すから身体もヨレヨレになってからの敦煌訪問となり

ました。

私たちの学生時代に井上靖さんが小説『敦煌』を書か
れて、まるで夢のなかのよ
うな世界を描かれて、魅惑
されて、それ以来生きているうちに是非一度訪ねてお

きたいと思っていたのです。

中国での芸術作品が壊滅したのは、廃仏令によるものだと信じて
いたので、
鎌田茂雄『新中国仏教史』大東出版社 2001を調べま
した。過去の廃仏令は


       太平真君七年(446)          北魏の廃仏           太武帝王
       建徳三年(574)                 北周の廃仏           北周の武帝
      
会昌五年(845)                 会昌の廃仏           唐の武宗
    顕徳二年(955)                 後周の廃仏           後周の世宗
       太平天国(1851)               清末の革命運動     洪秀全
    文化大革命(1966)            十年間の動乱        中華人民共和国


でした。たったこれだけの廃仏令で中国全土の美術品が滅びたと
考えるのは
間違っているかも知れません。中国は王朝の変わり目
ごとに大規模な内戦があ
ったので、内戦の結果、仏閣と芸術作品
は失われていったのだ、と考えるほう
がよいのかもしれません。

両作品とも金塗料が効果的に美しく使われて
いて、良い趣味だなと感心いたしました。

現在別料金で拝観できる特別窟の番号と料金
を書いておきます。

料金            洞窟番号 

100元           21,156,159,254
150元           57,275,158
200元           45,285,220
500元           465

(第420窟、涅槃経變、隋(581-618AD)

料理も祁連山脈に駱駝です。お皿の後
ろにあるホイップクリームを祁連山脈
に見立て、
胡瓜でオアシスを表現し、
真ん中のビーフシチューみたいのは、
実は駱駝の足裏の
薄切りソテーです。
市内の「老厨房」という高級レストラ
ンのご自慢料理です。

味はどうかって? いや、どうぞ聞か
ないでください。

通訳の方と運転手の方は「美味しい」
と言ってぺロリと平らげられました。

標高5,000mの祁連山脈の雪解け水が伏流
水として地下を流れてきて、地上にオア
シス
として顔を見せるのが敦煌で、最初
のオアシスがこの月牙泉なのだそうです。

風が強くて、砂が風で舞い上がります。
高さ
200mもある砂丘が手前に崩れてこな
わけがよくわかりました。が、私たち
は砂だらけになってしまいました。目も、

鼻も、口も。マスクなど役にたちません。
山の中腹にある出発点から麓まで砂橇で

降りてきたら、今度は身体中が砂まみれ
になりました。

たまたま上海で商談会が開かれて、季節も良いし、強い風が吹きまくる黄砂の時期も過ぎているだろうしと考えて、気軽に上海出発で二泊三日の旅行を組んだのですが、いやその遠かったこと。西安で飛行機を乗り換えて、乗り換え時間も勘定すると、片道6時間半もかかりました。

念願の敦煌詣ではこれで決着。遅ればせながら、まずは目出度し、目出度し。

では皆様、御機嫌よう。

(第45窟、菩薩、盛唐(705-780AD)